大会8日目。
今日は本戦に勝ち進んだチームを改めて抽選で組み合わせを決める日だった。
抽選を引くのは各校の生徒会長様。俺たちの学園からはクローディアって訳だ。
クインヴェールはシルヴィが今欧州ツアーで居ないため、代わりに副会長が引くらしい
『に、兄さんどうしましょう紗夜さんが迷子になりました』
抽選が楽しみで会場に残ってたら紗夜と出かけていた綺凛からそんな連絡が来た。
泣きかけてる綺凛を放っておく訳にもいかないので、俺も紗夜を探しに行くことにした。
紗夜の幼馴染でもしかしたらと思い、綾斗にも電話していたらしく、たまたま探している時に合流した。
ただその時、隣にはウルサイスの妹さんが一緒にいた
「は、初めましてです! プリシラ・ウルサイスとお申します!」
「初めまして。刀藤綺優です。えっと、なんで綾斗はウルサイスさんと一緒に? 紗夜は?」
「ああ、それが──」
「──プリシラッ!!」
その直後に俺は上から襲撃を受けた。
寸前のとこで上体を逸らして避けて、相手の手首を掴んで固定。襲撃犯は姉のイレーネ・ウルサイスさん。
野蛮すぎる……って思ったんだけど、妹が襲われてると思って攻撃したらしい。
それを考えたら冤罪だな。襲撃犯扱いしたことは謝った。
妹のためなら人を斬るのは当たり前のことだからな
「つまりあれか、仲間を探してたらプリシラが襲われているところに遭遇して助けてくれたってことか?」
「俺は全部終わったあとだから助けたのは綾斗だよ」
「……ちっ、勘違いさせやがって」
「ちっ? おーねぇーちゃん!!」
「げっ!? ぷ、プリシラ!? じょ、冗談だから!」
妹には頭が上がらないらしい。自然の摂理だな。うん。イレーネの気持ちはよーく分かる。
その後お礼がしたいとのことで、連絡先を交換。
俺はマジで何もしてないけど、いきなり斬りかかったお詫びをしたいって引かなかったので、お言葉に甘えることに。
そのあと、無事に紗夜と綺凛の2人と合流できたので、紗夜の頭にデコピンを喰らわした。
綺凛を心配させるなんて許されないからな
さてと、今日は1日休憩。決勝戦トーナメントは明日からだ。
綺凛に協力して貰いながら紗夜と訓練をした。
その後は誘われていた通り、ご飯食べに行ってきた
「テメェは誘ってねぇけどな? 《
「生憎だが
「はっ。信頼できねぇやつとよく《
「私が信じれないのはお前だと言ってるんだが、伝わらなかったか?」
「……喧嘩売ってんのか?」
「ユ、ユリス! せっかく誘ってくれたんだから!」
「お姉ちゃんも! 天霧さんたちを煽らないの!」
とまぁ平和に喧嘩してた。因みにプリシラさんのご飯はすごく美味しかった。
イレーネが推してただけあってパエリアが最高
「そうだろそうだろ!? プリシラのご飯は世界一うめぇんだ! わかってくれるか! 《白夜叉》!」
「うん。本当に美味しい。作り方教えて欲しいよ。あと俺は綺優で構わない。その名前で呼ばれるとちょっと恥ずかしい」
「あん? なんでだよ。かっこいいじゃねぇか」
「友達には名前で呼んで欲しいって思うのは普通じゃ無いか?」
「は、はぁ!? 友達だと!? あたしとおまえが!?」
「え、違うの?」
「んなわけあるか! 敵だ敵! 変なことを言うんじゃねぇ!!」
いや、同じ釜の飯を食ったからもう友達だと思ってんだよね。
仲間では無いから友達だと思ってそう言ったのに、この時のイレーネは違ったみたい。
俺がおかしいのか綾斗に聞くと綾斗も同じ反応をしてた
「俺も綺優と同じつもりだったよ。せっかくこうして一緒にご飯を食べたんだから友達ぐらいの関係にはなったのかなって」
「……信じられねぇ」
「こればかりは同感だ《
それが魅力といえばそうだが、危機感が無さすぎて心配になる。
特に綾斗、お前はお人好しを超えて馬鹿者だ」
「いやーえーっと、あ、あははは……」
「プリシラさんはどう? 俺と綾斗は友達だと思ってたつもりだけど」
「わ、わたしは! 皆さんとお友達になれるのであればぜひなりたいです!」
「決まりだな。今度皆で遊びに行こうか」
「……! はい! 行きたいです!」
「な! おい《白夜叉》テメェ! なにプリシラのこと口説いてるんだ!?」
「口説いてないわ! 俺にはもう彼女がいるし、遊びに行く時は彼女と一緒だよ」
全く。やめて欲しいよな。俺にはもう将来を決めた相手がいるって言うのに。
シルヴィは束縛は全然しなくて遊びに行ってもいいって言ってくれる。
その代わり条件はあって、
・誰とどこに遊びに行くのか報告すること
・遊びに行っててもこまめに連絡をすること。
・忙しくて返事できなかったり見れなかったりするけど、それでも何してるかこまめに連絡して欲しいとのこと
・浮気はしないこと
この4つを守ってくれればいいって言ってくれてる。
勿論帰ってきてる時、仕事がない時はシルヴィを優先。一緒に連れて行くか、2人で過ごすようにしていた
「そろそろいいかな? プリシラさんお願いしてもいい?」
「はい! 綺優さんのお土産持ってきますね!」
「なんだ綺優なにか持ってきたのか?」
「何かって……え? 綾斗とユリス、いくらお礼とは言え人様の家に上がるのになんの手土産も持ってきてないの?」
2人は気まづそうにしていた。
ユリスはまだしも……いやあんた一応王族なんだからそこら辺しっかりしろよ。
特に綾斗。お前は持ってこいよ。日本社会のマナーだぞ
「あははは! 《白夜叉》はしっかりしてるのにお前らはダメだな!」
「ふ、ふん! ここは日本ではない! アスタリスクだ! 日本社会のマナーを守る必要などない」
「いやぁ、ユリス。持ってきてない俺が言うのもなんだけど、一応初対面みたいなものだし、初めてその人の家に上がるんだから、何か手土産は持参するべきだったと思うよ……どこの国云々とかじゃなくて人として……本当に自分が恥ずかしい」
まあ別に絶対じゃないしあくまでも人それぞれの価値観、偏見という名の常識ではあるからね。
俺が持ってきたのはケーキだった。ちょっと有名なチョコケーキで、ペトラさん経由で予約して貰い買った。
持つべきものは権力を持った大人だね。
これも全部シルヴィのおかげだ
「さて。ケーキでも食いながら本題に入るか」
「……本題ってなにかな?」
この時、綾斗は何か察したようだった。俺はひたすらケーキを食べてた美味しい
「私が今回に《
「なんだとッ!?」
ユリスが怒って周りの《
そのせいでケーキが少し焼けちゃったけど、美味しくなってだから許す。グッジョブ。ユリス
「おっと、落ち着けよ《
「……ふん。それでどうして綾斗がレヴォルフから狙われなければならんのだ?」
「さぁな。私が知ってるのはディルクの野郎が天霧綾斗、お前が持つ《
「それは……どうしてかな?」
「んなことは知らねぇよ。ただ……そうだな、ディルクの野郎はその《
「……っ! それは本当かい?」
「まず間違いねぇ。私が知ってるのはこれが全部だ」
ケーキが美味しくて手が止まらないのは申し訳なかったけど、話はちゃんと聞いてた。
俺が分かったのはその誰かが、綾斗のお姉さんである天霧遥さんだってこと。
俺と戦った時、《
「んじゃ借りは返したぞ。これで明日お互いに思う存分やれるな?」
明日はウルサイス姉妹と綾斗とユリスが戦う。
なので貸し借りを精算したかったらしい。
気持ちはわかる。
もうお開きにしましょうって空気になった時に、俺からプリシラさんにある提案をした
「無理ですよ! 私なんかが綺優さんに料理を教えるなんてそんな」
「そんなことない。本当にプリシラさんのご飯は美味しかった。ちゃんと教わりたいからお金も払う」
「でしたら普通に教えますのでお金は平気です!」
「プリシラさん。姉をイレーネを支えたいんでしょ?」
「おい、《白夜叉》てめぇ余計なこと言うな」
「俺にも妹がいるけど妹はやりたい事をしてる。俺が守るだけの存在じゃないんだ」
「……やりたい事を」
「姉と対等に立ちたいならディルクに作った借金、自分でも稼いでいいんじゃないか?」
「そこまでだ《白夜叉》。ディルクの野郎に作った借金はあたしが返す。プリシラは──」
「──綺優さん。私、やります。やらせてください」
「な!? おいプリシラ! お前はいいんだよ!」
「ううん。今綺優さんに言われてはっきりした。私もちゃんとお姉ちゃんの力になりたい。ただ守られるだけなのは嫌なの」
「プリシラ……」
そんな訳で俺はプリシラさんから料理を教わることにした。
少しでも早く、この姉妹が自由になれるよう願うばかりだ。
ユリスに呆れられていたけど、理由はわからない。やらない善よりもやる偽善だと俺は考えているからね
いい戦いだった。
ウルサイス姉妹VS綾斗&ユリスの戦いは見てる側としては大変楽しまさせて頂いた決闘だった。
結果から先に書くと勝ったのは綾斗とユリスの2人。
相手の《
ただ問題は綾斗の力が時間制限のある限定的なものだとバレてしまったこと。
そのことに紗夜が心配していた
「むむ。綾斗たちは次の試合から苦戦が強いられる……大丈夫か心配」
「他のペアを心配するほど余裕は……あるな」
「うん。残念ながら私たちは強い。あまりにも強すぎて余裕しかない」
「紗夜さんのおっしゃる通りです……兄さんたちは今の所全ての試合を10秒と経たず決着をつけております」
「……圧倒的だなぁ」
「けれど圧倒的と言えばあのロボット2機。あのバリアのシールドは厄介。綺優破れる?」
アルディとリムシィたちは全試合にて開幕と同時に相手に1分間何もしないからと攻めさせていた。
1分が経過した直後に勝利を収める。インパクトで言えば俺たちよりも数倍上だ。
そしてその2人を支えている、絶対防御のバリアに関して破る手段があるかどうかで言えばある
「それは頼もしい。どんな方法?」
「3つあるよ」
「おお。ぜひ聞かせて欲しい」
「1つはシンプルに超火力で正面から破るもの。
もう1つは俺が持ってる《
ただ今は俺の《
「じゃあ最後の3つめの手段は?」
「当日のお楽しみってことで」
「む。勿体ぶらずに教えてもいいはず。私たちはパートナー」
そんな訳でとりあえず教えた。
その後は綾斗とユリスの控え室へ。綺凛とクローディアも一緒だった
「とりあえず勝利おめでとう。どうよ綾斗。やっていけそう?」
「ありがとう綺優。正直しんどいかな……今ざっとユリスと話し合ってたところだよ」
「1試合だ。幸い次の試合だけ、綾斗の本来の力を使わずに勝てば何とかなる」
2人は中々にしんどい戦いになりそうだ。
1試合とは言え次の相手は界龍の実力者。今の2人じゃ無策で勝てる確率は0と言ってもいい。
その点俺は去年の《
順当にいけば準決勝のアルルカントのロボット組までは、問題なく勝ち進めると思う。
流石にあのロボット2機は強いけど、オーフェリアを相手にするよりだいぶ気が楽だ
今日も何事もなく勝てた。綾斗たちは何とかギリギリ勝てたって感じだった。
あとそう、ユリスの国の城で住み込みで働いていると言う、メイドのフローラさんがやってきた。
俺は用事があったので、綺凛と紗夜にクローディアの3人がフローラさんを連れて綾斗とユリスの所へ案内してくれた。
俺は何してたかと言うと、俺の大切なお姫様を迎えに空港へ行っていた
「──綺優! 会いたかった!」
「っと。久しぶりシルヴィ……ってほぼ毎日顔を見て通話してたからそんな感じはしないね」
「ひどっ! 2ヶ月ぶりだよ!? それにこうして綺優の温もりを感じれるんだもん! はぁぁぁ、生き返る」
「それは何よりです。ペトラさんもお疲れ様です」
「綺優さん……本当にその子をよろしくお願いします」
欧州ツアーが終わって速攻でそのまま帰ってきて、ジェットの中で着替えたらしいから、本当にペトラさんは苦労してるんだと思う。
今度クローディアが密かに愛用している胃薬をプレゼントしてあげよう。
その後、一度寮へ帰ってからご飯を食べに予約してあったシルヴィの好きなお店に来た
「ここのハンバーグ美味しくて好き」
「寿司じゃなくてよかったの?」
「うん! 寿司は綺凛ちゃんも誘っていこ」
「いいよ。また同じこと言うようだけど、あまりペトラさんに苦労をかけさせちゃダメだよ?」
「もーわかってるよ。私は早く綺優に会いたかっただけなのにさ?
それより《
「まあ今のところは、ね」
「優勝したら私に願いの権利を譲るって言ってたけど本気なの?」
お互いの手が止まる。
シルヴィには通話で話したけど、こうして面と向かって俺が《
「何を叶えるかはシルヴィの自由でいいよ」
「そういうことを言ってるんじゃないの綺優。私言ったよね? 自分の願いは自分で叶えるって」
「覚えてる。でも俺は……シルヴィのことが好きだ。
大切な彼女だし、将来結婚して奥さんになる人に喜んで欲しいし、何かを贈りたいって思った」
「……照れるからちょっと困るけど気持ちはありがとう。
でも私の叶えたいことじゃなくても、綺優が考えて選んだりまたはしてくれること……それこそ一緒にいるだけでも私は嬉しいし幸せだと思うよ」
「だから考えて選んだんだよ。シルヴィのためになること。シルヴィに最高のプレゼントをあげたい。
俺が知っている限りこの世界での最高のプレゼントは何でも叶う願いごと。これだったんだ」
最高級の枕でもいい。パジャマでも。飴玉でも。シルヴィ専用のライブ会場を作ってもいい。
それこそウルスラさんを見つけるために使っても構わない。
俺はただシルヴィにプレゼントしようと思った。
俺の本気の想いを分かってくれたシルヴィはどこか困ったように微笑んだあと、こう言ってくれた
「じゃあ綺優が優勝したらさ。アスタリスクで一緒に住むことを認めさせてもらお?」
「それは……俺としては最高だけどいいの?」
「うん。綺優と一緒に居たい。少しでも一緒にいる時間を増やしたいなって。
クインヴェールに転入して欲しいけど、流石にそれは……ね?」
「勘弁してくれ。俺も交友関係はあるし、男性が俺だけなのは肩身が狭すぎるよ」
「あはは! 冗談だよ。だから一緒に住もうよ! そしたら毎日甘えるし甘えられるよ? 私の歌も聴き放題! 最高じゃない?」
「綺凛が寂しがりそうだけどね」
「寮にも戻ってあげてそこは」
それで決まった。綺優と2人で住む日が楽しみだよって言ってくれた。
まだ優勝だとは決まってないから気は早いけど
「オーフェリアとの戦いを去年見ちゃったせいか、綺優があのロボットたちに負けるとは思えないけどなぁ」
「何があるか分からないから油断はしないつもり。
それに俺が本当に警戒してるのは別の相手だよ」
「天霧綾斗くんとユリスさん、でしょ?」
「さすが。正解」
「天霧綾斗くんも結構厳しいんじゃない? 力が封印されてないならまだしも制限時間がある状態で綺優と沙々宮さんの2人を相手にするのは」
「それこそ試合中に封印を解くきっかけを見つけるかも知れないし、なんなら綾斗の持つ《
「あ、そっか。そういうパターンもあるかもだね。
そっちのソース少し貰うね」
まだ《
全ての能力を断ち切る《
同じ《
恐ろしいよ
「あ、あとそうだ。シルヴィに言い忘れていたことがあるんだ」
「ん? ふぁに?」
「食べてからでいいよ。えっと実はさ──」
シルヴィには俺の身体にも綾斗と同じ《
しかもその《
いや今日話しておいてよかったかもだけど
「……ねぇ、そういう大事なことはもっと早く話してよ」
「いやまって。俺も本当に知ったのは最近で──」
「──最近でも電話でも何でも話せたよね? それに身体の不調はもっと早くわかってたんでしょ? 何でそれ教えてくれなかったの?」
「し、シルヴィも忙しいし変に心配かけたくないから……」
「……次はないよ綺優。ちゃんと、話して。わかった?」
「……はい。すみませんでした」
親父が昔、なんでいつものほほんとしてるお母さんに頭が上がらないのか不思議に思ってたけど少し分かった。
好きな人には剣術も男も敵わないってことだね
最後まで読んでくださりありがとうございました!
イレーネと綾斗たちの戦いを、書こうとしたのですが…正直、原作と何も変わってないや…うわこれ書いたやつ全部消さないと…はぁ…疲れた
で更新するのに遅れました泣。消化戦になったイレーネたちすまない
次はクローディアかシルヴィの日記にしようと思ってます〜。多分クローディアかなぁ…
失踪の予定はないのでご安心を(7割失踪します)!モチベが続く限りは頑張る所存です!更新は緩やかになると思いますが!
長くなりましたが次回もよろしくお願いします!