さて、リアルイベントとなるとハコの大きさは重要だ。
「私とヤチヨもいるとはいえ、メインはかぐやだからな〜、どのくらい動員できるか読めないな。」
自室に籠もって思案を続けていた。それはもう頭をフル回転させながら。金を失うだけならともかく、ガラガラの会場で歌うのはシラケる。
「大丈夫だって、ファンは私のことを覚えてくれてる。スターの輝きは決して失われることはないよ」
懐かしい台詞だな。古典作品をかぐやも履修したのか?
「それ『忘れられたスター』のやつ?」
「なにそれ?」
たまたまセリフが被っただけのようだ。可愛らしく小首を傾げてる。
「刑事コロンボってアメリカのドラマの話。倒叙モノのはしり」
「面白そう。教えて。彩葉の考察とか感想とかも一緒に聞きたい」
確かにそういう点もあるか。人に言われて気づく視点もある。そして私は説明を始めた。
主人公は冴えない容姿の刑事であること、犯人は富豪の妻であること、富豪の妻はかつてのスターでカムバックしたがってた事、しかし富豪に反対され協力を拒否されたので殺害してしまったこと、夫がカムバックに反対した理由は彼女が脳の病気であったこと、彼女はその病気のせいで記憶障害になっており自分が夫を殺したことすら覚えてないかもしれないこと、それを知ったかつての共演者で彼女に恋してる男が身代わりに出頭すること。
「何それ‼️超バッドエンドじゃん‼️そんな終わり方ってないよ〜〜〜〜‼️」
号泣しはじめた。まあ、気持ちはわかる。これは悲しいお話だ。
「だからそういう物語もあるんだって、それにバッドエンドだからそ強く伝えられるメッセージもあるの」
ハッピーエンドは幸せな気持ちを残してくれるが、バッドエンドだからこそ強く残る印象もあるのだ。問題的などの場合はそのほうが教訓になる。
「例えば?」
「このお話なら・・・『悪いニュースでも言わなければいけない時がある』とか『親しい人が夢に反対しても、すぐ敵認定しないで事情があるかもしれないと立ち止まって考えろ』とか・・・あとは・・・」
自分の半生をふりかえってどうだったろう?教訓を活かせてたかな?いまからでも活かそうか。
「あとは『いつお別れが来るかわからないから大切な気持ちは伝えられる時に伝えておけ』とかじゃないの?」
私は父さんにキチンと伝えられていただろうか。母さんにはなんて伝えれば良いのだろうか。
ギュッ
かぐやは私に抱きついて、ストレート伝えてきた。
「彩葉大好き」
私もストレートに返そう。
「知ってた」