今回は前回のヴィヴィオ視点のお話になります。
今回はオリ主をめぐって微笑ましい戦いを繰り広げるなのはさんとフェイトそんがいますが、そういうものだと思ってください(白目)
真面目に答えるなら、身近にいるこの上ない優良物件だからですかね。稼ぎもいいし、お堅いようで隙だらけだし。
なによりヴィヴィオはもちろん、なのはさん、フェイトそん本人に対しても好意的ですしね。本能的に逃すわけには行かないと思ったのでしょう(適当)
特になのはさんはヴィヴィオがオリ主(黒髪、緑目)とフェイトそん(金髪、赤目)の子どもに見えるからメチャクチャ焦ってると思います。多分画面外でフェイトそんと牽制し合っていたのではないでしょうか。
感想、評価、お気に入り等、大変励みになります。応援ありがとうございます!
時間のあるときにでも寄越してやってくださると、泣いて喜びます。
前置きが長くなってすみません。それでは本編をどうぞ。
☆
『この子が例の保護児童か?』
『はい。……ヴィヴィオ、ご挨拶しよう?』
わたしがなのはママ達に拾われてしばらくのことだった。黒くて、大きな男の人―――後のおとーさん―――と初めて顔を合わせたのは。
その頃のわたしは他人に怯えきっていて、なのはママの後ろに隠れることしかできなかった。なのはママは苦笑いを浮かべながら、わたしをおとーさんに向き合わせようとするが、当然わたしもゴネる。
わたしが徹底して嫌がる様子を見せたことをおとーさんに謝っていたなのはママには申し訳なかったが、あの頃のわたしはそれほどまでに他人が怖かったのだ。
しかし、そんなわたしを見かねて、おとーさんがついに動いた。
『いや、これは失礼した。挨拶をするのに目線を合わせないなんて、基本がなっていなかったな』
『……だれ?』
『私は高町一尉……君のお母さんの上司にあたる者だ。……一緒に働いている、おじさんとでも思ってくれ』
膝を折り、おとーさんの腰ほどの高さに当たるわたしの顔へ、高さを合わせて話しかけてくれたのだ。敵意や害意など一つも感じられない緑の瞳に、わたしの視線は吸い寄せられていった。
そして、胸に生まれたある思いが、一つの言葉になって溢れた。
『―――じゃあ……パパ?』
『な、ヴィヴィオ!?なにを言ってるの!?』
『……そうだな、私のことはおじさんでいいぞ。流石に高町一尉が可哀想だし』
顔を真赤にしてあたふたするなのはママと、苦笑を浮かべながら訂正を要求するおとーさんが対照的だったことをよく覚えている。
『う〜……でも、パパって感じがする……』
『……仕方ない。どうしてもそう思うなら、君の好きにすれば良いさ。でも、せめてお父さんと呼んでくれ』
『……おとーさん?』
『そうだ。それなら私は構わんよ』
『おとーさん……おとーさん!』
嬉しさのあまり、何度も何度もおとーさんと呼ぶわたしに、おとーさんは優しく微笑んでくれた。
それが、私とおとーさんの始まりだった。
☆☆
その後、あれよあれよと話が進み、わたしはなのはママやフェイトママと一緒に暮らすようになった。毎日のお仕事が終わった二人と一緒に過ごす時間は、とても温かくて、かけがえのないものだったと思う。
でも、そこにおとーさんがいないことだけは、ほんの少しだけ不満だった。おとーさんと呼ぶのは良いのに、なぜ一緒に暮らしてはくれないのか?その頃のわたしは、そこだけが気になって仕方がなかったのだ。
……思い返せば、おとーさんとなのはママやフェイトママは結婚しているわけでもないので、当然の帰結である。でも当時のわたしには、そのことを知る術はなかった。……正直なところ、面白くなかったのである。
そんな小さな不満を胸の内に押し沈め、穏やかな日々を過ごす。時折おとーさんのことを話題に上げても、顔を真っ赤にした二人に話を逸らされた。
―――そして、積もり積もった不満が限界を迎え、ある日の食卓で決壊してしまう。
『ねぇ、なのはママ……。おとーさん、今日も帰ってこないの?』
『え!?……あのね、ヴィヴィオ……。おとーさんは……』
『やだやだ!もうヴィヴィオ我慢できないもん!おとーさんもいないとやだー!』
『ちょっと、ヴィヴィオ……!』
『ずっとおとーさんが帰ってこないのに、二人はさみしくないの!?ヴィヴィオさみしいもん!』
わたしの癇癪に驚いたのか、それとも夫婦扱いされたことに気恥ずかしさを覚えたのか、なのはママとフェイトママは固まってしまった。その間も喚き続けるわたしを止められる人はおらず、しばらく経ってわたしが落ち着いてから食事が再開された。
その翌日のことだ。仕事が終わったなのはママとフェイトママが帰ってきた。そして、その後ろには―――。
『おとーさん!!』
『ぐふっ。……今まですまなかったな、ヴィヴィオ』
『これからずっと帰ってこれるの!?』
『ずっと!?ずっとかぁ……流石にそりゃ無理だが、できるだけ帰ってこられるように頑張るよ』
『えーっ!?毎日帰ってきてよぉ!』
『すまんな、無理なもんは無理だ。……飴玉やるから、機嫌直してくれ』
『やったあ!おとーさん大好きー!』
『ははは、こりゃあまたえらく懐かれてしまったなぁ』
ついにおとーさんが帰ってきてくれた!恐らく二人が掛け合ってくれたのだろう、おとーさんは嫌な顔一つせず話を合わせてくれた。……なのはママとフェイトママは照れるような、申し訳ないような顔を浮かべていたけれど。
それでも、この時わたしは本当に嬉しかったのだ。これからは家族四人の生活が始まるのだと、期待に胸を躍らせていた。
☆☆☆
『あうっ』
『ヴィヴィオ!』
公園で遊んでいた時に、わたしがコケて泣きだしてしまった。フェイトママはすぐに助け起こそうとしてくれたが、なのはママはそれを制止し、自力で立ち上がるように促してくれた。
ではおとーさんはどうしたのか?それは……
『大丈夫か!?……立てるか、ヴィヴィオ?』
おとーさんは、わたしの眼前に手を差し伸べてくれた。でも、それだけ。わたしが立ち上がったら自力でママたちの所に向かうように言ってきたのだ。
わたしは痛くて無理だと言ったのだが、おとーさんはママたちを安心させてやれ、と言ってそれ以上の手助けはしてくれなかった。
でも、それが意地悪で言っているのではなく、わたしのためを思ってくれた言葉だということは理解できたから、なんとか頑張ってママたちの所へたどり着くことはできた。……その後、安堵から泣き出してしまったけれど。
『―――よく頑張ったね。偉いよ、ヴィヴィオ。……ところで三佐?ヴィヴィオを甘やかしすぎじゃありません?』
『いや……すまない、高町一尉。放っとけなくて、つい……』
『……でも、私たちを安心させるために頑張れ、って言ってくださったのは嬉しかったです。ありがとうございます、三佐』
『そうか……どういたしまして、ハラオウン執務官』
『……むーっ、なに二人で通じ合ってるんですか。ヴィヴィオも落ち着いたし、行きましょう?』
『あ、あぁ。……なんか機嫌が悪いな、高町一尉……』
『あうう……』
『……おーい、ハラオウン執務
……思い返すとヤキモチ焼いてたんだなぁ、なのはママ。それにフェイトママも照れて固まっちゃってたし。……全く気づいてないおとーさんもどうかと思うけど……。うん、おとーさんだしなぁ……。
その後、わたしたちを見たおばあちゃんから、おとーさんとフェイトママが若い夫婦だと誤解されたりもしたなぁ。そうしたらなのはママが腹を立てたり、フェイトママがショートしちゃったりもしたっけ。その逆パターンもあったしね。
でも、わたしがおとーさんの娘であるという認識だけは覆ることがなかった。密かな自慢である。
☆☆☆
でも、楽しい時間というのはいつまでも続くものではないらしい。JS事件、と呼ばれる大事件が起きてしまったからだ。
わたしの身柄を目当てに、色んな人が傷つけられた。多くのものが壊されてしまった。もちろん、おとーさんたちも。
『待てよ……。人の娘を攫っていこうなんて、いい度胸してるじゃないか……』
『おとーさん……!』
『大丈夫だ……お前のことは、
ナンバーズの攻撃で火の海になった六課の庁舎にて、わたしを守るべく彼女らに立ち向かったおとーさんは、成す術もなくボロボロにされてしまった。至る所が血だらけで、痛みに呻きながらも、わたしを守ろうとしてくれた。
それでも、おとーさんのそんな姿を見ることに、わたしはもう耐えられなかったのだ。
『ついていく!ついていくからっ!だから……だから!もうおとーさんたちに痛いことしないで……っ!』
『何言ってんだ、ヴィヴィオ……!』
『……ありがとう、おとーさん。でも……もう大丈夫だから……』
『……くそっ。動け、動けよ!このポンコツめ!!』
傷ついた体に鞭打ちながらわたしを取り返そうとするおとーさんを尻目に、わたしはスカリエッティのアジトに連れて行かれた。
空に一筋、涙の星が流れていった。
☆☆☆☆
"聖王のゆりかご"内部にて、クアットロの手により聖王として目覚めさせられたわたしは、助けに来てくれたなのはママと激闘を繰り広げていた。
『ヴィヴィオ!もうやめて……!』
『うるさいっ!返してよ……!わたしのママと……おとーさんを返してよ!』
『ヴィヴィオ……っ!』
この時のわたしは、目の前にいるなのはママが、ママとおとーさんを奪った仇だと思い込まされていた。憎しみのまま拳を振るい、魔法をぶつけることしかできなかった。
しかし、なのはママの度重なる説得で理性を取り戻し、スバルさんたちのお陰でゆりかごから脱出することができた。
―――それだけで終わっていれば、ハッピーエンド……だったのかもしれない。
『……おとーさん……?』
『ヴィヴィオ……おとーさんね、まだ目を覚まさないんだって……』
『わたしの……せいなの……?わたしを守ろうとしてくれたから、こんな……』
『違う!そんなことない……そんなことないよっ!』
病室で力なく横たわるおとーさんを見て、自失するわたしを、なのはママが力強く抱きしめてくれた。わたしのせいじゃない、と言ってくれたけど、自責の念は止まりそうになかった。
☆☆☆☆☆
それから一週間ほどして、おとーさんが目を覚ました。わたしは、声を上げておとーさんに泣きついた。何度もごめんなさいと呟く私を、おとーさんは何も言わずに抱きしめてくれた。
『むしろ謝るのは私の方だ。ごめんな、ヴィヴィオ……。君を守ってやれなかった』
『そんなことない!わたしのせいで……』
『バカモノ。子どもを守るのは親の務めだ。……ヴィヴィオが後ろめたく思う必要なんて、どこにもないんだよ』
その言葉が温かくて、嬉しくて、彼を傷つけてしまった自分が許せなくて……。心がグチャグチャになりながらも、なんとか笑顔を浮かべておとーさんを安心させられたと思う。それと同時に、ずっとこの人と一緒に居たいという気持ちが強くなっていった。
病室を離れ、なのはママに問いかけた。今後のわたしの扱いがどうなるのか、早く知りたかったから。すると、聖王の鎧を失った私は、現時点ではある程度の自由が認められると教えてくれた。将来的な話は別だと暗に言われたけど、そんなことはどうでもよかった。
『―――それなら、わたしは……なのはママと、おとーさんと一緒に暮らしたい……』
『……ありがとう、ヴィヴィオ。なのはママも同じ気持ちだよ』
『……できれば、フェイトママも一緒がいい……』
『そ、それはおとーさんともお話ししないと難しいかな〜……あはは……』
……この時なのはママが言葉を濁したのは、おとーさんをフェイトママに渡したくなかったからだと思う。フェイトママとは仲がいいはずなのに、不思議だよね。でもいつか、また四人で暮らせたらいいなと思う。今度は、ずっと一緒に……。
☆☆☆☆☆☆
それから、わたしを引き取るために、なのはママとおとーさんが正式に同居することになった。……ガッツポーズをして勝ち誇るなのはママと、それを見てハンカチを噛んでいたフェイトママがあまりにも面白かったのは内緒だ。
おとーさんは、わたしが大きくなるまでの間なら、ということで許可してくれたが、わたしもなのはママもそれだけの間で済ませる気はさらさらない。正式に結婚してもらって、本当の家族になるのだ。もちろん、フェイトママも一緒に。
だから、わたしはなのはママとフェイトママを焚きつけることにした。おとーさんはこういうことには鈍いから、わたしが手助けをしてあげないとね。
「なのはママ……あのね?わたし……姉弟が欲しいなぁ」
「ゔ、ヴィヴィオっ!?いきなりどうしたの!?」
「なのはママもそう思うでしょ?おとーさんとちゃんと結婚したいと思わない?」
「それは……そうだけど……」
「だからね?これをダシにしてくれていいよ?わたしもおとーさんとずっと一緒に居たいもん」
「フェイトママ〜……。今日の夜ね、なのはママがおとーさんと赤ちゃんを作るんだって〜」
「あ、赤ちゃん!?ヴィヴィオ、それどういうこと!?」
「なのはママに弟か妹が欲しい、って言ったらね?頑張るって言ってくれたんだあ〜」
「こ、こうしちゃいられない……!ヴィヴィオ!通信ありがとうね!」
「うん。じゃーね〜」
「えへへ、これでずっと一緒だね。おとーさん?」
家族が増えて皆幸せだし、きっと喜んでくれるよね?おとーさん?
神さまなら たぶんね そんなに多くのこと 求めちゃいないよ
欲望から自由になれない 僕は手あたりしだい 不幸せ生んじゃう
誰かにけしかけられてばかりいて
ひとりじゃ迷子のようにうろたえる
立ち止まって 考えろよ
本当に欲しいものは何だろう?
ゆるぎないものひとつ抱きしめたいよ
誰にもそれが見えないとしても
まっすぐ優しく生きてゆきましょう
光のように闇を突きぬけて
うたおうマイライフ