才能は生まれつきのものなのか、それとも教育によって作り出せるのか。

その答えを証明するために作られた教育施設――ホワイトルーム。

感情、自由、個性。その全てを排除し、ただ結果のみを求める極限の環境の中で、一人の少年が育てられていた。

神凪月詠。

銀髪とオッドアイを持つ、美しい少年。

六歳にして大学数学を理解し、数百桁の数字を記憶し、多言語を同時処理し、他者の感情を正確に読み取る異常な能力を持つ存在だった。

しかし彼には一つの問題があった。

あまりにも優秀すぎたのである。

ホワイトルームが目指すのは、教育によって天才を生み出すことだった。だが月詠は、入所当初から既に異常な能力を示していた。そのため研究員たちは、彼の能力が教育の成果なのか、それとも生まれ持った資質なのかを判断できずにいた。

それは施設の理念そのものを揺るがす問題だった。

やがて月詠は、同じ第4期生の中で唯一自分に近い存在と出会う。

後に「最高傑作」と呼ばれることになる、一人の黒髪の少年。

二人は同じ場所に立ちながらも、決して同じ存在ではなかった。

一人はホワイトルームが求めた完成形。

そしてもう一人は、ホワイトルームの理念そのものを否定しかねない例外。

極限の教育施設で育つ中で、月詠は初めて他者への興味や共感に似た感情を抱き始める。しかしそれは、感情を不要とするホワイトルームにおいて決して歓迎されるものではなかった。

研究員たちは彼を恐れ始める。

あまりにも優秀であるが故に。

あまりにも理解できない存在であるが故に。

これは、ホワイトルームの「最高傑作」と「最低傑作」が歩んだ物語。

そして後に高度育成高等学校へ入学し、綾小路清隆と再び交差するもう一つの物語である

神凪月詠の幼少期

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