ヒロアカ世界に禪院直哉として転生したけとアッチってどっちや?   作:ボリビア

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禪院家の立場みたいな話

 雄英高校の教師陣は前代未聞の自体に頭を悩ませていた。

 

 『禪院直哉 600点』

 

「「「…」」」

 

 スクリーンに映し出される戦闘シーンが終わるまで誰も一言も発しなかった。

 

「…CRAZY。」

 

「プロでもこの結果を残せるヒーローが何人いるか…!」

 

「個性の詳細から考えるに、相当に鍛え上げられている。」

 

「彼、脱いだら確実に凄いわよ…!」

 

「オイ。」

 

 一人ズレた発言をしているが、教師陣としても雄英史上初の快挙に驚きを隠すことが出来なかった。

 唯一ペースを崩してないのは根津校長唯一人。

 

「筆記も一番ではないが、上位の結果で問題なし。

 彼の首席入学で決まりだね。

 クラス分けだけど、相澤くん頼めるかい?」

 

 校長の指示は合理的であった。

 自分の個性なら取り敢えず、個性は封じ込める。

 残念ながら合理的であろうとしんどい事はしんどい。

 

「まあ、俺の個性ならある程度は抑制出来るでしょう。」

 

 相澤は溜息を吐きながら了承した。

 

 

 

 一方そのころ。

 入試を終えたある日の直哉は、直毘人の呼び出しを受けて本邸の渡り廊下を歩いていた。

 すると、前方から此方へと歩む人影が一つ。

 禪院扇。

 直哉の叔父であると同時に柄部隊の1人である。

 扇の部屋も渡廊下の先にある為、出くわすのは不思議なことでは無い。

 渡廊下は決して広くはない。

 大人二人が向かい合わせていれば、1人が半身を逸れて譲る事で相互交通が可能になる。

 何方が譲ればだが。

 禪院家での序列に従えば当主の息子であり柄筆頭である直哉はNo.2で扇は当主の兄弟であるが柄部隊の一人に過ぎない。

 本来譲るべき扇は真っ直ぐ進み直哉と対面する。

 

「…何か用?

 こう見えて忙しいんやけど。」

 

 直哉にとって扇はそこまで価値が高い人間ではない。

 確かに剣士としての実力は高く、個性も火力特化であり弱い訳では無い。

 

(けどコイツはオトンに負けた癖に従わないクズや。

 負け犬らしくする事も出来なければ、リベンジもせーへん腰抜け。

 オトンが老いて弱体化するのを待っとるらしいけど、俺がおる時点で詰みやろ。)

 

 扇自身も鍛錬を重ねた強者ではある。

 しかし、個性は火力特化である為か鍛えた所で肉体の強度は高が知れていた。

 直哉と同じく『投射』の個性を持つ直毘人の肉体は異常な鍛錬を積んだ直哉程ではないが、十分に強靭な肉体と眼をしており扇の剣を避けるのは容易く、両者の差は一目瞭然だった。

 どれだけ鍛えても、火力のみが上がる扇は守りが弱い。

 彼が当主になれた所で下剋上が関の山だろう。

 

(本当にオトンが気に入らないなら外に出ればええ。

 なのに、ココでダル絡み。

 面倒なヤツや。)

 

「どけや。」

 

「貴様…っ!」

 

 直哉の態度に腹が立った扇は個性による炎の刃を振り抜こうとした。

 勿論、殺すつもりはない。

 ただ、従うことに不服を示す為の儀式のようなものだった。

 直哉が当主になれば幹部の世代交代は確実。

 少しでも威厳を見せて発言権を強める事を目的としている、慎ましい努力だった。

 

「トロいなぁ。」

 

 刃は振り抜かれる事は無かった。

 なんてことは無い。

 刃を振り抜こうとする扇の腕を先に直哉が掴んで押さえたからだ。

 既に音速を超えた速さで個性を使える直哉の眼には遅すぎた。

 

「前に稽古付けた時よりトロくなってません?

 別に気に入らんのはエエけど、真希ちゃんと真依ちゃんの足引っ張ったらアカンよ?

 子供の足を引っ張るような親とか一番アカンから。」

 

 この世界にも真希と真依の双子は生まれていた。

 呪術がない世界で二人は普通の禪院家の人間として誕生を祝われていた。

 まだ5歳に満たないが、検査の結果個性がある事は確定しており、育てば直哉を支える幹部になる可能性もあるだろう。

 扇が馬鹿な事をしなければ。

 

「っ…!」

 

 最早己が当主になる事はない。 

 直哉の態度は扇に改めてその事実をありありと伝えていた。

 扇が刃を消すと、直哉はそのまま扇を押し退けて廊下を進む。

 その後ろ姿を項垂れた扇が見る事は無かった。

 

「クククッ!

 入試は随分派手にやったらしいじゃないか。」

 

 当主の部屋に入ると、そこにいたのは上機嫌な直毘人であった。  

 既に入試の件は耳に入ってるらしく、寛いでいるその顔は赤い。

 

「当主様からの命令やし、張り切らせて貰いましたわ。」

 

 どかりと対面に座った直哉は、世辞を流して眼で続きを訴える。

 鍛錬を抜けてきたのだ。

 それ相応の話だろうな、と訴える。

 

「ああ、よくやった。

 入学は決まりと見て間違いないだろう。

 …お前に禪院家の成り立ちを話したのを覚えているな。」

 

 瓢箪を傾けぐびりと酒を煽りながらも、その眼に酔いはなく直哉を見つめる。

 これは真面目な話だと直哉は僅かに意識を正した。

 

「人畜からの成り上がりやろ。」

 

「言わなかった事が一つあってな。

 人畜が禪院に成り上がりにはある人物が関わっておる。

 名をAFO、今や都市伝説として囁かれている裏社会の支配者にして怪物よ。」

 

(まあ、関わってない訳ないわ。)

 

 前世知識を持つ直哉としてはその名前に驚く事はない。

 

「奴の個性は、『簒奪』奪い与える支配者の個性。

 禪院家の繁栄の切っ掛けはAFOとの契約だ。

 『困った時に助けてほしい。』なんて曖昧かつ巫山戯た契約だがな。」

 

 社会的立場を与えて、強力な個性を生み出せる環境を維持させ、必要な時に表からも裏からも動ける手駒。

 確かにAFOから見たら利用しない手は無いだろう。

 いつかの布石、或いはその時の思い付きか分からないが彼の施策によって禪院家は社会的に高い立場にいる。

 

「で?

 当主に成るジブンはAFOに挨拶しに行けって事ならエエで。」

 

 直哉としてもヒーローの立場に拘る気はない。

 個性が使える時点で満足しているし、鍛錬で強くなる今が楽しいのだ。

 

(元々禪院家がグレーな立場だろうと思ってたし。)

 

「まあまて。

 話には続きがある。」

 

 ニヤリと直毘人が笑う。

 こういう話で直毘人な笑う時は分の良い賭けをする時だ。

 

「AFOからの接触がここ数年パタリと無くなってな。

 元々、複雑化した禪院家の個性自体が奴の好みで無いからか接触自体が少なくなって来たのはあるが、完全に無くなるのは妙だと思ってな。

 ちと、調べたがどうやらオールマイトと相討ちになったらしい。

 生きて居ると仮定しても相当の深傷を負ったのだろうよ。」

 

 オールマイトの弱体化の情報とAFOの負傷という情報。

 この二つが合わさると何が見えてくるか。

 

「オールマイトが雄英教師等というらしくない行動に出たのだ。

奴の弱体化は明白。

 AFOも負傷してようが、オールマイト排除に動くには違いない。

 時代の転換期はすぐそこで雄英高校は正にその中心!

 何方に転ぶか或いは両者共倒れするか。

 実に分の良い賭けではないか?」

 

 雄英高校が台風の目になるならば、直哉の存在は特に目を引くだろう。

 両陣営も既に一級品の戦闘力を持つ直哉に協力を要請する理由があり、重要な局面で頼られる可能性は高い。

 これは直哉にとって試練だ。

 時代が動く中で、禪院家の立場を何処に置くか。  

 雄英高校での直哉の動きによって決まる可能性は非常に高い。

 直哉もそれを理解し、返答に暫く時間を置いた。

 

(先ず、この世界がどうなろうと興味は無い。

 転生者として良い方向に持っていく気は多少あるが、好きにやりたい。

 まあ、権力も金もある今の立場を失うのはオモロくないし、ヒーロー側と敵側で自由に動ける理由にはなるか。)

 

「…正直、政治云々は興味ないからオトンの好きにするとええ。

 ボクが雄英に行く狙いも分かった。

 ええで、オールマイトの近くにいつつAFOから接触あればスパイやって世間様搔き乱したろやないか。」

 

 転生者である直哉にとって今の人生は最初からボーナスゲームである。

 そのため、己の欲を中心に動く事に戸惑いはない。 

 

 

 

 

 

 




 現代の禪院家の個性は基本的に呪術廻戦の術式メインなので尖ってたり使いにくい個性が多いです。
 なのでAFO的には使いづらい個性なので手駒としての動きを求められる事になるでしょう。
 扇の個性は『炎刃』右手から炎の刃を生み出す個性で、火力が上がれば切れ味も上がるし刀身の長さも自由自在の個性。
 欠点は、火力特化過ぎて人を簡単に焼き切り殺せてしまうのと、人体に干渉する個性ではないので肉体の強度が並程度。
 
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