賢者の石を追い、最後の部屋に辿り着いたハリーが目にしたのは、平素の弱々しい雰囲気を捨て去った邪悪なニンジャであった。

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第1話

黒い炎を通り抜け、辿り着いた最後の部屋でハリーが目にしたのはスネイプではなかった。そこにいたのは平素の弱々しい雰囲気を捨て去り、邪悪な笑みを浮かべたクィレルである。

 

「なぜあなたが……!」ハリーは困惑した。スネイプが賢者の石を狙って蠢動していたのは実際明らかであったはずだ。

 

「石を狙っていたのは私だよポッター=サン。君がスネイプ=サンを疑っていたのは実際正しかったが、石を狙っていたのは彼だけではなかったのだ。ダンブルドア=サンの監視の目がスネイプ=サンにばかり向いたおかげで助かった。漁師がカチグミとはこのことだな」

 

ハリーはここに至って己が誤りに気づいた。

今まであからさまに邪悪なスネイプを疑っていたが、それが却ってクィレルに行動の自由を与えてしまっていたのだ。

 

「なぜです、クィレル先生!あなたは『あの人』に『賢者の石』を差し出そうというのですか?」

「あの方に?違うな。私と、あの方のためだよポッター=サン。あの方は実際強大だったが、今や私の許しがなくては魔法を使うことも出来ぬオバケよ。『石』があれば、あの方も独り立ちできよう」

 

クィレルは邪悪な傲慢さを隠さなかった。『例のあの人』に仕えているのではなく、自分が『例のあの人』を従えていると言わんばかりの態度だった。ハリーには、目の前に立つクィレルが、ハリーの知るクィレル先生と同一人物とは思えなかった。

 

「オヌシに構っている時間はないのだポッター=サン。ダンブルドア=サンが出張から戻る前にこの鏡を調べなければならないのでな」

クィレルは背後に鎮座する「みぞの鏡」を指差した。「『石』はこの鏡に隠されているようでな。ダンブルドア=サンも凝った真似をするものだ」

 

ハリーはクィレルが鏡への意識を逸らすよう話しかけようと口を開いたところで、クィレルが徐に振り返った。

「ああそうだ、大事なことを忘れていたよ。グリフィンドールから10点減点だ。教授の名前は正しく呼ばなければな……ドーモ、ポッター=サン。デュアルフェイスです」

 

クィレルはおもむろにターバンをほどいた。隠されていた後頭部には別人の顔が浮かんでいる。血の気ない白い肌にヘビのように裂けた鼻腔……おおマーリンよ、なんと冒涜的な光景であろうか!ヴォルデモート卿はクィレルの後頭部にコバンザメめいて寄生し、ホグワーツ城内への潜入を果たしていたのだ!

 

「ハリー・ポッター……!」ヴォルデモートが唸った。

ハリーは悲鳴を上げそうになったが、声が出なかった。この世のものとも思えないほど恐ろしいヴォルデモートの異相に、アイサツから威圧感を数段増したクィレルのプレッシャーはハリーを黙らせるのには十分だった。

 

蒼白な顔で絶句するハリーを前にクィレルは嗤った。

「かつて私が愚かなモータルであった頃、あの方はおっしゃっていた。世の中には力と、力を求めるには弱すぎる者とがいるのだと……つまり私が、ニンジャのカラテとあの方の魔法こそが魔法界を支配するのに相応しいと思わないかなポッター=サン」

 

ハリーは恐怖と急性NRSによる頭痛に耐えながら考えていた。クィレルよりも前に『石』を見つけなければ。望みを映すみぞの鏡ならば、『石』を見つけて自分の姿が、つまり『石』の在処が見えるはずだった。しかしクィレルにそれを悟られてはならない。

 

「さて、その鏡には何が見えるポッター=サン」

みぞの鏡を見ると、鏡の中のハリーがポケットの中に手を突っ込み、血のように赤い石を取り出してからウインクし、再びポケットに石を戻した。するとポケットにずしりとした重さを感じた。

そう、『賢者の石』は鏡からハリーの手元へと取り出されたのだ。

 

ハリーは驚愕した。

(嘘をつかなければ!)

クィレルよりも先に『石』を見つけて守るつもりだったが、こうもあっさり手に入れてしまうとは。クィレルに見つかれば『石』を奪われてしまう!

「何が見えたポッター=サン」

「ダンブルドアと握手してる。僕の活躍でグリフィンドールが寮杯を獲得したんだ」

 

「嘘をついたな、小僧」

ヴォルデモートは冷たく言った。

「俺様には嘘は通用しない。闇の帝王を甘く見ないことだ。レジリメンス」

ヴォルデモートがクィレルの体で杖を振るった。

鏡の中のハリーの記憶が走馬灯のようにハリーの目の前をよぎった。

 

「『石』はおまえが持っていたのか。学生を囮にするとはダンブルドアも見上げた聖人ぶりではないか」

ヴォルデモートは嘲笑を浮かべた。

「インペリオ。『石』を渡せ」「ハイヨロコンデー」

ハリーは恭しく『石』をクィレルに差し出した。

 

ハリー少年の過酷なる運命について造詣深い読者諸氏は彼が服従の呪文に抗えなかったことに疑問を抱いたかもしれない。しかし闇の魔法使い、ましてやニンジャに初めて対峙した11歳の少年に禁じられた呪いへの抵抗を求めるのは酷ではないだろうか?

 

もはやこの広間に用はない。デュアルフェイスは賢者の石を懐に仕舞い込むと、ハリーを始末するよう叫ぶヴォルデモートの抗議の声を無視して服従の呪文で支配されたままのハリーに寮へ帰るよう指示した。自らもローブを翻して居室へと足を進めようとしたその時である!

 

「キリステ……ゴーメン……イヤーッ!」

ハリーの胸ポケットからロケッティアめいてネズミが飛び出し、空中でニンジャへと姿を変えると、その勢いのままデュアルフェイスの背後からバスタード・カタナブレードツルギを心臓に深々と突き刺した!ヤミ・ウチ!「グワーッ!」膝をつくデュアルフェイス!

 

読者の中にニンジャと中世魔法界の隠された関係を知る者がいればお気づきであろう!アンブッシュに成功したニンジャのバスタード・カタナブレードツルギはかつてゴドリック・グリフィンドールが用いたアンタイ・ニンジャウェポンであり、貫いた相手のソウルとカラテを吸い尽くす恐るべき妖刀である。

 

「ドーモ、デュアルフェイス=サン、トム=サン。ワームテールです。」

ネズミから変身した小太りのニンジャはアイサツした。

「俺様を裏切ったのか、ワームテール!」

 

「ナンデ?」

ワームテールは無感情に呟いた。

「私は10年前にトム=サンにポッター=サンの家の場所を教えただけであなたに仕えたつもりはありません。死喰い人とは実際無関係です。

それに、あなたが死に損なったおかげでケジメする羽目になりましたよ」

その人差し指は欠損していた。

 

「カラダニキヲツケテネ、トム=サン……私は取るに足らぬ無力なモータルでしたかな?」

 

なんと狡猾なニンジャであろうか!裡に秘めたニンジャソウルと殺意を主君に悟らせることなく逃げ場のない城の奥深くへ誘い、アンブッシュを成功させたのだ。あの運命の夜に忠誠の術を悪用して単身ポッター家に袋小路めいて誘引したのもこの男であるが、自身で手を下すまでもなく帝王は斃れている。

 

「ヌゥーッ?」しかし、一向にバスタード・カタナブレードツルギにソウルが吸い取られない。

 

クィレルはかつてマグル学教授であった経験から身体の大部分をサイバネ武装置換することでホグワーツの保護呪文を掻い潜って武装を持ち込むことに成功していただけでなく、アンタイ・ニンジャウェポンのソウル吸収のダメージを軽減していたのだ!ワザマエ!

 

「ザッケンナコラーッ!!」

デュアルフェイスは裂帛のヤクザスラングと共に両肩にインプラントされた違法改造サイバネグレネードランチャーをポンポン砲めいて乱射!

「ヌゥーッ!」ワームテールはネズミに変身して回避!

 

「アバダ・ケダブラ」「イヤーッ!」「クルーシオ!」「イヤーッ!」「コンフリンゴ!」「イヤーッ!」「エクスパルソ!」「イヤーッ!」

ワームテールはカースをバスタード・カタナブレードツルギで切り払って防御!タツジン!

 

BLAM!「イヤーッ!」「ディフィンド」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「ステューピファイ」「イヤーッ!」

デュアルフェイスもグレネードランチャーとスリケン、そしてチャームで援護!ワームテールはスリケン投擲で迎撃!

 

「イヤーッ!」ワームテールはワン・インチ距離まで詰めてカタナブレードツルギを突き入れる。「イヤーッ!」デュアルフェイスは手刀で刃を受ける。「ペトリフィカス・トタルス」「クルーシオ」デュアルフェイスとヴォルデモートが連携してカースを放つ。「イヤーッ!」ワームテールは跳躍して回避!

 

◆◆◆◆

 

「ハイクを詠むのです。トム=サン」ワームテールは両手足と違法サイバネ改造グレネードランチャーをケジメされたデュアルフェイスと、その後頭部に貼りついたヴォルデモートを見下ろして言った。「オタッシャするときはハイクを詠むのが作法ですぞ」

 

「賢者の石/だけでは勝てぬ/インガオホー」

デュアルフェイスがハイクを詠み、ニンジャソウルが全身の傷口から激しい光を発したその時である!

 

KABOOOOM!

「グワーッ!」ケジメされて転がっていたグレネードランチャーが火を噴いてワームテールを直撃!

そして爆炎が晴れると、そこにはケジメしたはずの四肢が接合されて立ち上がったデュアルフェイス……否、後頭部に寄生したヴォルデモートが杖を手にワームテールと正対していた。

 

ニンジャ第六感とニンジャ動体視力を持つ読者諸氏であれば、クィレルの意識が消失してデュアルフェイスのソウルが爆発四散しようとしたその刹那、彼の肉体に何が起こったかを理解することは容易であろう!

 

ヴォルデモートは最後の力を振り絞ってヤバレカバレの杖なし魔法で懐の賢者の石を命の水に精製し、ケジメの切断面から吸収したのだ。次にグレネードランチャーを目晦ましに遠隔発射し、着弾の隙に四肢を呼び寄せ呪文で接合したのである。まさに命の水とニンジャ治癒力のなせる奇跡と言えよう。

 

「俺様は愚かにもニンジャの力を侮っていたことを告白する」ヴォルデモート卿はジゴクめいて言った。

「その結果、クィレルごときの肉体の修復のために賢者の石を喪った……ワームテール、俺様はおまえを殺さねばならないのだ」

 

◆◆◆◆

 

両足と右腕をケジメされ、バスタード・カタナブレードツルギで壁に縫い付けられたワームテールは残った左手で首輪を掴んだ。

カラテを怠り、今世紀最悪の闇の魔法使いを侮った代償にワームテールは死ぬ。だが、ただ死ぬのではなくこの冒涜的な存在を道連れにカミカゼめいてセプクするのだ。

 

「サヨナラ!」

覚悟を決め、ワームテールは首輪を作動させた。

 

「アバダ・ケダブラ」

ヴォルデモートの死の呪いがワームテールの首を貫いた。ワームテールは爆破四散し、塵と化して爆散した霧はワームテールの首輪を取り巻いた。

 

無形守護霊めいて首輪と共に宙に留まり、白く輝くワームテールの霧は、次第に無数の0と1のノイズへと変わっていく。ワームテールのソウルを素材としたノイズは首輪へと収束し、一瞬の輝きの後に枯れ枝めいた老人がそこに現れた。

 

0と1のノイズから現れた枯れ枝めいた老人はノイズとならずに漂っていたワームテールの霧の残りを取り込み……その霧が晴れた頃には若返った老人は金髪巻毛のニンジャの姿をとっていた。

 

「錆びたか、ワームテール=サン」金髪巻毛ニンジャは呟いた。「後は任せておけばよい」

金髪巻毛ニンジャはヴォルデモートにアイサツした。

「ドーモ、ヴォルデモート=サン。――」

 

◆◆◆◆

 

「プロテゴ・ディアボリカ」「アバーッ!サヨナラ!」

ヴォルデモートは爆発四散!不老不死をもたらし、デュアルフェイスの肉体を修復した命の水といえど、ごく少量では神話級魔法使いニンジャによるカースの暴威を前にはあまりに無力であった。

 

◆◆◆◆

 

「ムフォーフォー。それはチョージョー。ワームテール=サンも最期はキンボシじゃったの」

「あやつがアルバス……グレーターグッド=サンが知る頃のワザマエなればかようなブザマはなかったであろうが、サイオー・ホースよ。奴の生贄で私はオヒガンの、ヌルメンガード城の虜囚から解放されたのだ」

 

月明かりの差すホグワーツの校長室。二人のニンジャがソファで向かい合っていた。

「ゲラート=サンも久方ぶりに現世に戻ったのじゃ、そろそろわしも動かねばならぬ頃合いじゃの。コーネリウス=サンも良い夢を見られたじゃろうて」

 

「しかし、勿体ないことをしたの。トム=サンにはまだ仕事が残っているというに」「問題ない。分霊箱が残っているのだろう?あの肉体もニンジャといえど所詮はサンシタよ。次の肉体を用意してやればよい」「ムフォーフォー。なれば死喰い人の出番じゃの」「10年惰眠を貪ったのだ。働かせねばな」

 

「まずはトム=サンには今一度復活してもらおうかの。魔法省が落ちれば、わしが魔法界を統べても異論は出るまいよ」

グレーターグッドのメンポの奥で青い瞳がキラリと光った。

 

「ならば私はフランスに行くとしよう。ボーバトンを落とす頃には鈍ったワザマエも戻っているとよいが」

「ムフォーフォー。それは楽しみじゃの」「オタッシャデー!」

グリンデルバルドは姿くらましでホグワーツを去った。神話級魔法使いニンジャにとってホグワーツ城の防御魔法は意味をなさないのだ。

 

Y2Kまで10年を切った。

ディセンションしたニンジャが魔法界にも溢れかえり、我が物顔で暴れまわるだろう。

かようなマッポーの平安時代の到来を回避するためにも、己とゲラートがジツとカラテで魔法界に秩序をもたらせねばならない。

 

より大きな善のために。




今日はヴォルデモートことトム=サンの誕生日ですね

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