旧時代の『異能』は現代の『普通』足るか?   作:しらおりんりん

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トリッカルおもろい


君のような勘のいい弟は嫌いだよ

戦闘訓練を終えた正人に襲ってきたのはクラスメイトによる怒涛の質問攻めだった。それもそのはず、『自身の身体を変化させる』個性だと思ったら物も変化させることができたからだ。そして、その個性で圧倒的なスコアを叩き出した轟を完封してみせたのも大きい。

一方、峰田も注目されていた。リベンジ前の訓練ではあまりいい成果を残せなかったが、先の訓練でこと捕縛においては無類の強さを発揮することを見せつけたからだ。

峰田は煽てられいい気になり、正人はこれ以上詮索をされたくないため適当にいなし、その日の授業は終わった。

なお、戻ってくるときにはすでにオールマイトはいなかった。後から聞いた話では、授業時間の終わりが迫っているタイミングで校長に呼ばれたからだという。

 

帰路につき、チビたちの盛大なお出迎えを受けたあと、正人は今日の出来事について相談したく、いつも書斎にいる総司を訪ねたが不在であった。

仕方ないからチビたちと遊ぶかと思い縁側に出ると、屋敷中のクッションを持ってきて寝転んでいる戴華の姿があった。戴華も正人に気付くこと姿勢を直し兄を出迎えた。

 

「兄さん、お帰り」

「戴華も今日は早かったんだね」

「もう族は拡大する気ないし、副長に譲って隠居生活始めてるよ。それより、書斎の方から来たみたいだけど?」

「あー、戴華に聞いてもらおうかな。実は今日、戦闘訓練ってやつがあってそこで術式全部晒しちゃったんだよね」

「ふーん、まぁ身体強化も結界術もあるからいいじゃん。あと早く反転覚えれば?」

「それができたら苦労しないよ。生意気な弟め」

 

天才肌の弟は、さも当然かのように高等技術を会得しろという。そこに一切の煽りがなく純粋な感想として言っているのが凄いところだ。流石にイラッときた正人は拳骨を喰らわせる。

 

「アッ痛い!ごめんごめん!」

「相談したのは間違いだったよまったくもう」

「…っても兄さん、既に伏せ札はあるんでしょ?()()()()とか。隠してるのバレバレだよ」

「別に、隠してたわけじゃないよ。僕の呪力量と今の呪力操作じゃ、万全の状態で打ってもからっけつなるから伏せ札になり得ないだけ」

「でも対策は考えてるでしょ?」

「まぁ、ね。当主の昔話から知見があった。そのうちみせるよ」

「あ、兄さん台所におやつあるらしいんだけど知らない?ないんだよね」

「おやつ?知らないな」

「…口にあんこがついてるみたいだけど、もう一度聞くよ。兄さん、僕のたい焼きをどこやった」

「君のような勘のいい弟は嫌いだよ」

 

このあとめちゃくちゃ駄々こねられて買いに行かされた。

 


 

次の日の朝、いつものように通学すると正門が騒がしかった。何人もの人がマイクやビデオカメラを持っているのを見るにマスコミだろう。オールマイト赴任についてインタビューを行っているようだ。

誰彼構わず正門から入る人にインタビューを行っているため、インタビューされるのは確実だろう。しかし時間も迫っているため、諦めて人混みの中にスマホを構えつつ身を投じた。

 

「あ、あなた!雄英生ね!オールマイト赴任についてどう思う!?」

「どうでもいいです。それじゃ」

「あちょっと!そんなことないでしょう!あの平和の象徴、No.1ヒーローがヒーロー活動を抑えて教師になったのよ!何か思うことはないの!?」

「それはガキの相手してないで人助けしてろって意味ですか?○×テレビさん。あ、これ録画してまーす」

「なにを勝手に…!やめてください!」

「そっちも勝手に撮るのやめてくださーい。別にばら撒こうと思ってないですからこっちは。ただ撮ってるだけでーす。じゃ、そういうことで」

「…なんなのあの子!それでもヒーローの卵なの!?」

「(もはや敵だろ、ここまで来たら)」

 

正人は昨今のマスコミの態度に呆れつつ、無事に教室まで辿り着けた。

上鳴と今朝の出来事について談笑していると相澤が入室し、朝のホームルームが始まる。

 

「昨日はお疲れさん、V(録画)と成績オールマイトにもらったから確認したぞ。確認したいやつだけ言ってく。まずは爆轟、わかってるな?」

「…ウス」

「ならいい。次に緑谷、お前ははやく個性の制御ができるようになれ。それができればできることが増える。焦れよ」

「…ハイ!」

「最後に真田」

「はい」

「お前、雄英(ウチ)に出した個性届けと相違があるな」

「あぁ、モノの形を変えるやつですか?最近できるようになったんですよ」

「…そうか。なら再検査するといい。まだ新しい能力が芽生えているかもしれないからな」

「了解です。(怪しんでるなこれ。能力自体は似てるからいけると思ったんだけど)」

 

先の二人とは別種の質問は、正人にとってクリティカルな話題だった。最悪バレてもいいがねきれば隠しておきたい個性(術式)であるため、また適当に偽造するよう祖父に頼むことに決めた。

 

「さて、HRの本題だ。君たちにはこれから…」

「(((これから…?)))」

「学級委員を決めてもらう」

「「「クソ学校っぽいやつ来たー!!!」」」

 

意味深な前振りから放たれたのは学校といえばのクラス委員長決め。A組はその言葉で一気に盛り上がり、誰もが自分がやりたいと手や声を上げている。そんな事態のため誰もが譲らず決まらない。

 

「お前たち、やる気があるのは結構だが時間内に決めろよ」

「それでは多数決ではどうでしょうか!真のリーダーは民主主義によって生まれる者!」

「じゃあそれでいい。言い出しっぺのお前が音頭取れよ飯田」

 

急かす相澤に飯田が多数決を提案し、全員それを了承したため多数決が行われた。正人は適当に飯田に入れたが、結果として委員長になったのは緑谷、副委員長に八百万だった。なお正人と麗日は0票であったため、自己投票しているクラスメイトの多さに驚いた。

 


 

無事にクラス委員が決め終わり、退屈な授業を受け終わった後にやってきた昼休み。祖父である総司お手製の弁当を片手に今日はどこで食べようかと学内を散策する。

ランチラッシュというヒーローが食堂で安い!早い!美味い!学食を振る舞っているそうだが、いつきても混雑していて席を取るののも一苦労であるため弁当にしている。

 

「この辺がいいかなー…ってマスコミ?なんで敷地内に入ってきてるんだ?」

 

適当に歩いてたどり着いた正門前で食べようとした正人だが、なぜか敷地内に入り込んでいる今朝のマスコミたちが見えた。正門に目をやると閉まっておらず、少量の瓦礫が転がっている。

マスコミが破壊した?と考えるが、今朝の様子から過度なインタビューはまだしも器物損壊から侵入まではしないだろう。

 

「(マスコミ以外の奴が破壊した?目的がわからないけど…うーん、一応とりあえず止めるか)」

 

正人は両手を地面につけて術式を発動させる。地面はボコボコと隆起し壁が形成され、マスコミたちの進路を塞ぎ、ドーム状の牢屋を作り出す。何人か取り逃がしたが、そっちに意識を割いて正面の押さえているマスコミたちを逃すわけにはいかないため諦める。

ドームの中から聞こえる声を無視し、片手を地面から携帯に持ち変える。関係値から話しやすいだろう峰田に電話を掛けた。

 

「もしもし峰田?今フリー?」

「どしたん真田?オイラのこと狙ってんのか?」

「ごめんギャグなしで。正門がぶっ壊れてマスコミめっちゃ入ってきた。今抑えてる。あと何人か取り逃した。このこと教師の誰かに伝えてほしい」

「マジ?わかった急ぐわ。通話はかけっぱなしにしとくぜ?」

「助かるー頼むわ」

 

峰田に言伝を頼みひと段落した正人は、改めてこの状況にきて考える。誰が、何の目的で正門を破壊したのか。少し思考したがやはり思いつかない。正人は一度物陰に隠れ術式を発動、背丈を伸ばしスーツ姿になり教師になりすます。その状態で犯人の手がかりだけでも掴もうとマスコミに話しかける。

 

「私はこの学校の教師ですが、代表してあなたに聞きます。誰が正門を壊したんです?」

「あ、あなた!ここから早く出してください!個性の無断使用は犯罪ですよ?」

「私はプロヒーローで鎮圧目的で個性を使用しました。これでいいですか?知ってること話してくれたらあなたたちのことを少しは擁護しますよ?」

「…わからないわ。突然、門が()()()()()()の。誰がやったのかわからないけど、チャンスを逃すのはマスコミとしてナシ…わかるわよね?」

「なるほど。わかりました。約束は守りますが、このまま大人しくしててください。これ以上何かするなら擁護できません。上に掛け合ってくるので他の方達にも伝達をお願いできますか?」

「…わかったわ」

 

話し合いを終えると正人はドームから離れ物陰で変身を解く。

 

「ってわけなんですけど、どうですか?先生」

「合理的に行く。まずはよくやった。そしてあとで反省文…の代わりに清掃のボランティアだ。あとはこっちが巻き取るから教室に戻れ」

「了解です」

 

通話内容から既に相澤に代わっていて指示出ししているのも聞いていたが無視していたことはバレていたようで、放課後に正門の修復を手伝った。

また、夕礼で緑谷が飯田を委員長に推し、飯田が就任した。なんでも食堂でも騒ぎが起きていたらしく、飯田が華麗に(?)収めていた姿から相応しいと思ったのだとか。

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