Fate/atlantis:衛宮切嗣生存stay night   作:星P/すたーりん

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ここは完璧独自解釈です!
ご意見等たくさん頂けるとありがたいです!!


"魔術師殺し"衛宮切嗣②

 

リビングへ戻ると、遠坂とセイバーが談笑していた。

ついさっきまでの空気が嘘みたいに、そこには穏やかな時間が流れている。

微笑ましい光景―――のはずなのに、胸の奥に残ったざらつきは消えてくれない。

 

あの後、赤い男は姿を消した。

消えた、というより霊体化したのだろう。

 

……あの質問は、なんだったんだ。

 

どうしてあいつが、あんなことを聞いてきたのか。

俺はあいつに自分の目標を話した覚えなんてない。まして遠坂にも、そんなものを口にしたことはない。

なのにあれは、間違いなく『正義の味方』という、衛宮士郎を形作るものそのものを突く問いだった。

 

同時に、ぞくりと背筋が粟立つ。

まるであの男が、俺自身であるかのような―――そんな、得体の知れない悪寒。

 

「あ、衛宮くん。お爺さん、見つかった?」

 

「……え? ああ。結局見つからなかったよ。多分、出かけてるんじゃないかな」

 

不意に声をかけられ、思わず返事が遅れる。

 

「どうしたのよ、そんなに驚いちゃって。……なに? 何か隠してることでもあるの?」

 

「い、いや、ほんとに何もないから! そ、そうだ。それより飯でもどうだ? あれから何も食ってないだろ」

 

遠坂に、さっきのことを話すべきか。

……いや、まだだ。

あいつの真意が分からないうちは、下手に遠坂を動かしたくない。

 

「まあ、たしかにお腹は空いたけど……」

 

「なら飯にしよう! 俺が作ってくるよ!」

 

半ば逃げるように、足早に台所へ向かう。

 

「あ、ちょっと!」

 

遠坂の制止も聞かず、そのままキッチンへ滑り込んだ。

このままそこにいたら、きっと余計なことまで口にしてしまう。

 

「シロウは元気いっぱいですね」

 

背後から、セイバーのどこか見当違いな感想が飛んできた。

違うぞセイバー!。

 

「......え、何——?」

 

まだ遠坂が何か言っているようだが、どうせさっきの追求の続きをセイバーと話しているのだろう。

 

今日は少し手間をかけて、うまい飯でも作ろう。

そうしてなんとか誤魔化そう......

 

 *

 

「——何?」

 

「言葉通りよ。……あら? でも、あなた、よく見たらマスターじゃないじゃない」

 

キャスターが切嗣を見る。

一瞬の間。

そして切嗣が話し出す。

 

「……ああ、そうだ。僕はマスターじゃない」

 

淡々と答える切嗣に、キャスターはわずかに目を細めた。

フードの奥から覗くその視線は、獲物を値踏みする蛇のように冷たい。

 

「ふうん。ま、一般人じゃないってことはわかってたけど、サーヴァントを前にしてその態度。只者じゃないって——」

 

切嗣がキャスターを遮って問う。

 

「昨今のガス事件。犯人はお前か?」

 

その瞬間、空気が張り詰めた。

夜気が肌を刺すように冷たくなる。

キャスターは口元に笑みを浮かべたまま、しかしその瞳だけはすっと細めていた。

 

「あら、マスターでもない人間が、私にそんな口を利くなんて。よほど自分に自信があるのか、それとも―――ただの命知らずかしら」

 

「質問に答えろ」

 

キャスターが切嗣を睨む。

 

「……そうだ、と言ったらどうする?」

 

「なら、ここで君を見過ごすつもりはない。それだけだ」

 

切嗣は静かに引き金へ指をかけた。

無駄のない動き。わずかな隙もないその構えに、張り詰めた殺気が宿る。

その気配を感じ取ったのか、キャスターの笑みが深くなった。

次の瞬間、彼女の眼前に魔法陣が展開される。

 

「じゃあ、私も遠慮はいらないわね」

 

放たれた魔弾が一斉に切嗣へ襲いかかる。

切嗣は即座に射線を切り、境内を横切って森の中へ飛び込んだ。

 

―――起源弾は、あいつに通じるだろうか。

 

相手はサーヴァントだ。だが同時に、魔術師でもある。

魔術師である以上、起源弾が効く可能性は高い。だが、確実ではない。

追ってくる魔弾を木々の陰へ誘い込みながら、切嗣は太い幹の裏へ身を滑り込ませる。

 

「ふふ、どこに隠れたって無駄よ」

 

森の入口で足を止めたキャスターが、さらに魔法陣を展開した。

 

―――今だ。

 

木陰から身を乗り出し、切嗣はトンプソン・コンテンダーを構える。

装填されているのは起源弾ではない。通常弾だ。

ただし、ただの一発ではない。魔術による強化を施した高火力弾。

狙うのは、攻撃体勢を整える前の一瞬。

 

引き金が引かれる。

轟音と共に放たれた一撃は木々の隙間を裂き、一直線にキャスターの胸元へ突き刺さった。

 

「ぐっ……!」

 

キャスターの身体が大きく揺らぐ。

展開しかけていた魔法陣が崩れ、紫の光が霧散した。

どうやら、まともに入ったらしい

だが、それで終わりではない。

 

今の一撃には神秘がない。サーヴァントを仕留めるには至らず、せいぜい一瞬動きを止めるのが限界だ。

そして次は、もう同じ手は通じない。

銃という武器の脅威を理解した以上、キャスターは次の一撃を必ず魔術で防いでくる。

 

―――いや、そうしてくれなければ困る。

 

切嗣はわずかに目を細める。

相手が銃弾を防ぐために魔術を使う、その瞬間こそが唯一の好機。

起源弾を“防がせる”ことさえできれば、魔術回路ごと叩き潰せる。

 

「……油断していたわ。思ったより痛いじゃない」

 

胸元を押さえながら、キャスターがゆっくりと体勢を立て直す。

その声に苦悶はあっても、致命傷を負った気配はない。

 

「でも、そんな攻撃で私を倒せないことくらい、分かっているんでしょう?」

 

「…………」

 

切嗣は答えない。

 

「それとも、誰かお仲間が来るまでの時間稼ぎかしら?」

 

キャスターが再び魔法陣を展開する。

今度は一つではない。攻撃用とは別に、いくつもの術式が彼女の周囲へ浮かび上がる。

おそらくは迎撃、あるいは自動防御の類。

 

―――かかった。

 

切嗣は無言のまま、トンプソン・コンテンダーに起源弾を装填する。

指先に伝わる感触は、冷たい確信そのものだった。

 

「今度こそ、あなたの身体を引き裂いてあげるわ!」

 

魔法陣に魔力が奔る。

切嗣もまた、銃口をまっすぐキャスターへ向けた。

互いに必殺の間合いへ踏み込んだ、その瞬間。

 

「何をしている、キャスター」

 

「なっ……!」

 

聞こえた声に、キャスターの表情が凍りつく。

 

「そ、宗一郎様!?」

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