仮題 ようこそ間違いだらけの教室へ   作:uymad

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今回中間試験です。とはいえ中間試験はペースとかも考えて今回は短めでさらっと中間試験も終わらせます


それでも、綾小路清隆は気にしない

今日も今日とて変わらずクラスは活気づいている。俺個人についてはその限りでもないのだが、理由としては先日一之瀬と話したこっぱずかしい約束のせいだ。正直なところ今朝どころか話した直後からすでに後悔している。後悔後に立たずとはこのような時のためにある言葉なのかもしれない。そもそも一之瀬も一之瀬である。俺が個人的にBクラスへのアドバイスをするところまではいいとしても、目立ちたくないから隠しているのに朝から意味深な笑顔とともに挨拶なんてされてしまったらそれはもう言外とはいえ語っているのも同然ではないだろうか。しかし最悪の場合別に隠さなくてもいいといったのもまた俺であるためあまり強くは出られないのも本音だ。まぁ、今までの人生で誰かに強く出れたことなんて大してないが。せいぜいは材木座程度である。

とまぁ朝から無駄な思考で無理やり頭を起こしているとクラスでの話題はもっぱら次の中間試験の話になっていた。とはいえ抜き打ちで行われていた4月の成績評価を除けば実質的な試験はこれが初めてであり、赤点=退学やppの都合など各々浮足立つ気持ちがわからなくもない。試験といえばこの間行われた小テストはわざわざ成績に一切考慮しないと銘打たれていたがこの学校のルールについてもある程度考える余裕が生まれた今となっては少し引っかかる点である。普段なら適当に雪ノ下あたりにでもどういう意図があったのか考察してもらえばそれなりに見えてくるものはあるんだろうが、正式にクラス間で争う立場になった以上そうもいかないだろう。そもそもあいつは公明正大、基本的に卑怯なだまし討ちはしないタイプの人間だからこの学校の何でもかんでも包み隠している形式と肌が合うのかは微妙だが。俺もそろそろ試験勉強について考えるかと思っていると神崎が声をかけてきた。おまえ、毎日俺に話しかけてくるな。もしかして友達いないの?それともいいやつなの?

 

「比企谷、次の中間試験なんだが退学措置やcpといったシステムを聞いた後だとどうしても不安がる人が多くてな、放課後勉強会を開くことになったんだがもしよかったら比企谷も参加しないか?」

 

神崎からの誘いはとてもありがたかったが実際問題今まで勉強を1人でやってきた身からすると勉強会などと言われても集中できなくなる気しかしない。第一あれだろ?中高生の勉強会ってのは名ばかりのおしゃべり会だろ?ああいう場で参加してないやつの悪口を言ったり成績がいいやつをこき下ろしたりするのだ。ソースは俺。勉強会に参加しなかった次の週からより俺の存在が空気になったりしたのだ、まぁ俺はそもそも誘われていなかったのだが。誘われてもいない勉強会に参加しなかったら教室内での風あたりが強くなるってのはなんかのバグなの?さすがにちょっと理不尽すぎやしませんかねぇ…。とはいえこの学校は赤点=即退学というもっと理不尽なシステムを採用している高校だ。赤点をとるほどの窮地に陥ってる生徒がほとんどいない我らがBクラスでは多少の雑談はあれど真面目に勉強をする気の集まりとして機能するだろう。しかもみんな大好き一之瀬大菩薩は学年主席ときた。男子は下心込み、女子も純粋に勉強を教わりたいといった形で参加人数が多くなるのは想像に難くない。であれば俺がここでとるべき選択は決まっているのだ。

 

「悪い。俺はパスだ、ちょっとあれがあれでな…」

 

そう、不参加である。俺の88個ある断わり文句のうち最も汎用的なちょっとあれが…と濁すことにより相手はこの先を追及できずなし崩し的に不参加を確定させることができる。雪ノ下や由比ヶ浜なんかにはもうこの技の効き目はないに等しいがまだ知り合って日も浅いBクラスの面々には効果も見込めるだろう。

 

「あぁ、何か用事があったのか。だが勉強会は昼休みにも図書室でやるつもりだからぜひ参加してくれ」

「お、おーけー。気が向いたらな」

 

どうして人はこうも弱いのか。別に勉強会に乗り気なわけではないが雪ノ下からこの学校の図書館の蔵書量はなかなかのものだと聞いているし以前からいつか足を運ぼうとは考えていた。ただあまり行動したくない俺としてはこうやって複数の用事が済ませられるのならそのタイミングで行ってしまおうというだけである。長年ぼっちを極めてきた俺だ、人に教えたことも教わったこともないのでそもそも勉強会の意義を感じないし1,2回参加したうえで1人で勉強しておけば神崎たちも納得てくれるだろう。…べ、別に社交辞令以外で誘われてうれしかったわけじゃないんだからねっ!!

 

「はいみんなおはよ~!!今朝のHRではちょっと大事なお話がありま~す。もともと予定されていた次回中間の試験範囲が変更になります。けど授業では取り扱ってる内容だし、ちゃんと復習すれば解けない問題もないから頑張ってね!」

 

今朝のHRで唐突の星之宮先生からの通達が行われた。正直ここ最近の試験範囲に対する勉強が無駄になったようなものなので勘弁願いたかったが、先生の態度からして今回はもともと決められていたようにも思える。俺がどうこう言っても変わるわけでもないのであきらめて授業の準備を始めた。

 

そんなこんなで昼休み、俺は憂鬱ながらも多少の勉強道具をもって図書室へと向かっていた。最近見つけたこの学校のベストプレイス、海沿いのベンチは校舎から少し離れているため昼休み中の人も少なく昼食に使うにはもってこいだった。総武の頃よりも海が近く潮風が少し強いのがやや難点だが、まぁこれも風情というものだろう。もう昼休みもそんなに長くないがもともと勉強をまじめにやるために行くのではなく、図書室においてある本を確認しに行きたかったのとクラスの集まりに空気を壊さない程度に参加するためだけなのであまり長居するつもりもない。いつだったか由比ヶ浜に聞いた集まりは最初と最後にいた人しかあんまり覚えてないという通説を使おうというのである。まぁ今回のような集まりにどれほどの効果があるのかも未知数だが。

そんなこんなくだらない思考を回しているとあっという間に図書室につく。どうやらほかのクラスも勉強会をしているらしくまばらに人だかりができていたが、我らがBクラスの参加人数は段違いでありあっという間に見つけることができた。気づかれないようにひっそりと合流して教科書を開きまるでずっと参加していたような空気を出しておく。これだけで完璧である。

そうしてボーっとしているといつの間にか隣の椅子に一之瀬がやってきていた。

 

「勉強会はいいのか。」

「うん、みんな一通り教えれるところは教えたから今は大丈夫。それより比企谷君ってほかのクラスに友達とかっている?」

「ほかのクラスどころか友達がいたことがねぇよ…何?嫌味言いに来たの?」

「い、いやいや!!そうじゃなくて、この間の話、本格的に動くのに早すぎるってことはないと思うから今のうちから他のクラスの状況も知っておけると話が早いなって思っただけ。」

「なるほどな。そういう意味ならAクラスに一人話せるやつはいるがこんな状況になった以上学校の思惑的にも本人の性格的にも情報を得るってのは難しそうだ。」

 

話しながらそういえばDクラスには綾小路がいたか。と思い出す。

1月で最初に配られた1000cpをすべて吐き出したクラスというのはさすがに前代未聞らしく星之宮先生も少し気まずそうに話していたのを覚えている。コンビニの前で少し話した程度ではあるが、綾小路がそんなに素行不良をするタイプには見えなかったので大方クラス全体が信じられないほど緩んでいたか、授業中の私語がかすむほどの素行不良を誰かが起こしたか、と考えるのが自然だろう。まぁ、その場合噂程度は流れてきてもおかしくないから前者の可能性のほうが高そうだが。

 

「それで、ほかのクラスの実情を知るのはいいが、どうやって情報を集めるつもりだ?さすがに教えてくださいの一言で済むような話でもないだろ。」

 

いや、案外一之瀬ほどの社交性のある奴なら行けたりもするのだろうか…

 

「うん、そうだね。だからしばらくは噂話を聞いてその情報を精査したり目立たないようにはたから見て探るような感じになっちゃうと思う。あんまり気分はよくないけどね。」

「まぁ、お前みたいなやつは気乗りしないだろうな。」

「っと、噂をすればあっちで少し揉めてるね。ちょっと仲裁ついでに話を聞いてくるよ。」

 

そのまま一人で行かせてもよかったのだが、なんだか男子同士で揉めているらしく、一之瀬一人に行かせることもできないので少し後ろをついていく。様子を見るとどうやらCクラスとDクラスが揉めているようだった。

 

「いい加減にしろよ、コラ」

「はい、ストップストップ!」

 

赤毛の男子ともう1人これといった特徴のない男子があわや一触即発といったところだったが、さすがは一之瀬、俺が呆けている間に騒ぎを解決してしまった。さすがに手が出るようなら間に入ろうかとも思ったがその必要もなかったらしい。・・・少し気になることはできたが。去っていったCクラスの面々を見送りDクラスのほうを見るとまだ腹立てている態度の赤毛たちの中に綾小路もいた。

 

「比企谷、お前も図書館に勉強に来たのか?」

「綾小路か、まぁそんなところだ。災難だったな」

「まぁこの学校のシステムじゃああいう小競り合いが起きても不思議じゃないだろう。それよりも…」

「試験範囲、だな」

 

先ほどのCクラスとの小競り合いを見て気づいたことだがDクラスは中間試験範囲外、正確には変更される前の試験範囲を勉強しているようだった。

 

「俺たちは今朝中間試験の範囲が変更されることを聞いた。さすがに全クラスで実力別に別の試験が行われるとは考えにくいよなぁ…」

「あぁ、クラスごとに難易度を変えるなら赤点=退学があまり意味のない話になってくる。比企谷、Bクラスの変更された試験範囲を教えてほしいんだがいいか?」

 

俺としては全く問題なかったが、こういった情報戦が学校側の狙いなのかもしれないと考えると一応無条件で、というのもいただけない。いつの間にか近くに来ていた一之瀬に確認すれば問題ないだろう。

 

「教えても大丈夫か?」

「うん、もちろん!こんなので退学なんて不公平だしね」

「悪いな、助かる」

「その代わりと言っちゃなんだが、テストが終わった後でいいから少し時間をくれないか?この学校のシステムといいDクラスの状況といい聞きたいことが多くてな、情報交換ができると助かるんだが」

「俺は構わないが…」

 

綾小路がちらりとクラスメイトのほうを見ると黒髪の少女がこちらを見ていた。

 

「情報交換ね。…安易に情報を渡すのは好ましくないけれど」

「そうはいっても困ってるのは俺たちのほうだろう。ここは素直に頼ったほうがいいんじゃないか、堀北」

「そうね、背に腹はかえられないわ。不本意だけれど今回の中間試験が終わった後、Bクラスとの現状で分かっていることの情報共有をさせてもらいたいわ。そちらの代表は…あなたじゃなさそうね」

「まぁ、そうだけど…こっちの一之瀬が代表ってことで、Dクラスのリーダーは誰なんだ?」

「悪いがこっちはまだまとまれてすらなくてな、正直なところBクラスがうらやましいくらいだ」

 

黒髪の少女は堀北というらしい、こちらを見る目は鋭くまるで敵を見ているかのようだった。ていうかちゃんと俺たちは敵でしたね。ていうか初対面なのになんでこんなにらまれてんの?怖いよ、さすがのゆきのんも最初はもう少し親し気で…いや別にそんなことなかったな。

そうして俺たちが変更された試験範囲を綾小路達に教え連絡先を交換し終えるといつの間にか少し目立ってしまっていたらしい。クラスメイト達からの視線を浴びて元居た場所に戻ると一之瀬が皆に説明をしたのも相まって俺が追及されることは特になかった。

 

中間テスト当日。勉強していないなんてことはもちろんないが俺たちにとって初めての正確な試験であり、退学がかかっている以上いつもは賑やかなクラスにもこの時ばかりは緊張が走っていることがわかる。俺も多少は緊張しているがこれからとれる画期的な対策なんてものも特にはないため、おとなしく最後の復習を行う。

 

つつがなくテストも終わりみんなが解放されたその放課後、俺はメールで一之瀬から呼び出しを受けていた。

 

「ごめんね、テスト終わりに」

「別に、それで何の用だったんだ」

「ちょっと相談したいことがあって、この間のほかクラスの情報収集の話なんだけど比企谷君は何かしたりした?」

「悪いが俺は友達がいなくてな、綾小路達をのぞいたらあては0だ」

「ご、ごめんね。そういうつもりじゃなかったんだけど…じゃあさ、龍園くんって知ってる?」

「いや、クラスすら知らないな」

「今Cクラスのリーダーってことになってるらしいんだけど…うちのクラスから何人もいやがらせを受けてるみたいでね」

 

一之瀬の話を詳しく聞くと、Cクラスの代表である龍園は不良らしく、Cクラスの生徒に指示をしてBクラスの生徒にちょっかいをかけているらしい。俺は嫌がらせを受けてはいないが、これは俺の影が薄いのか、嫌がらせをするような奴にも関わりたくないと思われているのかどっちなんだろうか。出来れば前者であってほしい、割と真面目に。

 

「それで、俺は何をすればいい?」

「具体的にはまだ何も決まってないんだけどね、被害のあった子たちに聞いても先生に報告するのか微妙なラインって感じなのが本音だね」

「ならまぁ現状は様子見って感じしかできなさそうか」

「そうなっちゃうね、悔しいけど何か対策が思いついたら些細なことでもいいから話してほしい」

「まぁ、善処する。そういえばDクラスとの情報共有だが今日でもいいか?」

「私は別に構わないけど、何かあるの?」

「いや、予定はまとめて終わらしたいだけだ」

 

その後学校から離れたカフェに綾小路達を呼び出し合流するとそういえばDクラスにはcpがないせいでppが一切支給されていないことを思い出した。…しまった、学食あたりに適当に呼び出せばよかった。

 

「悪いな、呼び出して。…もしよかったらここは払わせてくれ」

「カフェを出し渋るほど散財はしていない、と言いたいところだが正直助かる。代わりに少し大事な情報は提供できそうだ。」

「綾小路君、わかっているとは思うけれど、」

「わかってる、勝手な発言はしない。けど堀北もいい加減人を頼ったほうがいい、そもそもBクラスは本来俺たちなんて相手にしなくてもいいはずのところをこうして対等に話してくれてるんだぞ」

「いやいや、同じ1年生だもん。私はみんなと対等なつもりだし、だれにも退学なんてしてほしくないよ」

 

流石ほなみん、俺たちの天使だぜ!と言いたいところだがこの学校の構造上それが難しいのはわかっているだろう。だがまだ1年生も始まったばかりで今から殺伐としていたら今後どうなるのかもわからないので俺たちはひとまず持ち寄った情報を交換した。

 

「にゃるほど、過去問かぁ~。確かにそれは思いつかなかったな」

「今後の試験で同じ手法が使えるかはさておき、来年以降のことも考えたら頭の片隅には入れておくべきだと思うわ」

「それと、学校で買えるものとしての、点数か。まさかそんなものまで買えるとはな」

「あぁ、先生と話した時の態度からして、ある程度は担任によって裁量がありそうだったがおそらくかなり広い意味でこの学校のものは何でも買えるんだろう」

「こっちから話せるのはAとCのリーダーに関する情報だね。Aクラスは今いわゆる改革派の坂柳さんと保守派の葛城君、どっちがリーダーになるかで少し揉めてるみたい。Cクラスは逆に、龍園くんが暴力で支配する独裁クラス状態みたい」

 

俺たちはそのまま何点か情報交換をし終えると解散した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

<高度育成高等学校 詳細情報> 1年生5月 1学期中間試験

1学期に学年全体に対して授業内で扱った範囲の試験を執り行う。

 

<試験規則>

・5/1(金)に1つ目の試験範囲の通知、試験の実施は5/22(金)とする

 

~試験内容~

・国語・数学・社会・理科・英語の全5科目各100点満点

 

~例外規則等~

・この試験において退学者が出なかったクラスに100cpを付与

・5月8日(金)以降に各クラス担任は任意のタイミングで2つ目の試験範囲への変更を通達

・例年4月に行う小テストと合わせて原則全く同じ問題を出題する

・上級生などから過去問を入手するなど思考の柔軟性も評価する

・科目毎ではなく、中間テスト全体でボーダーラインを算出する

 

~cp増減の詳細~

・退学者が出なかったクラスに+100cpを付与

・全科目の平均点に応じて+0~50cp

・過去問の利用を判断できる、また学内監視カメラや担当教師の総合的判断により、思考の転換や柔軟な発想力を学校の基準より査定-50~+50cpで評価

 

~結果・cp推移~

・Aクラス 950→1,106cp

・Bクラス 660→773cp

・Cクラス 490→560cp

・Dクラス 0cp→180cp




今回かなり短くなったのと中間試験もほぼ省いてしまいましたが、次回から須藤事件編へ入りたいと思います。
ここから原作の流れからだいぶそれ始めると思いますが見てもらえると幸いです。
誤字脱字、感想等ありましたらご報告いただけると嬉しいです。

ヒロイン候補アンケート その他は教えてもらえると嬉しいです

  • 一之瀬帆波
  • 坂柳有栖
  • 椎名ひより
  • 堀北鈴音
  • その他
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