転生したら3代目GUTS‐SELECT隊員だった件 作:神永陽江
ウルトラマンの小説に初めて挑戦します
拙い所もあるでしょうがよろしくお願いします
GUTS‐SELECT
世界規模の巨大財団「シズマ財団」の創設者にして別宇宙からの漂着者であるシズマ・ミツクニと、世界各国政府の支援によって設立された地球平和同盟組織であるTPUから選りすぐりの隊員を選抜して組織されたエキスパートチームである。
対怪獣用戦闘艇「ナースデッセイ号」や多目的無人可変ドローダー「GUTSファルコン」などの戦力を保有していた彼らは、同時期に頻繫に現れてきた謎の巨人「ウルトラマン」たちと共に、設立以来襲来してきた様々な災厄を打ち破り地球を守護してきた。
超古代から蘇った闇の三巨人とその配下の怪獣たち
繫殖する電脳の侵略者
別世界より来る黄金の驚異
数多の星を食い尽くす嗤う滅亡
救世主の資格を嘯く悪魔
光を騙る傲慢な巨人
それら以外にも多くの怪獣や宇宙人たちの侵略を退けた彼らは、紛れもなく英雄と言っても差し支えないだろう。初代メンバーが火星へと旅立ち、そのメンバーや体制が一新されてもなお、GUTS‐SELECTは人類の巨大な盾であり続けた。そして「ウルトラマン」もまた、彼らと一緒に付き添い最後まで戦い抜いた。
宇宙の全てを飲み込まんとする圧倒的驚異・スフィアと地球を手中に収めんとする邪悪な宇宙人プロフェッサー・ギベルスとの最終決戦を経て、2代目である彼らもまたまだ見ぬ新しい宇宙の彼方へと飛び立っていった。現在では3代目となるメンバーが地球の守備に就いている。
さて、ここまでの彼らの経歴を見れば、彼らが如何に素晴らしい人間たちであり、また彼らの属する組織であるTPUの理念や行動が正しいものであったのかが理解できるであろう。確かに、彼らは偉大であった。よくできた人間であったといえるであろう…しかし、この世では光が全てを照らすとは限らない。
光があれば影ができるという当然の理論は、もちろん人間たちにも適応される。世の中には決して褒められないような人間がそれこそ影を濃くしているのだ。何人かの具体例を紹介するとしよう。
例えば、トキオカ・リュウイチという男はその素性を隠し、GUTS‐SELECTへと潜り込み、自ら他者の力を奪い巨人と成り果て、光と僭称して人々にその力を振るい危害を加えた。しかも、彼は数多の星を滅ぼした蟲と協力していたのだ。
例えば、シゲナガ・マキという女は怪獣による恐怖を制御する為に、怪獣を利用し、各国や企業へ対怪獣や侵略者に対する兵器として利用させるという思想の元に意思なき命を生み出して傀儡として操った。彼女が創った命は利用されて人類への災害となったが。
例えば、アサカゲ・ユウイチロウという男は、スフィアとの戦いで恋人を守れなかった己の無力を地球に押し付けて、ほぼ八つ当たりでスフィアを呼び寄せて人類に多くの災難を振りまいた。そして自身もまたその破壊に加担したのだ。
彼らの事例を見れば分かるが、人とは本質的に善でありながらも悪である。善行を志し願いながらも、彼らは己の心一つで誰かを傷つけることをさも当然のようにやってのけるのだ。そして、その愚かな行いは留まることを知らずに繰り返される。まるでネズミが走る車のように…
この物語は、ただ1人の人間と数多の人間の業により産み落とされた怪物の物語である。
◇
オッス! オラはシゲナガ・ツバサ!
この名前に聞き覚えがあるだろうか?
そう、あのウルトラファンならば誰もが知っている超有名キャラクターであるマドカ・ダイゴの息子であるツバサと同じ名前! え?シゲナガ・マキ? 知りませんねそんなおばはん…というのは噓ですごめんなさい。
あの人は俺のお母さんでした。俺がまだガキの頃に面倒見てもらってて怪獣やウルトラマンとかについていろいろと教えてくれた人ですね。俺が中学生のころに父と離婚して以降ずっと会ってません。原作通りネオメガスでやらかしましてね
俺は3代目GUTS‐SELECTの隊員にして前世の記憶をしっかりと引き継いでいる一般ウルトラ世界への転生ピープルだ。どうせならTVシリーズ主人公の光の転生体や煎餅屋の息子みたいな特別な能力を手にしたかったが、取り分けて優れた技量もなく、強いて言えば大学時代に怪獣学を少しかじっていただけのマジモンの一般人である。
どういう訳かウルトラマンの世界に第2の生を授かった俺であるが、正直言ってこの3代目GUTS‐SELECTに配属になって心からよかったと思っているのだ。いや、本当に。
TVシリーズを2作とも視聴している勤勉なウルトラファンならばご存じだろうが、以前のGUTS‐SELECTの戦いは命がいくつあっても足りないような地獄のような現場である。闇の巨人トリオにメツオーガに究極生命体に邪神にと化け物どものオンパレード。更にちょっと落ち着いたと思えば青タイツおじさんのやらかしでスフィアが襲来してくるし、それを解決したらしたで某宇宙の帝王がおまけでついてくるしで生きた心地がしない。
正直、あの時期に俺がいたとしてもスフィアの餌にされて乙っていたと思う。
ウルトラマンたちがいたとはいえ何年にも渡って地球を守り抜いてきた先代の方々はマジモンの歴史に残る英雄と言っても過言ではない。精鋭の言葉に噓偽りなしだ。
ん? ではなんでそんな英傑たちが集まる組織に俺みたいなパンピーがいるかって?
それにはGUTS‐SELECTの大幅な軍縮が関係しているのである。いやいや、劇場版でナースデッセイを量産していただろうと思うファンもいるかもしれない。だがそれとこれでは事情が違うのだ。君たちはナースデッセイ号1機を製造するのにいったいどれほどの予算と人員と時間がいると思う? ウルトラ戦士とも肩を並べられる化け物戦艦はそれ1機作るだけでもかなりの負担になる。
そして量産すると一口で言っても、それはしっかりとした設備と資材と労働力が揃っていてこそである。度重なる怪獣災害や侵略者との戦いで国内の産業も結構疲弊してきているのだ。別にトリガーやデッカーが居なくなっても土着の怪獣が暴れない理由がないしな。デッカー劇場版ラストでカナタ先輩たちが宇宙に旅立っていったのもそういう理由が一つにある。
地球に代わる、若しくは第二の地球となる新天地を見つければ、ちょっとは人類も楽になるんじゃないかってな。
そういった具合で量産されたナースデッセイは殆どが宇宙開拓や火星にいる初代GUTS‐SELECTの方へと振り分けられて、3代目の俺達にはオレンジ色の先行量産型が引き渡されて司令部兼唯一の巨大戦力として扱われている。ガッツグリフォンみたいな航空戦力やテラフェイザーみたいな巨大ロボットもいない。
戦力的には歴代最弱の防衛チームだ。特にウルトラマンに代わる守護神だったテラフェイザーが居なくなったことや俺たちみたいな新米ひよっこ隊員の寄せ集めみたいな現状に結構不安な国民も多いらしい。ニュースで見たぞ。何も言い返せないのが悔しいし悲しい…
ああ、そう言えば俺がまだこの隊に入隊できた理由と経緯を言ってなかったな。
簡単に言うと今もGUTS‐SELECTの上位組織であるTPUの生みの親でネオフロンティアスペースから流れてきたシズマ・ミツクニ会長の方針らしい。
詳しいことは分からないが、これからは少しでも才能のある若者を集めてゆっくりと育成を重ねることで組織の継続のノウハウを得るため…とからしい。そういうわけで大学で怪獣学を専攻していた自分にお声が掛かったというわけらしい。
怪獣災害の影響で怪獣学は大学でもあんまり人気のある分野ではなくて、まともに勉強している学生も自分くらいなものだったのでこのまましがない学生の一人として人生を終えるのかなーと漠然と思っていたら、まさかの組織からお誘いが来たのでびっくりだ。
それに下世話な話だが普通にお給料も高かったし、父親からの勧めもあって無事入隊という運びになったわけだ。お父さんには学費や生活費とかの仕送りもしてもらっていたわけだし、恩返ししなければ失礼だしな。
前世の母は知らん。父曰く早めに離婚しているからな。
今世の母もネオメガス関連のやらかしがやらかし過ぎて正直もう母として見れない。
そんなこんなで現在の俺は、3代目GUTS‐SELECTの隊員の1人にして隊内で唯一専門的な怪獣の知識を持つ貴重な人員として、怪獣を撃破した現場に同行して調査を行っている。現場で怪獣の細胞を回収したりとか現地の被害を見分して怪獣の成長具合を考察したりとかな。 早い話がネオメガス回のあれだ。
「シゲナガ隊員!現場までもうすぐ到着します!」
「あぁ、ありがとうございます。現場までの誘導をいつもありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそです。今となっては怪獣災害は昔ほど起きなくはなりましたが、それでも起きる時は起きます。そうなった時に頼りになるのはGUTS-SELECTですからね」
うむ。全くもってその通りである。期待が重くて決してそんなことは無いというのに胃がプレッシャーで潰れてキリキリしてしまいそうだ。自分の知識が役立つなら…と軽い気持ちで応じてしまったが、矢張り地球防衛の最前線を任されるとなると背中が本当に折れてしまいそうな重圧が掛かる。
「さて、今日の仕事は…」
とはいえ泣き言を言っても見てるだけでも始まらない。任務について書かれた書類を、自分を現場に車で運んでくれてるTPU隊員の隣で開く。どうやら、今回の任務は怪獣の細胞の回収にあるらしい。書類によると昨日野生の怪獣であるバードンとダイゲルンが縄張り争いをおっ始め、山が何個か崩れる大乱闘を展開したが決着は付かずにお開きとなった。
その現場を目撃した猟師の通報によりTPUの隊員が駆けつけたが既に怪獣たちは去った後だった…その為、現場の保全と検証、そして再発防止の為にGUTS-SELECTにも声がかけられた訳だ。
「とはいえダイゲルンとバードンか…そりゃ決着が付かない訳だ」
「知っているんですか?」
「それ程詳しい訳じゃないんですけどね」
バードンは「ウルトラマンタロウ」に登場した火山怪鳥。火山を自らの巣とし、口から吐く炎と嘴から流し込む強力な毒が武器の怪獣だ。その強さは凄まじくウルトラ兄弟2人を殺害し、別の怪獣ケムジラを殺して捕食するだけに飽き足らずマンモス団地を襲撃して住民を食い殺すなど暴れに暴れた。
ダイゲルンは「ウルトラマンダイナ」に登場した肉食地底怪獣。地中を住処としている文字通り肉食の怪獣で口から火を吐く以外には取り立てて特徴が無い普通の怪獣だ。地底開発にキレて暴れたらダイナ・ストロングタイプのお披露目に爆殺された哀れなやつだったと記憶している、
恐らく両者が争っていた理由は縄張りだけでなく食性のダブりからくる狩場の奪い合いも含まれていたのだろう。そうして両者が得意なフィールドである地中と空中に持ち込めないまま時間だけが過ぎ去ったのだ。
とはいえ数十m近い化け物が暴れ散らかした被害は馬鹿にならない。これが今回の山みたいな場所ならともかく住宅街でやられたら目も当てられない。それを実際にやったのがアボラスとバニラだからな。
あの時はウルトラマンがいたから何とかなったが次はこうはいかないだろう。ウルトラマンがいない地球を守るのは、いつだって人間の責務であり当然の義務なんだからな。
さて、これから忙しくなりそうだ。
ナースデッセイ号とその同僚たちを思い浮かべ、俺は車窓から雄大なる地球の風景を眺めるのであった…
◇
『ギャオオオオオオオオ!!!』
そう思っていた時期が、俺にもありました。
「早く逃げろ!踏み潰されたいのか⁈」
「しかし!シゲナガ隊員は!」
「俺には構わず早く行け!俺にはGUTSスパークレンスと怪獣のキーがあるから多少の時間稼ぎにはなる。お前は早くGUTS-SELECTに連絡を急げ!」
「分かりました…ご武運を!」
奔って去ってゆくTPUの隊員を見ながら俺は目の前に迫りつつある巨影を見上げる。飛行に特化したスペースシャトルのような三角形の肉体に、サメのような何かを食いちぎることに特化したような鋭利な歯列に、冷酷さしか感じない釣りあがった真っ白な目に、鎌そのものな両腕。そうだ、この怪獣には覚えがある。子どもの頃、テレビで見た…
「彗星怪獣…ガイガレード!」
『ギャアオオオオオオオオ!!!』
それが正解だと言わんばかりにガイガレードは大きく咆哮を上げながらこちらに向けて一歩ずつ地面を揺らしながら近寄ってきている。なんでこいつがいるんだ。百歩譲ってデッカーの世界にいるのは頷けるとして、原作だとこいつは彗星の中に潜んでいた怪獣だ。そんな奴が地球に降りてくるなんてあり得ない。しかも、こんな何もない山の奥になんて…
(エタニティコア…? いや違うな、接触機会が断たれたそいつのエネルギーをたかが野良の宇宙怪獣が感知できるわけがない。そもそも、地球から降りてきたなら火星にいる初代メンバーが見逃すはずがない…となると地球に来た宇宙人が使役している…? 野良のレイオニクスとかか?)
『BOOT UP! PLAZMA!』
前世のウルトラ知識を使って考察しながら、怪獣キーをGUTSスパークレンスに装填し、目の前を悠々と歩いてこちらに接近してくるガイガレードへと狙いを定める。相手は油断しているから、狙いは落ち着いて、ゆっくりと定めることが出来た。銃口に、青と白の電流の塊が収束してゆく。怪獣一匹が人間相手に全力を出すはずがないだろう。それならば一発顔面にどでかいのを喰らわせて怯んでいる隙に全力で森に逃げる。
こんな所で死ぬのは御免だ。
子どもの頃、テレビで聞いてトラウマになった赤ん坊のような叫び声が耳に木霊する。ああ、そうだ、俺が子供の頃に俺のかあさんはテレビにかじりついて怪獣とウルトラマンを見てなんて言ってたっけか…怪獣について子どもの頃の俺にも熱心に語ってくれたあの人は、今の俺を見て何を言うのだろうか…
そう考えた途端、全ての世界の流れが途端にゆっくりになった気がした。空気は氷の様に止まり、風は止んでその音を消し、日の光は雲に隠されて影のままとなる。目の前のガイガレードがその腹を大きく開き、その空いた腹の口から大量の爆発する岩石を吐き出した時。俺の意識は闇に閉ざされた。
『ツバサ、ツバサ、ツバサ!』
『何? かあさん』
『あんたいつまでテレビにしがみついてんの、もう夜の11時よ? 明日も学校あるのに…』
『でもでも!すごいかっこいんだよ! これ見てよ!ウルトラマンが金ぴかに光って、真っ黒い怪獣を吹き飛ばしてるんだ!』
『はいはい。じゃあ将来の夢はウルトラマン?』
『うん!』
そうだ、俺は…昔、ウルトラマンになりたいって思っていたんだっけ…こんな俺でも、なれるのかな…あの時見た…光の様に…誰かを守れる光に…!
◇
その時、TPUの隊員たちは見た。
かつてもう一人の巨人と共に悪魔を打ち払った光の巨人の姿を。とある時空において、超古代の闇から青空を取り戻した光の英雄の再臨を、彼らはここで目にしたのだ。地面に向かって岩石を吐き出し、巻き起こした爆発を見てほくそ笑むガイガレードを吹き飛ばしながら、圧倒的な光の柱の中から顕現したその名前は…
「ウルトラマンだ…」
「帰ってきた…ウルトラマンが!」
銀、赤、青の三色を基調としたスリムで洗練されたデザインが特徴的なウルトラマン。太古の眠りから甦った光の戦士…ウルトラマンティガ。ティガは自分の体を少し動かして確かめると、すぐにガイガレードへと向き直って掛け声と同時にファイティングポーズを取った。
『ギャアオオオ!』
突然の敵の出現に驚愕したガイガレードであったが、即座に起き上がると両腕の鎌を構えて一目散に突進していく。だがしかし、ティガの対応はあくまで冷静であった。
『タアッ!』
『ギャアッ!?』
ティガは突進するガイガレードの地面に向けて青色の光線を打ち込むと、地面は一瞬にして凍結。ガイガレードはそれに足を滑らせ、もんどりうってカチコチの地面に顔を激突させて悶えてしまったではないか。光線の正体はティガフリーザ。対象を一瞬にして凍結できる光線を彼は溜め無しで放つことが出来るのだ。
『ギャアアア…!』
『ヌウーッ!ハアッ!』
怪獣が起き上がる隙を突いて、ティガは自身の顔の前で両腕をクロスし、強く念じてから降り下げるとその姿は閃光とともに赤く染まる。3色の姿…基本形態であるマルチタイプより赤の割合が多い姿…力に特化したパワータイプだ。ティガは地面を大きく叩くと同時に、拳を構えてガイガレードの顔面に一直線に飛び込んで拳を見舞う。
『グギャ!?』
咄嗟に両鎌をクロスさせて防いだものの、パワータイプの剛力を殺しきれずに大きく吹き飛ばされ背後にあった山へと激突!凄まじい轟音と共に土砂崩れを引き起こしながらもガイガレードはなんとか鎌状の腕を杖代わりにして立ち上がる。もう片方の腕は粉みじんになっていた。
『ギャアアア…!!!』
それでもなお煮えたぎる戦意を叫び声にしてティガを睨み付けるガイガレードであったが、そんな怪獣の激情を逆撫でする行為を、目の前のティガはやってのけた。
『……フッ…』
右腕を突き出し、敢えて左の方を向きながら右手を上へと曲げるあからさまな脱力姿勢で行われる挑発の構え。腕が損壊し、アドレナリンが体中を駆け巡り感情的になっていたガイガレードにとっては劇薬にも等しい行為であり…
『ギャアアオオオオオオオオ!!!』
案の定、挑発に乗ってしまった!冷静さを失ったガイガレードは腹から穴を開き、かつて地面にいた人間にそうしたように爆発する岩石を大量に撃ちだした。それが、自身の死を意味することになるとは露知らずに。ティガは即座に構え直すと両腕を突き出して自身の眼前に放たれた隕石を受け止め、それに力を込めれば、岩石はオレンジ色のエネルギーへと変化するではないか。
『ハアアアアアアッ!』
『ギャギャ!?』
明らかに膨張する橙色のエネルギーに本能的に危機感を覚えた怪獣はここで冷静さを取り戻し、山を足場にして飛ぶことで一目散に逃げようとしたが、ここで致命的なミスを犯してしまう。そもそもガイガレードの身体構造は無重力の宇宙での高速移動に特化しており、重力や空気抵抗のある地球では自慢の機動性が発揮できないのだ。
結果、地面をバウンドして飛び上がる風船のような挙動になってしまったその隙を、ウルトラマンは逃がすはずが無い。
『タアッ!』
オレンジの光球…デラシウムエネルギーが込められたその一撃を
『ギャア!?』
短い断末魔と同時に爆発四散!その残骸を周囲に散乱させるのであった…
「勝った!勝ったぞ!」
「ウルトラマンが勝ったんだ! ありがとーウルトラマーン!」
「ありがとー!!!」
その歓声を上げるTPUの隊員たちの姿に大きく頷きながら、ウルトラマンティガは飛び去っていった…
◇
「あれが……新しい光ですか…」
ウルトラマンティガが顕現して、ガイガレードを爆散させるまでの一部始終をしっかりと遠方より見届ける人影があった。白いシニヨンの髪型に整った顔立ち、緑と青のオッドアイは理知的な印象を与え、白いラインの走る黒服は近未来的な、SFチックな装いであった。
見たところ、女性らしい。
袖口から覗く腕は枯れ枝のように細く、骨が浮き彫りになっていた。同じく裾から出た足は何も履いておらず、これもまた骨が隆起した歪な形状であった。全体的に痩せ気味で、幽霊の様な体躯に青白い肌は、この世の者とは思えない恐怖を想起させながらも、どこか浮世絵のような静かなる瀟洒さを見せる。
「いや、あの光はどこか懐かしいような……どうでもいいか、所詮は目障りな障害ですし。こんなにも早く現れるとは思っていませんでしたが予定に変更はありません。…ちょうどおこぼれも貰えましたし」
うっすらと笑う彼女の瘦せた手には、先程爆散したガイガレードの肉片がしっかりと握られていた。本来ならばダイゲルンとバードンの細胞を入手したら早々に引き上げる予定であったが、予想外の介入があったのでしばらく様子見することにしたが棚から牡丹餅とはこのことか。
とはいえ、またしても厄介なウルトラマンが現れたのもまた事実だ。
「そうもウルトラマンは…光は人に微笑むものなのでしょうか…私には心底理解できませんがね」
氷のような視線を冷ややかにTPUの隊員へと向けた彼女であったが、即座に思い直して足早に現場から去っていくのだった…一つの言葉を残して。
「貴様らに滅びの微笑をくれてやる、人類」
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