37話 もしもの安全
普段食べない食事量にお腹がぽっこりしつつ、彩葉は冷静に今後どうなるかをかぐやに相談する。
「あのさ、マジでここではかくまえないよ? かぐやがなんかその、この地球の常識と違うことしちゃったら、私に全てを守ってあげられる力はないよ」
ご飯を食べたかぐやは、元気にカチャカチャとノートパソコンをいじって何かしている。
「かぐやにはあるから! お金もさ、何か銀行? のデータ書き換えればウォレットの数字増やせるっぽかったよ、やる?」
「ダメに決まってるでしょどんなチカラなの!? 絶対! しないでよ!」
あーもう何から禁止すればいいのかわかんない。かぐやは電信柱から生まれてるし、コンセントに近づけたらブレーカー落ちたりしないかな。
「えーと、電気タイプ、対策っと。ゴムに閉じ込めればいいのか、あぁこの漫画ってそうなんだ〜。アースってよくわかんないんだよね、なんで壁に繋ぐのに地面に流れるんだろ」
「彩葉?」
かぐやの怪しい電波がはどこから出るのか、恐らく指か頭だと思って対策をとる。
「シルク素材のナイトキャップが、ロングヘアの静電気防止になるんだって。シルクの服は高いから無いので、ハンカチならあったからこれ頭に巻いて」
「はいっ、ねぇねぇ似合う〜?」
38話 童子進化〜
「はーはんふんふんふーん♡ ん出来たぁっ!」
「まさかサイバー犯罪とかじゃないですよね?」
「携帯ゲームキットをやってたんだよ!」
かぐやは心底楽しそうに振り向いて、押し入れに眠ってたはずの小型レトロゲーム機を見せてくる。
「見て見て犬デジ!」
「んっ? そんな子いたかなぁ? 私がやるとちゃんとお世話した子にしか進化しなかったけど」
小さな画面だからよく見えないが、かぐやは興奮冷めやらぬ様子で感情込めてボタンを押す。
「体力あげて〜、パワーも溜めて〜、よーし犬デジ必殺技だ〜!」
「いややっぱり違うな、かぐやがそれ作ったの?」
覗き込むと丸まるしいキャラじゃなくてトゲトゲしている。
「うん! 犬デジはここから進化するとね、大犬デジハウンドになって、更に進化するとキングフェンリルデジケルオルトわん太郎になるの!」
「おぉ〜、凄いけどセンスがわんぱくだ」
39話 インディビジュアルでガールイン
「ねえねえ明日何の料理する? 食べたいものある?」
「一生住む気満々かよ……しばらく食費は定額制にするから。かぐやは目立つと危ないし、許可なく外に出ないこと」
美味しい料理を食べられたのはありがたいけど、今のままでは財政破綻してしまう上、お外で何かイリーガルな事をしたら身元引受人で呼ばれてしまう。
「彩葉とお買い物っ♡ 今日のご飯どれが美味しかった? それと同じなの作れないかやってみるよぉ♡」
「今週あと452円で生きるんだよ、もやし以外あるわけないでしょ」
「えっ」
本当はお財布に現金ちょっと入ってるし、仕送りはノータッチなのでそこまで絶望的ではない。
「自販機の、お釣り、漁る?」
「どこで覚えたのそれ、原則ダメなやつだからダメ」
「ぎ、銀行で切り捨てられる1円未満のお金を集めれば……」
「悪い宇宙人が入ってないか、まず私が調べるか。おっと動くなよかぐや(仮)」
40話 勘のいいかぐや
「うぅ~、あちこち引っ張られたよう。かぐやちゃん解剖されちゃうかもなの?」
「だからお外に出るなって話なの。小学生の頃の自由研究キットがあればもっと調べられたのにな〜。ライトもていっ」
「うおっまぶしっ」
頭をひと通り押したり引っ張ったりしたけど異常はなかった。探偵ごっこなんかやって、なんだか小学生の頃に帰ったみたいた。
「彩葉眩しいよぉ〜」
「瞳孔反射よし。私の邪魔しないなら、家いていいよ。迎えが来るまででいいのね?」
様々な審査の末、条件つきでの滞在を許可すると、かぐやは一瞬だけ喜んですぐに気がつく。
「いいのぉっ? ……あれっじゃあかぐやは、この映えないつまんない家でずっとこのままってこと?」
「買い物は一緒に行くんだし文句言わない、それでいいね?」
彩葉は有無を言わせず、このまま言質を取りに行こうとしたが詰めが甘かった。
「それ休日の時だけじゃない? 学校の帰りとかバイト帰りに彩葉スーパー寄って来るでしょ?」
「………………」
「ちょっとー! 無視するの禁止ー!」