仮想帝国暦四九二年   作:kuraisu

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仮想帝国暦四九二年解説

 

年表

四七七年 

宮内省が帝都の下町に暮らしていたアンネローゼという存在をスルーする

四八二年 

ラインハルト、帝国軍士官学校に入学

軍幼年学校出の秀才である同期生イザーク・フェルナンド・フォン・トゥルナイゼンと激しい首席争いを繰り広げる。

最終的にトゥルナイゼンがラインハルトの天才を認め、同期生たちから別格の存在として扱われだす。

四八六年

クロプシュトック事件での騒動が切欠でロイエンタールとミッターマイヤーが自由惑星同盟に亡命

四八七年

ラインハルト、トゥルナイゼン、帝国軍士官学校を卒業。

五月にヤン少将率いる特殊艦隊がイゼルローン要塞を攻略

八月、同盟軍帝国領遠征作戦。帝国軍は皇帝危篤による皇位継承争いの激化による政情不安から積極迎撃にでず。

一〇月、サンフォード政権からの圧力に屈したロボス元帥が若干無謀な積極攻勢に出るが、手痛い逆劇を被り史実ほどではないが大損害を被る。

この大敗を受けて同盟軍占領地域で同盟軍の権威が失墜して暴動が多発するが皇帝フリードリヒ四世が崩御したため、同盟軍占領星域の奪還に動かずに帝都に帰還。

エルウィン・ヨーゼフ二世の即位とブラウンシュヴァイク公令嬢エリザベートとの婚約が発表される。

一二月、政争に敗北して窮地にあったリッテンハイム侯爵と占領地の扱いに苦慮していた同盟政府の間で会談がもたれ、リッテンハイム朝立憲帝国が成立する。

四八八年

帝国正規軍内で、若手将校たちによる軍上層部、ひいては宮廷政治批判が巻き起こる。

軍内私組織『黒幇(こくほう)』の成立。

四九二年

ラインハルト・フォン・ミューゼル、銀河帝国軍准将に昇進

 

 

国家・勢力

+ゴールデンバウム朝銀河帝国

皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世を頂点に、皇妃エリザベートの父であるブラウンシュヴァイク公爵が摂政を務め、リヒテンラーデ侯爵が宰相という体制で運営されている正統派の帝国。

しかし四八七年の一連の出来事のせいもあって、帝国分断の責任を一端を担っていると目されたブラウンシュヴァイク公爵が国政の実権を握り切れておらず、実際に帝国政府を掌握しているリヒテンラーデ侯爵と権力を分け合っているような状態にある。

この状況を挽回するためにブラウンシュヴァイク公は正規軍の掌握を目論んでいるが、軍上層部保守派や『黒幇(こくほう)』の抵抗もあって、あまりうまくいっていないのが実情であり、正規軍を牽制する目的もあって私設軍の強化に勤しんでいる。

 

+リッテンハイム朝立憲帝国

皇位継承争いに敗れたリッテンハイムが、自由惑星同盟の支援を受けて成立した国家。偽帝国とも称される。

自由惑星同盟の意向に従い、共和主義的な制度を敷き、将来の民主化も約束しているが、ありとあらゆる手で改革を先延ばし&骨抜きにしており、国家としての実相はゴールデンバウム朝銀河帝国と何ら変わるところがない。

自由惑星同盟に亡命していた帝国系の人材を一部融通してもらっている他、領内に自由惑星同盟軍の駐屯を認めており、その戦力を銀河帝国との戦いに利用している。

 

+自由惑星同盟

史実通り帝国領遠征に反対していたヨブ・トリューニヒト氏が最高評議会議長をしている。

イゼルローン回廊の向こう側にリッテンハイム朝立憲帝国という【いくら傷ついても同盟市民の心が痛まない盾】が誕生したことで、同立憲帝国に対する監視兼保護者役の駐留部隊を置いてるだけで戦争から破半ば離脱したような状態にある。

少なくともリッテンハイムとブラウンシュヴァイクが激しく争い続けている限りは、だいたいにおいて平和な時代を謳歌することであろう。やったね!

 

+フェザーン自治領

特に描写してないけど帝国と同盟を争わせ続けるという国家方針が根底から崩壊して大変なことになっている。

自治領主ルビンスキーも裏のスポンサーである地球教から色々と批判されており、本当に大変なことになっている。

当面の方針としては中立自体は維持しつつ、ゴールデンバウム朝銀河帝国への支援と影響力強化に勤しんでいる。

 

 

人物紹介

全部書いてたらとっ散らかって仕方がないので、本編では視点をラインハルト、トゥルナイゼン、ロイエンタール、ミッターマイヤーに絞って描写しましたが、それ以外のキャラたちがどうなってるかも考えてはいるので併せて書く。

 

+ラインハルト・フォン・ミューゼル

原作主人公の片割れ。姉のアンネローゼが宮内省に発見されなかったため、身分や経済的理由から軍幼年学校に入るフラグが消滅した。その結果、順当に士官学校に入学して職業軍人となる道を歩み、軍人デビューが原作よりかなり遅れてしまったため、銀河の歴史が大変なことになってしまった。

軍人志望で素朴に帝国の秩序を信じている状態のまま帝国軍士官学校の門を叩いたため、帝国の現体制への憎悪は特になく、また寵姫での弟でもないので周囲からの蔑視もないので、士官学校同期とは良きライバルとして絆を深めることに成功し、またその天才性とカリスマから同期生たちの心を掴むことにも成功した。

四八七年の一連の出来事での帝国の醜態には激しく憤り、幼き頃自分達が憧憬した精強なる帝国軍を再建し、疑うことすらなく信じていた帝国の秩序を再建するべく同期生の同志を結集して軍内私組織『黒幇(こくほう)』を設置し、階級が低い頃から半ば崩壊しかけていた帝国軍の下層部を取りまとめ、早くから政治的プレイヤーとして頭角を表すようになった。

そうした振る舞いのせいで、この世界でも保守派やブラウンシュヴァイク閥からは“金髪の孺子”と揶揄されている。

ちなみに原作同様姉に対して弱い一面があるが、士官学校生活である程度距離を置いていたことやジークフリード・キルヒイスとアンネローゼの結婚をきっかけに、ある程度は姉離れというか、母親離れしている。

 

+イザーク・フェルナンド・フォン・トゥルナイゼン

黒幇(こくほう)』のナンバーツーにして現在のラインハルトの最大の盟友。

名門貴族出身者として軍幼年学校を首席で卒業し、長じて士官学校に入学した。

当初は寒門出のラインハルトに対して対抗意識を燃やしていたが、士官学校での日々の中で才能の圧倒的差を思い知り、いつからか進んでラインハルトの協力者としてのポジションを確保するようになった。

トゥルナイゼンは貴族将校のまとめ役、宮廷との対話役を担っていることが多く、『黒幇(こくほう)』の拡大において少なからぬ貢献をしており、ラインハルトが階級に見合わぬ政治的影響力を行使できているのも、彼が同期の貴族将校をまとめて宮廷工作に勤しんでいるからというのが大きい。

彼はラインハルトのことを親友であると思っているが、友誼以上に「自分が認めた指導者である」とラインハルトを崇拝しているところがあり、どこまでも彼を押し上げる覚悟を決めている。

 

+ジークフリード・キルヒアイス

順当に父親と同じ司法省官吏の道を進んでいる。

また隣家の初恋の相手で結婚することに成功した。

義弟となった親友が軍人となってからかなり危うい道を歩んでいるのでとても心配している。

 

+アンネローゼ・キルヒアイス

ラインハルトの姉。彼女が宮内省に発見されなかったために、銀河の歴史がめちゃくちゃなことになってしまったが、別にそれは彼女のせいではない。

夫から聞かされる話や、時折顔を見せにくるラインハルトの表情から冷え冷えしたものを感じ取ることが多くなったので、弟のことを色々と心配している。

 

+クラウス・フォン・リヒテンラーデ

銀河帝国宰相・侯爵。エルウィン・ヨーゼフ二世の御代になってから無茶苦茶なことになった帝国を、愛国心と保身の観点からなんとか維持しようと老骨に鞭を打って必死に頑張っている宮廷政治家。

あまりの激務ぶりから「いつかポックリ死にそう」と全方位から思われており、政敵であるはずのブラウンシュヴァイク公爵にすら体調を気遣われたりしているが、自分が休んだら帝国内の各勢力の調和を維持できなくなってしまうという危機感から頑張っている。

 

+オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク

皇妃の父。摂政・公爵。帝国最大の門閥貴族であり、大規模な私設艦隊を有している。

実のところ、自分に対して不服従なところがある帝国政府や正規軍の大粛清を行いたいと考えているが、リッテンハイムの偽帝国との戦争もあり、なかなか粛清のタイミングを見出せずに苛立っている。

 

+エルウィン・ヨーゼフ二世

ゴールデンバウム朝銀河帝国第三七代皇帝。妻にブラウンシュヴァイク公爵家令嬢のエリザベート。

どういうわけか、形式的な国事行為すらろくに行っておらず、公的な場に姿を表すことが滅多にない。

なぜそんなことになっているのかは読者のご想像にお任せします。

 

+オスカー・フォン・ロイエンタール

+ウォルフガング・ミッターマイヤー

四八六年のクロプシュトック侯の叛乱時のゴタゴタで生命を危うくしたミッターマイヤーを救うため、ロイエンタールは彼の家族の身の安全を確保した上でミッターマイヤーを力技で救出し、自由惑星同盟へと亡命した。

その亡命経緯から同盟政府は二人の亡命を歓迎し、二人に同盟軍少将の階級と客員提督(ゲスト・アドミラル)の称号を用意したものの、実のところ持て余していた。

なので四八八年に同盟政府と軍部は「もともと帝国軍の将官だし、ブラウンシュヴァイク閥とは相容れぬリッテンハイム閥主体の立憲帝国だし」という理由で、特に二人の意思確認を行うこともなく立憲帝国軍に移籍処置を行った。

以来、二人は立憲帝国軍の練兵作業をさせられていた。おかげで二人とも皮肉屋としての色が濃くなってしまった。特にロイエンタールは自由惑星同盟も立憲帝国も心底侮蔑するようになっており、「やっても同盟は黙認するだろう」と立憲帝国の乗っ取りを画策するまでになっている。

 

+ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム

リッテンハイム朝立憲帝国の事実上の指導者・公爵。ブラウンシュヴァイク公爵との皇位継承争いに敗北したのち、自由惑星同盟に接近して新国家建設という暴挙を実施した。

民主化を自由惑星同盟から要求されているが、のらくらとその要求をかわしつづけるなど、政治家として地味に優秀な一面を見せている。

 

+ロイヤル・サンフォード

+ラザール・ロボス

この世界線でも原作通りの流れで帝国領遠征を推進し、大敗の責任を取って辞職した。

……帝国領に侵攻するという判断はわからなくもないが、やっぱりなんで歴史上空前の大規模遠征にしようぜってなるのか作者にはわからないのである。

 

+ヨブ・トリューニヒト

この世界線でも原作通りの流れで帝国領遠征に対しては反対票を投じ、その識見を讃えられて暫定政権の首班におさまった。そして原作に比べてマシな損害だったので、統合作戦本部長のシドニー・シトレと一緒に戦後処理の作業を行う。

帝国領遠征後に同盟軍占領下の解放区を持て余しているところへリッテンハイムが接触してきたので、リッテンハイムによる新国家樹立を支援し、それを【自由惑星同盟の盾】として活用することにした。

この政治的判断は彼の支持層から理想主義的主戦派の離脱を招いたものの、それを穴埋めしてあまりある反戦派勢力を支持基盤に取り込むことに成功し、トリューニヒト政権は今のところ盤石な状態にある。

ロボス閥は帝国領遠征で自滅したし、シトレ閥も後述の事情で軍中枢から追いやることに成功し、現在同盟軍中枢はトリューニヒト派軍人の牙城となっている。

つまり、ヨブ・トリューニヒトと彼の派閥は、同盟で我が世の春を謳歌しているのである!

 

+シドニー・シトレ

同盟軍元帥。原作より帝国領遠征の被害がマシだったのと、残された解放区をどうするのかという問題が残っていたので、戦後処理に携わることを余儀なくされる。リッテンハイムが接触をはかってきた時、うまいこと利用すれば自由惑星同盟から戦火を遠ざけることができると自身の人脈をフル活用してリッテンハイムを利用するように同盟政府に訴えた。

その努力はイゼルローン要塞陥落後に講和案を出した時と違って正しく報われたのであるが、トリューニヒトの方が一枚上手で「立憲帝国に対する防衛支援は行うつもりだが、その統監の地位は言い出しっぺの君がするべきじゃないかな?」と政治的外堀を埋められてしまい、軍部での主導権を失ってしまった。

そしてトリューニヒト政権が立憲帝国の民主化に事実上無関心なのもあって、彼の仕事内容は立憲帝国に駐留している同盟軍正規艦隊をどう動かすかという軍事的分野に限られたものとなってしまっている。

 

+ヤン・ウェンリー

原作主人公の片割れ。帝国領遠征の戦後処理が終わった後、「色々と言いたいことはあるが、今後何十年かの同盟の平和は実現した」として鉄の意思でシトレに辞表を提出した。シトレは留意を求めたが、ヤンの意思は固く、受理しないならトリューニヒトに対して辞表を提出するとまで言って同盟軍中将の階級にて退役した。

おかげでユリアンは進路志望に迷っているし、フレデリカも軍を退役するべきか悩み出しているが、本人は念願のアマチュア歴史家がやれるぞと幸せそうである。

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