両津勘吉がデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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第4兆円:水泳

亀有公園前派出所の裏。

 

普段はゴミ箱と古い自転車が置かれているだけの、なんの変哲もない場所だ。

だが――

 

「ククク……」

 

わし、両津勘吉はその壁を見てニヤニヤしていた。

 

「どうした両津、変な壁見て笑って」

 

横で死神リュークが聞いてくる。

 

「お前本当に人間か?変態みたいだぞ」

 

「うるさい!」

 

わしは壁の下にあるマンホールのような鉄板に手をかけた。

 

ガコン。

 

すると壁の一部が横にスライドした。

 

「おお、秘密基地みたいだな」

 

リュークが感心する。

 

「当たり前だ!」

 

「10兆円だぞ!」

 

「これくらい厳重じゃないと困る!」

 

暗い階段が地下へ続いている。

 

わしはライトをつけて降りていく。

 

階段を降りると、いきなり金属製の扉があった。

 

その横に――

 

指紋認証装置。

 

「おお、未来だな」

 

リュークが言う。

 

「未来じゃない!」

 

「10兆円のセキュリティだ!」

 

わしは手を置いた。

 

ピッ。

 

【認証】

 

ガコン。

 

扉が開く。

 

だがまだ終わりじゃない。

 

その奥にさらに扉。

 

鍵穴。

 

わしは浅草ロッカーで手に入れた巨大な鍵を差し込む。

 

ガチャン。

 

開く。

 

そして――

 

また扉。

 

また指紋。

 

また鍵。

 

「おい何枚あるんだ」

 

リュークが呆れる。

 

「5枚だ」

 

「10兆円だからな」

 

「防犯も5重だ」

 

そして最後の扉。

 

わしはゆっくり鍵を回した。

 

ギィィィ……

 

扉が開く。

 

その瞬間――

 

ライトが自動で点いた。

 

 

 

目の前に広がっていたのは

 

 

 

1万円札の山。

 

 

 

床一面。

 

棚一面。

 

壁一面。

 

 

 

全部――

 

万札。

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

わしは叫んだ。

 

「これ全部わしの金だぁぁぁぁ!!!!」

 

ダイブ!!

 

 

 

ザバーーーッ!!

 

 

 

1万円札の海に飛び込む。

 

「最高!!!!」

 

わしはクロールを始めた。

 

「10兆円クロールだ!!」

 

ザッバザッバ!!

 

「ほれ見ろリューク!」

 

「金のプールだ!」

 

「世界一贅沢な水泳だぞ!」

 

わしは平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎを次々に披露する。

 

「部長見てるか!」

 

「ボーナスで怒るからこうなるんだ!」

 

「これ全部ボーナスだ!」

 

万札を両手で持ち上げて

 

「万札シャワー!!」

 

バサーーー!!

 

紙幣が舞う。

 

「ぐわはははは!」

 

「1万円札で布団作るぞ!」

 

バサバサバサ!!

 

「万札まくら!」

 

「万札毛布!」

 

「万札パンツ!!」

 

リュークが笑い転げている。

 

「お前面白すぎるぞ!」

 

わしは金の山に寝転がった。

 

「う〜ん最高」

 

「これで毎日うな重だ!」

 

「寿司だ!」

 

「フェラーリだ!」

 

「ロケットも買う!」

 

「部長の家の前に10億円ばらまいてやる!」

 

「これが資本主義だ!!」

 

リュークが聞く。

 

「じゃあ明日から豪遊か?」

 

その瞬間――

 

わしの顔が真顔になった。

 

「……」

 

「どうした」

 

わしは腕を組んだ。

 

「でもよぉ……」

 

「この金普通に使ったら怪しまれないか?」

 

リュークが首をかしげる。

 

「怪しい?」

 

「ああ」

 

わしは指を立てる。

 

「考えてみろ」

 

「両津勘吉、警察官」

 

「急に金持ち」

 

「どうなる」

 

リュークが言う。

 

「……逮捕?」

 

「そうだ!!」

 

わしは叫ぶ。

 

「わしは公務員だ!」

 

「最近は副業解禁とか言ってるが」

 

「警察はダメだ!」

 

「絶対部長が反対した!」

 

わしは部長の声を真似する。

 

『警察官が副業など言語道断だ!』

 

「絶対こう言ったに違いない!」

 

リュークが笑う。

 

「頭固いな」

 

「つまり」

 

わしは真顔で言う。

 

「わしが金持ってたら疑われる」

 

「デスノートで金稼ごうとした奴も」

 

「金の流れからバレて捕まったと聞いたことがある」

 

リュークが言う。

 

「じゃあどうする」

 

わしはニヤリと笑った。

 

「そこも考えてある」

 

「ほぉ?」

 

「わしらしくないが……」

 

わしは言った。

 

「お金を捨てる」

 

リュークが固まる。

 

「……は?」

 

「どういうことだ」

 

わしは万札の山に座りながら言った。

 

「まぁ見てろ」

 

「リューク」

 

「わしの天才作戦を」

 

ニヤリ。

 

「金を捨てて」

 

「合法的に大金持ちになる方法をな」

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