乙女ゲー世界はモブよりなによりガノタたちに厳しい世界です   作:グレイファントム

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※繰り返しますがタイトルは打ち間違えではありません


第一話:転生。そして危機的状況だ。こんなところで…死ねるかーーー!!!

…頭が痛い。

 

う~ん、昨日は飲みすぎたか?

 

確かあいつらと久々に飲みに行って…モブせかのアニメ三期の話をして…その後は…

 

「…ン…シ…ン!」

「…を…して…ちゃ…!」

 

…ん?

なんだ?

…子供の声、か?

何で子供の声…?

 

「…う、ぅう…」

 

体が熱い。確実に熱がある。

…思考がまとまらない。

今の声…俺の声?

なんだか…いつもより高い気がする…。

…だめだ、眠い…。

もう…寝ちまおう…。

 

…さっきの子供の声が気になる。

最後に、そっと目を開けると…

 

「『シン』!しっかりして!シン!」

「寝ちゃダメ!『お兄さま』!」

 

…黒い髪を振り乱し、その赤い相貌に涙をためる二人の少女の姿が目に入った。

その悲しそうな顔を見た瞬間、眠りかけていた俺の意識を無理やり起こす。

こんなところで…死ねるかーーー!

だが、俺の意思とは裏腹に、またすぐに眠気が襲ってくる。

(気力が尽きて)死ぬな。このままでは。

…いかん、ゼ◯スごっこをしてる場合じゃない。

と、とにかく気付けの為に何か…そうだ!のども乾いているし水を頼もう!

 

「…ぁ…み、水…を…」

 

かすれた喉から声をひねり出し、水を要求する。

なんと言っているのかは朧気にしか分からなかったが、少女たちが周囲に何やら要求しているのが見え、その少しあとに誰かが慌てて水入りのコップを持ってきた。

少女たちがそれを手に取り、優しい手つきで俺に手渡してくる。(ウホッ、美幼女からの手渡し!)

力がうまく入らず震える手でなんとかコップを手に取り、気付けとばかりに一気に煽る。

ゴクッゴクッゴクッ…

 

「…ゲホッゲホッ…ふぅ…」

 

かぁー!キンッキンに冷えてやがるッ!あ、悪魔的だ…ッ!

…さすがに一気に煽るのはやりすぎだったかもしれない。

水が少し気道に入りかけて咽てしまった。

少女たちが心配そうな顔でこちらを見ているので、大丈夫だと伝えるべくそちらのほうを向く。

 

…と、ここで自分を心配していたあの少女たちをどこかで見たことがあることに気づいた。

記憶の中にある人物たちより若干幼いが、それを加味しても特徴的なので俺にはわかった。

黒く輝く長い髪、こちらを見つめる赤い瞳。

…なにより

それよりなにより!顔がいい!!!(迫真)

信じられない位顔がいい!何なの?お人形さんなの?

きゃわいいよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

…ふぅ。

誤解がないように言っておくと俺は決してロリコンではない。これはマジだ。

ただ…ほら、わかるだろう?

小さくてかわいい女の子を目の前にした時、全人類は全く同じ反応をする!

これはこの世の真理だ!

…いい加減話を戻そう。

俺は、この少女たちを…正確には数年ほど後の成長を遂げた後の彼女らのことを知っている。

 

俺を『シン』と呼んでいたのが『ヘルトルーデ・セラ・ファンオース』、

俺を『お兄さま』と呼んでいた(カワ(・∀・)イイ!!)のが『ヘルトラウダ・セラ・ファンオース』。

どちらも、『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』の世界の国家『ファンオース公国』の公女殿下だ。

…そこまで思い出したとき、違和感を感じた。

あの二人の家族は謀略によって殺された両親とお互いだけのはず…。

…じゃあ、『シン』って誰だ?

『シン』なんて名前、少なくともどのルートでも聞いたことがない。しかも『お兄さま』呼び…少なくとも親族ほど近い存在でなければあの警戒心の高い姉妹がそんなふうに呼ぶはずがない。

本編前に病死した誰か?いや、そんな存在が居るなら回想に出てこなければおかしい。

一旦ここまでで出揃った情報から結論を出そう。

…暫定的だが、『シン』は本編に存在しない人物なのだろう。

でなければ説明ができない。

…あれ?今更だけど、俺もしかしてこの『シン』某くんに転生してる?

…え、じゃあ俺死んだってこと!?

マジかぁ…しかも最後の記憶から考えれば、アイツらと一緒に死んだってこと?

うわぁ…なんかヤダァ…。

 

「シン…?」

「大丈夫?お兄さま?」

 

おっといかん、考えるのは後回しにしよう。

取り敢えず、まずはこの二人を安心させるのが先だ。

 

「…うん、大丈夫。」

「そう…良かった。何かあったらすぐに言うのよ?」

「うん。そうするよ」

「お兄さま…ちょっと変わった?」

 

ぎくりとした。

流石、子供は感覚が鋭いとか霊感があるとか言われるだけある。一瞬で違和感に気づいたようだ。

だが、だからと言ってそれを認めるわけにはいかない。

ここで余計なことを言うのはどう考えても悪手…というか

「良く気付いたね、そう、僕は君のお兄ちゃんの体を乗っ取った三十路のおじさんだよ」

とは言えない。言ったら熱で頭がおかしくなったと思われるだけだ。

 

「…気のせいじゃないか?ラウダ。」

「…そうだね。気のせいみたい。」

 

よかった、何とかごまかせたようだ。

 

「さぁ、ヘルトルーデ様、ヘルトラウダ様。シン様もお疲れのご様子。今日はこのくらいに…」

 

そうこうしていると、さっき水を持ってきたメイドが二人に言い、扉の外に出るように促す。

 

「…そうね。私も勉強に戻らなきゃ。じゃあシン、まだしばらくは安静にしているのよ」

「またね、お兄さま。」

 

もう少し話したそうな顔をしていたが、そこはしっかりとしているらしく、二人とも最後に俺に声をかけてからおとなしく部屋を出ていった。

 

「…ふぅ…」

 

溜め息とともに緊張の糸をほどく。

そのあとすぐにメイドが何かを取りに部屋を出たので、それと同時にベッドに倒れこむ。

 

「…よりによって公国…それも公王家に男子として転生するとは…俺別にそこまで悪いことしてないはずなのに…」

 

これから待ち受ける苦難の数々を想像し、俺は高級そうなベッドの上で、重たいため息を吐いた。

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