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クリスティーナへ
ウィゼンガモットでの裁判、お疲れ様であった。
君を助けるために動いた、君の大切な友人たちとのお話は済んだだろうか?
君には申し訳ないが、ディナーの後校長室へきてくれないだろうか?
ウィゼンガモットで君が行った''魔法のような何か''についてや、今後のことについて話し合いたい。
もし今日都合が悪ければ教えて欲しい。
合言葉は''とろけたバター''
待っておるよ。
ダンブルドア''学長''より
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どうやってか談話室に飛んできたフクロウが持ってきた手紙にはそう書いてあった。
……ここ地下室だよ?……フクロウすら大概なんでもありな訳ね……
さて、内容は願ったり叶ったりって感じだ。待ってれば呼び出し食らうだろうと思ってたし、今回の主犯が誰なのか、学長先生の意見も聞きたかったところだ。
それに今日は眠くない。なぜならアレが終わってからすぐ、人形ちゃんの背中で寝させてもらったからね。ひんやりしてて気持ちいいんだ人形ちゃんの身体。……まあ、寝溜めしたとて、どうせすぐ眠くなってしまうのだけれど。
「という訳でご飯食べたら行こうと思うんだけど。」
「分かりました、私も着いてきいます。」
いつも通り私の分のご飯を彩り良く取り分けて、私に渡しながらそう言う人形ちゃん。
「……ちょっと?もう夜間徘徊の計画?」
疑わしそうに眉をひそめてパンジーが聞いてくる。
「え!?なら私も参加する!」
「あはは、違うよトレイシー。今のは学長先生からの呼び出し。」
え〜というトレイシーに微笑むがパンジーは笑っていない。
「……あなたほんとに……また何かやったわけ?」
「またって……私をなんだと思ってるのよパンジー……ウィゼンガモットの反省会みたいな?多分。」
「えぇ……それまだやってなかったんだ?……眠り姫様さぁ、そういうのって忘れないうちにさっさと……いやこれはダンブルドアが悪いのかしら?」
ダフネが呆れ半分笑い半分で話しかけてくる。
「どっちもダメダメよ……というかダンブルドアと話してたんじゃないのなら、裁判終わってからほんとに一体何してたのよ……」
「パンジー様、クリス様はアンナリーゼ様と……」
……
そんなこんなで責められながらもご飯を食べきって校長室へ向かう。
で、なんだっけ?ああそうそう
「とろけたバター。」
ゴウンゴウンと動き出すガーゴイル像。
……いやもう何も言わないよ。私の中の合言葉ってヤツのイメージが酷く毀損されていくだけ……ギミックはこんなかっこいいのになんで……
……動きが止んだ。
「行こうか、マリアちゃん。」
「はい、クリス様。」
階段を上がり切り、校長室の扉を叩く。
「いらっしゃい。」
「失礼します、学長先生。」
「失礼します、ダンブルドア校長。」
いつもの微笑みを浮かべた学長がそこに立っていたが、どうも疲労の色が見える。
「よく来たの……クリスティーナ、そしてマリア。今日は2人ともご苦労じゃったな。」
「いえいえ、学長先生も……その、お疲れ様でした?」
「……顔に出ておったかの?……いや、別に疲れた訳では無いのじゃが……少し心配事が増えての。」
「今回の事件でのことでしょうか?」
人形ちゃんがそう聞く。
「その通り。じゃが、まず初めにクリスティーナ、君に謝っておかねば。君をほとんど弁護しなかったのは意図しての事じゃ。申し訳ない。」
あやっぱり?そうだよね。
「……それは一体どういう事でしょうか?故意にクリス様を助けなかったと?」
へいへい人形ちゃんストップストップ。
「うむ、説明が少し難しいんじゃが……今回の裁判にて、わしは極力手を出すなと……そう指示を受けての。」
「誰かに命令されたから助けなかったと?ならばそれは故意に助けなかった、と言うよりは強制されて、と言った方が正確ではありませんか?」
「いいやマリア、というのも、魔法界には時間に干渉する魔法道具があっての。未来の自分からのメモを受け取ったのじゃ。''手を出すな''とのう。」
「……へぇ?」
すごい。神秘に依らず時間を扱うなんて。でもこれで多分理解できた。
「つまり……あー……無罪になることがわかっている未来の学長先生から、その流れを壊さないようにとメモが届いた……?って事ですか?」
「うむ。それもあるが……ワシの考える所では、君の召喚した……あめんどーず?じゃったかの?アレに手を出して周りの人間を巻き込む大惨事を起こさぬよう''手を出すな''と届いたのじゃろうと思っておる。」
メモが届かなければさすがに手を出しておったと思う。と話す学長。
言われてみればそうだよね。私も急にアメンが目の前に湧いたら切りかかるわ。
「分かりました。それは仕方なかったと思います。……まあどういう理由であったとしても結果として無罪だった訳ですし、学長先生になにか思うところなんてないですよ。大丈夫です。マリアちゃんも良いよね?」
「……クリス様がそれでいいと言うのであれば。」
「……すまんの……ありがとう。」
無罪にならなかったとしても、別に学長先生に思うところなんざ無いんだけどね。そもそも学長が悪いわけじゃないし。
「その話はやめましょう、学長。私聞きたいことがあったんです。今回の騒動の首謀者、心当たりはありませんか?」
「うむ。それについてはの……わしは……この事件は囮であったと思っておる。あの法廷に目を集め、真の目的を完遂するための、囮であったと。」
「アンナリーゼ様の財が目的ではなかったと?」
「あわよくば、と言ったところじゃの。」
ふざけてるねぇ……そんなに軽い気持ちで私達にちょっかいをかけてくるなんて。
「では、その本当の目的は?」
「……その前に、クリスティーナ、そしてマリア。こんな言い方はないと思っておるが……どうしても聞きたい。」
人形ちゃんと共に頷く。
「……君たちを信用しても良いか?」
「?……どういう意味ですか?」
「ワシは……君たちは……君たちのその性根は、邪悪なものではないと……そう考えておる。……少々問題を起こしてしまうがの。」
これはいい評価なのか判断がつかないね。まあ悪くは言われてないと思うけど。
「そして、君たちはとても強力な力を持っておることを、今回身に染みて理解した。故に、協力して欲しいのじゃ。」
「良いですよ。」
「……即答じゃの。」
そりゃそうなるよ。面白くなりそうな気配をビンビン感じる。そう答える以外にないよ。
「少なくとも、マリアちゃんは邪悪じゃ無いですよ。私も……まあ邪悪では無い……んじゃないかなぁ……正義にも大して興味は無いですけど。でも、頼まれたならしっかりその頼みはこなしますよ。」
「……正義に興味が無いとはどういう事じゃ?」
メガネの奥の目が鋭くなった。その目は私を見ている様でいて、なにか別のものを見ているような気もする。他の誰かを私に重ねてる……?
それは置いておくとして、まぁ、どういう事って聞かれてもなぁ……
「ん〜……そもそも考えたことがないですから……というのも、今までの私の行動原理は善悪とは違うところにありましたから。」
興味深そうに続きを促す学長。
「えっと、私には夢があります。……いや、夢で終わらせる気はないですけど……そのために必要な事なら何でもするつもりです。まあ、これは私に限らず誰だってそうでしょう。そして、夢を叶えようとする人間の頭の中には、善悪なんてものはないでしょう?あるのは目的意識だけです。私が思うに、善悪なんて言うのはその目標、過程を第三者が見てどう思うかというもので、絶対的なものなんてないんじゃないですか?」
「……君のその考え方は……確かに一理ある。しかし、それは……それは危険じゃ……危険な考え方じゃ。善悪は確かに見ようによっては反転することもあるじゃろう。しかし、絶対的なものも確かに存在するはずじゃ!根源的に、人を殺してはならぬ、隣人を傷つけてはならんと。それらはどの時代、誰の頭の中でも明確にある人としてのルールではないか?」
……人じゃないからなぁ。という言葉が欲しいわけじゃないのだろうから押し殺す。
「……確かに、そうなんでしょう。学長先生の言う通りなんでしょう。そういう……なんですか?正解?ってのはあるんでしょうけど……」
「……君のその考え方では、目的の為に他を犠牲にすることを肯定……どころか推奨しているように思えるのじゃ。」
「……そうですかね?」
「ワシにはそう聞こえた。夢を叶えるための努力は素晴らしく、故にその道程にある犠牲は許容される。……それどころか、それら全ての努力……いや、犠牲。それを善と言い切っておるように思える。……君にその意図がなくてもの……ワシには、そう言っておるように聞こえる。確かに夢を叶えるための努力は素晴らしいものじゃが……」
……
「ひとつ聞かせてくれ、クリスティーナ。目標の為に人を傷つける……いやこの際はっきり言おう。目標の為、人を殺さなければならなくなった時、君はどうするのじゃ。」
「……目的を遂げるためなら仕方ないことだと思います。でもそれは他の手段を調べ尽くして本当に仕方ない場合だけです。」
「……なんと……いや、ならぬ。人の命を自分の夢のために使うなど到底許されぬ行為じゃ!''仕方ないから''では済まされん!」
とは言われてもな。それしか方法がないのだから。それに……
「……でも、学長もそうなさってきたんじゃないんですか?」
目を見開いてこちらを見る学長。
「なんじゃと?」
「ヴォルデモートやグリンデルバルドとの戦いの際、目的の為に人の命を使う作戦を立てなかったんですか?ハリーの両親はそれだったんじゃないんですか?まさか1度もなかったと?」
「なんじゃと!?違う!君のそれは論点からズレておる!」
……あぁもう。だが……そうだね。
「……そうですね。暴言でした。すいません学長。」
……
「しかし、学長先生、言っておきたいことがあります。」
「……なんじゃ?」
疲れたような声を出す学長。
「一つ、私は夢のために犠牲を出すことを許容します。でも、それを誰かによって阻まれることもまた許容します。」
「……?それは一体どういうことじゃ?」
「つまり、私の夢の成就、そのための犠牲。それらが誰かにとっての夢を阻むことになるのであれば、その''誰か''は私の夢の成就を阻止する権利があるということです。……やっぱり意外という顔をするんですね。私は暴君じゃないですよ……その対立を経たうえで遺志を貫き通せた者が夢を成就させるんです。……ええ、つまり私は、私だから何をしてもいいと思っている訳じゃないという事です。……この言葉はあなたを安心させるものにはなりませんか?」
「……クリスティーナ……」
……やっぱり難しいね。
「……そして……」
学長は続く言葉を待つ。待っている。
「……いえ、やっぱりいいです。それだけです。」
……人の命とは、あなたが思うほどに重く、価値のあるものなのか。
……これは言わない方が良いんだろう。多分。
学長は口を開き、唇まで登っていた言葉を飲み込んだ。……ように見えた。
……あまり、今日の私は良い点を取れなかった。
「……クリスティーナ。」
「……はい。」
「……君がそれほどまでに望む夢とはなんなのじゃ……?」
「赤子を抱く事です。」
……
「……なん……」
……
「……うむ……そう……そうか……」
…………
……なんだ?今までとは空気が違う。なんか私間違ったかな?
「……いや、しかし、君のその考え方だけは容認できぬ。……とはいえ、君は先程言ったのう?頼まれればやり遂げると。」
「ええ。」
「ならば、ワシの頼みを聞いてくれ。4階のあの扉の中のものを守って欲しい。」
「……それはどういう事ですか?あぁいえ、守れと言われれば守りますけど……あの三頭犬を守れと?……いや違うか、あれは門番でしたね。三頭犬が守っている物を守れと。」
やっと空気が悪くなくなってきた。
「うむ。話を戻すが、今回の騒動はあの扉の中のものを狙った者の犯行だと思っておる。そして、ソレを守る行為は間違いなく正義じゃ。君には……その力を正しく使い、正義を成すことの喜びを知って欲しい。」
「……」
「かつてわしは……若く、情熱に狂っておった。''より大きな善のために''。……そうじゃの。君の言った通りじゃ。その、''スローガン''を掲げ、目標のために……大切なものを切り捨てておった。君のその考え方とは違うが……結果として人を傷つけておった。」
……
「失ってからでは遅いのじゃ……わしの痛みを君にも味わせたくは無い。君の考え方を変えられず……周りから闇の魔法使いだと指を刺されるようにはしたくないのじゃ……」
「……分かりました。受けましょう。」
「……そうか、ありがとう。」
「具体的に何をすればいいのか、教えて貰えますか?」
「いつもあの扉の前を見はれとは言わぬ。わしから連絡があった場合や、校内で問題が起きた時など君が必要だと感じた時じゃ。」
「分かりました。……学長先生。」
「なんじゃ?」
「……あの中には一体何があるんです?」
〜〜~
あの後、まあ神秘について……アメンドーズやドラコに使ったものについて根掘り葉掘り滅茶苦茶に質問攻めにあった。
ある程度答えたりはぐらかしたりしていたが、面白い質問もあった。
"知識があればその神秘とやらは誰にでも使えるのか?''
面白い質問だ。これからドラコにも少しずつ触れてってもらう予定だったけど、考えてみればヤーナムで血の医療、輸血をされていない人間が啓蒙を得たところで脳に瞳は得られるのか。触媒……ナメクジを握らずに神秘の業は使えるのか。
実験してみなければいけないね。
……多分ある程度は出来ると思う。ナメクジを握ればね。
とはいえ私が好き放題できているのは上位者である為だし、そこまでの無法は出来ないだろう。
……正直魔法が使えれば神秘に関しては人にはオーバーじゃないかなと思う。使いこなせないと簡単に人間じゃなくなるし、基本ヌメヌメするしね。
魔法のが取り回しがいいよほんと。掃除魔法とかの日常に使える魔法が便利すぎてね……
上位者にでもなりたいと思わないのであれば、神秘には触れない方がいいんじゃないかなぁ……
それで結局敵については……具体的には教えて貰えなかった。多分、学長先生も答えを持っていないんだろう。もしくは、確実な証拠を持っていないから断言を避けたのか。……後者かなぁ。
とはいえ、面白そうな仕事も貰ったし、学長の考えが正しいのであれば、自分の手で敵を捕まえられる可能性が出てきた。
「狩人様。」
「何?人形ちゃん。」
「貴重な学習の時間を削ってまで、あんな頼みを聞いても良かったのですか?」
「良いよ。楽しそうだと思ったしね。正義云々に関しては……どうでもいいけど。」
学長の考え方はよく分からない。そこまで正義に、人の命に、執着する必要があるんだろうか?
「……狩人様がそう言うのであればいいのですが。」
「あんまり乗り気じゃないね?」
「……ええ。ですが、狩人様がそうお決めになったのであれば、私から言うことはありません。」
「……そっか。」
言いたいことがあったら言ってくれてもいいんだけどなぁ。
「それにしても……守ってくれって言うんなら守る対象を教えてくれてもいいよねぇ。」
あの後どれだけねだってもあの奥に何があるのか、学長は全く教えてくれなかった。
「そうですね。信用してもいいか聞いておいてあの態度はどうかと思います。」
「だよねー。」
……うーん。
「人形ちゃんさ。」
「はい?」
「もしかして学長嫌い?」
……
「……狩人様がこれまでどのような目に会い、どんなことをしてきたのか知らないのに、あのような言動をとる方のことを……好きとは言えませんね。」
……すごい。人形ちゃんがこんなに私以外にはっきりした感情向けてるの初めて見た。
「そっかぁ〜」
「……狩人様?なにか嬉しいことでもありましたか?」
「いやぁ〜?そう見えるぅ?」
「とても笑顔です。」
そっかぁ〜
〜〜~
さてやっとのこっちゃで入学から1週間。
入学したのが日曜、今日は土曜。
……マジで色々起こりすぎでしょ。
「おはようみんな。」
「おはようございます。」
人形ちゃんと共に大広場へ。やっぱり起きる時間みんな早いんだよね……いや?私が夜更かししすぎなのかなぁ。
「おはようクリス!マリアちゃん!」
「うっつ……おはようトレイシー。」
寝起きにタックルじみた抱きつきはキツイって。
「おはよう眠り姫様、マリア。」
「……ダフネ、その眠り姫ってあだ名、いつ忘れてくれるの?」
「うーん……お寝坊さんじゃなくなったら?」
つまり永遠か。
「クリス様はお寝坊くらいがちょうどいいんです、ダフネ様。」
「ふふ、マリアがこれじゃ、これは永遠に眠り姫様ね。」
いやほんと。
「いつものごとく遅いわね……遅い理由ももうそろそろわかってきたけど……マリア、甘やかしすぎは子供の成長に悪影響よ?」
「ええ、甘やかしすぎてはいないので大丈夫です。パンジー様。」
「……それは冗談なのかしら?」
「……?」
首を傾げるマリアちゃん。
「パンジー、マリアちゃんはいつでもマジだよ。」
「……親バカってやつね……で、昨日結局いつ帰ってきたのよ。校長と話してたとはいえ長すぎよ。」
「それは学長に言ってよパンジー……私だって眠いんだから……」
「今日は入学して初めての休日だが……確か課題はまだ魔法薬学でしか出てなかったな。今日の予定は何かあるか?」
「無いよ、ミリィ……いや、まだハリー達にありがとうって言ってなかった。」
「……ポッターはまだいいとして、ウィーズリーとつるむのはやめときなさいよ。クリス。」
「どうして?」
「どうしてってあんた……」
「クリス様。どうぞ。」
「ありがとう。マリアちゃん。」
人形ちゃんが朝食を盛ったプレートを受け取る。
「……聞きなさいよ……」
「みんなはどうするの?」
「私はダフネと課題さっさと終わらせるわ。」
「ミリィの修行見る!」
「修行?ミリィ修行するの?」
「はは……私の家は魔法使いといえど体が頑丈でなければいけないと考えていてな。」
面白そうじゃん!私と同じ考えの魔法族っているんだ。……いや結局杖であろうと戦うのであれば体は強くあって損は無いからね。そりゃ鍛える人もいるか。
「私も用事終わったら見てみたい!というか参加したいな!」
「ブラウン嬢もそう考えるか!いいぞ!教室を借りる許可証は貰っているからな。後で来るといい。」
「マリアちゃんも一緒にやろうよ。」
「クリス様、私もですか?」
「多分強くなるよ!」
……マリアさんを元に作ってあるだろうからね。
「……分かりました。」
「決まりだね。」
〜〜~
「ハリー!」
朝食をとっている最中、グリフィンドールのテーブルを見るとハリーと目が合った。
多分意図は通じたと思ってたけど、やっぱり大広場を出るとハリーとロンとハーマイオニー・グレンジャーが待っていてくれた。んだけど……
「……あれ?あんまりいい状況じゃなかった?」
「いや、そんなことは無いよ。ただ……」
「なんだよ!僕は君に綺麗にして欲しいなんて言ってないぞ!」
「お生憎様、私はあなたに用があるんじゃないわ。クリスティーナ・ブラウンと話をしたかっただけ。」
「なら僕に突っかかってくるなよな!」
「ポルターガイストに殴り掛かるなんて真似みたら声出さずに居られないと思いますけど?」
「へぇ!君は顔にパイが飛んできても投げた相手を寛大にもお許しするってわけだ!」
「無駄な労力を使おうとしてる残念な子の汚れた頭を''寛大にも''綺麗にしてあげたわけよ。」
……わお。
「ハリー・ポッター様、一体何があったんですか?」
「ああ、えっと、マリアさん。ハリーでいいよ。それで……ポルターガイストのピーブズがね、ロンにパイを投げつけたんだ。それが頭にクリーンヒットしちゃって、それでロンが怒って殴りかかってたら……」
「そのパイをハーマイオニー・グレンジャーが落としてあげたと。」
人形ちゃんの補足に苦笑いしながらハリーが頷く。
「まあそんなとこ。」
「ねぇ二人とも、喧嘩はやめなって。」
件の2人に近づきながら声をかける。
「あらブラウンさん!良かったわ!もしアズカバンなんかに送られたらどうしようかと!」
「クリス!良かったよ無罪で!……ここにいるってことは無罪だったってことだろ?」
2人ともお互いに相手が存在しないように振舞ってこちらに返事する。……なんだっけ?そんなに仲悪くなる何かあったっけ?
「うん。まあ何も悪いことしてないんだからね。順当に無罪!よかったよほんと。マリアちゃんから聞いたんだけど、2人ともなんか頑張ってくれたんでしょ?ハリーも。」
「ええ、クリス様。彼ら3人とも、クリス様のことを大変案じておられました。」
少し居心地悪そうに苦笑するハリーとロン。
「はは……僕は騒ぐだけで何も出来なかったから。」
「そういうなよハリー。僕たち子供が出来ることなんてたかが知れてるんだしさ。くそう、パパがもっと偉かったらなぁ……こんなこと思ったの人生で初だよ。」
「いやいや、ロンの言う通り。そう思ってくれるだけでも嬉しいよ。……というか、ロン?いいの?……その、ホグワーツ特急では……」
言われて少し恥ずかしそうにし始めたロン。だが、
「……僕、その、ごめん。あー……いや、まだマルフォイとかスリザリンの連中と仲良くしてるのは……あんまりだけど。それでも、君は……アイツらとは違うって思ったから。」
なんか照れくさいな。
「はは、ありがとうロン!私も友達になれて嬉しいよ!」
「……。マリアさん、上手くいって良かった……ですね?」
「えぇ、ハーマイオニー・グレンジャー様。あの時は意見をくださってありがとうございます。」
「いいの……良いんですよ。クリスティーナ・ブラウンには……借りというか……がありますから。それに、ハーマイオニーでいいわ。……あっ、ハーマイオニーでいいですよ?」
なんか面白い感じになってるなぁ。
「ハーマイオニー・グレンジャーさん。マリアちゃんに無理に敬語は使う必要ないよ。同じ1年生なんだからさ。」
「クリス様の仰る通りです。ハーマイオニー様。」
ちょっと居心地悪そうにハーマイオニーは苦笑いする。
「……ブラウンさん……それにマリアさんも……そう言われながら様ってつけられても……それに……絶対同い年じゃないじゃない。」
「はは、歳なんて関係ないよ!同じ学校で学ぶ友達ってことが大切なんだから。私にも、さんはいらないよ。クリスって呼んで。」
驚いた表情を浮かべたあとすごい笑顔になったハーマイオニー。……?なんか変なこと言ったかな?
「……ふふ、ありがとう!じゃあ私もハーマイオニーでいいわ。それで……えっと……クリス!」
そんなに覚悟を決めるように力込めて呼ばなくてもいいじゃないの。''名前を呼んではいけない例のあの人''なんて存在にはなってないつもりだけど……
「何?ハーマイオニー。」
でもなんか嬉しそうなんだよなぁ。ずっと笑顔だし。
しかしすぐ顔を引き締めて真剣な表情で聞いてくる。コロコロ変わって面白いね。
「結局……ほんとに大丈夫なの?あのスリザリンの子達が言うには嵌められたって話だったけど。」
「あぁ、それなんだけどね……学長が言うには少なくとももう魔法省からは私にちょっかいかけてくることは無いだろうってさ。私もそう思うよ。しっかり怖がらせてあげたから。」
「怖がらせたって……じゃなくて、その感じだともしかして真犯人がいるってこと?魔法省が主導して起こした事件じゃなかったって事よね?」
この子頭いいなぁ……そっか、スネイプ先生の授業でも優秀アピールしてたもんね。
「多分ね。まあその誰かさんが魔法省の中にいるのか、ほかのとこから操ってるのかは分からないけど。魔法省自体が敵って訳じゃなかった。」
「そうだ!それでクリスに話したいことがあったんだ!」
急にハリーが大声を出して息を荒くする。
「ハリー、どうしたの?」
「多分その真犯人が求めてるものはこの学校内にあるんだよ!」
んん?なんでハリーがそれを?
「へえ?どういうこと?」
「日刊予言者新聞でやってたんだ!グリンゴッツに金庫破りが入ったって。しかも僕たちが初めて会ったあの日!僕もクリスもグリンゴッツに初めて行ったあの日にね。」
……本当にどうでもいいんだけど、ハリー日刊予言者新聞しっかり取って読んでるんだ……置いてかれた感覚……新聞読まない世間知らずなままではいられないなぁ。ほんとに購読しないと……
「それは初耳。でもそれでどうして敵が求めるものが学校内にあるってなるの?」
「あの日、僕はハグリッドと一緒にグリンゴッツに入ったんだ。その時、僕の家族の金庫とは別に、ハグリッドはダンブルドア先生から頼まれてたんだよ!僕の金庫から出て、ハグリッドと目当ての金庫に入ったんだ。小さい包みに入った何かを取り出してた。その小包の中にあるものが真犯人の求めてるものなんだ!」
「ハリーのやつ、ハグリッドにカマかけたんだぜ?上手く口を滑らせてたよ。」
ロンが得意げに話す。
凄い。よくやるよ年上相手に。
「うん。ハグリッドがしっかり言ってた。あの小包の中身まで教えてはくれなかったけど……少なくともグリンゴッツに侵入したヤツはハグリッドがその日に回収した何かが目的だった!」
「それは分かった。ありがとうハリー。でも、それと私が口座のことで嵌められたことと、どうやって君の中で結びついたの?」
多分彼の意見を私がすんなり受け入れると思っていたんだろう。信じないのかと言いたげな驚きと少し怒りと悲しみが混じったような複雑な表情をするハリー。
「……それは……明確な根拠はないよ……でも……」
「はは、ごめんごめん。ハリー、君のひらめきは正しいと思う。確かに偶然にしては色々と起きすぎてる。口座を奪いたいのであればもっとやり方もあっただろうしね。」
実際根拠の無い想像だとしても……学長先生の考えに沿っている……し、多分実際当たっているんだろう。
「そうだなぁ……私はてっきり、その小包の中の物に心当たりがあって、だからその発想に至ったんじゃないかと思ったんだ。」
「あ、僕……その、ごめん。それが何なのかは……」
表情を一転させて申し訳なさそうにするハリー。
「あぁ待って待って!謝らなくていいよ!ただ、もしさ、中身をもし知ることができたら、教えて欲しいな。」
「……待ってクリス。……ねぇあなた、ハグリッドに聞いたんでしょ?小包の中身が何かって。それで教えてくれなかったのよね?そしてハグリッドは校長先生の指示でそれをグリンゴッツから回収してきた……あってる?」
ハーマイオニーはハリーに向けて確認する。
「……うん。それで合ってるよ。でもそれがどうしたの?」
「やっぱり……クリス?その小包の中身……知ってはいけないのよ。だってそれは校長先生が隠していることなんでしょ?」
「……多分ね。」
……まあそうだろう。知ってはいけない……というか、多分知られたくないんだろうね。私が直接聞いても教えてくれなかったし。
「もし、真犯人が本当にソレを狙っているのなら、ソレはとても価値の高い貴重なものよ。クリスの持っている財産を囮にする程なんだから。そんな物の正体を知ってるってだけで危険だわ!それに、真犯人から狙われる可能性だって……」
隣からロンが口を挟む。
「おいおい。クリスはもう狙われたんだぜ?それに真犯人はもう正体を知ってるから狙ってんだろ?」
口を挟まれたのが不快だったのか、ムッとしてロンを睨むハーマイオニー。
「言われなくてもわかってるわ。''今後も''狙われるかもしれないってこと。1から10まで言わなきゃ分からないかしら?」
「なんだとぉ!?」
どうどう、待て待てロン。
しかしロンの怒りを何処吹く風かと無視するハーマイオニー。
「……ねぇクリス。やっぱり危険だと思うわ。それに、あなた、ハリー・ポッター。調べちゃダメよ。あなたまで狙われるかも。先生方や魔法省……いえ、信頼できる大人が真犯人を捕まえる為に動いてるはずよ?それに任せた方が……」
「大丈夫だよ、ハーマイオニー。私は強いからね。それに、気になるじゃない?私に喧嘩を売ってきた、その原因がどんなものなのか。」
「強いって……」
腑に落ちていないという感情を隠さず顔に出すハーマイオニー。対照的にハリーとロンは少し目が輝いている。男の子だねぇ……今度冒険に誘ってみたら着いてきてくれるかもね。ただ……
「……でもそうだね。狙われる危険は確かにある。ハリー、さっき言ったこと、やっぱり取り消すよ。ソレが何なのか、調べたりしちゃダメだよ?ただの1年生なんだし、私より弱いんだから。……ただまぁ……偶然知っちゃったら教えて?」
……アレ?調べてって頼んだんだっけ?まあいいや、釘は刺したからね。
……何故か余計に目に熱が入ってたけど……多分大丈夫でしょ。
本当にダンブルドア君はもう出したくないですね。
筆者より頭のいいキャラクターなんて作品に出すべきではない。何を言わせればいいのかも、どう動かせばいいのかも分からない……
これ完結までどんだけかかるのかちょっと怖くなってきたので、もう少し意識して投稿頻度早めたいと……思います。
思うだけかもしれないですけども……
次は箒の飛行訓練です。賢者の石半分すら行ってないのマジか。先は長い。