勇敢な勇者であったオルテガは、ネクロゴンド・スゴイタカイ火山で魔物討伐していたところを魔物の落下に巻き込まれ、妻子を残して殺されてしまう。
残された妻子は、バラモスへの憎悪を燃やす。
息子は赤黒い装束を纏い、魔王を討伐すべく腕を磨き育てられる。
バラモスを殺すもの、バラモスレイヤーとして。

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ボブは訝しんだ。


四文字で最後にスが付けばなんでもスレイヤーになるのではないだろうか。

今日はバラモスレイヤーが16歳になる誕生日の日……。

 

「もうそんなに日が経つか……」

 

おお見よ、目元に小皺もない美人の母親が書物を本棚にしまっているではないか!

その瞳はセンコめいて憎悪の炎に燃えている!

コワイ!

 

「バラモス……殺すべし……!」

 

マッポーな言葉を呟くと、階段を登り、ドアをノックもせずこじ開け、中に入っていく!

シツレイ!

 

「スゥーッ! スゥーッ!」

 

チャドーめいた呼吸で寝息を立てているのはバラモスレイヤーである。

寝ているにも関わらず付けているメンポには「魔」「殺」の決断的ショドーが刻まれている!

母親はバラモスレイヤーのベッドに近寄りバラモスレイヤーをゆすり始めた! アカチャン!

 

「グググ……オネボウサンめ……起きよ!」

「スゥーッ! スゥーッ!」

 

一向に起きる気配はない!

 

「起きよバラモスレイヤー=サン……起きよ!」

「スゥーッ! スゥーッ!」

 

一向に起きる気配はない!

 

「いつまでフートンでヌクヌクしておるか! 起きよ! イヤーッ!」

「グワーッ! 家庭内暴力!」

 

業を煮やした母親がバラモスレイヤーの腹部にカラテ・チョップをお見舞いする! サツバツ!

しかしこうもしなければ起きる気配のないバラモスレイヤーにも否があるのではないだろうか?

 

「ようやく起きたか、バラモスレイヤー=サン」

「ドーモ、オカン=サン。実の息子を文字通り叩き起こすとは、ついにボケたか」

「母親になんて口を利くッコラー! イヤーッ!」

「グワーッ! 家庭内暴力!」

 

何故かバラモスレイヤーは母親の事をオバケでも見るかのような視線で相対しているため家庭内暴力はチャメシ・インシデントである! サツバツ!

もしかしたらこの家庭内暴力が家族関係の悪化を招いているのではないだろうか?

ボブは訝しんだ。

 

「今日はオヌシが旅に出る日……。この日のためにオヌシを勇敢な子へと育ててきたのだ……。父オルテガの仇を取るのだ……グググ……」

「オヌシに言われずともわかっている、オカン=サン。バラモス殺すべし、慈悲はない」

 

そう吐き捨てるバラモスレイヤーの瞳には母親と同じく憎悪の炎が燃え盛っている!

父を殺された恨みだけで幼き頃よりカラテの修練を積んできたのだ。

バラモスレイヤーはバラモスへの恨みの化身とも言える。

実際コワイ。

 

「その意気だバラモスレイヤー=サン……。まずは城へ向かい王へ謁見するのだ……」

「そんな必要はない。バラモス殺すべし!」

 

いつの間にか寝間着からニンジャ装束へと着替えているバラモスレイヤーは息を巻いていきり立っている!

今すぐにでもバラモスの居城へとエントリーしかねない勢いだ!

 

「だが王も待っている」

「そんな必要はない。バラモス殺すべし!」

 

事前に母親がアリアハン王にアポイントメントを取っているのも関わらず、それをドタキャンしようというのか、バラモスレイヤー!

それはあまりにもスゴイ・シツレイに当たる!

 

「グググ……ブッダも怒る」

「そんな必要はない。バラモス殺すべし!」

「あなたは“がんこもの”ですね」

 

なんと三度の勧めも蹴りワビ・サビを理解しているのかしていないのかわからない暴挙に出たバラモスレイヤーは、そのまま家を出ていってしまった!

残された母親はバラモスレイヤーの性格を決定づけるのみである。

まさに復讐の化身を育ててきた末路とも言えよう! ゴウランガ!

 

そしてバラモスレイヤーの旅が始まった!

 

フィールドを駆けよ! バラモスレイヤー! 駆けよ!

モンスターとのエンカウントだ!

 

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。おおがらすAです」

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。おおがらすBです」

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。おおがらすCです」

 

三匹のおおがらすがエントリーだ!

おおブッダよ、寝ているのですか!

このままおおがらすはバラモスレイヤーを囲んでボーで叩こうというのだ!

 

「ドーモ、おおがらすABC=サン。バラモスレイヤーです。バラモス殺すべし、すなわち、バラモスに与するモンスターも殺すべし! 慈悲はない!」

「アイエエ狂人!」

 

しかしバラモスレイヤーに怯む様子は一切ない!

一対多であろうとイクサに情けというものは無いのだ!

行け! バラモスレイヤー! 行け!

 

「スッゾコラーッ!」

「ワドルナッケングラーッ!」

「イヤーッ!」

 

おおがらすAの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすBの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすCの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

バラモスレイヤーの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

おおがらすAにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすAの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすBの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすCの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

バラモスレイヤーの攻撃!

 

「グワーッ! アバーッ!」

 

おおがらすAにダメージ! おおがらすAを倒した!

 

「おおがらすA=サン! おのれ、よくも! イヤーッ!」

 

おおがらすBの攻撃!

 

「グワーッ! ゴボボーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすCの攻撃!

 

「グワーッ! ハァーッ、ハァーッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

バラモスレイヤーの攻撃!

 

「グワーッ!」

 

おおがらすBにダメージ!

 

「イヤーッ!」

 

おおがらすBの攻撃!

 

「グワーッ! ヤ・ラ・レ・ターッ!」

 

バラモスレイヤーにダメージ!

バラモスレイヤーは死んでしまった!

 

………………

…………

……

 

「バカ! ウカツ! 死んでしまうとは情けない……!」

「はっ! ここは……オヒガンか、オブツダンか……」

「オヌシの家だッコラー! イヤーッ!」

「グワーッ! 家庭内暴力!」

 

バラモスレイヤーの目が覚めるとそこは自分の家のベッドであった。

まさかのシニモドリ・ジツであろうか?

ライトノベルめいた能力が発揮したのであろうか?

違う! バラモスレイヤーは精霊ルビスの加護により死んでも生き返ることが出来るのだ! ズンビー!

それにしても死んでしまったことを情けないと侮蔑するとは、なんたる母親だろうか!

バラモスレイヤーの性格形成が心配になるマッポーな家庭環境である!

 

「グググ……情けなや……、オヌシは一人で先走るからそのような目にあうのだ……、仲間を連れよ、仲間を。ルイーダの酒場へ向かうのだ」

「しかし軍資金がない」

「だから王に謁見しろって話だっただろうがッコラー! イヤーッ!」

「グワーッ! 家庭内暴力!」

 

正論パンチ! ワザマエ!

文字通り家を叩き出されたバラモスレイヤーはしぶしぶながら登城するのであった。

 

「ドーモ、アリアハン王=サン。バラモスレイヤーです。遅れてすみません」

「ムッハハハ、ドーモ、バラモスレイヤー=サン。アリアハン王です。予定よりも半日遅れている。来ないかと思ったぞ」

「申し訳ありません。ケジメします」

「ムッハハハハハハ、オヌシのガンコさは良く知っている、どうせ一人でモンスターとイクサしようとしたのだろう」

「アッハイ」

「よいよい、ムハハハハ」

 

アリアハン王は賢王である。

バラモスレイヤーの蛮行もお見通しだったようだ。

アリアハン王は笑いながら、オーガニック・トロ・マグロ・スシを一度に二貫も食べた!

 

「オヌシの父、オルテガ=サンは一人で旅に出て、帰らぬ者となった。同じ轍を踏ませぬためにオヌシには仲間が必要だ」

「アッハイ」

「そのための資金を授ける。受け取るが良い。ムッハハハ」

「ドーモ、ありがとうございます」

 

バラモスレイヤーは50Gとひのきのぼうを受け取った。

誰が何処からどう見てもはした金である!

これが死地に赴く戦士への餞別なのだろうか!?

 

「……………………」

 

バラモスレイヤーは無言でアリアハン王を見つめている!

その目には不満がありありと表れている!

 

「ムッハハハハハハハハハ」

 

だがアリアハン王はただ笑うだけである!

ケチ!

しかしバラモスレイヤーがスレイするのはバラモスであり人間の王ではない!

このまま怒りのままカラテを振るってもしかたないと判断したのかバラモスレイヤーは城を後にした。

 

「ここはルイーダの酒場ドスエ。仲間を加えたい時はアタイに話しかけるドスエ」

 

酒場に併設された自動マイコ音声が流れる。

お役所仕事にしか見えないが、城の直轄なのでこういうものと思うしか無い。

そういうものだと無理矢理自分を納得させたバラモスレイヤーはマイクに向かって話しかけた。

 

「仲間が三人ほど欲しい」

「了解ドスエ」

 

バラモスレイヤーが暫く待つと、不気味な電子音声と共にドアが空き、三人の人影が表れた。

 

「ザッケンナコラー!」

「ザッケンナコラー!」

「ザッケンナコラー!」

 

三人のクローンヤクザだ。

コワイ!

 

「……………………」

 

バラモスレイヤーは無言で三人のクローンヤクザを見つめている。

果たしてこれが仲間として使えるのだろうか?

そもそもこのクローンヤクザはもしかしなくても今クローニングされたのではないだろうか?

様々な思いが交錯するが、とにかく与えられたものは使うしか無い。

 

「……ドーモ、クローンヤクザABC=サン。バラモスレイヤーです」

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。クローンヤクザAです」

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。クローンヤクザBです」

「ドーモ、バラモスレイヤー=サン。クローンヤクザCです」

 

最低限のアイサツは出来るようだ。

バラモスレイヤーは内心安堵した。

これで旅も順調に進むことだろう。

そう思われたが……。

 

「ドーモ、スライムAです」

「ドーモ、スライムBです」

「ドーモ、スライムCです」

「ドーモ、スライムDです」

「ドーモ、スライムEです」

「ドーモ、スライムFです」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

 

まもののむれのアンブッシュだ!

バラモスレイヤー達は驚き戸惑って対応できない!

 

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

 

三人のクローンヤクザは死んでしまった!

バラモスレイヤーは再びまた独りとなった。

 

「………………………………」

 

あっという間にあまりにも頼りない仲間を喪い呆然とするバラモスレイヤーにスライムの群れが襲いかかる!

ナムサン!

 

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「グワーッ! ヤ・ラ・レ・ターッ!」

 

バラモスレイヤーは死んでしまった!

 

………………

…………

……

 

「バカ! ウカツ! 死んでしまうとは情けない……!」

「はっ! ここは……オヒガンか、オブツダンか……」

「オヌシの家だッコラー! イヤーッ!」

「グワーッ! 家庭内暴力!」

 

始まったばかりで実際この始末。

はてさてこの先、どうなりますことやら……。




アイエエエ!?
バラモスまでたどり着けていない!
ナンデ!?

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