超かぐや姫の本編後、一つのエンディングに向かう蛇足

以下注意点
1.百合です
2.本編終了後にヤチヨは分身してヤチヨベースの個体とかぐやベースの個体がいるという解釈です(同一人物ではある)
以上のことを踏まえてそれでも良い方は読んでくれると幸いです

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第1話

「ただいまー」

 

「彩葉帰ってきた!」

 

普段と特に大きな変化のないが、輝かしい毎日...けれど唐突にそれは来た。

 

「おかえり、彩葉!」

 

仕事から帰ってきた彩葉の声に気づいてリビングからやや小走りで玄関に向かって帰ってきた彩葉を出迎える。

いつも通り彩葉のもつ荷物を取って片付けようとするが...見慣れないものを持っていた。

 

「...彩葉、なにその鞄?」

 

「これ社用のPC

少し家でも仕事するから」

 

「えっ!」

 

彩葉の仕事が忙しいのは分かっている。

しかも大抵は私の為だし。

それでも...残業で遅くなることはあれど家にまで仕事を持ち込むことは初めてだった。

 

「ってことで...悪いんだけどしばらく配信とかも私参加できないから」

 

「えー!?

やーだー彩葉と一緒に配信したーい!」

 

「そうは言っても...無理なものは無理なの」

 

「......お願い、彩葉」

 

頑固な彩葉に上目遣いでお願いをしてみる。

彩葉は一瞬たじろいだけど...

 

「...だめ...今回だけはかぐやのお願いでも聞けない

それくらい大事なことなの」

 

それでも...彩葉は頑なだった。

 

「...な、なんで...そんなに大事なことなの?」

 

「そう、すっごく大事なこと

これはかぐやにとっても...いや、なんでもない」

 

「彩葉...?」

 

「...なんでもない

さっ今日のご飯なに?

もうお腹空いちゃったよ」

 

「う、うん...彩葉は着替えたりして待ってて?

その間に完成させちゃうから」

 

それからいつも通り夕食を私達は済ませた。

今日も美味しくできたし、彩葉も笑顔で美味しく食べてくれてた。

その笑顔はいつも通り眩しかったし...幸せだったけど...

例の仕事が気になるのか時折上の空になるのが気になった。

 

「じゃあ、私しばらく自室に籠るから邪魔しないでね」

 

夕食後、食器の洗い物を彩葉は手短に終えて部屋に戻っていった。

 

「あっ...時間だ」

 

時計を確認するとライブ配信の時間が近づいていた。

気持ちを切り替えて配信を開始する。

いつもは楽しい配信...けれど今日はそんなに楽しめなかった。

配信もそこそこに終えて彩葉の様子を確認するため、音を立てないように彩葉の部屋のドアを開ける。

椅子に座って真剣な顔でPCと向き合っている。

ああいう顔はかっこよくて好きなのだが...少し寂しさを覚える。

そのまま静かに部屋に入って、彩葉の布団で眠りについた。

 

「...もう朝か...彩葉?」

 

目が覚める。

時刻は彩葉が起きる時間より少し前のいつもの時間。

けれど椅子にも布団にも彩葉はいない。

私に掛け直された毛布があるくらいだ。

目を擦りながらリビングに向かうとテーブルに置手紙があった。

どうやら彩葉は早くに家を出たようだ。

朝ごはんも食べずに。

自分の朝食を作るかと思い、キッチンに向かう。

すこし考えて彩葉がいるときには絶対にしない雑な朝ごはんで済ませた。

あんまり美味しくなかった。

それから彩葉がいない日常が始まる。

普段と変わらないのになぜだか心がざわつき、なにも楽しくない。

時間が経ち、彩葉が帰ってくる。

食事は一緒に取るが彩葉の食べるペースは少し早まっている。

私も普段のように会話が続けられない。

そうして食べ終わると彩葉は再び部屋に籠ってしまった。

 

>かぐやちゃん大丈夫?

 

彩葉の忙しい日々が続く中、配信中にこんなコメントが来ていた。

 

「だ、大丈夫ってなにが?」

 

>なんかあんま楽しくなさそう

>たしかに、いつも見たいな輝きが薄い

>どしたんはなしきこか

>そういや最近いろP出ないね

 

意外と私の視聴者は鋭いようだった。

 

「あ、あー...最近ちょっと風邪気味でね?

もしかしたらそのせいかも?

いろPも最近は仕事が忙しいらしいからね」

 

>風邪か...体調管理きをつけてな

>心配...

>いいもの食べて早く良くなって 5000ふじゅ~

 

「みんなありがとう

...そうだね...今日はキリもいいから配信はここまでにするよ

それじゃみんな、まったねー」

 

配信をちゃんと切って一息つく。

彩葉はまだまだ忙しそうだ。

それに比例して私に不安が溜まっていくのがわかる。

とりあえず私はスマコンをつけてツクヨミにログインした。

そのまま目的地に向けて一直線に向かう。

 

「ヤオヨロ~かぐや」

 

目的地には話をしたいと思っていた人物のヤチヨ...もといもう1人の自分に会いに来た。

 

「...そんな辛気臭い顔してどうしたの、かぐや」

 

「わかってるでしょ...」

 

「そうだねー...彩葉に構ってもらえなくて不満なんでしょ」

 

「...うん...そう...確かに不安

ちょっと構ってもらえないだけでこんな風に思っちゃう自分も嫌」

 

ヤチヨに話していくたびにどんどん気持ちが込み上げてくる。

 

「ねえ、大丈夫かな...

かぐやなにか嫌われることしちゃったかな...もしかして捨てられちゃうかな?」

 

そんなことはない。

だと思うのに...そんな不安が込み上げて止まらない。

 

「落ち着きなさいな...かぐや

そもそも、彩葉は今ツクヨミにすらログインしてないみたいなんだよね

だから飽きたとかじゃなくて単純に忙しいだけだと思うよ」

 

「そういうヤチヨは何も不安じゃないの?」

 

「そりゃ、ヤッチョも不安な時はあるけど...彩葉を信じてるからねー」

 

「なにそれ...まるでかぐやが彩葉を信じれてないみたいじゃん...」

 

「そうは言ってないよー」

 

気持ちを吐露したおかげか少し楽になり、軽口を言い合う。

 

「...同じ自分なのにどうしてこうも違うんだろうね...その落ち着きが羨ましいよ」

 

「ヤッチョはヤッチョ...かぐやはかぐや...ベースは同じだけどお互い引っ張られてるのかもね

...それにヤチヨもかぐやが羨ましい時もいっぱいあるよ」

 

「...そっか」

 

「大丈夫...彩葉がしてることはきっと...いいことだから」

 

「わかってるよ

...それじゃ...そろそろ戻るよ

ご飯の支度しなくちゃ」

 

「はーい

今度は彩葉も連れて来てねー」

 

ヤチヨの声を背にして現実世界に戻る。

 

「やば...もうこんな時間」

 

時計を見るといつもより遅くなってしまった。

なので急いで夕食の支度を始める。

大体の準備が終わり、仕上げの段階になると彩葉が帰ってきた。

 

「ただいま、かぐや」

 

「おかえいろ...あれ、パソコンは?」

 

「ああうん、もう家でやる必要なくなったからね」

 

「じゃあ、またいつもみたいに!?」

 

「...その前に大事なお話があります」

 

少し元気になっていた気持ちがざわめく。

大事な話とはなんだろうか...言ってほしいが聞きたくもない気持ちがある。

けれど彩葉は待ってくれず、鞄を漁っている。

あれでも...この顔見覚えがある...

たしか花火大会に誘われたときと同じような...

 

「結婚...しよ?」

 

恥ずかしそうにしながら彩葉は婚姻届を取り出してきた。

私は何が何だかわからず、脱力してその場に座り込んだ。

 

「...えっと...落ち着いた?」

 

「う、うん...」

 

彩葉に連れられてリビングに座らせられた。

その頃には少し落ち着いてきた。

 

「えっと...なんで急に?

というか出来るの?」

 

「うん...実はかぐやのボディを作成するのと同時に戸籍とか色々調べたり用意したりしてたんだよね

ここ最近はそこらへんの手続きが忙しくてなかなか相手できなかったんだよね...ごめんねかぐや」

 

「そ、それはいいけど...言ってくれればかぐやも手伝ったよ?」

 

「...あー...いや」

 

彩葉が歯切れが悪そうにしている。

 

「かぐやを...驚かせたくて...」

 

「そっか...」

 

少しの間、沈黙が流れる。

 

「...ところでかぐやさん」

 

しばらくして彩葉が口を開いた。

 

「...まだ返事貰ってないんですけど」

 

その瞬間、プロポーズされたことに一気に現実感が湧いてきた。

 

「...やった...やったやった...やったあああ!」

 

あまりの嬉しさに立ち上がってその場で小躍りしてしまった。

彩葉には呆れられながらも嬉しそうに見られた。

 

「はっ...こういう時言う言葉があった!

...えっと...不束者ですがよろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしく...かぐや」

 

プロポーズを承諾し、2人で微笑みあう。

 

「そういえば...式どんなドレス着ようかなー...」

 

「...やっぱかぐやも着たい?」

 

「...もしかして彩葉も?」

 

今後の事を離す。

どうやらどちらもウェディングドレスを着たいようだ。

 

「じゃあいっそのこと2人とも着ちゃう?」

 

「それも...ありだね...」

 

『幸せそうな話をしてるねー?』

 

幸せな設計図を描いてるとリビングに置かれているタブレットから声が聞こえる。

ヤチヨがそこにいた。

 

「...ヤチヨ、もしかして全部知ってた?」

 

『ヤッチョが知ってたらかぐやだって知ってるでしょー?

仕事場で彩葉のこと見てたけどヤッチョにも秘密にされてたから今初めて知ったよ』

 

「そ、そっか...」

 

『でもいいなー...ヤチヨもウェディングドレス着たいなー』

 

「...一緒着る?」

 

昔にこんなやり取りがあったような気がする。

あの時は泣く泣く諦めてたけど。

 

「...任せて、なんとかするから」

 

彩葉は頼もしく引き受けてくれた。

 

「それと...改めてヤチヨに聞こうと思ってたんだけど...

ヤチヨ、私と結婚してくれる?」

 

『...もちろん...不束者だけどよろしくね、彩葉』

 

「ふふ...かぐやと同じ回答だ」

 

彩葉は改めてヤチヨにもプロポーズしていた。

私は大はしゃぎしていたけどヤチヨは静かに泣いていた。

 

「さて、まだまだ忙しくなることはあるけど...2人とも付き合ってね」

 

『りょー』

 

「おっけー!」

 

これは...所謂私と彩葉の1つのハッピーエンドだ。

けれど物語はまだ進む。

だって、ハッピーエンド後にもエピローグはあるんだし...まだまだ楽しいことが待っているんだから


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