ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ 作:ポップ
しかし!感想を停止した今の僕は無敵なので、自分の好きなのを書かせてもらいますよ!
ロキ・ファミリアの拠点、『黄昏の館』。 その奥にある団長室で、小人族(パルゥム)の勇者フィン・ディムナは、机の上に積まれた羊皮紙の束を前にして、深く、本当に深く頭を抱えていた。
「……フィン、また胃薬か? あんまり飲み過ぎると、かえって体に毒じゃぞ」
部屋のソファで武器の手入れをしていたドワーフの巨漢――ガレスが、呆れたように声をかける。
「そう言われてもね、ガレス。これを見てくれよ」
フィンがため息混じりに差し出したのは、ギルドから届いたばかりの分厚い質問状と、都市の修復費用に関する書類だった。
「バニーのレベルアップに関する追加報告書に、訓練場から漏れた原因不明の地震についての釈明……それに、アイズに預けた『ルビスの剣』の管理規定の見直しだよ」
フィンはこめかみを揉みながら、苦笑いを浮かべた。
「昨日もね、アイズが訓練場で素振りをしていたと思ったら、うっかり剣の力を引き出してしまって、危うく訓練場の防壁が消し飛ぶところだったんだ。只でさえ剣としても破格の業物なのに、魔力も消費せず、刀身も砕けないままあれほどの雷撃を放てるなんて、いまだに悪夢を見ている気分になるよ」
「がっはっは!まあ、そのおかげでアイズのやつもご機嫌じゃったし、ワシらもあの『賢者の石』のおかげで迷宮探索が信じられんほど楽になっとる。多少の書類仕事くらい、安いもんじゃろうて」
豪快に笑うガレスに、フィンも「それは違いないね」と肩をすくめた。バニーという規格外の『遊び人』がファミリアに転がり込んでからというもの、フィンの気苦労は従来の倍近くにまで膨れ上がっていたが、それ以上に彼女がもたらした恩恵は計り知れないものがあった。
――ドガァァァァァンッ!!
突如、館の中庭の方から、聞き慣れた氷結魔法の炸裂音が響き渡った。 直後、廊下の向こうから「貴様ぁあああっ!!」「ひぃぃぃ! ごめんなさいってばぁ!!」という、これまた最近聞き慣れた怒号と悲鳴が近づいてくる。
「……やれやれ。今日も始まったみたいだね」
「今度は何をやらかしたんじゃろうな」
フィンとガレスが顔を見合わせ、様子を見に団長室の扉を開けた、その時だった。
「待てバニー!!逃げるな!!今日こそそのふざけた根性を氷漬けにしてくれる!!」
「待ってリヴェリア!私はただ、アイズちゃんに『遊び人にはどんなスキルがあるの?』って聞かれたから『遊び人の秘技』を教えてあげただけじゃない!」
廊下を全力疾走で駆けてきたバニーが、フィンたちの背後にヒョイと隠れる。それを追ってきた副団長のリヴェリアは、美しい翠色の髪を逆立て、般若のような形相で杖を構えていた。さらにその後ろからは、ロキとアイズがトテトテと歩いてやってくる。
「おや、リヴェリア。またバニーが何か変な本でも出したのかい?」
フィンが宥めるように尋ねると、リヴェリアはワナワナと震える指でアイズを指差した。
「本などではない!アイズ、いいから今すぐその動きをやめなさい!!!」
「……?でも、これをやると、敵がみんな油断して隙だらけになるって、バニーが」
見れば、アイズは無表情のまま、自分の頬を両手で挟んで「ぱふぱふ~」と言いながら奇妙なリズムで腰をくねらせていた。
八歳の美少女による、謎の踊り。
意味はさっぱり分からないが、何やらとてつもなく教育に悪そうな響きだけは伝わってくる。
「ブッフォォォォォ!!アイズたんのぱふぱふ……ッ!あかん、網膜に焼き付いて天に還ってまう……ッ!」
後ろで見ていたロキが、両鼻から盛大に鼻血を噴き出して廊下に倒れた。
「ええい、ロキは黙って寝ていろ!!フィン、ガレス!この変態遊び人が、アイズに『ぱふぱふ』などという、意味不明で破廉恥な技を吹き込んだのだ!」
「いやいや、破廉恥じゃないわよ!これは由緒正しき高レベルな遊び人の特技で、相手をうっとりさせて行動不能状態にするっていう、立派な戦術なんだから!」
ついでに小声で「……流石に私も、幼いアイズちゃんに本物のぱふぱふを覚えさせようだなんて思ってないわよ」とボソボソ何か言っているが。
「あ・た・り・ま・え・だ!」
しかし、当然のようにリヴェリアにはそれも聞こえてたみたいで、怒りは更にヒートアップする。
「9歳の幼子に『そんな破廉恥な技』を教える馬鹿がどこの世界にいるかぁっ!!」
再び杖に魔力を込め始めるリヴェリアと、ガレスの広い背中を盾にして必死に言い訳を続けるバニー。そして、その横ではアイズが「本物のぱふぱふ……?」と真剣な顔で首を傾げている。
「……ガレス。やっぱり、胃薬をもう一服もらってもいいかな」
「うむ。ワシの分も頼むわい」
騒がしくも平和な『黄昏の館』の日常は、今日も氷の魔力と鼻血に彩られながら過ぎていくのだった。
どうもお久しぶりです。
夏場の休憩時間が無くなってしまったので
(暑い時期はちょくちょく休憩時間があったので、その時に妄想をまとめたりしてたんですわ~)
一気に読み専に戻ってしまった自分ですが、それでも他の作者様の作品を読んでいると、やっぱり自分も何か書きたくなってきたので、また投稿させて頂きました。
「求めているのと違う」
「文字数が少な過ぎない?」
と思われる方もおられるかもしれませんが、温かい気持ちで見守って頂けますと嬉しいです。