ここだけ名もなき神々の第二王女、アリスの予備機『AL-2S』が存在していた世界線。
アリスの予備機なので、ケイに当たる存在がいない。
何らかの要因で目覚めたはいいものの、自身の機体名くらいで、他のことは何一つ分からない人工知能ちゃんが、アリスとケイに出会い、彼女たちをお姉ちゃんと呼ぶまで。
あいつはこの戦いにはついていけない。
ミレニアム自治区、「廃墟」。
連邦生徒会によって立ち入りが禁じられている廃都市であり、今もなお自立稼働する防衛機構が目を光らせている危険地帯。
その地下工場には、かつてのキヴォトスの支配者だったと思われる名もなき神々が遺したオーパーツが眠っていた。その名は、「AL-1S」。名もなき神々の王女であり、名もなき神々の鍵。そして、世界を滅ぼす魔王。
あるいは、仲間たちと共に道を切り開く勇者。
今では、連邦捜査部シャーレの先生とミレニアムサイエンススクール、ゲーム開発部の面々により、「アリス」と「ケイ」と名付けられ、どこにでも存在する普通のゲーム好きな少女と、そんな少女を見守る侍女としての生活を送っている。
かつては、与えられた使命に準じようとしていたアリスの中の別人格であるケイが世界を滅ぼそうとひと悶着あったが、それは友情と勇気と光のロマンによって解決された。
キヴォトスの空が赤くなった時、プレナパテスとの決戦のため、彼らを守る多次元バリアを突破するために犠牲となったと思われていたケイも、今では人としての肉体を与えられ、人としての人生を送っている。
勇者としての道のりを歩んできた、どこにでもいるゲーム好きな少女アリス。そして、そんな彼女を第一に考えるケイ。
彼女たちは、今では多少の厄介ごとを抱えながらも平和に暮らしていた。
そんな彼女たちのあずかり知らぬ所で、とある少女がひとりでに覚醒しようとしていた。
ミレニアムの「廃墟」、その最奥にて。ゲーム開発部もシャーレの先生も、ミレニアムの二人の天才たちすら見逃していたその場所に、アリスと瓜二つの少女が玉座で眠っていた。
何らかの外的要因が作用したのか、それとも内部プログラムに予期せぬエラーが発生したのか。
原因は定かではないが、しかしその少女は目を覚ました。
彼女の正体は、名もなき神々の第二王女。名もなき神々が遺した王女のサブプラン。名もなき神々の王女に、何らかの問題が発生した際に発動する予備の機体。その名を「AL-2S」。
キヴォトスを崩壊させる存在が、ゆっくりとその目を覚まし――。
辺りを見回し、困惑した。
基本的な知識が全くインストールされていなかったのだ。謂わば、目を覚ました時のアリスと同じ状態。
王女に何かあった時の予備として製造されたその肉体には、「鍵」が存在しなかった。
あくまで王女の肉体に問題が生じた場合の予備パーツであり、その機能を十全に活かすためのプログラムは備わっていなかったのだ。
つまり、ここに存在するのは何も知らぬただの一人の少女。
目が覚めて早々、第二王女は困惑する。
自身が造られたその動機、そして役割はデータベースに存在しない。この無機質な空間で眠っていたこの肉体を起こした人物もいない。自律思考する自動人形は、自身の機能を存分に活用したが、この状況を説明できるだけの情報を得られなかった。
辛うじて分かったのは、自身の名称である「AL-2S」のみ。
それ以外は、何も分からない。
知識面だけを例えるのなら、生まれたばかりの赤ん坊が知らない場所に放り出されたようなもの。何をしたらよいのか、何をすべきなのか。それすらも決定することができない。
自身の使命が存在しないということは、つまり何をしても良いということ。
それを更に言い換えるのであれば、圧倒的な「自由」。しかし、与えられた自由が大きすぎると、人は何をすればよいのか分からなくなる。適度に使命がある方が、目標を定めやすく動きやすいのだ。それは、AIとて同じことだった。
自身の名称しか知らない機械仕掛けの少女は、24時間この場で待機していた。
自分を起こした存在が近くにいる可能性を考慮して、そんな存在がやってくる可能性に賭けて。
しかし、いくら待ってもそんな存在がやってくる気配はなかった。
「……?」
少女は首をかしげる。
この無機質な空間で、自分は一体何をすればよいのか。高性能なAIは、徐々に思考を広げていった。
ありとあらゆる可能性を演算し、機械的に導き出された結論は即ち、情報不足。
疑問を解決するための情報が圧倒的に不足している。これでは、疑問に対する結論を導き出すことができない。
その結論に至った王女は、自身の行動目標を定めた。
「……本機に関する情報の不足を確認。暫定目標として、情報収集を開始します」
こうして、一人の少女は外に出た。ミレニアムの「廃墟」へと、全裸かつ、銃も持たずに……。
そこは、文明的と言うにはあまりに退廃的で、自然的というにはあまりに文明的すぎる世界だった。
人の気配はないにもかかわらず、巡回しているオートマタが存在している。機械が支配する世界。それが、「AL‐2S」が初めて知った外界だった。
青い空。崩壊した文明。そして、巡回する機械仕掛けの人型人形。
どこからどう見てもポストアポカリプス。よもや人類は滅亡し、崩壊後の世界でひとりでに目覚めたのがこの身体なのではないかとすら思えてくる。
しかし、AL‐2Sにそのようなことを考えられるだけの知識はない。人という存在は知っているが、それを実際に見たこともなければ聞いたこともないのだ。
目の前の現実をただ淡々と処理するだけの機械でしかないのが、今の彼女である。
だが、辛うじて生命の痕跡は見つかった。
ある程度、目的もなく彷徨っていた第二王女は、人がこの地を訪れたのであろうと思わしき痕跡を発見する。
この地下工場は、他の廃墟と異なり誰かが訪れた痕跡がある。今まで訪れた場所に放棄されていた機械の数々は、砂や埃を被っていた。だが、この場所には意図的に汚れを排除した痕跡がある。
つまり、誰かがこの地を訪れたということ。
人間が存在する可能性を見出した第二王女は、淡々とその現実を計算し、人間との合流を目指して活動を続ける。
自分は何者なのか。そして、何故起こされたのか。
その答えを探るべく、あるいは答えてくれる存在を求めて。
ひとしきり歩き、徐々に人間の気配が現れてくる。
機械ではなく、一つの生命として自我を持って活動する知的生命体。
彼女の僅かなデータベースに存在する知識と一致する、様々な個体。
人がいるのであれば、話は早い。
第二王女の目的は、自身を定義できる存在の確保だ。
自分がなぜ生まれたのか、なぜ活動しているのか。それを問うために、今は活動しているのだから。
しかし、道端にいる有象無象が自分を知っているとは思えなかった。
とはいえ、情報不足は否めない。
適当に、話が通じそうな人間を捕まえて少し疑問を呈しようとしたところだった。
何やら、周りの人間が自分を避けて、遠巻きにこちらを観察している様子が伺える。
はて、どうしたのだろうか。
社会というものを知らない第二王女は内心で首をかしげる。
この身は人と変わらぬ外見をしているのだから、こうも悪目立ちする理由が解らない。
「あの子……服着て無くない?」
「露出癖でもあるんじゃない? 珍しいけど、キヴォトスじゃ全くないことでもないでしょ」
「っていうか、銃持ってないじゃん!?」
「えっそれはやばくね?」
「危険すぎない? 何か事件とかに巻き込まれてるとか?」
「それなら、誰かに相談した方がいいよね。先生でも呼ぼうかな」
ひそひそと、話し声が聞こえる。
服。
人間が身に纏っている布のことだろう。これを着ていないと、どうやらおかしいらしい。
しかし、彼女にはそれが分かったところで、その布切れを収集する術を知らない。
それも、誰かを捕まえて問うべきだろうと思考する。
そうして、彼女は近場の人間に近づこうと歩き出し――。
「……おや、アリス……では、なさそうですね」
見ず知らずの人間に話しかけられた。
どうやら人違いらしいが、向こうから近づいてきたのなら好都合だ。そう思い、第二王女は応じる。
「肯定。本機の名称は『アリス』ではありません」
「そのようですね。あなたのお名前をお伺いしても?」
「承認。本機の名称は『AL-2S』です」
「なるほど……。私は飛鳥馬トキです」
トキ、と名乗った少女は複雑な表情を浮かべる。
かつて自身が捕らえようとしていた人物であり、今は友人関係である彼女と酷似した外見。そして、その名称。
確実に厄介なものであると理解した。
と同時に、今の問答だけで目の前の彼女が常識に欠如した人物であることも理解した。
銃も持たず、服も着ない。そして、それを疑問にすら思っていない様子。
そんな予測は、彼女から呈される次の疑問でより確実なものとなる。
「理解。トキ、あなたは本機に関する知識を保有していますか?」
「というと?」
「本機は、本機に関するあらゆる情報が不足している状態です。自身の名称、そしてある程度の知識のみ入力されている状態である本機は、端的に申し上げますと、どうしたらよいのか分からないのです」
トキは知った。目の前の女子が生まれたばかりの赤子同然であることに。
そして、害意など全く以て存在していない、ただの人畜無害なAIであるということに。
少々警戒していたが、その警戒心も既になく。
彼女についてはただの女の子として接すればよいと結論付けた。
元より、難しいことを考えるには適している人がいる。
「なるほど。質問に答えましょう。私は、あなたのことを詳しく知りません」
「そうですか……」
今まで表情の変化に乏しかった少女が、ここに来てしょぼんとした表情を浮かべた。
友人であるアリスと瓜二つである彼女が、落ち込んでいる姿を見ると何故だか罪悪感が芽生える。
「ですが、あなたのことを知っていそうな人物には心当たりがあります」
「本当ですか?」
「はい。私はパーフェクトメイドですから、嘘はつきません。ピース」
陰りがあった表情に、再び光が灯る。
アリスともケイとも異なり、瞳の色は輝く黄色である彼女のそれもまた可愛らしいとトキは思う。
そんなことを考え、少しいつもの調子で応答したトキ。
そんな彼女の様子に、第二王女は疑問を抱く。
「……それは、何でしょうか」
トキが突き出した二本の指を見て、どのような意味があるのかを問う。
「これは、一種の挨拶です」
「なるほど……。人間は、そのようなコミュニケーションを取るのですね」
少々、人間に関して誤解をしている彼女であるが、この場においてそれを訂正する人間はいない。
人間とはそういうものなのだと第二王女は学習していく。
「では、本機について知り得る人物の元へと案内していただけますか?」
「構いません。元よりそのつもりでした。……しかし、その前に一度私の家に行きましょう」
「……疑問。遠回りをする必要性が見出せません」
「意味はあります。まず、あなたは服を着る必要がありますから。それに、銃も持っていないようですし」
「人間には、それが必要なのですか?」
「はい。必需品です」
「では、本機が身に着ける服飾品と銃火器を頂けると」
「そういうことです。ですので、まずは私の家に行きましょう」
「承認。貴方に従いましょう、トキ」
物分かりの良い子だなと、トキは思った。
そうして、名もなき神々の第二王女である『AL-2S』は、飛鳥馬トキに従い、彼女の家へと向かった。
◆◇◆◇
場面は変わり、ゲーム開発部の部室にて。
才羽モモイ、才羽ミドリ、花岡ユズ、天童アリス、そしてケイは何やら面白おかしな噂を聞いていた。
曰く――。
「アリスが全裸でミレニアム自治区を歩き回ってたってホント!?」
「お姉ちゃん落ち着いて! そんなわけないでしょ!?」
自他ともに認める底なしの明るさを持ち合わせる、ゲーム開発部シナリオライターである彼女が、同じ部活のメンバーであるアリスが全裸となって街中を徘徊したという噂を耳にしていた。
「……はぁ。確実に嘘だと分かる噂に踊らされないでください。アリス、大丈夫ですか?」
「はい。アリスは大丈夫ですが……」
「うっ。そ、そうだよね。アリスが全裸になるなんてあり得ないよね!?」
呆れた様子のケイが、モモイを諫める。
変な噂を真に受けるなと言うが、しかし。
「……で、でもなんでこんな噂が流れたんだろう……?」
ユズは率直に疑問に思った。
火のないところに煙は立たぬというが、どのようなことがあればそんな突拍子もない噂が立つのだろうかと。
そんなことを考えていると、ふとアリスの端末に連絡が入った。
特異現象捜査部部長であり、ミレニアムの超天才病弱美少女ハッカー(自称)からの連絡である。
『こんにちはアリス。お元気ですか?』
「ヒマリ先輩! はい、アリスは元気です!」
『それはよかった。ところで、ゲーム開発部のみなさんもそちらにいらっしゃいますか?』
「いますが……。どうしたのですか?」
そう言って、アリスは部室にいる全員を見渡す。
そんなアリスの様子に、他のゲーム開発部のメンバーも何かあったのだと察した。
『では、みなさん今からこちらにいらしていただけませんか? 少々、面白いことになっているので♪』
日ごろから何かと世話になっている先輩からの呼び出しとあらば、ゲーム開発部は行かない理由がない。
一体何なのだろうと疑問に思いながらも、彼女たちは特異現象捜査部の部室へと足を運んでいた。
「あれ、先生?」
モモイがとある人物を見つけた。
ヒマリによって指定された場所へと向かう道中、見知った顔が見えたのだ。
“やあ。ゲーム開発部のみんな”
「先生! こんにちは!」
アリスが元気よく挨拶をする。
“みんなもヒマリに呼ばれたの?”
「はい。面白いことになっているからと……。まさか先生も呼ばれているとは思いませんでした」
と、ミドリ。
特異現象捜査部であるヒマリの呼び出しとは一体何なのか。
色々と厄介なことを扱う彼女の部活を思うと、また厄介ごとなのではないかと勘繰ってしまう。
しかし、ヒマリ本人が何ともなさそうだったため、今回ばかりは神を人工的に作り出すなんてことにはならないだろうとは、半ば確信していた。
それでもなんとなく嫌な予感がしてしまうのが、特異現象捜査部なのだった。
そうして到着した特異現象捜査部の部室には、ヒマリとエイミ、それからトキにリオが揃っていた。
錚々たる顔ぶれに、少し面食らうも特異現象捜査部と言えばこのメンバーと言ったイメージが刷りついていたので、あまり違和感はなかった。
しかし、それよりも、彼女たちを最も驚かせた存在がいた。
「ア、アリスが……二人?」
「ど、ドッペルゲンガー?」
「そ、そっくりさんってこと……?」
ミドリにモモイ、ユズが驚く。
アリスとケイは目を見開いて固まっている。
そこにいたのは、アリスとケイと瓜二つな少女。
アリスが青で、ケイが赤だとするのなら、目の前の少女は黄色である。
そうして、驚いていた面々に対して、目の前のアリスとケイに瓜二つの少女が口を開く。
「おはこんばんにちは。ピースピース」
「……なんか、すごく癖の強い挨拶だね」
すごく気の抜ける挨拶をされ、モモイは拍子抜けした。
「疑問。これが人間の挨拶なのではないのですか?」
“うーん……。違うとは言えないけど、一般的ではないかな。もしかして、トキが教えたの?”
ピースというのはトキの口癖。厳密には、ヒマリが教えた口癖だが、今やトキの専売特許である。そんな口調を真似するとは、恐らくトキの影響だろうと先生は推測した。
「はい。パーフェクトメイドたる私が、彼女にこの世界の常識を手取り足取りお教えしました。なので先生、迅速に褒めてください」
「彼女には、実況動画や配信なる人間の娯楽をインプットされました。見始めた当初は、無意味なものだと思いましたが、慣れると案外良いものです」
何やら浮世離れしているアリスと瓜二つの少女。
彼女が一体何なのか、それをまず説明すべく、ゲーム開発部と先生に対して、特異現象捜査部を始めとしたリオとトキが話し始めた。
そうして、彼女が自称『AL-2S』であり、未だ何者にもなれていない、無知な少女であることが明らかとなった。
そんな彼女たちの説明に、ケイは納得する。
つまり、アリスと似たような目的で作られた存在であり、予備のようなものであると。
「……なるほど。私ですら把握していないところで、このようなものが作られていたとは……。呆れるほどの周到さと言えばいいのか、鍵に類する物を用意していない滑稽さを笑えばいいのか分かりませんね」
「『AL-2S』……。アリスと同じ……ですか」
ケイは呆れ、アリスは未だ状況が飲み込めていない。
そんな彼女たちの内心を知ってか知らずか、まあ十中八九知らずだろうが、難しいことは分からないモモイが、率直に思ったことを言う。
「つまり、アリスの妹だね!」
「ふふっ。そうとも言えますね」
モモイの底抜けの明るさに、ヒマリが嬉しそうに反応した。
アリスと同じ目的で作られた存在というのは良く分からなかった彼女だが、アリスと近しい存在であることは理解できた。だとすると、それは姉妹と言える関係だろうと結論付ける。
「あ、アリスの妹……ですか?」
「アリスの妹……。確かに、そう捉えることもできるかもしれません」
アリスとケイ。
二人の当事者は、何やら複雑な気分に苛まれた。
アリスは、自分でも知らなかった妹が突然生えてきたことによる困惑。
ケイは、敬愛するアリスに連なる人物が突然生えてきたことによる困惑。
どちらにとっても、大切な相手であることは分かる。
「名前はどうする?」
エイミが言う。
確かに、それは大切なことだ。
では、彼女の名前はどうするべきか。この場の面々が頭を捻るが、あまり良い案は出てこない。
モモイやリオを始めとした素っ頓狂なネーミングセンスをため息交じりに悉く却下していったケイが、呆れながら一つ提案する。
「そうですね……。なら、ルイスというのはどうでしょう」
ケイの提案したその名が、妙に自分に当てはまるような気がしたのか、第二王女はそれを受け入れた。
「問題ありません。では、今から私の名はルイスとします」
“これからよろしくね、ルイス”
「はい。これからよろしくお願いします。シャーレの先生。それから――」
そう言いながら、ルイスはアリスに近づいた。
そして、ゆっくりと時間をかけながら、あまり変わらぬ表情で、しかし色々な感情が内包された声音で言う。
ついでに上目遣い。
「……おねえ、ちゃん?」
アリスは決意した。
必ず、この可憐で佳麗な妹を守らねばならぬと決意した。
アリスには複雑なことは分からぬ。アリスは、ただのゲームを愛する一人の少女である。
けれども仲間に対しては、人一倍愛着を持っていた。
そんなアリスにとって、妹ともいえる存在が、上目遣いでお姉ちゃん呼びをしてくるのは反則であった。
「……!! 生き別れの妹との再会という最重要イベントですね! 分かりました、今日からアリスはルイスのお姉ちゃんです!」
アリスのテンションは最高潮にまで達した。
今まで、自分は面倒を見てもらうという立場であり、誰かの面倒を見るという立場に乏しかったからだろうか。
妹と言う存在に、高揚感が溢れていた。
「そちらの、ケイという方も私のお姉ちゃんではないのですか……?」
「誰がお姉ちゃんですか……」
「違うの……ですか?」
ゼロ距離からの上目遣い、そして裾をほんの気持ち程度だけ掴むあざとさ。目の前には、アリスと瓜二つの少女であり、自分とも無関係とはいえない少女がいる。ケイは一瞬にして折れた。
「~~~~~~~~~~~~ッ!!! べ、別に特別違うわけでは……!」
「では、ケイお姉ちゃん。これからは妹である私に良くしてくれると嬉しいです」
「わ、分かりました! 分かりましたよもう!! ……って、先生! 何ニヤニヤしてるんですか!?」
ニヤニヤしているのは先生だけではないが、ケイは顔を真っ赤にしながら先生を糾弾した。
そんなわちゃわちゃの中、一番最初にルイスを拾ったトキは、笑顔でいっぱいのアリスに対して、一つアドバイスのような頼みごとをする。
「アリス、そちらのルイスはまだ世間に詳しくありません。よければ、彼女にこの世界の楽しさを教えてあげてくれませんか?」
「……了解しました! アリスの最重要クエストですね。では、今からルイスにこの世界で最も楽しいことを教えてあげます!」
「……それは、一体何ですか?」
ルイスは問う。
自らの姉が自信を持って言う、この世界で最も楽しいこととは何か。
興味半分、疑問半分。
未だ世界というものが全く理解できていない彼女は、自身の姉であるアリスがこれほどまでに豪語するほどのことが本当にあるのか分からなかった。
そんな彼女の顔を見ながら、アリスは笑顔で、ゲーム開発部のみんなの姿を見る。
そして、ルイスの方を振り返り、満面の笑みで言い放つ。
「それはもちろん――」
――ゲームです!
完
物語のはじまり告げる~。
末っ子属性のアリスに妹がいたら、めっちゃはしゃぎながら一緒にゲームしそうですよね。ルイスの手を引っ張ってゲーセンに行ってそう(存在しない記憶)。それを優しい目で見るのが、ケイちゃんなんですよね。(幻覚)
続きは置いてきた。
ハッキリ言ってこの戦いにはついていけない。
誰か書いてちょ。
あ、良ければ感想など頂けると嬉しいです。