現代にポケモンが現れるいつものアレ。
……でもちょっと違うみたいで?

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頑張って書こうと思いましたが、途中でモチベなくなって力尽きました。
供養です(-人-)ナムナム…


使い捨てヘッドになった人「inする世界違くね?」

ッ――!?いっでぇ!!

 

臀部に響く衝撃と痛みに、俺は思わず声を漏らした。

両手で僅かに持ち上げたケツを抑え、プルプルと震える。

この痛みは絶対尻もちなんかじゃねぇ……落下だよ落下。

 

痛みという激しすぎる主張を訴えし我がケツ。

摩り、撫で付け、なんとか宥めすかしたものの、それでも我がケツは主張をやめようとはしなかった。

何の理不尽があってこんな痛みを負う羽目になったのか。

 

どこぞの悪意を持ったカスが原因だとすれば、その下手人はいったい全体どこのドブカスであるのか。

周囲の状況を把握する余裕すらなく、俺はただひたすらにケツを摩る。

 

つかさっきからケツ痛すぎじゃね?どんだけ高いとっから落ちたらこうなんだよ。

 

ケツの痛みに震えながら腰を捻り、頭を持ち上げる。

ケツの痛みの関係上、完全に後ろを振り返ることは難しい。ので無理はしない。

今欲しいのはヒントにすぎない。

最悪この体勢でも目に入ることくらいしか見えずとも文句は言わん。

 

だから、何が目n……ほあ?

 

ははぁ……なるほどなるほど?

目を疑うっていうのはこういう時のための言葉ってことね。へぇへぇ。

 

視線の先にあったもの。それは……ぶっちゃけウルトラホールであった。

 

はへぇ、てかたっかいな。

道理でケツがいてぇわけだよ。そりゃそうだわ。

あんな高さから落ちたのならしゃーないわな。

どうにもなんねぇわ。

 

うんうんと頷き、ウルトラホールから目を逸らした。

俺はケツ痛の原因を求めてるの。幻覚見せられたって意味ないのよ。

 

なんせこの痛さだからな。

生半可な高さじゃここまではならない。相当な高さから落ちたと考えるべきだ。

 

……その前に俺生きてる???痛み感じるなら生きてるか。

多分夢ではないと思うんだけど、わざわざ頬を引っ張るまでもなかったな。

 

相も変わらず尻もちの尻を抱え込んだ体勢の俺。

うん、誰がどう見てもダサい姿ですねぇ。笑える。

 

まぁケツは痛いままなんですが。

もういっその事割り切るか。

しばらくじっとしてたら痛みも引くだろ。

 

そうして数分、もしくは数十分。

どんくらい経過したのかは分からんけど、とりあえずしばらくじっとしてたらまじで痛みが引いてきた。

これで安心だぁ。

 

閉じていた目を開き、立ち上がろうとした俺氏。

またしても衝撃的な光景を目にする。

 

……うーんこの、俺の目は痛みでおかしくなっちまったのかな?

 

ピエロっぽいカラーリングの細長い肢体、あとなんかボールっぽいのも付いてる。

首のとこのこれはなんだ……シャンプーハットか?まじでなんだこれ。

 

おかしいよな。俺って人間だったよな?

こんな不思議生物な体してた記憶ないんだけど。

 

恐る恐る腕を組んで考え込む。

いやその前に腕組めるんだなこの体。見た感じ指ついてない感じの手なんだが。

 

どうでもいいことを考え、現実逃避していた俺だったが、ふと、この身体的特徴に当てはまるキャラクターの存在を思い出した。

 

ズガドーン。コードネームはUB:BURST

 

ウルトラサンムーンにて初登場したウルトラビーストの1種であり、ウルトラサンのバージョン限定ポケモン。

 

確かタイプはほのおと、ゴーストだったか…?

やっべあれから全然やってなかったから覚えてねぇわ。

 

実況動画は見てたから、あとのシリーズもある程度のストーリーは分かるんだけどなぁ。

ポケモンまでは流石に覚えてない。

 

まぁでも、こいつに関しては割と覚えてる方ではあると思うな。

……これがあるし。

 

恐る恐る頭部に手を伸ばし、持ち上げてみる。

 

うぉ!?まじで取れたぞ!?マジで取れたって!?

 

えってか何この感覚、気持ち悪っ!!

 

いやいや、視界が二つになるとか全然想像もしてなかったんですけど???

やべっめっちゃ吐きそうなんだけど。

 

球体上の頭のどこ抑えたらいいのかも分からず、プルプルと震えながら頭を元の位置に戻す。

 

ふぅ。

 

若干ましになった気分で、上空へと目を向ける。

そこには相も変わらず開かれたままのウルトラホール。

 

……絶対あれが原因だよな。

俺がズガドーンになってることに関係してるかは別にして。

 

辺りを見回してみれば、まぁごくごく普通の山の中って感じ。

キャタピーとか住んでそう(小並感)

 

んで、問題はこっち、鬱蒼と生い茂る緑の中に浮かぶウルトラホールよ。

めっちゃ異質な気配を放っておるわね。

 

ここがポケモンの世界だと仮定すると、なんでポケモンの姿が見えないのかちょっと不思議だったんだけども……これもしかしなくてもアレのせいだよな。

俺、てか野良UBが纏うオーラのせいな可能性もあるけど。

 

ウルトラビーストってぶっちゃけ外来種だからね。生態系上仕方ないね。

 

多分人のままだったらニーサン顔*1してたであろう心境のまま、ウルトラホールどうしようかと考える。

 

開きっぱなしは良くない。絶対良くない。

かといって俺一人でどうにかできんのかねぇ。

とりあえず頭ぶん投げてみる?

 

ええっと、技名なんだったっけか。

ストライクヘッド、とかだったっけか?

 

……あぁいや、"ビックリヘッド”か。

 

ホイホイっと頭持ち上げて〜、振りかぶって〜ドッコラセイッ!!喰らえ"ビックリヘッド”!

 

我ながら綺麗な投球フォームでぶん投げた頭が大爆発!これまた綺麗な花火を咲かせた。

 

たーまーやー。

おっ、ウルトラホール閉じた。

攻撃で閉じることあるんだな。

 

再生された頭でウルトラホールの行く末を眺めた俺だったが、直後に襲いかかってきた体の怠さに困惑することになった。

 

な、なんぞ急に……あ、頭爆発した反動か。

 

ぬぅ。

この感じ、"ビックリヘッド”って”じばく"みたいな反動がついてくる感じのわざなのか。

 

まぁ代償あるなら早めに知れたのはプラスと考えてもいいか。

 

結果的にはプラスでと納得。

じゃあ改めてここどこなんだよと周囲を見回した。

 

見るからにThe山中だから、ウルトラサンムーンの日輪/月輪の祭壇ではないことだけは確か。なんだが、いかんせん山すぎて特徴が見えん。

 

繋がるのがアローラだけなら選択肢ひとつで1発……だったんですけどねぇ。

ウルトラホールって割と色んなとこに開くっぽいのがネックになってくるんよな。

 

まぁそもそもの話、山の光景だけ見てこのシリーズのこの地方のこのエリアだ!とか分かるわけないからあんま参考にならんのが本音だが。

 

あー、そこの茂みからポケモン出てきたりしないかしら。

 

望ましい条件にそいつがひとつの地方固有のポケモンも追加ね。

都合上被ってくるのも当然あるとはいえ、だいぶ絞り込めるからかなりデカいンゴ。

 

チラッチラッ……はい結局出てきませんよと。はぁ…

 

(フラグ)立てたら出てくると思ったんだけどなぁ。

どうやらダメみたいです。

 

でも生き物の気配っぽいのは感じれるから、絶対近くにはいるはずなんよな。

なんかの理由で出てこないだけであって。

今は少しでも情報が欲しいフェイズですから、はよ出てきてもらえるとありがたいんですけど。

 

そもそも本当にいんのかよって話しでもあるけど。

気配を感じるといっても、実質半分くらい勘なのは否めないし、信憑性の面ではかなり痛いからな。

 

でもその辺に関しては、そもそもの中身が別なんだから文句言われてもしょうがなくねとは思う。

 

しかしこりゃ悩むな。

ここから動くべきか、まだしばらくここに留まるべきか。

どっちを選べばいいのかぶっちゃけ分からん。

 

動けば強力なポケモンに遭遇する危険が常に付きまとう。

だが、かといって動かなければ安全という訳でもない。

 

1箇所に留まる方が危険な場合だって当然あるからな。

まぁ今は自衛手段あるけど。頭という名の。

 

よし、10秒数えよう。

10秒数えてパッと出た方を選ぶ。

 

お題はもちろん動くか動かないか。

んじゃ初め。

 

10

 

9

 

8

 

7

 

6

 

5

 

4

 

3

 

2

 

1

 

ゼロ――はい動くで決定っ!

 

そうと決まれば早速移動じゃ!

クマに襲われた大学生の話思い出して怖くなっちゃったのよ!

唐突だけどトラウマなんだからしょうがない!

 

山で闇雲に動くのははっきりいって危険。

それは分かっている。

でもヒントになりそうなのなーんもないんからね。

しょうがないね。

 

とにかく一方向目がけて歩き出す。

進むは1点、ただ1点のみ。途中でやっぱあちかな…?と思ったりしても曲がったりはしない。

 

沢を下らないとかなんとか鉄則もあるっぽいが、そういうのだって地図やらGPSやら使えに行き着くだろうし、あくまで参考程度に。

 

道中もしポケモンに出会した時は……あー、頭パーンで経験値やねぇ。

 

ポケモン世界な以上、あ! やせいの やじゅうセンパイが とびだしてきた!なんて日常茶飯事だろうし、トレーナーバージョンだって同じ数あるかもしれない。

バトルの経験は確実に詰んどいた方がいいに決まってる。

 

最悪、人里に着く前には、最低4つは技を使えるようになっとかないとまずいだろうな。

 

"ビックリヘッド”を除いてもあと3つ。

あと3つ使えるようになった上で、アニメ軸かゲーム軸かでこれまた変わってくる。

 

まぁアニメかゲームかはすぐに分かるだろうけどな。

ゲーム軸なら4つ以上は覚えられないだろうし。

 

ていうか、今ってどうなんだ?

"ビックリヘッド”以外使える?使えそうな気はするけど。

 

確かタイプほのおとあくだったよな…?"かえんほうしゃ”とか行けるかな。

 

燃えたらどうすんだって?視界広がっていいわね(鼻ほじ)

こちとらワイルドに生きる野良ポケじゃ、秩序なんぞ知らんがな。

 

ヒトカゲをイメージして身構えてみたものの、それっぽいのが出そうな気配がない。

要練習なのか、はたまた最初から覚えられない枠なのか、にわかには判断しかねます。

 

でも俺ほのお技とかこれか"フレアドライブ”、あと"マジカルフレイム”くらいしか思い付かんぞ。

……あ、"ひのこ”っていうのもあったな。

 

とりま、思い付いた分片っ端から試して行くとしよう。

ほのおが終わったらゴースト技試して、ゴースト出し切ったらまた後で考えるとして。

 

つーかさ、ぶっちゃけゴースト系って頭にゴーストって付けたら大抵ヒットしてくれんのかなりデカいよね。

技名覚えるの苦手な俺に配慮してくれてる説ある?

 

んなことないんでしょうけどね。

手始めに、ゴーストボールとゴーストクローから行きましょか。――ってあら?

 

お、おかしいなぁ…?なんでどっちも無反応なのかなぁ?

ミスったか、それとも不発か。

いやまさかどっちも存在しない技でしたーなんてことは流石に……ダメみたいですねぇ。

 

ちぇっ、ならゴーストは諦めて、シャドウ系で行ってみるか。

こっちならどうだってばよ?

……おっ、なんかいい感じ。手応え感じるぞ!

 

もしかして、こっちならワンチャン行けるのでは!?――ってワクワクした俺はマヌケだったぜぇ。

結局、蓋を開けてみれば上手くいったのはシャドボだけでした、と*2

 

技としてしっかり出せたのが"シャドーボール”だったってだけで、他にもいくつか手応えありそうなのがあったのは確かではあるんだけど。

 

ポケモンごとに覚えられる技の数とか種類に限りがあるのは知ってたし、十中八九それのせいだなと納得することにした。

 

現状使えるっぽいのが、最初から使えた"ビックリヘッド”と、なんか上手くいった"だいもんじ”、あと今出せた"シャドーボール”の3つ。

 

目標達成には1つ足りないものの、いい時間つぶしにはなってくれたからな。

今のところはこれで納得しておくことにする。

 

道中で本物のポケモンも見れてテンション上がったしな。

……ちょびっとばかし山火事になりかけたけど。

いやー反省反省。

でもおかげさまで分かったこともあるから許してくれけろ。

 

分かったこと。

それは、ここがカントー、ジョウト、ホウエン、イッシュ、シンオウのいずれかだということだ。

 

確かポッポって日本モチーフのとこしか出なかった筈……いや、どうなんだろ。

あとのシリーズだとその辺も変わってくるのか?

でもそれ言い出したらキリないんだよなぁ。

 

他に見れたのがキャタピーだったのもいかんね。

あれも確か日本全国にいたような気がする。

アニメでも毎年バイバイバタフリーやってような記憶があるし多分合ってる。……本当にそうか?分からん。

 

バトルもスマホ片手のにわかに分かる訳ないだろ!いい加減にしろ!

 

あかん虚しくなってきた。

ひとりでなにやってんだ俺。

 

A(アンサー):気分ダダ下がりの山中徘徊。

 

良くないどころか普通に悪い足場に、重くなったこの両足は致命的だった。

余計に足を取られ、体力が倍近く持ってかれる。

 

なんかもうポケモンでよかった気がしてきたぞ。

この山もやしの人間ボディで脱出できる気がせんわ。

 

ズガドーン語で愚痴り、頭で道行くポケモン消し飛ばしながらズンズンひたすら歩き続ける。

 

反動痛いのもあって、目に入ったきのみは見つけ次第片っ端から口に運んで回復に努めてるんだが、これまた当たり外れが結構激しくて口内カオス状態。

流石はポケモンワールドクオリティ。

 

あら、これは……登山道かな?

 

コンクリとかアスファルトとまでは行かないまでも、ある程度整備された道に出た。

明らかに人の手が入っている。

 

これはどっちに向かえば正解だ?右か、左か。

少し悩んだ末に、右方向を選択した。

もう日も暮れ出してるからな、こういうのは即断即決。

 

下がる一方だったテンションも上がり、小走りで登山道を駆け下りる。

どんどん下ってるし、やっぱこっちで合ってたっぽいな。

 

小走りはやがて駆け足に、気持ちが急いて全力疾走へ。

とにかく人里に出たい。人の顔を見たい。そんな気持ちが足を回した。

 

ただひたすら前だけを向いて走っていた――その時のこと。

 

?…なんだ?人の、声か?

 

高い、女の子のような声が聞こえた気がした。

それも、ただの声じゃなく、危機感を感じさせる声が。

 

あぁほらまた聞こえた。

この切羽詰まった、悲鳴みたいな声が――!?

 

いや待て女の子の悲鳴だと!?どこから聞こえた!?

……あっちか!

 

耳をすませ、音の届いてきた方向目掛けて急行する。

 

こんなポケモンだらけの山中で悲鳴とかそれ絶対ヤバいやつだから!急げ!間に合え!

 

気持ち悪いとか言ってる場合じゃねぇ、頭抱えての全力疾走。

視界が増えようが気持ち悪かろうが知らん!

 

声の主が近付いてる、そろそろの筈だ。

 

あっ、あれか!……えっ

 

ふたつの視界に飛び込んできたのは、10代後半らしき女の子を追いかける森のくまさん

 

リングマとかでもなんでもない、リアルな熊である。

 

く、熊さん!?熊さんナンデ!?

 

ポケモン世界にあんなリアルな熊いる訳ないだろ、なんでだよ!とは思いつつも、それどころではないとすかさず"ビックリヘッド”。

しっかり熊へと直撃させて女の子を背に庇う。

 

「ず、ズガドーン…」

 

あ、ズガドーンのこと知ってんのね。ポケモン世界の住民か。

じゃあやっぱあの熊がイレギュラーってことか。

 

イチか、バチか……っ、ズガドーン!”シャドーボール"!」

 

なにぃ?"シャドーボール”だと?

 

なんか急に後ろの子が叫んできた件。

……えぇいままよ!

 

頭を回転させてゴーストパワー充填、球形になったエネルギーを射出ゥ!

 

森のくまさんは、断末魔を上げながら奥の方へとぶっ飛んで行った。

一般生物がポケモン(不思議生物)に勝てる訳ないだろ。

おとといきやがれ。

 

んで君よ。

おーい、大丈夫?

 

 


 

 

理想は現実に

 

この言葉を何度も聞いた。

 

努力を重ねて、なりたい自分になるためのあいことばとして。

 

友だちも、クラスメイトも、将来の夢を叶えようと必死になっている。

理想を現実に、夢を叶えてやるんだって。

 

お父さんも、お母さんも、私に何度だって聞いてくる。

就きたい職業はないのか、なにか夢はないのかって。

 

私は、そんな両親の問いかけに何も返せなかった。

 

だって、私にとっての理想は……架空だったから。

 

ポケットモンスターというゲームがある。

何十年も前から続く大人気シリーズ作品で、その衝撃的かつユニークなアイデアからなる奥深いゲームシステムは、子供から大人まで大小様々な人を魅了した。

 

かくいう私も、ポケモンに魅せられたひとり。

 

きっかけは当時放送中だったテレビアニメ。

適当にボタンを押したら、たまたま放送時間だったそれ。

 

当時そこまでポケモンに興味を持っていなかった私は、そのままリモコンのチャンネルボタンを押し込み、他の番組に変えようとしていた。

 

その筈だった。

見る気なんて欠片もなかった筈なのに……気付けば、次回予告が終わっていた。

 

思い起こされるのは先程のバトル描写。

挿入歌の高まりに合わせて激突する、2体のポケモンとそのトレーナー。

互いが互いの全力を振り絞るその戦いは、最後の一撃をクライマックスに締めくくられる。

 

「…」

 

私は自然と胸に手を当てていた。

バクバクと激しい拍動を繰り返す心臓に。

 

興奮冷めやらぬままに親へと強請り、買ってもらったゲームソフト。

ライバルたちと鎬を削り合い、図鑑を埋め、地方の隅々まで冒険し尽くした。

厳選や対人戦こそチャレンジしなかったけど、後年のシリーズからはそれらにも手を伸ばし始めた。

 

周りがおしゃれや友だち付き合いに気を取られる中でも、私のポケモン好きは変わらなかった。

 

もちろん私だっておしゃれもしたし、友だちと夜までたくさん遊んだりしたけど。

 

学校で話題を出しあって、放課後にみんなで遊びに行く。

そんな関係が苦しくなったのは……あの時から。

 

先輩が卒業を迎えてからというもの、みんな真剣に進路を意識するようになって、各々活動に奔走し始めた。

 

なりたい自分を既に形成していたみんなは、その夢を叶えるために情報を集めて、足りない己を補い高めて行く。

 

置いてけぼりになったのは……夢も何も持っていない、私だけだった。

 

「――っ」

 

意識が現実へと戻る。

 

目の前には、ズガドーン。

私が憧れた、ポケモンそのもの。

 

本物、本物だ。

……夢じゃ、ないんだ。

 

今から遡ること1年前、全世界に"ゲート”が出現した。

 

揺らめく水面のような姿をした無数のそれらに、世界各国は困惑、調査の目を差し向けた。

 

しかし調査は難航、遅々として出ない結果に各国の政府は焦り、ネット民たちはあることないこと好き勝手に言い合い、果てには陰謀論すら持ち出す始末。

 

毎日代わり映えしない現状を放送するニュースが流れ、はや半年という時間が経過。

その頃にはもはや、ゲートに深い関心を向ける人なんてほとんどいなくて。

 

残ったのは、自分は関係ないからと、これまで通りの毎日を送る人々だけだった。

 

そんなつまらない町の中、私はひとりゲートに手を伸ばしていた。

毎朝、毎晩、朝起きて、寝る前に。

 

「あれが、ウルトラホールだったらよかったのに…」

 

ゲートが初めて現れたあの日、凄く興奮したのを覚えている。

まるで主人公にでもなったかのように、ひとり全能感に酔いしれた。

 

でも、現実には何も起こることはなくて。

ただ時間だけが過ぎて行って、やがて私は諦めた。

結局ただの現実なんだって。

 

一度期待した分だけ落胆は大きくて、これまで以上に毎日がつまらなく感じるようになった。

我ながらめんどくさい拗らせ方をしたなとは自覚してる。

 

そんなめんどくさい私だから、あのゲートがその名の通りの働きを始めた時には、それこそ周りの人以上に驚いたし、同時に疑いもした。

 

だって信じられなかったもの。

今更かとかいう気持ちの以前に、ゲートを通じて現れたUMAの正体が、まさか私が大好きなポケモン(・・・・)そのものだったなんて。

 

ゲートを題材にした新しいネタかと思えば、その実本当にポケモンたちがこの世界に現れていて、加速的に現代社会に影響を及ぼし始めていたーだなんて、すぐに信じれる方が稀だと私は思うけど。

 

前回の失敗から学んだことで疑り深くなっていた私は、もう騙されまいとしばらくスマホを封印することを決めた。

家の中にいるだけなら最悪なくても生活できるしね。

 

リアルポケモン騒動なんてものが起こった以上、当たり前のように学校は臨時休校。

この際だからと最新作をガンガン進めて、平時よりも人口の増えた対人戦にも突撃した。

 

『あっ、いました!ご覧下さいみなさん!あの雲のような羽、チルットです!チルットが現実に現れました!』

 

日を追う事に現実味をなくしていくニュースの内容には呆れるばかり。

 

『先日も男性がスピアーの群れに襲われたばかり、野生のポケモンによる被害は増加の一途を辿っています』

 

流石に不謹慎…だと思ったところでふと思った。

もしかして、本当に?

 

スマホを引っ張り出して調べてみると、どうやら本当らしいことが分かった。

 

本当に、私の好きなポケモンたちが、現実に。

 

「ぁぁ…ぁぁあ…嗚呼!」

 

私は歓喜した。

だってポケモンだよ?ずっと好きだったポケモンが、この世界に現れたんだよ?

喜ばない訳がない。

現代入りが現実になるなんて……すごい。

 

「っ!こうしちゃいられない!」

 

こういう時は、キズぐすりやモンスターボールも一緒に現代入りを果たすのが通説。

ただでさえ私は遅れてるんだから、今すぐにでも動かなきゃ!

 

こんな混乱した社会の中でも、真面目に労働に勤しむ人たちは一定数存在する。

当然ながら、家にいない両親もその中に含まれるため、幸か不幸か、私を止める人はいなかった。

 

で、勢いよく家を飛び出した矢先、ポッポがいた。

……ポッポがいた。

 

ポッポ。

ポケモン…本物の、ポケモンだ…!

 

触りたいという欲求を抑え、恐る恐る近付いてみたものの、警戒されたのかポッポには逃げられてしまった。

飛び去る姿にしょんぼりしつつも、目的は忘れていない。

 

「あった」

 

予想通り、ポケモンと共に現代入りしていたモンスターボールを獲得。

 

ついでにキズぐすりもひとつ手に入れた。

これは紫色だから、多分普通のキズぐすり。

 

ホクホク顔で一旦帰ろうとした時――背後から鋭い視線を感じた。

身体が意思に反して激しく震え出し、生命の危機を訴えた。

 

逃亡を要求する本能に対し、理性ともいえる私の意識は真っ白だった。

その場を離れることも、振り向くこともできず、ただ身を竦ませるだけ。

 

何も考えられない、分からない。

どうすればいいの…私は、どうすれば…!

 

視線の主が一歩、また一歩と私に近付いて来て――限界を迎えた私が走り出す。

 

「デン、ショォォッッグゥゥゥ!!!」

 

「う…ぁぁぁぁっ!」

 

怒りの咆哮。

 

振り返ることすらできないままに、ただ前へと腕を振り、足を踏み出し続ける。

 

後悔なんてしてる暇はなかった。

そんなことをしてる余裕もない。死ぬだけ。

 

死にたくはなかった。

ただ死にたくはなかった。

だから私は走り続けた。

 

……まぁ、ようやく足を止めたところで、また別の命の危機に見舞われたんだけど。

 

右手に握られたモンスターボールを眺める。

この中には、()が入っている。

 

「ず、ズガドーン」

 

「どばごーん!」

 

私を、助けてくれたポケモン。

 

なぜ私を助けてくれたのかが分からなかった。

なぜ私の指示を聞いてくれたのかが理解できなかった。

 

分からないからこそ、私は恐れた。

 

「さっきは、ありがとう。それであの…そ、その」

 

「?」

 

「よければ、だけど。わたしと…私と、友だち…えと」

 

恐れたからこそ、不安を取り除きたかった。

 

「わ、私と…!一緒に、来てっ!」

 

不安を取り除きたかったからこそ、安心できる理由を求めた。

 

「……どーん」

 

そして、彼は……応えてくれた。

*1
( ^ U ^ )

*2
(´・ω・`)


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