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また作者名と同名のあにまんスレでこういう感じの他の方々の作品も読むことができます
「あー……俺も誰かにヤンデレられてみてぇなあ」
「急にどうしたの?
俺の友人である女子・藤丸立香のマイルームで、俺はそんな言葉を漏らした。
「ヤンデレって、清姫みたいな?」
「まあそんな感じ?ああいう風に女の子に狂気的に好かれてみてえなあって話」
マイルームと言ってもここは立香の家の自室というわけではないし、そもそもここは誰かの家なんてチンケなものではない。
ここはフィニス・カルデア。人理……つまりは世界を救うために作られた、なんかもう色々とすごい機関だ。そんな場所に俺たちがいる理由は単純。こいつが世界を救う資格を持った唯一の人間な「人類最後のマスター」であり、ついでに俺がそんなマスターの使い魔的存在である英霊の中でも特殊なケースである「デミ・サーヴァント」と呼ばれる存在だからだ。以上、説明終わり。
……え?短すぎるって?いやまあ話そうと思えば世界中が過去現在含めてまるっと燃やされた話とか、現在進行系で地球がまっさらな白紙みたいな状況になってる話とかできなくはないけど、めんどいんでパス。今は貴重な休憩時間なんだよ。
「へー、智草ってああいう子がタイプなんだ」
「そういやそういう話はしたことなかったか?」
「聞いたことないね。智草が露骨に避けてたし」
ああ、そういやそうだった。俺の好きなタイプ、要は性癖は少々特殊が故、一応幼馴染で仲が良いこいつに知られて嫌われたくないと思っていたから口にしなかったんだった。でもまあ……
「そんなこともあったな。今だったらどうでもいいようなことで悩んでたんだよ、その頃は」
「そうなんだ。今は?」
「今はその程度の悩みとかバカバカしくなってくるような状況だぜ?お前に嫌われる未来とか想像もできねえよ」
一応これでも俺は初期も初期にこいつに召喚されたサーヴァントの一人。ここまで数えるのも億劫になる程の場数を踏んできたし、その過程で元々それなりに仲が良かったこいつとより親密になれたことは実感している。あえてゲーム的に言うなら「絆レベルが上がった」的な感じか?まあだからこそこんな性癖談義みたいなくだらない話題も持ち出せるわけだ。
「そう、なんだ……」
「ん?どうした?立香。なんか雰囲気が暗いけど、疲れでも溜まってたか?だったら俺はとっととお邪魔するけど……」
「行かないで。……ちょっとだけ、話を聞いて」
いつも戦場で俺たちに指揮を飛ばす時に勝るとも劣らない程真剣な表情を向ける立香に、腰を浮かせかけていた俺は大人しくあいつのベッドに座り込んだ。
「それでなんだよ。改まって話なんて」
「……ねえ、ヤンデレられたいって言ってたよね。その相手って、誰でもいいの?」
「……???」
何故にそんな真面目な顔で性癖談義を再開するんです?いやまあ付き合うけど……
「んー、そうだな。全く身に覚えのない相手に唐突にヤンデレられるのもいいけど、面識はあるしそこそこの関係だと思ってた相手からある日いきなりヤンデレられるのもまたいいよな。今まで積み重ねてきた好感度が爆発して隠してた思いが溢れてくるタイプのヤンデレみたいなのもまた捨てがたいし……」
「そっか……そうなんだ……♡」
「カルデアで言うのもあれだけどいきなり超常存在に見初められてヤンデレ化されるのも趣きがあるっていうか……ん?どうした?」
「ねえ、智草。いや
「はあっ?……ぅおっ!?」
立香に肩をベッドに押し付けられる形で押し倒される。クソ……令呪使われてるから抵抗しづれぇ……!
「重ねて命ずる。そのまま動かないで。更に命ずる。私を拒まないで」
三重の令呪による命令のせいで、俺は完全に身動きが取れない状況になってしまった。てか多分これ俺自身が別にこいつに何されてもいいと思ってるから素直に受け入れちゃってるやつじゃん……!
「……あは、あははっ!ねえ智草ぁ!これでやっと!やっと私のものになってくれるんだね!私のものにしてもいいんだよね!だって言ってたもんね!ヤンデレに愛されてみたいって!愛してあげる。いっぱいいっぱいドロドロになるまで愛してあげるよ。だからさ……もう絶対私から離れないでね?」
こんな状態になってようやく気が付いた。俺がこんな化け物を生み出してしまったという事実に。
智草とはいわゆる幼馴染という関係で、私の片思いの相手でもあった。
何かこれといってきっかけがあったわけでもない。ただ漠然と「付き合うなら智草がいいな」と思っていたのだ。まあ、あいつはそんなこと全く気付かずただの友達だと思ってたみたいだけど。
高校を卒業する前には告白しよう。そんな私の決意は、人類の歴史と共に燃やし尽くされてしまった。
カルデア、人類最後のマスター、人理修復、グランドオーダー。唐突に私に与えられたその情報の渦と世界を救う者という肩書きは、とてつもなく重いものだった。何度投げ出したいと思ったかわからない。そしてその度私を先輩と呼び尊敬の眼差しを向けてくるマシュや期待の色を向けてくるカルデアの人たちのことが頭をよぎり、そんなことしてはいけないと思い直すフリをして自分を誤魔化すことを繰り返していた。
そんな時、智草は言ってくれた。
「なあマスター」
「……なに?」
「もし全部嫌になってんならさ……一緒に逃げようぜ」
「……え?」
何を言っているのかわからなかった。サーヴァントのみんなは、私が人理修復を成し遂げることに協力してくれている。逆に言えば、そのために戦い続けている私にしか協力してくれないのだ。そんなサーヴァントの一員であるはずの彼は、そんなこと関係ないかのように続けた。
「いやだってここ最近のお前の顔見てらんねぇぜ?可愛い後輩とかカルデアの人たちとか俺らみたいな凡人よかよっぽどすごいサーヴァントの人たちの前じゃ取り繕ってる、いや繕えてる気なんだろうけどよ」
「……い、いつから気付いてたの?」
「そりゃあ召喚された初日からだけど。まあこんな極限状態でいつも通りな方がおかしいといえばそうだけど、それで見過ごせないレベルでひどいぞ?今のお前」
そんな風にありのままの自分を見透かされてしまった私は、智草にこの胸に秘めていた感情の丈を全てぶちまけてしまっていた。
「だってしょうがないでしょ!?私がやらなきゃ世界は滅ぶんだよ!?全人類の命の重さを背負って!やったこともない命のやり取りを経験して!これでひどくならない方がおかしいよ!」
「……」
そして私は、言ってはいけない一言を叫んでしまった。
「私だって……私だって逃げられるなら逃げたいよ!もう戦いたくなんてない……もう、マスターなんてなれないよ……」
「……そうか」
智草が私を抱きしめる。優しいけど少しガサツに、まるで何も知らなかった昔に戻ったみたいに、二人だけの時間が流れた。
「……お前のことをなんにもわかってやれなくて悪かった」
「あ……」
気付けば流す気もないのに涙が溢れていた。ああ、私はずっと泣きたかったのか。彼の胸の中で泣きじゃくりたかったのか。
「……今は思う存分泣いてろ。ここにはしばらく誰も来ない。今のお前は、ただの『藤丸立香』に戻っていいんだ」
「うん……!」
その後しばらくの間、私は子供みたいにわんわん泣いた。
泣いて、泣いて、泣きまくって、ふと我に返ると、その途端に羞恥心が沸いてきた。
「ううううぅ!なんで私はあんなことをしたんだー!」
「ははっ!そこまで転げ回る元気が出たなら上々だな。……なあ、立香」
サーヴァントととして喚ばれて来てから徹底していたマスター呼びではなく、私の名前を呼んで彼は言った。
「さっきの話は全部マジな話だからな。逃げたくなったらいつでも言ってくれ。お前と一緒に逃避行するくらいはしてやるからさ」
私だけの味方であることを宣言した彼は、この時の私にとって誰よりも英雄だった。
「……まあいいんじゃねえか?人類巻き込んだ心中なんてのも。お前が死んだら絶賛焼却され中の俺の本体も死ぬ。太宰じゃないが、一緒に死ぬにはこれ以上ない機会だ……なーんてな」
笑えねえジョークだな、と笑う智草の言葉を聞いて私は気付いた。そうだ、私が死んだら、諦めたら、智草も死ぬんだ。
それでもいいかもしれない、と思った私は狂っているなと思ったものだけど、それ以上に智草と一緒にこの先も生きていたいと思った。
だからこの時私は決意した。誰かのためじゃない。みんなのためでもない。私が智草と生きる未来のために、私は世界を救おう。
その決意は今もなお、私の心に星のように輝き続けている。
……それはそうと。この心から溢れるドロドロした感情を、病むほどの愛を好きだと言ってくれるなら、あなたに思いっきりぶつけちゃってもいいよね?
「んー……とりあえず私の処女あげるから、智草の童貞もらうね?」
「いやちょっと待て一回冷静になった上で誰かに相談とかした後正式にお付き合いとかした方がいいんじゃないかと俺は思うんだがんんっ!?」
「……ぷはっ。うるさい口はこう塞ぐのが”いい”んでしょ?じゃあ智草、ヤンデレな私があなたのことを愛してるってこと、存分に心と体に教え込んであげる♡」
「お、お手柔らかにお願いします……」
「無理♡だってもう……抑えきれないもん」
だから、もらうね?
智草
苗字は未定
まあどうせ節穴に変わっちゃうしいいよね!
現代人であり藤丸立香の幼馴染であった少年を依り代にしたデミ・サーヴァント(真名はオリジナルかつ厨二な上本編とほぼ関係ないので未公開)
この後美味しくいただかれた
藤丸立香(ぐだ子)
メンタルが不安定だったところにクリティカルを決められてヤンデレ化した人類最後のマスター
この後美味しくいただいた
感想・高評価をくれると嬉しくて続きを書くかもです
……まあpixivの方に続きあるけど