蒼き氷刃の事件目録 ―探偵達と歩む非日常的な執筆生活― 作:凜々
修好学園で米花高校VS修好学園の野球の試合が行われており、朱里はお世話になっている修好学園OBから直々にコラム掲載する記事の依頼をされたため、視察の名目で試合観戦に訪れていた。
修好学園はエース梶健也がマウンドに上がっており、次々三振を取り、6対0の一方的な試合となっていた。
「ふーん、ここまではエース梶君の調子は良さそうだね。ん?」
ネット裏から、試合の様子を見ている校長と女性の姿に気づいた。
「(確かあの女性は梶君のお母さまだったはず・・・・)」
朱里は事前情報として調べた内容を思い出す。
ふと、向かい側米花高校の応援席に目を向けると、見覚えある女子高生たちとおじさんと小学生がいた。
「(まさか、こんなところであうとは・・・・何か起きそうな予感がするんだけどね・・・・)」
その後試合が進むにつれ、エース梶君の様子がおかしくなり点が取られ始めていた。
父兄や学校関係者たちもざわついている。
そして、梶君は調子を立て直せずに試合も負けてしまった。
更にざわつかせる出来事が起こった。
「不二さん、実は大変なことが起こったんです。」
「何が起こったんです?」
「実は・・・」
朱里にコラム掲載を依頼してきた修好学園OBが慌てて朱里に知らせを持ってきた。
なんと、優勝旗がズタズタに切り裂かれた状態で発見されたのだ。
校長が関係者を集めて、話をするとのことだったのでOBに連れられて部屋の中に入る。
そこで、校長から預かっていた大切な優勝旗をこんな形にしてしまった責任をとるとして、大会出場を辞退すると宣言をした。
「・・・・大変なことになりましたね。」
「うーん。今回は不二さんにコラム掲載をしてもらって学校を盛り上げようと思ったんですけど・・・」
目の端に映った姿を見いて、あいさつそこそこに追いかけた。
ーーーーー
一方でグラウンドでは様子を除いていた園子から、状況報告がなされていた。
優勝旗を切り裂いているのだから立派な器物破損罪であるが警察には通報しないという。
「何で、警察には連絡しないの?」
「あぁ、こういうのは学校組織の体裁も気にしたりするからね。一歩初動を間違えると全く無関係の学生まで学校に通っているだけで批判にさらされたりする。犯人が外部か内部かで対応を決めたいのではないかな。」
コナンが聞くと、聞き覚えがある声が回答してくれた。
「朱里さん!!なぜここに?」
「ここのOBから優勝したから、次の大会に向けてのコラム記載の依頼を受けたんだ。なんでも知名度をあげて、学校を知ってもらおうと思ったらしい。一応有名人だし?」
コナンと会えば事件に巻き込まれる印象の朱里だが、マルチリンガル・ライターとしてペンネーム:蒼氷(あおい)という名は有名なのだ。そのため、そこそこ忙しかった。
「まぁ、こんなことになって出場辞退するといっていたし、仕事もなくなっちゃうかもしれないね・・・・」
その後酔っぱらって寝ていた小五郎を蘭が起こし、とりあえず警察には連絡せずに捜査を進めることになった。
捜査的には部屋の状況で言えば、犯行が行われたのは試合の合間ということになっていた。その間試合にいなかった人が犯人ということになる。
父兄は江藤が校舎内に入っていったところを見ていた、ただ梶も途中で校舎に入っていっていた。
そこで、梶が自分がやったといった。それを見て校長といた女性:梶の母親がやったのは自分だといた。なぜかお互い自分がやったといっている。
梶は自分がやった証拠だとカッターナイフを持っていた。たしかに切り口的にもこのカッターナイフで間違いないようだ。
警察を呼ぶか判断するため話し合いの場を設けることになった。
その間にコナンと朱里はグラウンドにやってきていた。
「・・・で何か気づいたことでもあった?」
「朱里さんはずっと修好学園の応援席から観戦してたんだよね?」
「そうだけど?」
「梶投手が突然ピッチングを乱した時、何か変わったことあった?」
「そうだね・・・そういえば何か校舎のほうを一瞬見て、何か驚いていたような。」
「!!?そうか。ピッチング中に理事長室にいる誰かを見たんだ。」
園子に声をかけられ、理事長室による。
コナンは優勝旗を見て何かに気づいた。
「やっぱり変よね?」
「梶君のおかげで今年も優勝候補ナンバーワンなのに、それが迷惑だって言っている人がいるって」
「なんだって!?」
「それは運動部にはありがちな話だね。全国大会常連とかになっていくと学校を上げて応援に行ったりもするから。興味がない部活の応援に何でいかないといけないんだって不満に思う人もいる。特に修好学園は東都屈指の進学校でもあるから、応援に駆り出されて受験勉強もできないって、特に学生の親が不満を持ったりもしているだとか」
「ひどい話よね・・・・」
「それは理事長の方針でもあります」
主事の話では理事長は大のスポーツ嫌いで、本当は今日ここにきて、大会出場辞退を言い渡す予定だったが体調がすぐれないとかで来られなかったのだとか。
コナンはこの話を聞いてにやりとした。
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コナンは小五郎を眠らせた後、学校の放送で関係者を呼び出した。
「犯人は梶君でも梶君の母親でもありません。」
「じゃあ犯人は誰よ?」
「普通、意図的に切り裂くとしたら、旗の表を斬ることになります。」
蘭が持ち上げると切り口は右下に向かっていて、旗をくくった棒は左側にあった。
「なるほど、右手で旗を広げて左手で旗を切った。ということは犯人は左利きというわけだね。」
「朱里さんの言う通りだ、梶くんも梶くんの母親も右利きだ。」
つまり2人は犯人ではない。
「では、江藤君、君は?」
「確かに俺は左利きだけど・・・・でも俺じゃねぇ!!」
「うん、多分江藤君でもないね。」
「え?そうなんですか。」
「だって、広げてみた優勝旗の切り始めの位置だけど、大分低い位置にあると思わない?」
朱里は優勝旗を切り始めの位置に着目した。
「あぁ、そうだ。もし江藤くんや梶君が犯人だったとするなら、もっと上から切り裂いていたはずだ。180センチ以上ある人なら届くからね。だけど犯人は届かなかった。切り裂かれた位置を見るに真犯人は160㎝以下の人物だ。」
そこで、梶の母に身長を聞く。美恵は157㎝。だけど右利きのため犯人ではない。
そこで、小五郎はもう1つ美恵に質問を投げかける。なぜ理事長室に行ったのかを。
そこで美恵はどもってしまう。
「予想はついています。おそらく美恵さんは理事長に大会辞退をお願いしに行った。」
理事長自身大会辞退しようとしていたことを知らずに・・・
結局美恵は理事長には会えずに部屋を出てそこを江藤が目撃、出て行ったあと部屋に潜んでいた真犯人が優勝旗を切り裂いた。その後マウンドから理事長室に自分の母親がいたことを見た梶が理事長室に入り切り裂かれた優勝旗を発見。
隠れた犯人が落としたカッターナイフを見つけ、美恵しか理事長室に行っていないと思っていた梶は母が優勝旗を切り裂いたと勘違いしお互いかばいあう結果となった。
「今出てきたのはみんな犯人じゃないんだよね?じゃあだれが?」
「もう1人いるじゃないですか。同時間帯に試合から姿を消した160㎝くらいの人が!」
ざわざわざわ
会場がざわついた。だが、朱里もそのくらいの時間帯にもう一人姿を消した人物を目撃していた。
その時、どこからか野球ボールが飛んできたのをその人は左手でつかんだ。
!!
「ま、まさか。」
「そうです。真犯人は校長先生、あなたです!」
「あぁ、そういえばグラウンドで飛んできたボールを投げ返してましたね。左手で」
だが、校長はすぐには認めない。
それでも証拠は校長が持っていた。理事長室の鍵がまだ手許に残っていた。
その時、主事が慌ててやってきた。
「大変です。たった今連絡が入りましいて、理事長がお亡くなりになったそうです。」
それを聞いた校長は膝をついてうなだれた。
動機は大会出場を辞退させろと理事長に圧力をかけられていたからだった。このままでは理事長が強権を発動して、無理やり出場辞退ということになってしまう。
だから、出場辞退しても学園の名誉だけは守ろうと・・・
「結局は同じことじゃないですか?高校はたったの3年間。大会を目標として出場したくて入学した子たちの夢をつぶした。あなたも理事長も子供の夢を大人の身勝手さで台無しにしたことは変わらない。」
朱里は厳しい目で話す。朱里にも現在スポーツ違えど大会出場して頑張っている弟たちがいるため、子供にとって仲間と出場する大会がどんなに大切で重要なものかわかるのだ。
「私は馬鹿だった・・・」
校長は涙ながらに選手、父兄に謝罪した。
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半月後、地区大会が始まり修好学園も出場している。一度は出場辞退したのだが、選手の野球にかける情熱が大会委員に理解されたのだ。
「それにしても、梶君も出場できてよかったねー。お母さんの感じだと大会出場辞退をしてもらおうと直接理事長に掛け合おうとしていたぐらいなのに。」
「あぁ、それならコラム記載を依頼されたOBから話は聞いたよ。あの後、梶君は3年間チームメイトと一緒に出場したいと説得したそうだよ。梶君本人の人望も厚かったから他の生徒も一緒にやりたいという情熱に美恵さんが折れたそうだ。成績落とさないこと条件に学校が定める引退時期まで参加していいことになったみたいだよ」
「そう、それならよかったー」
朱里が依頼されたコラムも予定通り掲載することになり、梶君要する修好学園順調に勝ち進んでいる。
新しく作り直した優勝旗を目指して・・・・・