悪魔超人軍の資金は現在数億ベリーある。
それだけあれば食うには困らない様に見えるのだが実際は違う。
「やはりまだまだ足りぬか……」
キテレツ斎は私達の船、ファースト・ジェネラル号の設計図を順調に書いている。
今の段階で悪魔超人軍の面々が求めている者、各々の個室やトレーニング部屋など色々とキテレツ斎は詰め込んでいる。キテレツ斎と言う科学者、いや、船大工が居なければファースト・ジェネラル号の完成は夢のまた夢だっただろう。
「将軍、やはり材料を切り替えた方がよろしいのでは?」
「いや、それは出来ん……もとより最初からそのつもりで船を建造させている」
孔明と一緒に悪魔超人軍の懐事情を確認するが、どうにも厳しい。
ファースト・ジェネラル号の基本的な素材である木材は宝樹アダムと決めている。それを前提にしているからこそファースト・ジェネラル号と言う多少の無茶を通すことが出来る。
現在の悪魔超人軍の懐事情では宝樹アダムを購入する事は出来る。
だが、宝樹アダムを用いて様々な要素を詰め込んだファースト・ジェネラル号の建造にかかる費用が足りない。孔明は無理に宝樹アダムに拘らなくてもと言うが、宝樹アダムはファースト・ジェネラル号の素材にすると最初から決めている。
「なにやら景気が悪い話をしていますね」
「昆奈門か……金をどうやって回収するかについて考えていたところだ」
「海で海賊達に出会って、略奪をする……と言う事をしたいのですが、やはり限界があります」
景気の悪い話をしていれば昆奈門が現れた。
金をどうやって手に入れるかについて考えていた事を私は伝える。孔明は海賊からの略奪があるが、海賊達とは中々に遭遇しない為に限界があると感じている。
「何処かに宝の地図があれば、いいのですがね」
「宝の地図、ですか………あると言えばありますし、無いと言えば無いですね」
「どういう意味です?」
孔明が宝の地図があればと愚痴を零すと昆奈門が宝の地図に関して心当たりがあった。
昆奈門自身が宝の地図を持っている、と言うわけではなく昆奈門が宝の地図が何処かにあるのについて知っている状態だった。孔明はどういう意味かと聞けば昆奈門は書類を取り出した。
「このアトリエ島のキャンパス美術館に度々現れる怪盗エドワード、彼が狙うのは美術品ですが海賊が残した曰く付きの美術品です」
「曰く付き?」
「ええ……一言で言えば、その海賊に纏わる宝の在り処が暗号として何処かに隠されているとか……海賊達の遺品に基本的には美術品としての価値は無いですが、宝の地図になっているのならば話は別です」
昆奈門は何時の間にか怪盗エドワードについて調べ上げていた。
エドワードの正体でなく、エドワードが盗んでいるお宝について。エドワードが盗んでいるお宝はただの美術品でなく、海賊達が残した物。美術品としての価値は薄いが、中には宝の地図が記されている物がある。
「エドワードが度々キャンパス美術館に現れるという事はエドワードはこのアトリエ島の住人である事は間違いないでしょう。どうにかしてエドワードから宝の在り処が示された地図を手に入れる事が出来れば」
「面白い話ではありますが、エドワードが何処の誰かと言うのが全くと言ってわかっていません。会う方法があるのですか?」
「いえ、まったくです」
どうにかして宝の地図を手に入れようにも肝心のエドワードが何処の誰なのかが分かっていない。
孔明はエドワードが何処の誰で会うことが出来る方法があるのかを昆奈門について聞いたのだが昆奈門は無いとキッパリと言い切る。
「ですが、1つ……エドワードが現れるという可能性が非常に高いと思われる事が巻き起こります」
「ほぉ……なんだ?」
「美術品を取り扱う商船が間もなくやってくるのです。このアトリエ島に美術品を売りに」
エドワードと会う方法はわからないままでいれば昆奈門はエドワードが現れる可能性を予測する。
なんだと私が聞いてみれば、美術品を扱う商船が間もなくこのアトリエ島にやってくる。美術品を売りに……
「過去のデータを洗ってみましたが、商船が来て数日したら高確率でエドワードが現れます……ならば、今回もと思いましてね」
「ふん、随分と手が早いな」
「これでも偵察兵なものでして、色々と考えたり予測したりするのが仕事なもので」
「それでいかがなさいますか?」
昆奈門の手が早いなと聞けば偵察兵としての仕事をしているだけに過ぎないとだけ答えた。
孔明はどうするかについて聞いてくる。アトリエ島に美術品を売りに商船がやってくるのであれば、怪盗エドワードが出てくる可能性が非常に高い。エドワードを逮捕するのでなくエドワードと交渉を持ちかけるにしても、エドワードはなにを目的に怪盗をしているのかがわからない。
「不確定要素が多いが、それが一番だろう」
「そうですね……怪盗エドワードが出てきそうな目ぼしいお宝の情報については?」
「それはまだわかりません。とにかく明後日にはやってくるのでその時に情報を集めさせてもらいます」
「好きにしろ」
怪盗エドワードが何処に出てくるのかが分からないが、出てくる可能性があると言うのならば賭けるしかない。
この事は孔明と私と昆奈門の間だけで話を止めていて、実際に怪盗エドワードが現れるまではなにも告げない。
「ふむ……数々の美術品だな」
2日後に商船がやってきた。
アトリエ島に美術品を売りつけにやってきただけあってか、数々の美術品が並んでいる。しかし海賊に纏わるなにかが秘められていると言うわけではない……
「う〜む、どれもこれも芸術的な価値がありますね」
「そうじゃの」
アトリエ島の代表を務めているドクタールートとアトリエ島最大の美術館館長の優作は当然、この場にいる。
美術品の芸術的な価値等を認めており、保存状態がしっかりとしているのか等を確認していては楽しそうにしている。
優作やドクタールートは美術品を嗜む学者として楽しんでいる。
「目ぼしい宝は無いか」
「なーに言っとんじゃ。色々と歴史的な価値があるもんばっかじゃぞ」
素人目でも分かる芸術品から蔵人目で見て分かる芸術品まで色々とある。
優作やドクタールート以外にもアトリエ島で美術品等を扱っている者達はこれはスゴいと驚いたりしている中で私は目ぼしい宝が無いと呟いた。ドクタールートは私の目が節穴と言いたいのか商船が持ってきた美術品を見せつけてくるが、私が狙っているのはそれではない。
「む……デカい金庫だな」
商船から積み荷が次々と降ろされていく中でバカでかい金庫を発見する。
嫌でも目立つ金庫に視線を向けていれば優作が今回このアトリエ島に売りにやってきた美術品のリストを確認する。
「ふむ、どうやらそれはロジャーの休日が入っている金庫の様だ」
「ロジャーの休日?」
「そういう名前の絵画が入っている金庫で、盗まれない様に厳重に保管している」
遂に海賊に纏わるお宝がやってきた。ロジャーの休日と呼ばれる絵画が入っている金庫が運び出される。
優作に今回、海賊に纏わる曰く付きのお宝が他にも無いのかについて聞いてみれば、ロジャーの休日と呼ばれる絵画以外は今回は入って来なかった。
「た、大変だぁ!!予告状が、予告状が出たぞ!」
そして翌日の明朝、アトリエ島の住人が騒ぎを起こす。
アトリエ島の美術館の中でも最大の美術館であるキャンパス美術館に怪盗エドワードから予告状がやってきたと騒いでいる。
「怪盗エドワード……奴が狙う宝は宝の地図の可能性がある」
「どっかに宝の地図を溜め込んでるんだ……」
「今回はロジャーの絵画だから……とんでもねえ財宝が隠されてるにちげえねえ!!」
怪盗エドワードの予告状についてはアトリエ島にいる面々にあっという間に広まっていった。
元からアトリエ島に住んでいる住人は勿論の事だが、偶然にもアトリエ島にやってきている海賊達が話を聞いてギラギラと目を輝かせている。
「ロジャーって、海賊王ゴールド・ロジャーですよね。その人が残したお宝って……やっぱとんでもないっすよね!」
お宝争奪戦になろうとしている中でハヤトは目を輝かせた。
まだそのロジャーの休日と言う絵画がどんな物なのかすらも知らないにも関わらず、噂が一人歩きしていて盛り上がっている。
「ホントにお宝なんてあるんですかね?」
「そうだな……なんと言ってもロジャーだからな」
ロジャーの休日と言う絵画にお宝の在り処が記されていると言う噂話が一人歩きしていて、宗次は怪しいと疑う。
キテレツ斎は多分だがあるとは思っている。なんと言ってもあの海賊王であるロジャーが残した遺物であるのだから……ただ、私はどうにもそう思えなかった。
ロジャーの財宝と言えば誰もが浮かぶ、
これについてはロジャーが死に際に探してこいと世界に向けて言い放った。だから
ならばロジャーがロジャー海賊団を率いていた頃に手に入れたお宝を何処かに隠していてそれが記されている……と考えるのが妥当だろう。だが、ロジャーがそれを絵画に地図として残すような真似をするのだろうか?そんなに宝があるならば、別のことに景気よくパーッと使っているというイメージがある。
「将軍、どうする?俺達も一枚噛むか?」
海賊達がどうにかしてロジャーの休日を手に入れたいと躍起になっている。
私達の目的は怪盗エドワードに出会うことであり、ロジャーの休日を奪うことではない。貴虎はどうするかについて聞いてくる。
「美術館の警備等はどうなっている?」
「館長とドクタールートがギッチギチにガードしてるわ」
ロジャーの休日が保管されている金庫はキャンパス美術館の物になっている。
美術館の警備体制はどうなっているかについて聞けば、優作とドクタールートが絵画を盗まれないと警備をしっかりとしている事をカレンが答えた。
「う〜む……ギッチギチに固めた警備を、奴さんはどうやって掻い潜って宝を奪うのですかね」
「そこが問題だな……ロジャーの休日が入っている金庫はデカくて重い。金庫ごと運ぶのはまず不可能であり、なんとかして金庫を解錠してロジャーの休日だけを盗まなければならない」
警備体制はバッチリであるので、どうやってロジャーの休日を盗むのかがワトソンは気になっている。
リグレットがロジャーの休日だけをどうやって盗むのかを改めて考えるが浮かばない……ふむ……
「貴虎、この一件、一枚噛ませてもらう」
「そうか……それでどうするつもりだ?エドワードは深夜に現れて海賊達が暴れる中で絵画を手に入れなければならないのだぞ?」
「そこは総力戦だ……幸いにも、名のある海賊達がこの島に居るわけではないからな。お前達でも対応は出来る」
キャンパス美術館の警備はギッチギチで事件が終わるまでは賊であれば入ることを許されない。
海賊達の行動としては、おそらくはなにかしらの形で怪盗エドワードが盗み出したロジャーの休日を強奪する。悪魔超人軍はその戦いに参戦するという方針で行く。
「それにしても、ロジャーの休日ってどんな絵画なのかしら?」
方針が決定したので、その時が来るのを待っていればロビンがロジャーの休日がどんな絵画なのかが気になった。
ロジャーの休日と言う絵画があると言う噂は歩いていて実際にロジャーの休日と言う絵画は存在している。しているにはしているが、ロジャーの休日と言う絵画が実際にはどういう絵画なのかについて情報を誰も持っていない。
ロジャーの休日と言う絵画は金庫に厳重に保管されている。
怪盗エドワードはいったいどういう手段を用いて金庫を破るのか、そして噂はそこかしこに広まっているので海賊達も相手にしなければならない。