転生者『虚飾の魔女』(なお中身) 作:白金の絹糸
お久しぶりです。
次話はまだ未定ですが、ひとまず一話だけ更新します。
とりあえず、虚圏にいる不老不死たちを迎えに行って、怪我人はミネルヴァが癒やして。
元柳斎に卍解を維持しておけと言われたから、とりあえず魔女たちを九番隊隊舎へ連れ帰った。
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まず一番大事なのが、権能を垂れ流しにしない事だった。考えれば分かる事だが、権能を垂れ流した状態でたとえばカーミラを放牧しようものなら瀞霊廷があっという間に死体だらけになってしまう。なので、本来はデフォルトで垂れ流しの権能(制御出来ないものも含む)でも抑えられるようにする必要があった。
これに関しては案外上手くいった。私の卍解、つまりは大元が私という事もあってか私の意思で他の魔女たちの権能のオンオフをコントロール出来るようだった。正確には権能ではないのかもしれないが、ダフネの魔眼とかも。
差し当たってはテュフォンとカーミラ、ダフネの権能をオフにしておいた。エキドナはいたずらに魔法ぶっ放したりしない……はずだし、ミネルヴァはオド・ラグナとかじゃなくて私の霊力を源にしている関係上無害だし、セクメトは自分からアクション起こしたりするタイプじゃないし、サテラも私を守ってくれる以外は頼んだ時しか権能を乱用したりしない。
「改めて紹介しましょう。左から順に怠惰の魔女ことセクメト、傲慢の魔女ことテュフォン、強欲の魔女ことエキドナ、私の後ろにいるのが嫉妬の魔女ことサテラ。そしてこちらから憤怒の魔女ことミネルヴァ、色欲の魔女ことカーミラ、暴食の魔女ことダフネです。いずれも癖は強いですが、仲良くしていただけると嬉しく思います」
九番隊の隊舎で過ごす事になるので、ひとまずは九番隊のみんなに紹介だ。
「いきなりそれだけ言われても困るだろう。ちゃんと卍解についてから説明した方が良い」
「ああ、確かにそうですね」
「ドラはおっちょこちょいだなー」
「いまさらですよぉ、ねぇ……?」
正直、卍解を維持する事に関しては他の人に比べて私の負担はほとんどないと思う。そもそも霊圧が全然違うし、なんなら霊力が切れそうになっても霊力を使わなかった事にすれば良い。
ただ、一つ困ったというかちょっと不便に感じるのは、始解状態のイマジナリーエキドナなら脳内会話みたいな事が出来るのだが、卍解していると現実世界に具象化しているからか声に出さないと会話が出来ないのだ。
「私の卍解である『
一応、卍解について軽く説明しておく。
何か質問がないかと見渡してみると、修兵が手を上げた。
「あの……それって結構マズいんじゃ……? 藍染の拘束手段が完成するまで常にその状態っていう事ですよね……?」
「そうなりますね。常に彼女たち全員と共にいるのは彼女たちの性格的にも難しいところがありますし、私は斬拳走鬼が得意ではありませんから、私単体を見た時に無防備である事は避けられません」
とは言っても、結局のところ私は『虚飾の魔女』であるからして、やりようはいくらでもあるのだが。メインウェポンである火力技がなくなるので取れる選択肢が狭まるのは避けられないが。
「ですが、最低限サテラは常に守ってくれますし、何かあってもあなたたちがいるでしょう?」
「あ……は、はい!」
まぁ、正直この前の惣右介みたいな特別にヤバい奴でも出てこない限り私が完全な丸腰でも大丈夫そうな気はしている。そもそも桃が虚化して強くなっていた要を圧倒していたらしいし、三席になった修兵だってたぶんやろうと思えば隊長を出来るぐらい実力をつけてきた。
四席以下も実力者は多いし、私が出なくても大体の問題は解決出来そうだ。
「さて。本題なのですが、元柳斎から彼女たちを九番隊の隊士として扱うように言われたので、みなさんには彼女たちのお世話をお願いしたいのです」
結局のところ本題はこれだ。
精神世界のお茶会ならまだしも、現実世界に長時間居座られるとちょっと対応に困る。まぁ、居座られるというか、卍解を維持しているのはこっちではあるものの。私の意思じゃないし。元柳斎がそうしろって言ったからだし。
うん、反対はなさそう。よし。
「それでは、彼女たちの事は任せます。桃、臨時で隊首会が開かれるようなので行きましょう」
「はいっ!」
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一番隊隊舎。
桃と共に訪れれば、既に隊長副隊長たちは勢揃い。惣右介にボコボコにやられていた者もいるが、みんなミネルヴァが癒やしてくれたので全員負傷もなく揃っていた。
ちなみに私は桃の他にエキドナとサテラの二人を連れて来ている。他の魔女は
「お待たせしました。彼女たちの死覇装を繕ってもらうのに少し時間がかかりまして」
「構わん」
いつもなら遅いだなんだと文句を言ってくる元柳斎だが、いつもよりしおらしく見える。
「ちなみに議題を教えていただいても?」
「藍染惣右介の処遇、具体的にはどのようにして奴を捕えておくか」
「ああ、なるほど……てっきり反省会かと」
みんなして惣右介にやられちゃってたからね。
惣右介をどうするかは大事だけども、もうちょっとぐらい反省してても良いのではと思ったり。べつに封印が今すぐ解けたりする訳でもなし。
「その辺りはマユリが何とかしてくれるのでは? 発明が得意ですし」
「言われなくても、既に取り掛かっているヨ」
「さすがですね。では、解決という事で解散ですね」
「待たんか」
九番隊の隊舎に戻ろうとしたら、元柳斎からストップがかかった。
「先の一件、護廷十三隊として不甲斐ない結果となった」
「それはあなただけでは?」
「…………」
「ちょっと、ちょっと! 落ち着いて山爺。虚飾隊長も、そんなに煽らないで」
春水が間に入ってくるが、私はちゃんと惣右介も倒してみんなの尻拭いまでした立場だ。同じような扱いにされるのは心外だ。
「そもそもの話ですが、あなたはなぜ惣右介にやられていたのですか? 確かに最後の方では強くなっていましたが、私が現世を訪れた時点での惣右介はそれほど脅威ではなかったはずです。それこそ、あなたの炎なら燃やし尽くす事など容易でしょう? そう思いませんか? エキドナ」
「そうだね。過去の『流刃若火』の威力を考えればあの時点での藍染惣右介に敗北する要素はない。『鏡花水月』が脅威とは言っても、所詮は錯覚。そこに存在する事には変わりないのだから、全方位燃やしてしまえば問題はないはずだ」
「確かに。全方位燃やすのは得意技だったのでは?」
私もたぶん『鏡花水月』で騙されていた時期があった手前ではあるものの、まぁ、それはそもそも『鏡花水月』を知らなかったからであって、知っている前提で戦っているなら見える範囲全て燃やす作戦は結構良さげな気がする。
「山爺の炎は破面の一体に封じられちゃったんだよ」
「封じた……? そういえば、惣右介がそんな事を言っていたような気もしますね」
「だが、それはこちらも同じこと。藍染惣右介はシャリオを封じる破面を用意していたが、封じると言っても限界はある。『流刃若火』ならばそれを上回る事は可能だったはずだ」
「確かに。エキドナもこう言っています」
私はシャリオ以外にも手があったからそっちで対処したが、炎しかなかったとしても吸収される以上の炎を出せば良いだけの話だ。元柳斎にはそれが出来る。
「そもそも、仮にそれに苦戦したとして、なぜ卍解しなかったのですか? 卍解すれば一瞬では?」
「山爺の卍解はそう簡単に使えるものじゃないって、虚飾隊長も知ってるでしょ? 現世で使ったらそれこそ一瞬で現世が滅んじゃうよ」
「それは単に山本元柳斎が卍解を使いこなせていないだけではないのかな?」
「確かに。エキドナもこう言っています」
というか、1000年前に尸魂界を火の海にしたのに練習してないとかある? そんなので、もしもの時どうするつもりなのだろうか。
「ああ……それでむざむざと惣右介にやられてしまった訳ですね」
ブチッと何が弾けたような音が聞こえた気がした。
「表に出ろ貴様!!」
「その腕が治ったのはミネルヴァ……実質私のおかげだという事を忘れていませんか?」
有無を言わせない圧だったので、仕方なく表についていった。
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隊首会は中断され、元柳斎と私は流魂街の外れも外れ、全く人気のない場所に。元柳斎が瞬歩を飛ばして行ったから、桃に背負ってもらって追いかけた。
他の隊長たちもやる事がないからか、ついてきた。
「そこまで言うならば、貴様が相手をしろ」
「そういう事なら春水か十四郎の方が良いのでは? あの二人は始解程度のあなたになら勝てるように鍛練していたのですよ」
「あのー、巻き込まないでくれるかな……?」
「ゴホッゴホッ……ゴホン! ゴホン!」
「あー、浮竹今日は体調が悪いかそうかそうか。これは付き添いが必要だー」
何やらわざとらしい芝居が入った。
「いずれにせよ、その程度では話にならん。お前たちは下がっておれ」
「その程度……?」
「貴様の言う通り、儂も卍解の鍛練をせんとな」
おーっと。
話がとんでもない方向に?
「ま、マズい! 全員この場を出来る限り離れるんだ!」
直前まで体調不良のマネをしていたのが嘘のように、十四郎が叫んだ。
「まさか、本気で卍解するつもりですか? 一応、広い意味では身内のつもりなのですが……先ほどのはちょっとした冗談といいますか……」
「恐らく今さら何かを言ったところで無駄だろうね。頭に血が上っている。頑固な老人によくある症状だ」
「煽らないで……?」
改めて元柳斎の方を見てみる。
あ、やりそう。本気でやりそう!
「桃。あなたも離れていてください」
仕方ない。相手をしてあげよう。
幸いな事にここにはエキドナとサテラがいる。この二人がいれば最低限戦える。
「
サテラに影を展開させる。
球体の半分、巨大なボウルのような形に展開させ、私と元柳斎だけがその内部に残るように。
「どうぞ。少しぐらいなら暴れても構いませんよ」
逆ドーム型とでも言うべき影は、雲を突き破る程の高度まで伸びている。これでどれだけ上に熱を逃がせるかは分からないが、まぁ、やるしかない。
「事実、儂は藍染を前に倒れた。卍解であればあの破面を破れたというのもその通りじゃ。上手くやれば、あの破面が取り込んだ炎もどうにか出来たやもしれぬ」
「せっかくですし、こちらも色々と試させてもらうとしましょうか」
サテラの影はともかく、エキドナの魔法は色々と種類があるから、この先ぶっつけ本番になるよりも今試せるなら試しておいた方が良いものもあるかもしれない。
「ゆくぞ」
「ええ。いつでも」
というか、今さらだけど元柳斎って私に対しては何しても良いと思ってるよね? もっと他の隊士に向けるような優しさがほしい。
「卍解──―『残火の太刀』」
「まずは様子見といこうか────アル・シャリオ」
元柳斎が斬魄刀を解放すると同時にエキドナがアル・シャリオをぶっ放す。
熱からはエキドナの魔法やサテラの影が守ってくれたから助かったが、アレは仮にも仲間に向けるようなものじゃないと思いました。
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「随分やつれた顔してるなぁ、パンドラサン。何かあったん?」
「少し元柳斎の鍛練に付き合わされまして」
元柳斎の卍解を相手した後、私は虚圏を訪れた。
惣右介を倒した後、みんなをミネルヴァが治療している間に虚圏であった事や破面たちと話した事を話していたら、予想した通り親善大使的な役目を押し付けられたのだ。
「卍解をしてきたのです。信じられますか?」
「総隊長が? そら、災難な事で」
「災難などという次元の話ではありません。彼は私をサンドバッグか何かだと勘違いしている節があります」
「あー……」
相変わらずついてきてくれているのはエキドナとサテラ。私を出迎えてくれたのはギンだ。桃はついて来ようとしたが、色々と残っている仕事を任せて残してきた。
「ところで、破面たちの様子はどうですか?」
「それなりに仲良うやってるよ。そっちの二人はパンドラサンの卍解やと思うんやけど、なんで今卍解してるん?」
「ああ、惣右介の封印をこのエキドナがしているのですが、卍解を解くとその封印も消えてしまうのです。なので、封印の代替手段ができるまでは維持しろと言われてしまいまして」
「滅茶苦茶やね」
ギンの事はまだみんなに言っていないが、やっぱりよく知っている顔がいてくれるのは助かる。
「それで、今日はどんなご用?」
「破面たちと不可侵条約のようなものを結びたいと思いまして。詳細を詰めるのは後にしても、ひとまずは意思の共有をと。破面の代表は確かスタークという方でしたね。取り次ぎをお願いしても?」
「りょーかい」
そうして、応接室のような場所に通された。
場所は少し前に私たちが突入した巨大な構造物の中のどこか。虚圏にあるとは思えない、良い意味で普通の建物のような造りに装飾。ソファーもある。
一面砂漠のようなもの光景しか広がっていない虚圏で生活するなんてとても無理だと思っていたが、これなら生活出来るかもしれない。
「ぱん……どぁ…………」
なんて考えながらスタークという破面の代表を待っていると、部屋の外から長い白髪を後ろに三つ編みをして束ねた赤い目をした少女が歩いてきた。
「彼女は確か……アールベルティでしたか」
「対シャリオに特化した破面だね」
帰刃をした状態ではあまり人間味みたいなものが感じられず、不気味でしかなかったが、こうして見ると可愛い見た目をしているかもしれない。
他の破面は普通に話していたのに、この舌足らずな感じ。実は生まれたばかりだったとか?
アールベルティはとてとて、と私の方に歩いて近付いてくる。
「あの後、変わりはありませんでしたか?」
「……? ぱん……どぁ……」
これは意思疎通が取れているのか取れていないのか。
戦った時のように無言で殴ってきたりする様子はないし、友好的な態度と思って良いんだろうか。
私の正面に立ったアールベルティは私の頭に手を伸ばし、ペチペチと軽く叩いてきた。
うーん、どういう反応をすれば良いのか。
なんて考えていると、私の背中が定位置になっているサテラがアールベルティの手を払いのけた。
「すまないな、隊長さん。藍染様がいなくなってから随分と自由になっちまって。元々全然喋らなかったのに急に喋り始めたしな」
「そうでしたか。お元気そうで何よりです」
「呑気な隊長さんだな、まったく」
そこに現れたのはスタークだ。
「ほら、アールベルティ! あっち行くよ!」
その隣についてきていた、確かリリネットと呼ばれていた女の子破面がアールベルティをつれて出ていった。
そして、スタークは私の正面のソファーに座る。
「んじゃ、話し合いってやつを始めようか」
「ええ。まずは意思の確認を。いずれ、破面の皆さんも共に話す事が出来れば良いと考えています。ではエキドナ。話の詳細を」
「君は変わらないな……」
まずは破面たちとの和平、その第一歩を私たちは歩み始めた。
パンドラ主:煽りすぎ
元柳斎:キレすぎ
○パンドラ主
普段から元柳斎を煽るような言動はしているが、卍解状態ではエキドナが一緒に煽るので煽り力2倍。
卍解した事で元々着ていた死覇装などは弾け飛んだが、さすがにずっと布一枚で過ごすのはアレなので、新しい死覇装を用意して着用している。魔女たちもそれぞれ死覇装を着用している。
○山本元柳斎重國
ミネルヴァが治したので、両腕がある。
当時はそうするしかないと思ったが、藍染の策にまんまと嵌ってやられてしまったのは事実なので、同じ事がないように鍛練する事にした。ついでに八つ当たり。パンドラ主を信頼しているからこそ。
ちょっとだけ卍解したが、尸魂界への影響は細微。パンドラ主の唇はカサカサになった。
○アールベルティ・レオーニエ
対シャリオ特化型破面。ワンダーワイスのように爆発したが、ミネルヴァに癒やされて生存。
藍染がやられた後(パンドラ主と戦った後?)たどたどしいものの急に喋るようになったらしい。残念ながらCV.くぎゅうではない。
元々髪は伸びっぱなしで顔も見えないような状態だったが、ハリベルが髪をまとめて三つ編みにしてくれたので、顔が見えるようになった。