ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
私───九条凛は南雲瑠唯に強くなる為に戦い方を教えて欲しいと頼み込み、沙姫様と彩南高校に行く前の時間、天条院家の庭で私は南雲瑠唯と模擬戦をしていた。
「あらぁ…凛ちゃんー?まだまだアマチュアね?」
「ぐっ…」
ドイツ軍の特殊部隊にいたこの男に私の攻撃は何一つ通用しなかった。
…私の前でメイド服を着た南雲はおしりを振りながら、投げキッスをする、こんな変態に一撃も与えられないとはな。
「アタシに戦い方を教えて欲しいって言ったけど、この程度で倒れちゃうんじゃ、教えられないわよ」
「…まだだ!」
南雲の言葉を聞いた私は立ち上がり、落とした竹刀を持つ。
私は強くならなきゃ行けない、沙姫様をお守りする為…そして、″彼″が困った時、頼ってもらえるように…
(…どうすれば勝てる、私の剣技は南雲には通用しない)
…いや、私の剣技が通用しなくても″彼″の剣技なら…
私は思い出す、彼がRPGの世界で師と戦っていた時の剣技を…
早くて鋭いだけじゃない、見惚れるくらい…とても綺麗な剣技。
恐らく間合いを意識して、基礎を忠実に極めた剣技。
そして切り札はフェンシングと剣道の突きを模倣した様な鋭く速い突き。
「はぁぁぁぁあぁ!!」
「…動きが変わった?」
間合いを意識しながら、南雲に斬り込む。
見様見真似で出来るような剣技ではないのはわかっている、だが…あの剣技なら、必ず届く!
「っ!速いわね!」
「行ける!!」
南雲も私の動きに瞬時に対応して、カウンターを仕掛けてくる。
カウンターよりも私の方が攻撃の方が速い、これならいける。
「惜しかったわね?」
「なっ!?」
竹刀が身体に当たる直前で、南雲はカウンターを辞めて、私の竹刀を掴んで防いだ。
「…その剣技、誰かの見様見真似なしら?」
「…あぁ、そうだ」
私が竹刀に力を入れて、南雲の腕から抜け出そうとするが、南雲の腕ビクともしない。
彼ならきっと南雲に竹刀を掴まれる事なく、倒していただろうな。
「あたしより強い人間を知っている目」
「………」
私の目を見ながら、南雲は呟く。
…私は知っている、彼は私より遥か先にいる。
そして天条院家の護衛と父上を簡単に倒した南雲でも彼には敵わなかった。
「…凛ちゃん、アタシより強い人間を考えながら戦っていたでしょう?」
「…だったらなんだ」
「アタシよりもその人間…時雨優斗に教わったほうがいいわよ?」
「なっ!?」
「…やっぱりね?」
彼───時雨優斗の名前を出されて、私は一瞬動揺してしまった、それを見た南雲は全てを理解したようにニヤリと笑う。
「もしかしてぇー彼のこと好きなの?」
「っ!?」
「あらぁ?顔がリンゴになっちゃったわねぇ?図星かしらァ~」
南雲は新しい玩具を見つけた子供のように、目を見開き煽ってくる。
…このオカマにだけは私の想いを知られたくなかった。
「守りたいのはお嬢様だけじゃないのね?」
「……」
「時雨優斗の隣に立ちたいのね?」
「…そうだ」
「なら尚更、いいじゃなぁーい!好きな人と一緒に稽古ができるのよ!!」
「…ダメだ」
「え?なんでよ?」
私は南雲の提案を拒否する、だって私は…彼に対するこの想いを胸に仕舞わないといけない、それなのに優斗と一緒に稽古なんてしたら、私は…
「ッ!?何を!!」
「お嬢様が好きな人を私が好きになってはいけない的な?」
「………」
「…図星ね」
南雲は掴んでいた竹刀引っ張り、私を引き寄せて、耳元に語りかけてくる。
私に配慮した南雲は、他の誰にも聞こえないようにしてくれたようだ。
「いいの?貴方はそれで…時雨優斗が自分以外の誰かと付き合った時、諦められるの?」
「…それは」
…もしそうなったら、私は…諦める事ができるのか?
いや、諦めないといけないんだ、だって前世で苦しんできた優斗が幸せになる事ができるなら、隣に立つ人間が沙姫様や私はじゃなくても………
「はぁ…貴方、明日の土曜日、午後は暇だったわね?」
「…あぁ、確かに暇だが」
″そうよねぇ、あってるわよね~″と言いながら携帯をいじる南雲、何をしているんだこの男は…
「よかったわねぇ、良いって言われたわよ」
「…?何を言って───」
「明日の午後、凛ちゃんの家に時雨優斗が来るから、準備しときなさい?」
「…はっ!?」
南雲は私に携帯電話の画面を見せて、優斗からの承諾のメールを見せてくる。
まて、この男は本気でメールしたのか!?それに優斗が私の家に来るだと!!?
困惑する私に″住所送っといたから大丈夫よォ″とドヤ顔する南雲、この男を私は殴り飛ばしたい。
「まあ、稽古とお家デートをして、精々自分の気持ちと向き合う事ね?」
「待て!?来るって何時に!!ってお家デートだと!!?」
「それくらい学校で話しなさいな」
ニヤニヤとしながら″甘酸っぱい恋の予感!!″と言いながら、両手を頬で挟んで身体をくねくねさせる南雲。
今の私にはその行動全てが、煽りに見えてムカついてしまう。
「凛!学校に行きますわよ───って凛!?顔が真っ赤ですわよ!?どうかしましたの!!?」
「ッ!沙姫様!?これはちが───」
「あらぁ~それはねぇ…乙女の秘密よォ!お嬢様」
「わたくしも乙女ですわよ?」
現れた沙姫様は私の様子がおかしいと思い声をかけるが、南雲は声高らかに叫びながら、身体をくねくねする速度が速くなる。
「…まぁいいですわ、凛、大丈夫なら行きますわよ?」
「は…はい!沙姫様!!」
私は急いで沙姫様の元へ駆け寄ろうと南雲の横を通り過ぎた時、南雲は私に聞こえるくらいの声で呟いた。
「…凛ちゃん、あなたは後悔しないように頑張りなさいね?どれだけ悔やんでも、あの日には戻れないのよ…アタシ達がそうだったようにね」
私が振り返って南雲を見ると、南雲は真剣な表情で私を見ていた、本当に私の恋を心から応援しているような表情で…
「凛、どうかしましたの?」
「…何でもありません、沙姫様」
後悔しないように頑張る…それは沙姫様への裏切りになる…でも私は優斗を…諦めたくない。
「私は…どうすればいい」
私は先を歩いている沙姫様の元へ走って向かった。
◇
~優斗side~
「優斗!明日の件なんだが…」
「南雲から聞きましたよ、明日の何時に伺えばいいですか?九条先輩」
「…あぁ、その…」
休み時間、南雲からメールの件について、九条先輩と話していた。
南雲からメールで″凛ちゃんの家で剣技の稽古をつけてあ・げ・て!ついでにお家デートを楽しみなさい♡″と送られてきた時は、いきなりなんだ?と思ったが、九条先輩の頼みならと思い承諾した。
「俺の戦い方や剣技で良ければ教えますよ、九条先輩にはお世話になりましたから」
「………」
「何かありましたか?」
「…すまない……その件は…」
九条先輩は何かを言いかけてた途中で、俯いてしまった。
…歯切れが悪いな、もしかして、何か不都合な事でもあったのか?
「…すみません、沙姫様」
「?」
「…明日の午後、12時半ぐらいでもいいか」
「構いませんよ、ただ午前中に用事があるので時間的に遅れる事はないと思いますが、遅れそうなら連絡します」
あの件は午前中には終わるから、そのくらいの時間なら間に合うはず。
「…そうか、なら昼食は私の家で用意しておく」
「それはさすがに悪いです、昼食ならその辺で───」
「剣技を教えてもらうんだ、それくらいはさせてくれ」
九条先輩は俺の言葉を遮り、昼食を用意してくれると言う。
そういう事なら、お言葉に甘えさせてもらうか。
「お言葉に甘えさせてもらいます」
「そうか!腕によりをかけて振る舞うから楽しみにしていてくれ!」
腕によりをかける…まさか、九条先輩が手料理を振舞ってくれるのか?…九条先輩の手料理か、楽しみだな。
「楽しみにしてますね、九条先輩」
「ッ!?」
…なんで俺はこんなに楽しみなんだろう、それに何故か分からないが九条先輩の手料理を食べれると聞いて凄い嬉しい。
「それで、食べれない物とか───」
「ころころ男女くん!!」
「うわぁぁぁ!?」
「…なんだ?」
九条先輩の言葉を遮るように後ろから悲鳴が聞こえてくる。
俺が後ろを向くと、何故か俺の近くで西連寺さんのスカートの中に顔を突っ込んだリトがいた。
「んっあ!結城くん…そこは…っ!」
「…お前、何やって───は?」
俺は西連寺さんスカートの中に顔を突っ込んだリトと危ない声を出している西連寺さんを見ていて気づかなかった。
ララさんがころころ男女くんという謎の発明品を俺───正しくは転んだリト───に向けて撃っていた事を…
「…は?」
ころころ男女くんから放たれた、光線を気を取られて避けることがきできなかった俺はポンッと音がなった後、音がした自分の身体───膨らんだ胸を見て困惑していた。
「優斗!大丈───なっ!?」
「…なんで…俺の身体に胸がある…?」
「…君は優斗…なのか?」
「優斗せんぱいが女のコに!?」
俺も九条先輩も俺の身体と姿を見て困惑していると少し離れた所にいた黒咲さんが近づいてきた。
…あれ?今さりげなく名前で呼ばなかった?黒咲さん。
「あれ…リトに撃ったつもりだったのに外れちゃった?」
「ララ!!お前オレに撃つ気だったのか!?」
「まあ!とりあえず、こんな風にポンッて入れ替わっちゃうワケ!」
「………」
まさか、この発明品を使ってリトと才培さんは女性になったのか?
てかまて、なんで撃った?なんで俺は何かの説明で女性にされた!?
「おっぱい!!」
「…そんなに胸を見ないでくれ、黒咲さん」
「…優斗、君は女性になるとそんな綺麗になるのか」
「…九条先輩、そんなの褒められても凄く嬉しくないです」
黒咲さんは俺の胸を間近で見て、九条先輩は俺の顔を見て言う。
…今思えばリトと才培さんはこれで女性物の服を着て女性を演じていたと思うと相当な精神ダメージがあっただろうな。
「ゴメンね、ユウト!ホントはリトに撃つつもり…あれ!ユウトすっごい可愛い!」
「確かに…髪もさらさらみたいだし、時雨くんすごい可愛い…」
「ムネでけー…」
「っ…なっ…ぁ!?」
ララさんも西連寺さんも俺を可愛いって言うけど、俺は一体どんな顔をしている?
…あとリト、俺を見て顔を赤くするな、ゾッとするからやめてくれ。
「…ララさん、頼むから早く戻して」
「え?すっごい可愛いのにもう戻っちゃうの?もう少しこのままでも───」
「…お願いだから戻してください」
「あはは、冗談だって!すぐ戻すよ~」
ララさんはそう言ってオレにころころ男女くんを向けてトリガーを弾くがさっきの様な光線は発射されない。
″…あれ″と言いながら、ララさんは何度もトリガーをカチカチと弾くが、結局何も怒らなかった。
嘘だよな?ララさん…頼むから嘘だと言ってくれ…
「ゴメンね!ころころ男女くんの電池が切れちゃったみたい!」
ララさんはてへっと舌を出しながら、可愛らしく俺に伝える。
…まあ、トリガーを何度も弾いていた時点でそんな気はしたよ。
「…一応聞くけど、戻れるの俺?」
「うん!時間がたてば自然に男のコに戻るよ!」
なら、まあ良いか…いや良いのか?今日一日俺は学校をどう過ごせばいいんだ?
「お──っす、リト……」
後ろから来た猿山はリトを呼んだ瞬間、オレを見て固まる。
「…なんだ、猿山」
「めっちゃ美人じゃねーか!このコ!?なぁ名前なんて言う───ぐっは…」
名前を聞きながら俺に触ってこようとした猿山に何故か身体が反射して蹴り飛ばしてしまった。
蹴り飛ばされた猿山は何故か幸せそうな顔で″あんなコに蹴り飛ばされるなら満足だぜ…″とか言って気絶する。
「なんて美しいんだ!!オレと結婚してくれ!!
「さすが弄光センパイ!!廊下であった初対面の女のコにいきなりプロポーズだぜ!」
「………」
弄光と呼ばれた男が俺に大声でプロポーズをした為、周りにいた生徒もこちらを見る。
″すっごい綺麗″とか″あんなコいたか?″と騒ぎになってきた。
これ以上は騒ぎになるし、説明するのもめんどくさい…逃げるか。
「…九条先輩、また明日会いましょう」
「え?」
俺は九条先輩にそれだけ言うと全力ダッシュで廊下を駆け抜ける。
とりあえず、今日は早退しよう…荷物は…教室戻ったら地獄になるから、荷物はいいか。
「あ、待ってくださいよ!せんぱーい!」
「ちょ…メア!?待てって」
待つわけないだろ、正体を知ってるリトすら、俺を見て顔を赤くしてたんだぞ?
後の事はララさん達に任せて、俺はそのまま学校を早退した。
「で…早退して来たってのはわかるんだけどサ、ちゃんと戻れるんだよね?優兄」
「…多分」
「…戻れなかったら、子供も作れないし、優兄と結婚もできないじゃん」
小学校から俺の家に帰ってきた、美柑に事情を説明すると不満そうな顔をした美柑が女性になった俺を見る。
まて…何を言ってるの、美柑さん。後、なんで結婚前提で話が進んでるの?
それに最近ランドセル背負って俺の家に来るけど、美柑の本来帰る家は向かい側だからね?
「…まあ、女性のままでも優姉になるだけで、結婚すればいっか」
「法律的に無理だからな?後、優姉はやめてくれ」
俺が女性になっても美柑は、俺を諦める事はないらしい。
「ん~せんぱいのおっぱいおっきい────♡」
「…胸を揉むの辞めてくれないかな、黒咲さん」
美柑と話していると黒咲さんが俺の後ろから胸を鷲掴みにして揉みしだく。
いつも学校で里紗に胸を揉まれている紗弥香やララさんの気持ちが少しわかった気がする。
「え~いいじゃないですかぁ~」
「っ…良くない…」
黒咲さんは俺の静止を無視して″せんぱいのおっぱい柔らかーい″と言いながら、揉み続ける。
そんな俺と黒咲さんを美柑が見ながら″またライバルが増えたの″と小さく呟いた。
…いや、美柑、黒咲さんは面白がっているだけだ、今の黒咲さんは俺にそういう感情を抱いていない。
「…そちらは?」
「俺が学校から逃亡してたら着いてきた、この子は───」
「あたしの友達だよ!黒咲芽亜ってんだ!」
「ナナさんの?」
″あー前に紹介するって話してた友達か″と美柑が言う、どうやら前にナナが話していた事を思い出したらしい。
…こんな感じでナナの友達を紹介されるとは思わなかっただろうな。
「むぅっ…」
「…何、黒咲さん」
「可愛いせんぱいが私の事、無視するからペロペロしちゃう♡」
「ッ!!どこ舐めて───っ!?」
「んっ…しょっぱい♡」
さっきまで走っていた俺は汗をかいていた、そんな俺の首筋に流れる汗を胸を揉みながら、ペロッと舐めとった。
「お…おい、メア!ずる───優斗に何やってんだっ!」
「ナナちゃんも一緒に舐める?」
「な…舐めるかァァァァァ───…」
ナナの叫び声が家の中に響き渡る、そんな光景をモモはセリーヌを抱きながら少し離れたところから眺めていた。
「メアさん、コーヒーか紅茶飲みます?」
「あ!じゃあ紅茶で!」
美柑が気を利かせてみんなにコーヒーと紅茶を用意する。
黒咲さんは美柑から紅茶を受け取ると″えへへー″と言いながら大量の角砂糖を入れ始めた。
…まて、一体何個入れるつもりだ?もうカップの中は角砂糖しか見えないんだが?
「げげ…それで飲むのか、メア」
「うん、あたし甘党なの」
甘党の域を超えていると思う、その量は紅茶大好き杉〇右〇もびっくりだろ…
これみたら″そんな飲み方をしたら紅茶の味が分かりませんよ?″カイ〇君″とか言うぞ。
「まぅ───!」
「あら!あなたも飲んでみたい?いいよ」
黒咲さんが飲んでいたカップを見て、セリーヌが指を加えて見ていたのに気づき、紅茶を差し出す黒咲さん。
セリーヌはまだ子供だ…あれを飲んだら糖分を取りすぎてしまう。
「セリーヌ、これで我慢して?」
「まぅ───っ!」
俺が飲んでいた紅茶のカップをセリーヌに渡す、砂糖はそんなに多くは入っていないから大丈夫だと思うが…
「え、なんで?こっちも美味しいよ?せんぱい」
「…黒咲さん、美味しくても、小さい子供に糖分の摂りすぎは良くないんだよ」
「え?そうなの?」
「糖質を多く取ると血糖値が急上昇するんだけど、その後に血糖値が急激に低下することがあるんだ」
「それの何がダメなの?」
「血糖値の変動が大きいとイライラや不安感を引き起こすことがある、他にも集中力がなくなったり、学習や日常にも影響が出る」
「へぇー詳しいね、せんぱい」
小さい頃に大量にアイスを食べていたら、優華さんにそう言われて怒られた事があった。
それからアイスは一日、1本って言われて絶望していたのを今でも覚えている。
まあ、今でもアイスを食べすぎたら健康に良くないって美柑に怒られるんだが…
「優兄、アイス食べすぎで怒られたんでしょ?」
「…よくわかったね」
「顔に書いてあるよ?」
昔から一緒にいる美柑にはバレてしまったらしい、表情には出ないようにしているはずなんだが…美柑はよく見てるな。
…あんまり時間がないと思っていたが、さすがにそろそろ限界が近いな。
「ユウト、どうかしたの?」
「…ちょっと着替えてくる」
「どうして、せんぱい?」
「………」
「お…おい?ユウト!?」
黒咲さんの言葉を聞かなかった事にして、無言で部屋に向かう。
胸のせいでワイシャツのボタンがはち切れそう、なんてナナや美柑の前で言ったら、胸を気にしている二人が怒りそうだからな。
(胸の大きさ…ね、猿山とかがよくおっぱいの大きさが何とか言ってるが重くて動きづらいだけだ)
紗弥香や唯も動きにづらいんじゃないか?九条先輩も竹刀を持ってよく戦えるな。
そんなことを考えながら、部屋に戻り服を脱ぐ。
「…ッ!?」
ワイシャツを脱ぎ、ボタンが付いていないシャツを取ろうとクローゼットを開けた瞬間、クローゼットについている鏡に自分の姿が映った。
「…最悪だな」
鏡に映る俺の姿は前世の母親の面影があった、きっと成長すれば、あの女の様な容姿になる、そう確信できるほど…
「…過去を乗り越えて前に進む…それがこんなに難しいなんてな…」
一般的に見たら美しい容姿をしているが、俺にとっては鏡を割りたくなるほど、憎い顔。
胸も普通の人より大きく、あの女が売りにしていた身体にそっくりだった。
金にしか興味がなかったあの女は、桐生夏樹から大金を手に入れる為に俺を産んだ。
あの頃は暴力や食事にありつけないのは日常だった…朝比奈桜も…きっと…
「女性の身体に興味津々ですか?良い事ですよ、優斗さん♡」
後ろから現れたモモは上裸で鏡を見て考えていた俺を見て、俺が女性の身体に興味を持ったと勘違いしたらしい。…別にそんなのではないんだけどな。
「わざわざ自分の身体じゃなくても言ってくださればいつでもお見せしますのに、私の…どの部分でも…♡」
「…ごめん、興味を持ったとかそういうのじゃないんだ」
「…え?」
俺は後ろを振り返る、モモは俺を見て驚いた顔をしていた。
…きっと今の俺は恐らく酷い顔をしているんだろうな。
「…女性になった俺の姿が似ているんだ、俺を産んだ母親に」
「………」
「それで母親と過ごしていた、過去を思い出しただけ…」
皆のおかげで悪夢を見ることは少なくなったが、未だに何かがきっかけで嫌な過去を思い出してしまう事がある、今回は女性になった自分自身を見て…前回は…
「今、鏡を見てわかったよ、俺は未だに憎いんだ、俺を産んだ母親事が…」
「…ユウトさん」
「それだけじゃない、この前アゼンダが言った言葉を聞いて、俺はアイツを本気で殺そうかって思ったんだ」
″あんたと関わるヤツはみんな不幸になっちまうんだ″この言葉を聞いた時、俺は思い出した。
───お前と関わったヤツは全員不幸になるのさ!さあ今度こそ死ね、クソガキ!!
優華さんを殺したあのクズの言葉、その言葉と重なった瞬間、身体が勝手に動いていた。
″この力は殺す為ではなく守る為に使う″冬華教官との約束したこの言葉と″人を傷つける力は、使い方次第で人を救う力にもなる″ヤミに言ったこの言葉がなければ、俺はきっとアゼンダを殺していたかもしれない。
「笑えるだろ?黒咲さんのマスターにヤミに人を殺させないとか言ったヤツが何をしてるんだって」
「………」
「ここ数日で理解したよ、俺にハーレムは無理だ、そんな権利は俺にはない」
この数日で改めて理解した、恋という感情も分からず、悪党やクズを平気で殺してなんとも思わない俺にそんな幸せになる権利はない。
それに俺の予想したこの世界に来た理由が正しかった場合、″俺が生きる資格″はない。
~モモside~
私の目の前にいる優斗さんの目は少し前の時と同じような、目を離したら消えてしまいそうな目をしていた。
「きっと私一人では…あなたを止められないですから…」
「…え?」
前と比べて優斗さんは私達に自分の考えている想いを話してくれる様になった。
でもそれはまだきっと一部だけ…全てを話してくれている訳じゃない。
最近も裏で誰かと連絡をしているみたいで、アゼンダが襲ってきた日の放課後もどこかへ行っていたみたいだった。
きっとどこに行ったか聞いても内容ははぐらかされて、私達にも話してくれないだろう。
そんな優斗さんを死なないように無茶をしないように…消えないようにする為に繋ぎ止める為のハーレム計画。
確かに優斗さんに愛される為っていう目的もある…でも何より私はあなたがいなくなるのが辛かったから…
もう二度失いたくないから、恋の包囲網であなたを囲んで消えないように皆さんで繋ぎ止める為に…私は作らないといけないんです。
優斗さんの意思を無視してねじ曲げてでも作らないときっとまた誰かを助けようとして消えてしまうから…
「…優斗さんに何度断られても…私は優斗さんのハーレムを作りますよ」
「…言ったろ?そんな権利はないって…」
「ありますよ、優斗さんにはハーレム王になる権利が…」
本当はメアさんが帰ったのを確認したから、いつも通り優斗さんを押し倒して襲うつもりだったが、今の優斗さんはそれどころじゃない。
「それに沢山の女性を惚れさせておいて、責任も取らずに逃げる方が酷いと思います」
「…それは」
「優斗さんはもう少し自分自身を大切にして、自分の幸せを考えてみてください」
優斗さんの左手を私は両手で握りしめた。
「へ─────っモモちゃんはホントに作るつもりなんだ~せんぱいのハーレム計画♫」
窓から声が聞こえてくる、私と優斗さんが窓の方を見るとそこにはメアさんが居た。
「あなたっ!?」
「…黒咲さん?」
「ふふふ…帰ったフリ作戦大成功!」
「…いつの間に帰ってたんだ?」
メアさんは靴を脱いで窓から部屋に入ってくる、一体何をしに…まさか!優斗さんを殺しに来た!?それになんでハーレム計画を知っているの…
「メアさん、もしマスターに言われて優斗さんを殺し来たのなら、容赦はしないわ」
「戦うつもりは無いよ、でもやっぱりモモちゃんも気づいてたんだね、わたしの正体」
「ここ最近モモちゃんがわたしを警戒の目で見るようになったからそうだと思ってたよ」
メアさんは私に近づいてきて、ニコッと笑った。
「ヤミお姉ちゃんから聞いたんでしょ?それなら、わたしも見せてもらって″おあいこ″にしないとね!モモちゃんの秘密♫」
「!?…私の秘密…?なんの話かしら?」
「あはっ♫とぼけちゃってぇ、学校じゃ見せない″本当のモモちゃん″だよ」
三つ編みを揺らしながら、私を見つめるメアさん。
私はメアさんに秘密と言われてつい動揺してしまった。
「サイコダイブ、わたしね…身体の一部を相手と融合してその精神に入り込む事ができるの」
サイコダイブ…ヤミさんは持っていないはず…ならメアさんの固有能力?
「ナナちゃんからせんぱいを紹介される前…ヤミお姉ちゃんを倒したせんぱいがどんな人か知りたくて先輩と屋上で戦った時に覗き込んだんだ」
「ッ!優斗さんと戦った!?」
優斗さんから屋上でメアさんと戦った話なんて聞いていない…
そう思って優斗さんを見ると悪い事をした子供のように目を逸らす、本当に戦ったんですね…
「わたしはせんぱいの記憶を探って…見ちゃった♡学校じゃ上品で可愛くて、男子の憧れの的のモモちゃんがせんぱいにお風呂で密着してせんぱいのアソコにキスをしているところを…♡」
「………」
「咥えられなかったのは残念だったね?モモちゃん」
お風呂場で優斗さんにした事や言った事を全て見られた?
もしかして他にも優斗さんを襲っていた記憶まで…?
「せんぱいの招待だって知ってるよ?本当は雨宮優斗って名前なんでしょ?」
「ッ!?」
優斗さんの前世も知られているの?って事は全部見られた?
「…全部見たの?」
「いや、全ては見られては無いはずだよ…俺が黒咲さんを追い出したから」
「普通は追い出せないはずなんだけどね?」
トランス能力相手に追い出したって…さすが優斗さん。
…でもハーレム計画と優斗さんの前世を知られてしまった事には変わりはない
「…それでメアさん何が言いたいの?″秘密をバラされたくなければジャマするな″ …とか?」
「そんなんじゃないよ?わたしはね、二人の事気に入ってるから!だから…仲良くしよ♡って事」
「………」
「これからもわたし、しばらく彩南町で過ごしてみる予定だもん、ギスギスしてもつまらないでしょ?ヤミお姉ちゃんにも人との触れ合いが大事って言われたし……せんぱいが記憶も言葉の意味も知りたいから………」
「それは、あなたの意思?それともマスターの…」
「…どうかな?」
メアさんは笑みを浮かべ手渡しを見る、どちらの意思か表情では読み取れない。
「仲良くなるために何なら″ハーレム計画″も手伝うよ?あ…ヤミお姉ちゃんは渡さないけどね?」
「二人が仲良くなるのは嬉しい事だけど、ハーレム計画は手伝わなくていいよ、黒咲さん…てか頼むから手伝わないでくれ…」
仲良く…か……別に悪い話じゃない、メアさんを味方にして″マスター″を表に引きずりだすためには、メアさんの交流は必須…………それにハーレム計画まで知られている以上、放置しておくのは危険すぎる。
ここは話を合わせておくべき…
「…わかった、仲良くしましょ、学校生活は楽しくないとね」
「素敵♡」
「…え?何、黒咲さん?なんで腕を引っ張って───っ!?」
メアさんはそう言って笑顔で笑うと優斗さんの腕を掴みベッドへ押し倒す。
「早速だけど…わたしもペロペロしていいよね?モモちゃん」
「…そうね、それに優斗さんにも女のコの身体の秘密を知ってもらういい機会だわ」
「え?ちょっ!?まって…んぁっ───っ!?」
メアさんは押し倒した優斗さんの後ろに回りこみ、優斗さんの足に自分の足を絡めて股を開かせて、胸の突起を摘む。
「…メアさんに胸を摘んだだけでこの反応…男性の時よりもいやらしい声が出てますよ?優斗さん」
「っ…待って…な何をするつも───ッ!!?」
私は優斗さんのズボンと下着をぬがして、自分の指を舐める。
そしてそのまま私は優斗さんの中に入れた。
「アァァ───…んっ」
「おぉっ!さすがモモちゃん!素敵♡」
大きな声を出した優斗さんの口をキスで塞ぐ。
私は中に入れた指を動かすと部屋の中で″くちゅくちゅ…″と水音がなり始めた。
「すごいせんぱいの身体ビクビクしてる!わたしもペロペロしよ!」
「ん───っんっ!?」
優斗さんの胸の突起を舐めてそのまま口に咥えるメアさん。
…そろそろですね?優斗さん…
「ッ─────────っ!!!??」
身体が大きくビクっと跳ねる、私の手を見ると、手はびしょびしょに濡れていた。
やっぱり男性の時よりも感度がいい…ここまで来たらもう才能ですよ?
「ぷはっ…気持ちよかったですか?優斗さん」
「…はぁ……はぁ…」
「…あれ、せんぱい?」
「…………」
優斗さんはあまりの快楽で放心状態になってしまったらしい。
「優斗さん、起きないともっと過激なイタズラしちゃいますよ?」
「………」
「もう少しペロペロしたいなぁ!せんぱい」
放心状態になった優斗さんに声をかけるが反応しない…
メアさんは目をキラキラさせて優斗さんの耳を舐めようとした瞬間、優斗さんの身体がポンッと音が鳴った。
「優兄───っさっきララさんが来てそろそろ元の身体に戻るんじゃないかって…は?」
ガチャと扉が開き入ってきた美柑さんは部屋の光景を見で目を見開いた。
「モモさん…メアさん…二人で何を?」
「な…何でもないですよぅ、私たちはただ優斗さんの着替えを手伝ってただけで…」
美柑さんから放たれた殺気に思わず身の毛がよだつって本能的に嘘をついてしまった。
…いくらなんでもちょっと怖すぎますよ、美柑さん。
「え…なんで?ペロペロしてただけだよ?」
「バ…!」
「……」
メアさん!?今この状態の美柑さんにそんなことを言ったら…
「いいから早く出て行って───────ッ!!」
怒った美柑さんに優斗さんの部屋を追い出されてしまった。