とにかく曇る天才女優の幼馴染!   作:サニキ リオ

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第179話 芸能人格付けチェック その1

「芸能人格付けチェック! お正月スペシャル!」

 

 お正月の恒例番組である芸能人格付けチェック。

 収録自体は年内に行われているが、気分を正月に調整して収録に臨んでいた。

 

「皆様、一流の芸能人ですからまさか落ちていく人なんていないですよね? この番組、ホンマにみんな見てますから、こいつバカなんだと思われないよう頑張ってくださいね」

 

 司会者である小浜さんの前振りが、スタジオのマイクを通して朗々と響き渡る。

 

「まずは、〝チームプライベートAI〟!」

 

 最初に呼ばれ、俺と朝香、井田さんの三人が横一列に並んで頭を下げた。

 プライベートAIは、現在続編の繋ぎである特別ドラマの撮影も行っている。その宣伝も兼ねて、今回の格付けチェックに呼ばれていた。

 

「井田寛です。まあ、今日は若い二人の力を信じて任せますわ」

「いや、井田さんも頑張ってくださいよ!」

「翼もデカくなったなぁ……なんかおっちゃん泣きそうや」

 

 小浜さんはどこか遠い目をしてそんなことを呟いた。

 そういえば、小浜さんも何かと俺のことを気にかけてくれてたっけ。

 

「あ、去年消えた朝香ちゃんもおるやん」

「あたしの扱いひどくないですか!? まだ一流芸能人ですよ!」

 

 ちなみに、朝香は去年も出演していたが、見事に映す価値なしまで落ちていた。

 

「あたしは、今年こそ一流のまま終わらせるつもりです!」

 

 朝香が堂々とした調子でそう言い切ると、小浜さんが茶化すように片眉を上げた。

 

「その自信、去年も聞いた気ぃするけどなぁ」

「うっ……そ、それは去年のあたしの話です。今年のあたしは一味違います!」

「毎年違うって言うとる奴、大体同じとこで転ぶんやけどなぁ」

 

 容赦のない一言に、井田さんが横で肩を震わせて笑いを堪えていた。

 その後、改めて俺と朝香の自己紹介も終わったので、次のチームにスポットが当てられる。

 

「次、〝チームエコドル〟!」

 

 ルナと共に出演しているのは、ECHO DOLPHIN最年長の佐波四音さんだ。

 

「ECHO DOLPHINの斎藤ルナです。よろしくお願いしますー」

「同じくECHO DOLPHIN、佐波四音です」

「おっ、鯖読んでるのバレたアイドルもおるやんけ。おかげで正々堂々、酒飲めるようになってよかったなぁ」

「ぎゃー! その話はやめてください!」

 

 佐波さんはオーバーリアクション気味に悲鳴を上げる。

 主にルナが被害を受けた今田朱代の裏垢騒動。

 その際、被害を受けたのはルナだけではなかった。

 佐波さんは年齢を鯖読んでいたことが発覚し、ルナと同様に炎上を経験していたのだ。

 そんな事情もあってか、周囲は積極的に彼女の年齢をいじるようにしていた。

 エンタメに昇華できれば、火消しまではあっという間だからである。

 

「ま、ルナちゃんの保護者として頑張ってな」

「同じメンバーですから! 誰が授業参観に来たお母さんですか!」

「いや、言ってない言ってない」

 

 気合を入れる佐波さんに対して、ルナは楽しそうに笑っていた。

 

「次、〝チーム声優〟!」

 

 萌絵と秋毫さんにカメラが向く。

 一見、セミブレードコンビのように見えるが、この二人は他作品でも共演しており、中堅と若手声優の中でも地上波でも知名度がある。昨今の声優人気も追い風になっているようだ。

 

「声優の川越萌絵でーす! よろしくお願いします!」

「秋毫乃々未です。お酒大好きなので楽しみです!」

 

 秋毫さんが早々に自己申告すると、小浜さんが笑う。

 

「せやろな、顔に書いてあるわ」

「えっ、本当ですか? メイクさん、ちょっと直してください!」

 

 冗談交じりの慌てぶりに、スタジオが沸いた。

 

「そして最後、〝チーム大御所〟!」

 

 その瞬間、スタジオ全体の空気が一気に締まった。

 千三郎さんと、酒寄さんの二人が、ゆっくりと挨拶をする。

 

「皆様、あけましておめでとうございます。両賀千三郎です」

「酒寄正臣です。あけおめー!」

 

 軽い新年の挨拶をする。

 それだけなのに、スタジオの緊張感が一段跳ね上がったのがわかった。

 

「俺ァ、今年も目指すは一流芸能人。後輩たちには背中を見せていかねぇとな」

 

 千三郎さんが、開口一番そう言い放った。

 

「そうやなぁ、千さん去年も同じこと言うて、カメラから消えてたもんなぁ」

 

 千三郎さんに、小浜さんが声を上げて笑った。

 酒寄さんが横で静かに肩を揺らしながら、千三郎さんの肩をぽんと叩いた。

 

「千三郎さん、フリだけは達者なんだから、もー」

「なぁに、あんたっていう巨匠が付いてるんだ。今年こそはいけるさ」

「いや、あなたが外したら一流ではいられないのよ?」

 

 二人のやり取りに、隣の朝香が小さく息を呑んでいる。

 

「さすが師匠、開始前から前フリが立派に成立してるわ……!」

「いや、アレは素だろ」

「お約束ってやつだな」

 

 照明が少し落ち、テロップに大きな文字が浮かび上がる。

 

「さて、全チームお揃いのところで、最初のチェックはこちら! ワインです!」

 

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