第19章 来訪者 来る。
レイナーレ達が仲間になってから、数日が経った。
オカルト研究部は、以前にも増して賑やかになっていた。
一誠とミッテルトが言い争い。
「だから俺のほうが強いって!」
「いやいや、うちのほうが強いっす!」
「2人とも、部室で騒がないの。」
リアスが注意する。
その横では、朱乃が紅茶を飲みながら微笑んでいた。
木場はカラワーナと剣術について話し、アーシアはドーナシークと会話している。
白音とギャスパーは、その光景を眺めていた。
黒歌は窓際に座っていた。
「・・・平和にゃ。」
「そうね。」
リアスが微笑む。
「でも・・・、」
黒歌の耳がぴくりと動いた。
「そろそろ、来る可能性が高いにゃ。」
「何が?」
「フェニックスにゃ。」
その瞬間・・・。
部室の空気が変わった。
扉が開く。
そこに立っていたのは、銀髪の女性だった。
メイド服に整った姿勢、そして冷静な表情。
「お久しぶりです、リアスお嬢様。」
「グレイフィア・・・!」
グレイフィア・ルキフグス。
サーゼクス・ルシファーに仕える、最強と名高い「女王」だった。
一誠が小声で呟く。
「この人・・・、すごく強そうだ。」
グレイフィアは部室を見渡す。
そして・・・。
レイナーレ。
カラワーナ。
ミッテルト。
ドーナシーク。
4人の堕天使へ視線を向けた。
「・・・。」
レイナーレが一礼する。
「初めまして。」
「ええ。」
グレイフィアも静かに頷いた。
「あなた方については、サーゼクス様から報告を受けています。」
ミッテルトが小声で呟く。
「なんか怖いっす・・・。」
「聞こえていますよ。」
「ひっ!」
カラワーナがため息をつく。
「お前は本当に騒がしいな。」
黒歌が笑う。
「いつものことにゃ。」
グレイフィアはリアスを見る。
「本日の用件は、ライザー・フェニックス様についてです。」
リアスの表情が変わった。
「・・・やっぱり来るのね。」
「はい。」
「分かったわ。」
リアスは立ち上がる。
「私は、婚約を受け入れるつもりはないわ。」
グレイフィアは静かに答えた。
「その意思については承知しております。」
黒歌はリアスを見る。
「未来が、また動き始めたにゃ。」
第20章 ライザー・フェニックス
翌日。
旧校舎。
リアスたちは部室に集まっていた。
その時・・・。
部屋の中央に魔法陣が浮かび上がる。
炎を思わせる赤い光。
そこから、1人の青年が姿を現した。
金色の髪に堂々とした立ち姿。そして、自信に満ちた表情。
「久しぶりだな、リアス。」
「ライザー・・・。」
ライザー・フェニックス。
その後ろには、彼の眷属たちが並んでいた。
ライザーはリアスを見る。
「俺の婚約者に会いに来た。」
「その話は、もう答えを出しているでしょう?」
リアスは冷静に答える。
「私はあなたと結婚するつもりはないわ。」
ライザーは笑った。
「まだそんなことを言っているのか?」
一誠が眉をひそめる。
「部長が嫌だって言ってるんだから、いい加減・・・、」
「一誠。」
リアスが制止する。
しかしライザーは一誠を見る。
「君が兵藤一誠か。」
「そうだけど?」
ライザーは少し笑った。
「なるほど。リアスの眷属というわけか。」
そして・・・。
ライザーはリアスの後ろを見た。
朱乃。
木場。
白音。
ギャスパー。
一誠。
アーシア。
「・・・。」
ここまでは、事前に聞いていた。
しかし。
ライザーの視線が止まった。
レイナーレ。
カラワーナ。
ミッテルト。
ドーナシーク。
さらに・・・。
黒歌。
ライザーの笑顔が消えた。
「・・・待て。」
レイヴェルも驚く。
「お兄様?」
ライザーが確認するように四人を見る。
「彼女たちは・・・?」
レイナーレが答える。
「リアスに協力しているのよ。」
カラワーナが続ける。
「必要なら、彼女のために戦う。」
ミッテルトが元気よく手を挙げる。
「うちもっす!」
ドーナシークは一礼する。
「私も、皆さんに協力するつもりです。」
ライザーはしばらく黙っていた。
そして・・・。
「・・・聞いていた戦力と、まるで違う。」
レイヴェルも困惑した。
「お兄様。・・・、事前情報では、リアス様の眷属だけだと・・・。」
ライザーは黒歌を見る。
「そして、あの猫魈は?」
リアスが答える。
「黒歌は私の眷属ではないわ。」
「では?」
黒歌が笑う。
「協力者にゃ。」
ライザーの目が細くなる。
「協力者・・・。」
グレイフィアが静かに補足する。
「黒歌様はリアスお嬢様の協力者です。眷属ではありません。」
ライザーは腕を組んだ。
「なるほどな。」
レイヴェルを見る。
「作戦変更だ。」
「はい。」
「当初の予定では、リアスの眷属を分断して順番に倒すつもりだった。」
レイヴェルが頷く。
「ですが、堕天使が四人も加わるとなると・・・。」
「単純な分断作戦では足りない。」
ライザーは言った。
「空中戦、近接戦、支援。そして・・・、」
黒歌を見る。
「未来視」
黒歌が微笑む。
「よく分かったにゃ。」
「当然だ。」
ライザーは笑った。
「ならば、こちらも未来を読まれることを前提に動く。」
黒歌は目を細める。
「面白い相手にゃ。」
ライザーは去り際に振り返る。
「10日間だ。」
リアスを見る。
「10日後、レーティングゲームで決着をつける。」
「受けて立つわ。」
ライザーが去る。
部室に静寂が戻った。
一誠が拳を握る。
「・・・絶対勝ちましょう。」
リアスは頷いた。
「ええ。」
黒歌は未来を見つめる。
「・・・特訓が必要にゃ。」
第21章 一誠、ライザーに挑む
翌日、ライザーたちは再び旧校舎を訪れていた。
今回は、顔合わせと簡単な模擬戦を兼ねたものだった。
ライザーの眷属たちが並ぶ。
その中に、青い髪をした手に長い棒を持った小柄な少女がいた。
ライザーが紹介する。
「彼女はミラ。俺の眷属だ。」
ミラは静かに頭を下げた。
「よろしくお願いします。」
一誠がライザーを見る。
「お前、部長との結婚を本気で決めるつもりなのか?」
「当然だ。」
「部長は嫌だって言ってるだろ!」
一誠が前へ出る。
ライザーは笑った。
「君が俺に何かできるとでも?」
「やってみなきゃ分からないだろ!」
一誠が向かっていく。
その瞬間・・・。
ライザーはミラを見る。
「ミラ、相手をしてやれ。」
「はい、ライザー様。」
ミラが前に出る。
一誠が拳を構えた。
「行くぞ!」
しかし、次の瞬間。
ミラの動きが一誠を上回った。
一誠は攻撃を受け止めようとする。
だが、完全には対応できない。
ミラの一撃によって、一誠はその場で動きを止めた。
「一誠さん!」
アーシアが叫ぶ。
ライザーは淡々と言う。
「これが現実だ。」
「君はまだ、戦い方を知らない。」
一誠が悔しそうに立ち上がろうとする。
「くっ・・・!」
その時だった。
黒歌が一歩前に出た。
「そこまでにゃ。」
ミラが黒歌を見る。
「・・・。」
ライザーも興味深そうに見る。
「黒歌さん?」
黒歌は一誠の前に立った。
ミラが再び動く。
しかし・・・。
黒歌は軽く手を上げる。
ミラの攻撃を、まるで何事もなかったかのように受け止めた。
「・・・!」
ミラが目を見開く。
黒歌はそのまま攻撃を流す。
そして、誰も傷つけることなく距離を取った。
「一誠。」
「・・・黒歌さん。」
「今の戦い、覚えておくにゃ。」
「・・・分かりました。」
黒歌は笑う。
「負けたことは悪くないにゃ。」
「でも、そこから何を学ぶかが大事にゃ。」
一誠は拳を握り直した。
「俺、次はもっと強くなります。」
「そうにゃ。」
第22章 グレイフィアが見たもの
その光景を、少し離れた場所から見ていた人物がいた。
グレイフィアだった。
彼女は一言も発していない。
ただ、黒歌を見ている。
今の動き。
ミラはライザーの眷属の中でも、決して侮れない実戦能力を持つ戦士だった。
それでも、先ほどの一誠とのやり取りでは、経験の差が明確に出ていた。
だが・・・。
彼女は違った。
ミラの動きを見てから対応したように見える。
しかし、グレイフィアには分かった。
・・・違う。
あれは単純な反射ではない。
黒歌は、ミラの攻撃がどこへ来るのかを理解した上で動いていた。
そして何より。
彼女は・・・、一切、本気を出していない。
「・・・。」
グレイフィアは静かに黒歌を見る。
――この方は、一体どれほどの力を秘めているのでしょう。
サーゼクスから聞かされていた。
異世界を旅したこと。
複数の異世界の強者と交流したこと。
そして、言霊によって様々な力を扱えること。
しかし、情報だけでは判断できない。
今の動きだけでも、相当な実力者であることは分かる。
だが・・・。
もし彼女が、本当に保有している力の一部しか使っていないのだとしたら・・・。
グレイフィアは内心で考える。
少なくとも、普通の若い悪魔が比較できる領域ではありません。
もしかすると・・・。
しかし、その先を考えるのを止めた。
黒歌がこちらを見ていたからだ。
「どうしたにゃ?」
「・・・いいえ。」
グレイフィアは微笑む。
「少し興味深いものを見せていただいたと思っただけです。」
黒歌は笑った。
「秘密にゃ。」
グレイフィアは小さく目を細める。
やはり・・・、彼女は底が見えない。
第23章 リアス、特訓を決意する
ライザーたちが帰った後。
オカルト研究部。
一誠は悔しそうに座っていた。
「・・・俺、何もできなかった。」
「一誠さん・・・。」
アーシアが心配そうに声をかける。
木場が言う。
「でも、今の一戦で分かったことは多いよ。」
朱乃も頷く。
「相手の強さを知ることも、立派な経験ですわ。」
白音が一誠を見る。
「次は勝てばいい。」
「白音ちゃん・・・。」
リアスが立ち上がった。
「そうね。」
全員がリアスを見る。
「私たちには時間がある。」
リアスは黒歌を見る。
「黒歌。」
「何にゃ?」
「特訓をお願いできるかしら?」
黒歌は笑った。
「もちろんにゃ。」
レイナーレも立ち上がる。
「私たちも参加するわ。」
カラワーナ。
「当然だ。」
ミッテルト。
「うちも頑張るっす!」
ドーナシーク。
「皆さんと共に鍛えましょう。」
リアスは全員を見る。
「決まりね。」
そして・・・。
黒歌が静かに言った。
「ただし、普通の特訓じゃないにゃ。」
「どういうこと?」
「1人ずつ、その人に合った強者の姿を借りるにゃ。」
一誠が目を輝かせる。
「強者の姿?」
「言霊にゃ。」
黒歌の瞳が輝く。
「その姿と戦って、自分の弱点を見つけるにゃ。そして、その力そのものじゃなく、自分に必要な部分を学ぶにゃ。」
リアスが頷く。
「それなら、お願いするわ」
そして、全員に告げた。
「これから10日間、私たちは徹底的に鍛えるわ。」
一誠が拳を握る。
「おう!」
朱乃が微笑む。
「楽しみですわね。」
木場も剣を構える。
ギャスパーは少し震えながらも頷く。
アーシアも決意を固める。
レイナーレ。
カラワーナ。
ミッテルト。
ドーナシーク。
4人も、それぞれの表情を引き締めた。
黒歌は全員を見る。
そして・・・。
未来視を使う。
いくつもの未来。
ライザー側が戦術を変える。
リアスたちが追い込まれる。
そして・・・。
まだ見えない、1本の未来。
黒歌は静かに笑った。
「・・・この未来を掴むにゃ。」
リアスが頷く。
「ええ、私たち全員で。」
こうして・・・。
ライザー・フェニックスとのレーティングゲームへ向けた、リアス陣営の特訓が始まった。
感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!
次回「いざ特訓!リアス眷属!」
黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?
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前日譚
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倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す