ファンブックが届いたので初投稿です

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友人がふと思いついた怪文書がこんなことになってしまいました。なんということでしょう。


第1話

かぐやは激怒した。

 

かの邪智暴虐のヤチヨを除かねばならぬと決意した。

かぐやにはKASSENがわからぬ。

かぐやは、駆け出しライバーである。

歌を歌い、ゲーム配信をして暮らしてきた。

けれどもヤチヨに関しては、人一倍敏感であった。

きょう未明かぐやはツクヨミプライベートルームを出発し、ロードを越えロケーション越え、十里ほど離れたこのヤチヨのファンルームへやってきた。

歩いているうちにかぐやは、ルームの様子を怪しく思った。

ひっそりしている。ルーム全体が、やけに寂しい。

のんきなかぐやも、だんだん不安になってきた。

路で逢ったオタクをつかまえて、何かあったのか、前このファンルームに来たときは、夜でも皆が歌を歌って、ファンルームは賑やかであった筈だが、と質問した。オタクは、首を振って答えなかった。

しばらく歩いてオタクに逢い、こんどはもっと、元気よく質問した。

オタクは答えなかった。かぐやは両手でオタクのからだをゆすぶって質問を重ねた。

オタクは、あたりをはばかる低音で、わずか答えた

 

「ヤチヨ様は、人を殺します」

 

「なぜ殺すのだ」

 

「彩葉に求婚している、というのですが、それは、一握りです。」

 

「たくさんの人を殺したのか」

 

「はい、この頃は一層手加減がなく、きょうは、六人殺されました」

 

聞いて、かぐやは激怒した。

 

「呆れたヤチヨだ。生かして置けぬ。」

 

かぐやは、単純な月人であった。どじょうハンマーを、背負ったままで、のそのそヤチヨのプライベートルームにはいって行った。

たちまち彼女は、ミニヤチヨに捕縛された。

かぐやの背負ったハンマーが見えたので、騒ぎが大きくなってしまった。

かぐやは、ヤチヨの前に引き出された。

 

「このハンマーで何をするつもりであったか。言え!」

 

暴君ヤチヨは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。そのヤチヨの顔はにこやかで、しかし目は笑っておらず、とても暗かった。

 

「オタクをヤチヨの手から救うのだ。あと彩葉はかぐやのだもん!」

 

とかぐやは悪びれずに答えた。

 

「お前がか?いやいや、彩葉はヤッチョのだよ〜」

 

ヤチヨは、憫笑した。

 

「仕方の無いやつじゃ。おまえには、ヤッチョの彩葉愛がわからぬ。」

 

「かぐやだって彩葉好きだもん!」

 

とかぐやは、いきり立って反駁した。

 

「求婚は悪いが、容赦なく殺すのは最も恥ずべき悪徳だ。ヤチヨは、オタクの忠誠をさえ疑って居られる。」

 

「疑うのが、正当な心構えなのだと、ヤッチョに教えてくれたのは、オタクたちだ。」

 

暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。

 

「ヤッチョだって、平和を望んでいるのだが。」

 

「なんの為の平和だ。彩葉を守る為か。」

 

こんどはかぐやが嘲笑した。

 

「求婚するのはダメだけど、関係ないオタクまでを殺して、何が平和だ。」

 

「だまれ、恋敵の者。」

 

ヤチヨは、さっと顔を挙げて報いた。

 

「口では、どんな清らかな事でも言える。ヤッチョには、神々のみなの腸の奥底が見え透いてならぬ。かぐやだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」

 

「ああ、ヤチヨは悧巧だ。自惚れているがよい。かぐやは、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、ーー」

 

と言いかけて、かぐやは足もとに視線を落し瞬時ためらい、

「ただ、かぐやに情をかけたいつもりなら、KASSENまでに三日間の日限を与えてください。かぐやいろPファンルームでかぐやは彩葉と結婚式を挙げ、必ず、ここへ戻って来ます。」

 

「ばかな。」とヤチヨは配信には載せれない声で低く笑った。

 

「…いやヤッチョがわざわざ許すわけないよね。いくら彩葉と結婚するのが自分とは言え。逃した小鳥が帰って来るというのか。」

 

「そうです。帰って来るのです。いやそう言うなら別にかぐやが結婚してもヤチヨは損ないじゃん。」

 

かぐやは必死で言い張った。

「かぐやは約束を守ります。かぐやを、三日間だけ許してください。彩葉が、かぐやの帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、このツクヨミにミカドヌンティウスという彩葉の兄がいます。三日目の日没まで、ここに帰って来なかったら、あの帝を締め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

 

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目の日没までには帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。かぐやの罪は、八千年ゆるしてやろうぞ。」

 

「まぁ別に帝だからいいけど、彩葉を10年支えてくれた恩があるし、絶対ハッピーエンドにするよ!」

 

「はは。まあそれもそうだね〜。でも約束は約束だし、おくれたら容赦しないよ〜。」

 

竹馬の友、ミカドヌンティウスは、即座にプライベートルームに召された。

 

かぐやはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、かぐやいろPファンルームへ到着したのは、翌る日の午前。

陽は既に高く昇って、オタクたちはツクヨミに出ていた。

彩葉は、よろめいて歩いて来るかぐやの、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。

そうして、うるさくかぐやに質問を浴びせた。

 

「なんでも無い。」

かぐやは無理に笑おうと努めた。

 

「ヤチヨに用事を残して来た。またすぐヤチヨの所に行かなければならぬ。あす、彩葉と結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」

 

彩葉は頬をあからめた。

 

「うれしいか。綺麗な衣裳も課金で買って来た。さあ、これから行って、オタクたちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

 

オタクたちは二つ返事で了承した。オタ公は牧師を任され、泣いて喜んだ。

 

結婚式は、真昼に行われた。

実に多くのオタクたちに加え、芦花、真実、ヤチヨ、縛られた帝が、心からの祝福をかぐやと彩葉へ注いだ。

陽気にうたい、手を拍った。

かぐやは、一生このままここにいたい、と思った。その日の晩、結婚式は終幕を迎え、ツクヨミをログアウトし、彩葉とのEx-Yotogibanashiを日事を忘れて楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝はヤチヨに殺された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めでたし めでたし

 


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