同金のやり直し ~あの死に様はなかろうて~   作:まーしー34

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同金さんが哀れなので書きました。


1、紀元前254年(原作開始約10年前)へタイムリープ

 

 

俺は騰軍第五軍長 同金也

 

俺達は騰様の考えの元、趙、楚、魏一帯を探っていた。

 

殿、王騎将軍は秦軍本営とは違う独自の情報網を持っておられ、それを今は騰様がそのまま引き継いでいる。

趙国を中心に何か不穏な動きがあると、周辺に探りを入れておる時だった。

 

 

唐突に楚軍五万が南虎塁を抜き、秦国に進軍してきたのだ。

 

 

いち早くそれに気づいた騰様は俺と鱗坊、そして兵五千を率い、氾斗平原で楚軍を迎え撃った。

 

五万の大軍相手にたった五千など、はっきりと言えば自殺するようなものだが、防衛線を構築する為の時間を稼ぐ為、自らの命を投げ打ってでも止める覚悟だった。

 

 

南部一帯が楚軍の手に落ちる、それは秦国の敗北に他ない…

 

 

今は亡き王騎様に鍛え上げられた騰軍は寡兵だがよく戦った。

当然俺も前線で矛を振るい敵を殲滅していた。

 

 

しかしそこに奴が現れた。

 

 

けったいな髪型をした楚将だ!!!

 

 

奴は無礼にも名乗りもせず、俺に金棒を振り下ろしおった!!!

 

奴は出来る!っと思ったが不意打ちとは無礼な!!

 

 

…戦場で油断した俺が悪いのは重々承知している。

 

だが、不意打ちはないだろう…不意打ちは…

 

 

 

未練があったのかしばらく俺は霊となり、戦場を彷徨っていた。

 

数々の骸が打ち捨てられた平原を彷徨っていると、その俺の前に一筋の光が差し込んだ…

 

光に手を伸ばしと意識が遠のく…これで俺も王騎様の下へ…

 

 

 

 

 

「同金!! どうした同金!!」

 

「ぬ? ぬぉぉぉ!? はっ…ここは… と、殿!?」

肩を叩かれ、顔を上げると俺は何故か天幕の中にいた。

 

周りを見渡すと同僚達が不思議そうに俺を見ている…

何が起こったのか分からず、見渡すと目の前に記憶より少し若返った王騎将軍、殿の姿があった。

 

 

「ふぐぅぅぅ!!!!」

その姿を見た瞬間、涙が込み上げる。

俺はたまらず膝を付き、その場に泣き崩れた。

 

 

「同金 俯いたと思ったら、いきなり叫び、涙を流すなど…どうしたのだ?」

先程俺の肩を叩き、今もそう声をかけるのは、死闘を最も得意と豪語する猛将。第四軍長の干央

 

 

「ふん、大方居眠りでもしておったのだろう、そして何か悪夢でも見たのではないか?」

そう言って笑いながら腕を組むのは王騎軍内で最も勇猛果敢な列将である。第一軍長の録嗚未

 

 

「軍議の最中に居眠りとは度し難い」

やれやれと言うように頭を振ったのは軍師の面も持つ文武両道の才将である。第二軍長の隆国

 

「数々の戦場を駆け抜けて来たのです。多少は多めに見ましょう コココ」

そう言って殿の声真似をしながら髭を触るのが、剣の天才であり、殿の隣に並び立つ事が出来る唯一の将である 騰副官

 

 

そして

 

 

「コココ、騰… 中々私の真似が上手くなりましたね して同金、何故私を見て涙を流したのですか?」

 

「殿… いや、これは…」

馬陽の戦いで龐煖の刃の前に倒れたはずの殿が、何故か私の前にいる。

 

そんな事など言えるわけがなく、言い淀んでいると天幕の入口から人が入ってきた。

 

 

 

「すまぬ、軍議に遅れた… ぬ?なんだこれは?」

遅れて天幕に入ってきたのは、戦況を見極め、巧みな用兵術を用いて敵を仕留める智将 第三軍長の鱗坊

 

最も今は場の状況が飲み込めていないようだが…

いや、状況を飲み込めてないのは俺も同じか…

 

 

 

「鱗坊!! 俺を思い切り殴ってくれ!!」

これは悪い夢かもしれん!そう思った俺は鱗坊の肩を掴みそう叫んだ

 

 

「いきなり何を言うのだ!」

 

「いいから早く!!!」

 

「来るな気色悪い!!!」

 

「ぶっっ!!」

 

鱗坊の渾身の一撃が俺の右頬に炸裂した。

俺はもんどりうって背中から机に激突した。

 

「いきなり何を…気でも触れたか!」

そう言って鱗坊は荒い息を吐く

 

右頬と背中には鈍い痛みが走り、少し切れたのだろうか口内には血の味がする、まさか、これは…

 

 

 

「………夢ではない?」

 

俺は机の残骸の上に寝転がったまま、そう呟いた。

 




続くか続かないかは分かりません。
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