原作:犬夜叉
タグ:残酷な描写 クロスオーバー リョナ 串刺し 貫通 拷問 腹パンチ ヒロピン ヒロインピンチ 珊瑚(犬夜叉) 珊瑚(半妖の夜叉姫) 犬夜叉 半妖の夜叉姫 竈門葵枝 鬼滅の刃 奈落(犬夜叉) 破壊神ビルス 桑島法子 鬼舞辻無惨
嫌な夢を見た・・・。
雪山に住む家族が、人ではない謎の男に喰い殺される夢。
幼子を庇い惨殺される母親。死ぬ直前で目の前で殺される子。その無念は如何ばかりであっただろうか。子供がいる私には分かる。そしてその親子を助けられず目覚めた私は泣いていた。夢の中での出来事でしかないというのに。
「どうした、珊瑚。」
弥勒様は起きていた。本当にこの人は私の心を全て見透かしているようで・・・。
私は夢の出来事を話し、彼の胸の中で泣いた。
翌日、山菜採りに出かけた。近隣の山だから迷わないはず・・・。
迷った。明らかにおかしい。幻覚なのか、いつの間にか見知らぬ山になっている。進むにつれて雪山になっていく。
「助けてあげようか?」
怖気が走った。目の前にいたのは紫色の猫。・・・明らかに普通の猫ではない。私は身構えた。
「構えても無駄だよ。・・・ボクには勝てないから。」
「黙れ妖怪。」
「ところでさ、夢見たでしょ。家族が殺される夢。・・・あれ予知夢なんだ。この先にある家で起きる出来事。後3日くらい先かな。」
「なん・・・だと・・・。お前の仕業なのか!」
「違うよ、ボクはそれを防ぎたいだけ。だから行こうよ、その家へ。」
私は猫に連れられて行った。本当に夢の通りの家があった。・・・あの夢を現実にしてたまるものか。私は着物の下に装束を着込んでいる。武器も一通り隠し持っている。
「どうなされたのですか?」
気配に気が付かなかった。夢に出てきた母親だった。とても優しそうな顔をした女性。
・・・私は気を抜いていたはずじゃないのに。
「す・・・すみません。道に迷ってしまって・・・。」
「まぁ大変。」
私は彼女、竈門葵枝の家に案内された。彼女は夫を亡くしたばかりで、子供6人を育てていた。
「炭治郎と禰豆子・・・長男と長女が助けてくれるんですよ。私だけではとても大変で。」
利発そうな2人だった。この子達まで殺されてしまうのか・・・。
「すみません。家の仕事を手伝いますので、私をしばらく泊めていただけませんか?」
「構いませんよ。珊瑚さん。」
「ボクも泊まって良いかな?」
「構いませんよ。猫さん。」
「お前は帰れよ。」
竈門家は炭焼き職人の家系で、そのやり方を幼い子供達が私に丁寧に教えてくれた。私は大してうまく出来なかった。
夕餉の時間になった。みんなで仲良く食べた。猫野郎は小さな身体で5杯もおかわりした。本当に早く帰れよ。
入浴させて貰った。私が入ってるときに、
「お背中を流しましょうか?」
葵枝さんだった。私と共に背中を洗い流した。
「珊瑚さん、背中に大きな傷がありますね・・・。他にも傷だらけで・・・。」
「すみません。背中の傷のことは語りたくないのです。辛い過去なので。」
「申し訳ございません。」
「・・・葵枝さん。あなたも辛いのではないですか?夫の方を亡くされたばかりで・・・。」
「・・・はい。」
「泣くのを我慢されてますよね?」
「はい。」
私は葵枝さんを抱きしめた。葵枝さんは泣き崩れた。私は彼女が泣き止むまで抱いていた。
夜中は皆寄り添うように眠った。この日は何事も起きなかった。次の日も。
猫の予言の日の3日目。遠くから殺気がした。とてつもない大きな気。この家に近づいている。
私は装束に着替え、出て行こうとした。
「行ってはいけません。」
葵枝さんだった。・・・何故殺気が分かるんだ・・・。
葵枝さんは私の肩を抱いて、
「とても邪悪な気配がします。行けば・・・あなたは殺されます。何故命を粗末にするのですか?あなたも母親でしょう?」
「・・・私には夫がいます。もし私に万一のことがあれば夫が子供を守るでしょう。育てるでしょう。それに・・・。」
私は葵枝さんの鳩尾を殴った。
「うっ・・・。」
「私は自分の命を賭けて人々を守る家の者です。命に代えてもあなた達を守るのが使命なのですよ。」
「だ・・・め・・・。いって・・・は・・・。・・・う。」
意識を失った葵枝さんを寝かせ、私は家を出た。
「死ぬよ。」
猫だった。
「死ぬと分かっていても行かなければならないときがあるんだ。」
「馬鹿だねぇ。実に馬鹿だね。」
「何もしようとしない猫がほざくな。」
私は駆け出した。
殺気に近づくにつれて違和感があった。あの夢の殺気とは違う・・・。この殺気には覚えがある。私と弟の人生を壊した敵。私の大切な者を奪った敵。
雪の平原に出た。
端正な男の顔があった。胸までの上半身があった。それ以外は異形だった。龍の尾のようなものがついている。蜘蛛の脚のようなものがついている。百足の身体がついている。その他数多くの妖怪がくっついた巨大な存在。
奈落だった。
「久しぶりだな、珊瑚。」
「・・・何故お前が生きている。」
「ある鬼を称する男がな、戯れにわしの亡骸に血を垂らしたのだ。そしてわしは冥府から黄泉還った。そして妖怪を喰らい、鬼を喰らい、ここまで来るのに300年かかったよ。そして、わしはここに来るであろう、わしに血を与えた男を喰らう。わしは今まで以上に復活する。」
「お前の目的は・・・。いや、いい。お前は何もかも支離滅裂だった。真の目的すら怪しいと私は思っている。お前をこの手で殺せる機会が出来て嬉しいよ。」
「無理だ。お前はわしに及ばない。」
「黙れよ。」
私は毒をばら撒きながら走り、奈落に近づいた。やはり妖怪に効果があり、動きが鈍っている。襲ってくる妖怪達を腕の仕込み刀で斬り捨てる。そして奈落の首を斬ろうとしたときに、
「俺を殺すの?姉様。」
奈落の身体に子供の頃の琥珀が現れた。・・・躊躇ってしまった。
ズボォッ!
蜘蛛の脚が私の腹を貫いていた。
「ぐぁっ!・・・あう・・・。」
「成長しないなぁ、珊瑚。何度この手にやられたのやら。」
「・・・卑怯者のクズめ・・・。がふっ!」
(まだだ・・・。まだ、戦える・・・。)
私は蜘蛛の脚を腹から引き抜こうとした。両脚を巨大な百足に噛みつかれた。肉を喰われている。
ボキボキグシャゴリゴリゴリ
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
両腕を犬の妖怪の頭に喰われた。刀ごと自分の手が、腕がかみ砕かれているのが分かる。
グチャグチャビキバキバキ
「がぁつ!ぐ!うう・・・。」
背後から両肩を牛の角のような妖怪によって貫かれた。
ブチブチボキボキバキ
「か・・・あ゙お゙・・・。」
植物の枝のようなものが螺旋になり、私の両胸を貫いた。乳房が、肉が、肺が、心臓が喰われているのが分かる。
ブジュグジョブジョブジュグブ
「ごぶぅぅぅ・・・。がふっ・・・。」
血を吐き続けた。身体が激痛で動けない。
(終わった・・・。何も出来ずに死ぬのか・・・。何て様だ・・・。)
「このまま、お前を喰らっても良いが、面白くない。・・・よってこれをやろう。」
奈落の身体から異形の腕が何本も出てきて私の顔を固定した。無理矢理口を開けられる。
腕の1つから大量の赤黒い液体が出てきた。
「鬼の血だよ。わしはこの血を与えた男と同じ純度、同じ量の血を培養することに成功した。心地よいぞ、この血は。人を喰いたくて、殺したくて堪らなくなる。」
「やめろ・・・。そんなものを飲むくらいなら死んでやる・・・。」
「まぁ、そう言うな。」
大量に鬼の血を飲まされた。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
自分の肉体が灼熱のように熱くなる。手足を、腹を、胸を、肩を拘束していた妖怪が消し飛び、地面に倒れた。傷を負った部分が再生されていく。装束ですら。その代わり、異様なほど全身が脈打っている。よろよろと立ち上がった。胸の中が、腹の中が、手足の中で何かが蠢いているのが装束の上からでも分かる。何だよこれ・・・。苦痛を感じるが、それ以上に人間でなくなっている空しさを感じた。
(もういい・・・。肉体が再生したんだ。奈落をこれで殺してやろう・・・。その後で、自ら命を絶とう・・・。)
私は奈落の顔部分まで跳躍した。龍の尻尾で弾き飛ばされ、遙か後方まで木々をなぎ倒しながら転がっていき、止まった。・・・再び奈落めがけて跳躍した。信じられない身体能力。もう人間ではなくなったことを自覚した。
ズド・・・。
・・・奈落から切除され放出された龍の尻尾に腹を貫かれた。腹筋が、内臓が、腹のほとんどが潰れて消えた。私はそのまま地面に落ち痙攣していた。
「ご・・・お・・・。」
「お前に少量の血を与えたのはわしだぞ?量を考慮すれば敵わないのは明白。」
私は立ちながら、腹を貫いている尻尾をズルズル抜いていく。痛すぎるが構わない。・・・もう人ではないから。その途中で、両乳房にクラゲのような妖怪がくっついた。何を・・・。
ドッゴン・・・。
「がはっ・・・。」
胸の中で稲妻が爆発したような衝撃を受けた。私は地面に倒れて胸を大きく仰け反らせた。
ドッゴンドッゴンドッゴンドッゴンドッゴンドッゴンドッゴン
「がは!あう!や・・・やめ・・・ぎょぼ!」
胸の中が爆発する度、胸を大きく仰け反らせている私。貫かれている腹と背中から激しく血飛沫があがり止まらない。・・・かごめちゃんから聞いたことがある。心臓マッサージという心臓を動かす治療法。それの悪質な奴だと分かった。常人なら最初の一撃で死んでいる。
「あ゙・・・あ゙・・・。」
爆発が停止された。しかし、私は身動き1つ出来ない。激痛で思考が何も出来ない。
奈落の身体から巨大な腕が数本現れ、2本で両腕を拘束、2本で両脚を拘束し、空中に固定された。腹を貫いている尻尾が雑に抜かれた。
ズブズブズブズシュゥ・・・
「あおうぅぅ・・・・。」
腹に空いた大穴がみるみる小さくなっていく。
「さて、これからお前に何をしようとするか分かるか?」
「・・・殺せ・・・。」
「断る。まぁせいぜい苦しめ。」
奈落が触手を出し、私の陰部を突き刺した。
「はぁう!あん・・・あう・・・。」
「可愛い声で喘ぐではないか。もう3人も子がいるのに。」
「・・・ゲスが。」
「まぁ3人などたいした数ではない。・・・これから100人くらい産んで貰う。」
「な・・・!」
私の腹が一気に膨らんだ。腰骨などが一気に砕けた。そして私の腹を割いて出てくる異形の赤子。
「が・・・。あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「産道から出てきたら産みの喜びを味わえただろう。すまんな、産道は触手で行き止まり。腹を割いて出てくるしかない。」
「黙れよ、ゴミ野郎・・・。」
乳房のクラゲが電撃を出し胸が爆発した。
「がうっ!」
「口答えするな、孕み袋。」
異形の赤子は地面に落ちていき、腹の傷が塞がっていく。
そしてまた急激に膨らんだ。また腹を割いて赤子が出てくる。
「あああ・・・。やめてくれ・・・。」
胸が爆発した。
「がぁぁ・・・。」
・・・しばらくそれは続いた。本当に100人くらいの赤子を産まされた。何か発言すれば胸が爆発。奈落の気まぐれでも胸が爆発。地獄でもこれほどの苦しみはないだろうと思った。
・・・雪原が赤子でひしめいていた。
「さて、乳でもくれてやれ。・・・いや、肉が欲しいようだぞ。」
赤子が私目掛けて飛んできた。胸が、腹の肉が、尻の肉が、背中の肉が、太ももが、内臓が喰われていく。喰い終わった赤子は地面に落ちていく。・・・自分の胴体が骨と肺と心臓だけになったのが見えた。それも高速で再生していく。
(もう・・・どうでもいい・・・。)
心が折れかけた。仮にも自分が産んだ赤子。その血肉になれるなら本望だと思った。
「さて100人が、お前の肉を喰い終わった。・・・正直、父としてはこんな子など要らん。この血肉は母であるお前に返してやろう。」
「は・・・?」
奈落が腕を生やし、赤子達を次々に潰し肉塊にし、1つに固めていく。
「や、やめろ・・・。お前の子でもあるんだぞ・・・。」
「不要と言った。」
100人の赤子が1つの大きな肉の塊になり私の目の前にある。・・・あぁ恨めしいだろうな、この母を。守れなかった母を。・・・殺してくれよ。
奈落の身体から無数の手が出てきて、また私の口をこじ開けられた。
「喰え。」
赤子の肉塊が液状化し、私の口の中に入っていく。・・・腹が臨月のように膨れた。そのまま腹が破裂するはずなのに破裂しない。全て消化してしまっている。腹は破裂する寸前で止まっている。
(はは、私は子を喰う母か・・・。地獄行き確定か・・・。死にたいよ・・・。)
全ての肉塊が腹の中に収まり、消化され、膨張もなくなった。
私は虚ろな目で泣いていた。
「そう泣くな、珊瑚。わしはお前が気に入っているぞ。だから慈悲をやろう。・・・これは普通の人間なら即死。鬼になったお前なら・・・。運が良ければ死ねるぞ。」
グチジュジュボキバキグジャグジャバキ
・・・全身を雑巾のように絞られた。あり得ないほどに曲がっていく身体。
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!あっ!あっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
肉が千切れておびただしい血が雪原を濡らしていく。全身の骨がおぞましい音を立てて砕けていく。
・・・奈落が絞るのをやめた。私の肉体がゆっくりと回転しながら元に戻っていく。あまりにも滑稽で無様だ。全身を挽肉にされた激痛が続いている。全身の至る所に引き裂かれた大きな傷跡がある。大量に血が流れていく。口からも洪水のように血が流れていく。・・・私の目は焦点が合っておらず、やはり生気を失っていた。
「鬼の血が入っているのに、再生しないな。やり過ぎたか?ふはは。」
・・・手斧が回転しながら飛んできた。奈落に当たる前に弾かれた。
「何だお前は。」
葵枝さんだった。・・・駄目だ。逃げてくれ・・・。叫びたかったが声に出なかった。
葵枝さんは手斧を持って駆け出していた。妖怪からの攻撃をまるで動きが分かっているかのように避けている。
「成程、面白い芸だ。ただ。」
ズドッ!ズブッ!ズバッ!
「あうっ!あ゙・・・あ゙・・・。」
葵枝さんの背後から触手が数本出てきて、葵枝さんの胸や腹を数カ所、両太ももを貫いた。
「ごぼっ・・・く・・・あ・・・。」
「もうこの周辺は蜘蛛の巣のようなもの。ここに来たときから既に貴様らはわしの餌なのだよ。」
「がはっ!・・・化物風情が偉そうに言わないでください。餌?人の命を何だと思っているんですか・・・。」
葵枝さんの肉体から触手が引き抜かれ、葵枝さんが崩れ落ちた。更に動けない私を葵枝さんにぶつけてきた。
「戯れるのも飽きた。・・・喰うか。」
私は再び泣いていた。悔しくて泣いていた。守れなかった。助けるつもりが助けられた。あまりに自分が情けなくて、涙が止まらなかった。
「泣かないで・・・。珊瑚さん・・・。」
葵枝さんに手を握られた。日に照らされたように暖かい・・・。葵枝さんの方を見ようとしたが、目が暗くなって見えない。この温もりを守れないのか・・・。誰でもいい。お願いだ・・・。何でもする・・・。葵枝さんを死なせたくないんだ。誰か、この太陽のような人を助けてくれ・・・。
「ほ-ら、こうなった。ボクの言うことを聞かないから。」
猫だった。お前に何が出来るんだよ・・・。
いつの間にか耳飾りが片方についていた。葵枝さんの耳にも片方ついているのが分かる。
「これはね?ポタラって言うんだ。合体が出来る。」
合体すれば勝てるのか?
「さぁ?君たち次第じゃない?」
「・・・構いません。珊瑚さんを救えるなら。」
「葵枝さん・・・。」
私達は肉体が、魂が、1つになるのを感じた。
気が付いたら、私は、私達は立っていた。元は珊瑚の身体が基本だった。黒い装束に紫の生地が所々に混ざっていた。そして胸の部分に赤と青の色が交互に混ざった彼岸花の文様がついていた。両耳には猫がくれた耳飾り。額の左側から側頭部まで炎のような痣がついていた。後ろに結んだ髪が足首まで伸びている。
私は羽衣のように炎の気を纏っていた。・・・斜めの体勢から奈落を見上げていた。汚物を見るような目つきで。
「何だ?合体したから、わしを超えるとで」
私は、炎の気を刃にして奈落の首を切断していた。そしてそれを砕いた。
胴体から奈落の首が再生した。
「調子に乗るなよ!女ァ!」
殺気を帯びた瘴気を放ち、今までとは比べものにならないほどの数の妖怪を出す奈落。
瘴気で木々が枯れていく。
「全て片付けてやろうか?」
「アァ!?」
私は奈落目掛けて駆け出した。・・・まるで世界が透き通る感覚を感じた。自分の心が澄んでいくのを感じた。全ての妖怪の気配が、動きが、ゆっくりと見える。攻撃を全てギリギリで避け、炎の刃で、炎の拳で、全ての妖怪を粉砕した。炎の気で竜巻を想像し具現化した。瘴気は竜巻に吸い込まれ、天に消えていった。
・・・奈落の顔面を思いっきり殴った。吹き飛んでいく奈落。だがすぐ再生し巨大な妖怪の群れと共に空中に浮かんでいる。
「・・・あぁ、見事だ。珊瑚と誰か。だが時間切れだ。」
朝日が昇ってきていた。
「鬼の最大の弱点は日光だそうだ。わしは肉体を構成し直すことで克服に成功した。だがお前達は焼かれて消える。」
「・・・そうか?」
私は両腕を広げて朝日の光を受けた。・・・心地よい。何も起きない。
「何故だ!」
「こうなる気がしたんだよ・・・。私は血を克服した。この痣もな?身体能力を上げる代わりに20代中盤で死ぬという。だが生きられる気がした。事実そうなった。私は何も恐れない。何も怖くない。・・・恐れるのはお前の方だ。・・・私がお前の恐れだ。」
「くっ!」
「逃げるのか?また逃げるのか?・・・逃がさんよ・・・。」
空を駆けて奈落へ接近した。そして、
「ダラララララララララララララララララララララララララララララ!!!!!!!!」
炎の拳で奈落を殴り続けた。顔を、全身を、殴り続けた。奈落は粉々になっていった。
「ダラァッ!」
最後は奈落の顔面に思いっきり頭突きをかました。奈落は炎に焼かれて塵になって消えた。
私はゆっくりと地面に着地した。珊瑚と葵枝さんに別れた。
「私・・・戦うのは初めてで・・・戦い自体好きじゃないんですけど・・・何だかスッキリしました。」
「私も。」
朝日を浴びながら2人で笑い合った。
冥府。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
奈落がいた。人の姿で。
「300年も無駄に生き続けて、ご苦労さん。」
恐ろしい声が聞こえた。奈落は声の方を見た。紫色の肌をして猫の顔をした何かだった。
「自己紹介しないよ。・・・お前ごときに名乗る名など無い。」
「全てはお前の差し金か。わしが敗れたのも、珊瑚が強くなったのも。」
「そう。何故かっていうとね?・・・お前、散々非道なことして裁かれてないじゃん。理由分かる?お前はね、お前の世界の神様に愛されてたんだよ。お前の神様は、お前を人間の象徴だと言った。そうだね、負の象徴だね。・・・それを第三者が許すと思うかよ。」
何かは奈落に映像を見せた。そこにはあの鬼の男がいた。想像を絶する苦痛を味わって。
「地獄はね。可逆なんだよ。果てが無い。そこにお前を送り込む。」
「・・・何故貴様にわしを裁く権利がある。」
「神だから。正確に言うと破壊神。」
神を名乗る何かは奈落の目の前に手を突き出した。
「お前の神様とお前を好きな人間の分だけ、お前に冥府で安らかに眠る結末を与えよう。ただしそれ以外の分岐点は全て地獄の最下層行きだ。例えるならな、1年365日の内5日だけ安らぎ。それ以外は地獄。お前はそれだけの悪意をばら撒いた。因果応報。裁きから逃れられると思うなよ。破壊。」
私達にはもう一つの戦いがあった。鬼の男との対決。竈門家の惨劇の始まりの男との対決。
珊瑚と葵枝さんは合体した。
鬼の男が近づいてきた。
私は空中に太陽のように固めた炎に、片膝を立てて座って男の前に突然出現した。
「よぉ。」
「・・・何だ貴様は。」
「お前を殺す者。」
男は茨を無数に放出した。全て見るだけで焼き消した。
男は逃走した。一瞬でかごめちゃんの時代の距離で、数百メートルは逃げた。目の前に私。
男を見ただけで押しつぶした。
「お前は何の落ち度もない部下にこう言うそうだなぁ。『頭を垂れて蹲え。平伏せよ。』・・・何様だよお前。」
「その匂い・・・。お前は青い彼岸花の・・・。」
「場所を知ってるよ。でも焼かない。華に罪はないから。・・・腐っていたのはお前の性根だけ。まぁとりあえず死にたいと思うくらいまで嬲り殺すから。」
私は凍り付いた目で男を見下ろした。・・・嬲り殺した過程は書かない。どうでもいいから。
竈門一家に見送られ、私は竈門家から去って行った。
猫がいた。
「はい、ご苦労さん。」
「・・・何故、私に鬼の血を混ぜた。葵枝さんにも鬼の血が混ざっている。それは、私の家族にも、彼女の家族にも広がっていく。何故人でなくした。」
「人間は進化しなくてはいけないから。あの鬼の男・・・無惨はね?進化した人間の失敗作なんだよ。そして、失敗作を恐れてあの世界では超人的な力を失うんだ。それでは進化が止まってしまう。だから君たちを成功例にした。無理矢理ね。」
「何故進化しなくちゃならない?」
「無惨や奈落以外にも悪意はわんさか現れる。人間は戦い続けなきゃいけない。強くなり続けなきゃいけない。君の世界もそうだよ。これからも君は戦い続ける。君の子供も、子孫も、永遠に。」
「お前の勝手な思想で、私は妖怪の子供を産まされ喰わされた。地獄行きだ。」
「君の天国行きは確定だよ。あぁ君は強いから天国でも戦って貰わないといけないだろうねぇ。地獄では反逆が茶飯事だから。」
「・・・お前、人の姿してるだろ?見せてくれないか?」
猫は人の姿になった。その瞬間に顔面を殴ろうとして手で止められた。
「残念だが、ボクは奈落や無惨より遙かに強い。気が付いてると思うが、君は合体しなくても同じ力を既に有している。あの母親も同じ。それでも届かない。悔しかったら強くなれ。・・・まぁボクと良い勝負出来るようになるのはあと400年位修行しないといけないかな?ちなみにボクの住まいは天国から近いよ。」
「・・・やってやるよ。いつかお前を殴って泣かせる。・・・お前の名を聞いてなかったな。」
「自己紹介しよう。ボクはビルス。理不尽な破壊神。君が成長し、人類の進化を促していくことを信じている。鬼の女王よ。」
ビルスは恭しく礼をして飛び去っていった。
私は村に戻った。山菜採りに出かけて1日もたっていない事を後で知った。
弥勒様が迎えてくれた。
・・・抱きしめられた。
多分全てお見通しなんだろう。
ここで泣いてもよかった。辛かった苦しかったと言ってもよかった。
でも、それは私じゃないから。そんな弱い人間は卒業したから。
だから弥勒様の口に接吻して舌を入れた。今夜は寝かせませんよ・・・。
これからも、子供達に、これから生まれるかもしれない子にも教え続ける。
強く優しき母の生き様を。鬼の女王の生き様を。