https://guide.fire-emblem-heroes.com/03099001000249-2/
イシュタル&ユリア
https://guide.fire-emblem-heroes.com/03079001001242-2/
アリオーン
https://guide.fire-emblem-heroes.com/03091002001002-2/
こちらを睨みつけたまま、ズィーベンが口を開く。
「ロプトウス、あなたは下手くそ。
魔将の正しい使い方を全く分かっていない。
所詮、道具だね。使われる側にしかなれない」
まだ神に対して講釈を垂れるか。
だが、イシュタルを取り戻すまでは殺せない。
「意思が無いのだから、抵抗されるような命令をすべき。
生産機にするなり、情のある相手に戦力としてぶつけるなり。
こんな便利な道具、私が使わないとでも?」
生産機。
その言葉はズィーベンから習った。
極端に聖血が減った時や、敵の直系を絶やした後に行う手法。
……まさか‼
「イシュタルを汚したな‼
なんでだユリス‼ どうしてそんな酷いことを‼」
セリスは生きていたと言っていた。
顔を出させないと約束をしたと糾弾していた。
……わざわざ殺して魔将にしたんだな‼
それで凌辱したんだ‼
魔導書から強引に闇を引き出す。
忌まわしい日光を遮る程度では怒りが収まらない。
「命じて聖雷を暴発させる。
まともなら、自分の神器を壊すだなんて断られちゃう。
直系にその力の証を否定させるなんて、最上の刑罰。
中々良い使い方でしょう?」
イシュタルがこちらに振り返る。
彼女の持つトールハンマーの魔導書に魔力が集まっている。
まさか……ユリスは本気で聖雷ごとイシュタルを殺すつもりなの⁉
「慙死だけは勘弁してあげている。意思が無いから屈辱も感じないよ。
道具にも心を配る、最高の主。これがあなたとの違い」
不味い。
神々すら想定しない涜神の威力は知らん。
我の守りですら耐えられるか分からん。
「雷は愛があるから落とすもの。
雷神様に愛されていないあなたは耐えられるかな?」
「異常者め‼
神器を何だと思っている‼」
そんなことよりイシュタルだ‼
このままだと死んじゃうじゃないか‼
洗脳しなきゃ‼
無駄だ。ズィーベンは我が眷属。
我が影響下にあるからこそ、遵守令は効かない。
同じく魔将にされた女にも効果はないだろう。
対話で女を取り戻す以外にない。
「暴発のさせ方は教えたでしょう。
魔力収束を誤る、詠唱を間違える、使うことの出来ない魔導書に手を出す。
まあ、費用に見合わないからヴェルトマーの人間くらいしか手札にしないけどね」
聖炎へとズィーベンの魔力が集まり始める。仄かに竜石が光を宿し始める。
こいつは物狂いだ。
神への冒涜を、自らだけでなく人形にまで背負わせようとしている。
まして、資格も無いのに神器へと手をかけている。
天に唾するだけでは済まない。怖気が走る。
「貴様は聖炎を祀っていた‼
我だけでなく、火竜の背信者になるつもりか‼
どうせ傍系には使えない‼ 無駄なことはよせ‼」
不気味にズィーベンが微笑む。
背筋を虫が這うような感覚がする。
「火神サラマンド様は人の意思を認めてくださった御神格。
唯一、神器に人間の名前を冠してくださった。
自分の名前を付けたあなたや他の十二神とは違う」
ファラに連なる者なら、ファラフレイムと火神様のことを蔑ろになんてできない。
でも、ユリスは聖炎を壊そうとしているじゃないか。
「罰は受けるよ。
だとしても、裁かれるのが怖いからって足を止める方が嘆かれてしまう。
信じて下さったかもしれない御方を裏切るつもりはない」
だからってそんな罰当たりな事、出来る筈が無い。
「暗闇へ真っ先に足を踏み出し、照らし続ける。それがファラ様より前から続く系譜。
その証明は生まれた時点で終わってる。それを絶やさずに受け継いで往くのが私たち」
……僕とユリアがファラフレイムを使おうとした時、母さま達が止めてきた。
傍系にだって暴発ならさせられるかもしれない。
他の魔導書と同じで、神器であっても例外じゃないのかも。
「火神様が私の覚悟に応えて下さらなくても構わない。
御照覧を賜れずとも、背くような浅い信心なんて持ち合わせていない。
神様に頼りきりなんて、それこそ私達を失望させてしまう」
あの日、父上が僕とユリアに聞かせてくれた。
聖炎が使えなくたって、火を宿せる。僕達は一灯なんだって。
「神器みたいな形のある約束はなくてもいい。
だからといって、それを蔑ろになんてするつもりもない。
世界を照らすのは、別にナーガの専売特許って訳でもない。
聖戦を終わらせ、闇を塗りつぶす希望の光になるなら悪くないでしょう?」
……そうだね。
悲しみの繰り返しを止める口火になれるのなら、聖炎も許してくれる。
「夫婦関係もそうだろうね。
べたべたとくっついている必要はない。
片方だけでも分かっていればそれでいい」
何を言っているんだ。
今は恋愛なんて関係ない。
「異教徒だろうが、マンフロイさんもそこの所は理解してくれていたよ。
利益がなければ成り立たないなんて、商売じゃないんだから。
幼稚なあなたたちには、早かったかな?」
さっきからユリスは何を伝えたいんだ。
「それに、受け継いだものは一つだけって訳でもない」
ユリスが聖炎とは別の魔導書を取り出す。
ボルガノンだ。
あの一冊だけはユリスがいつも大切に手入れをしていた。
父上と叔父さんからヒルダへ、そしてユリスへと託された炎の魔導書だ。
僕にも滅多に貸してくれなかった。
「ロートリッターは皆承知しているよ。
炎の紋章に纏わる者は、ユリウス様以外は覚悟が出来ている」
僕だけ……仲間外れか‼
また置いて行くのか。
どうして、僕にも教えてくれないんだ。
父上も、ユリスも、言ってくれなきゃ分からないじゃないか‼
いつも何も言わずに離れていくんだ‼
横から声がした。
「ユリウス様‼
どんなに辛い行先だろうと、共に歩みます。
私はユリウス様を愛しています‼」
イシュタルに手が握られる。
―――――
手が暖かい。
涙目で僕を見ている。
ユリスの命令が無くても動いている。
イシュタル……。
イシュタルが生きている‼
「人形で情に訴えるか。
その程度で神が謀れるとでも思ったか‼」
「魔将なんかにすると思ってたの?
もっと上手い使い方がある。術者が倒れたら終わりだなんて、道具失格。
ほら、あなたには私という魔将の最高傑作がいるでしょう?
欲は身を亡ぼすよ」
やっぱり生きているんだ‼
「ユリウス様、これまで申し訳ありませんでした。
貴方と邪神を混同してしまっていました。
ですが、私はユリウス様を置いて行ったりしません‼」
最初は僕自身ですら分からなかった。
イシュタルが気に病む必要は無い。
僕が悪いんだ。
「どんな最期になろうと、お側に置いてください」
「ズィーベン‼
貴様は自らの命綱を手放した‼
殺さない理由が無くなった‼」
イシュタルが僕の手を強く握る。
「ユリウス様、邪書を暴発させてください」
彼女の瞳から涙が零れている。
「一度亡くなっても、聖杖で蘇れるかもしれません。
この戦いの後も共に生きていきましょう」
僕には、まだ道が残っているのか。
ここで解放軍と戦う以外の選択肢が残っているのか。
「蘇っても良いことは無かった。私の体験談。
だけど、あなたはズィーベンを名乗りなさい。私からのプレゼント」
ユリスが読み上げるように朗々と語り始めた。
「ユリウス皇子殿下は、邪神を自ら宿し世界から追放した。
その作戦のためアルヴィス皇帝陛下は汚名を耐え忍び、故意に悪虐を尽くし世を乱した。
皇子の名前は、マイラの末裔をロプトウスから永久に解放した英雄として語り継がれる。
最後まで同行した配下のズィーベンは聖炎と共に燃え尽きるも、神の奇跡で蘇る。
その後は皇子に託されたヴェルトマーを神器が無くとも背負い続ける。
これが歴史書に記される」
ユリスは僕との誓いを守ろうとしているんだ。
僕がロプトウスに負けたから、ユリスも自ら命を賭して終わらせようとしている。
それでも、僕には別の道を用意していてくれた。
だけど、僕は……生きてもいいんだろうか。
アリオーンから故郷を、イシュタルからは家族を奪ってしまった。
こんなに邪神の力を振るったのに、ユリスの名前を貰って生きる価値はあるのかな……。
それにそうしたら、ユリスが誰からも忘れられてしまうじゃないか‼
「その年で死に逃げなんて虫が良すぎる。
どうあれ、やったことの後始末はしないといけない。
あなたが皇子だというのであれば、その姿勢くらいは見せなさい」
違う。奴等の虚言だ。
完全な死者蘇生など、我ですら不可能だ。
「背信者‼
楽観視による空想だ‼
聖杖の効果など、幻想にすぎない‼
反逆者共がどうして我らに使う‼」
強く手が握られる。
「再び共に歩むことが叶わないのであれば、私も死出の旅路に参ります。
……ティニーには、フリージの重荷を押し付けてしまいますね」
……イシュタル。
そんな悲しい顔をさせるつもりはなかったんだ。
泣きながら聖雷を握るなんてしてほしくなかった。
ただ、君には幸せになって欲しかった。
嫌だけど隣が僕でなくても、君だけは祝福されてほしかった。
「ユリウス様が邪神と化すのであれば、私が殺します。
そのまま神の槌で裁かれます。冥府では、私を娶ってくださいね」
そんなことさせられない‼
イシュタルだけは何としても生きてもらう‼
「必要ない。
この場で背信者を誅し、イシュタルを洗脳すれば良い‼
もう一度、我らの意のままに従わせれば解決する‼」
大きな羽ばたきが声を遮る。
闇の霧を吹き飛ばす暴風が吹き付けてくる。
「ユリウス‼ イシュタル‼ 何をしている‼
ユリス、説明しろ‼」
アリオーン‼
―――――
アリオーンが人を抱えて飛竜から跳び降りる。
飛んだままの飛竜の手綱を付いていたもう一人の竜騎士が掴む。
靄が薄くなった中、ユリスが一つの指輪をアリオーンへ投げる。
「これから魔力が吹き荒れる。
シールドリングを持っていなさい」
「皇女が持っていろ。私には必要ない」
抱えられたままの銀髪の女性に指輪が押し付けられる。
「私たちが闇を晴らす。
殺しきれなかったら、アリオーン様に任せる」
「そんなもの必要ない‼
こいつは抗っている‼
私はユリウスの想いを届けに来た‼」
天槍の穂先をユリスに向けている。
アリオーンは今でも僕のことを信じてくれているんだ。
「家の恥は身内で片づけたかった。
その様子だと、ユリア様は無理そうだからね」
アリオーンに抱えられたままの女性が地面に下ろされる。
「あなたたちをこれまで訓練で対峙させ続けた。
アリオーン様、闇魔導士への対処法は覚えているでしょう?」
ユリア……。
昔よりも随分大きくなった。
母さまに似た、綺麗な銀髪だ。
だけど、白く輝くナーガの魔導書を抱えて、泣きながら震えてしまっている。
そんな姿をさせるつもりはなかったのに。
神書を手にしたあの日、僕が負けたせいだ。
「ユリウス様との友情を取ったんだったら、もう少しだけ付き合って」
「違う‼
友へ加勢しに来たのだ‼
ほら、ユリア皇女を連れて来た。お前の妹だ。
ユリウスがロプトウスに負ける訳がない‼
黒蛇を支配下に置いて見せると私に誓った‼」
……そうだ。
僕達は、約束をした。
アリオーンと僕だ。ロプトウスじゃない‼
「ナーガ‼ どうしてこの場に‼」
「妹に後始末をさせるつもり?
その方が楽だし、確実ではあるだろうね」
そんなことはさせない。
ユリアはこれまで十分苦しんだ。
ユリアの背後に居た、もう一人の竜騎兵が視界に入る。
あれがアルテナ王女か。
アリオーンから聞いていた通りの見た目だ。
アリオーンも兄として、妹を守ってみせた。
だったら、僕だけ最後を妹に押し付けるなんて格好が悪い。
ユリスへと向き直る。
目を刺すような赤光。
聖炎の竜石から放たれている。
「敗者がいつまでもみっともない。
長すぎる夜更かしだったね。偽物だけど、太陽を拝ませてあげる。
聖炎による葬送、光栄に思いなさい」
分不相応な挑戦への罰か、闇を浄化する聖火が溢れようとしているのか、魔導書から熱が放たれている。
まだユリスは詠唱も、発動もしていないのに、僕の喉から水分は奪われていく。
ユリスのつぎはぎだらけの左腕だけが融け始める。
段々とその表面の縫い目が、融解した皮膚で分からなくなっていく。
ユリスは急いで聖炎が納められていた箱の中にボルガノンを入れて、投げつけてきた。
「ファラフレイムは応えてくれるみたい。
だったら、それを巻き込みたくない。
……手入れは頻繁にして。
はたくだけじゃなく、ブラシもしっかり使って。修理屋任せは許さない」
投げた勢いで左腕はユリスの身体から外れ、地面に落ちる前に完全に蒸発して染みすら残らない。
箱に付着した肉も、熱だけを残して消えていった。
僕はボルガノンを辛うじて受け止められた。
蒸発しても仄かに残った熱が僕の心を温めてくれる。
懐にしっかりとしまい込んで、口を開く。
「そろそろだね。僕達以外は離れて‼
ちゃんと僕が終わらせるから、安心して‼」
ユリスは残った片腕で聖炎を抱いて立っている。
前かがみで、訓練の時でも見たことが無い程余裕がなさそうだ。
竜石の発光は真紅を超え、白へと変わり始めている。
僕だって、火を継いだんだ。
前例のない道へ踏み出して、照らし出してみせる。
友人に向かって叫ぶ。
「アリオーン、ユリアをお願い‼ 約束だ‼」
ユリアに向けて微笑みかける。
「僕との約束を守ってくれた友達なんだ。
ユリアはなんにも心配しなくていいよ。怖いことは、すぐに終わらせる。
ナーガを使う必要もなくなるから、離れていて」
「にいさま‼」
アリオーンがユリアを攫うように連れて空へ飛び立つ。
繋いだままのイシュタルの手を一度強く握り返し、もう一人の銀髪に声をかける。
「イシュタル、また後で会おう‼ また君とお茶会をしたいんだ‼」
イシュタルは何も言わずに走って行った。
―――――
黒靄をズィーベンとの間に展開する。
魔導書に蓄えられた全ての暗黒を吐き出し、世界を闇に包みきる。
ユリウスの意思など関係ない。我が背信者をこの場で殺す。
闇で我が真体を模した形を作り始める。
「ロプトウス、寂しいの?
分身を作るだなんて、よっぽどだね」
ズィーベン‼
まだ神を愚弄するか‼
飲み込まんとする闇の牙が、ズィーベンの前で止められる。
「僕は、寂しかった……」
邪魔をするな‼ 今はズィーベンを殺せ‼
貴様も死ぬのだぞ‼
聖杖の効果など、この異常者が宣っているに過ぎない‼
「君のせいで僕の周りから人が居なくなっていった。
僕に母さまを殺させたのは君だ。
許すことなんて、絶対に出来ない」
責任転嫁など醜いぞ。
「だけど、君が居てくれたから僕は泣くだけじゃなかった。
これまで気が付けなかったけど、いつも闇は慰めてくれていた‼
君のおかげで、ユリスやアリオーンとも出会えた‼
闇は僕にとって、欠かせない相棒だったんだ‼」
我が失われたらどうなる。
貴様は我のために作られた。
創造主にして、守護神を捨てるつもりか‼
「だから、一緒に聖戦を終わらせよう。
僕はファラの系譜だ。だけど、それだけじゃない。
君を滅ぼすヘイムの血も入ってる」
聖痕すら発現しなかったヘイムの血など、無いも同然だ。
ユリウス、お前は忌々しいナーガではなく、我の末裔なのだ。
親といっても過言ではない。尊属には従うものだ。
「それに君の血も継いでいる。聖騎士マイラや父上と同じだ。
君の血が、どんな暗闇の中でも進んで行ける強さをくれたんだ。
だから、半身を一人きりにするなんて簡単な道は選ばない。
僕はその寂しさを知っているんだ、君を一人になんてしない‼」
ユリウス、もう一度思い出せ。
我と貴様は不可分だ。我らであれば、世界を恣に出来る。
ズィーベン以外は洗脳すればいい。
それが人間如きを超えた神の道だ。
「だから、僕は君を離さない‼
ロプトウスの末裔だって、聖戦士に成れる‼
それすら超えた英雄にだって、君となら成れる‼
僕がロプトウスの継承者だ‼ 君を使うのは、この僕だ‼」
ユリウス‼ 止めろ‼
書に魔力を込めすぎだ‼
このままでは本当に壊れてしまうぞ‼
「結局、働いてばかりで可愛いお嫁さんにもなれなかった。
挙句、恋人でもない相手と心中ばかりで情が薄い女みたい。
これじゃあ、ファム・ファタール」
ズィーベン‼
貴様の望む男も用意してやる。
貴様が存在することも許してやる。
今再び、闇を吹き込み生き長らえさせてもやる。
「今回のお相手は魔導書もどき。家柄も悪いし、お茶会すらできない。
せめていい男なら心中した後冥婚する気になるんだけど。
シグルド先輩の時ほど痛くないといいな。聖炎にくべられるまでが辛いんだ。
むしろ、今回は殉死が適切かな。この私が副葬品だなんて贅沢。
まあ、あなたの家臣でも信者でもないけどね」
我への不敬も寛恕してやろう。
だから、ユリウスを止めろ‼
「それでも、アゼルみたいな度を超えたお人よしに会えた。
あなたは感情を口に出せるだけ、アルヴィス様や私より立派だよ。
会えたのがドラちゃんじゃなくて、未熟なあなたで良かった」
我を笑うな‼
何が可笑しい‼
「だから、後は任せた。頑張り過ぎないで」
「おやすみ、ユリス。ベッドじゃなくてごめんね‼」
苦し気に微笑んだユリスが片手で天へと聖炎の魔導書を掲げる。
「失敗のお手本を見せてあげる。昔、アルヴィス様にも注意された。
音が似ているからって、間違えちゃ駄目だよ」
昔は僕も区別がついていなかった。
父上や母さまだけじゃなく、色んな家臣からも口酸っぱく注意された。
ユリアなんて、フレイムなんて魔法があると思ってた。
みんな、間違えたんだね。
ユリスが口元を緩ませて、軽く息を吐くようにつぶやいた。
「ファイヤー」
誤った詠唱を終えた途端、跡形も無くユリスの身体は融けてゆく。
支えを失った聖炎が地面へと向かって落ちていく。
大地に落ちた聖炎の竜石が砕ける。
その最奥から白光が放たれる。
闇を焼き尽くす灯が広がり、何も見えなくなる。
だけど、暖かさだけは感じられる。
これで、終わりにしよう。
僕もロプトウスを暴発させる。
―――――
どこか焦げたような匂いがする。
身体がゆすられる。
目を開けると、中天の日差しが眩しい。
手をかざして遮る。
「ユリ……ズィーベン様」
銀髪の女性が、泣いている。