『──《
「──内なる剣を似て星牢を破獄し、我が虎威を解放す!」
綾斗を封じていた鎖が解かれていく。
それは以前の様に鎖が弾けるのではなく、縛りが緩んでいき《
それを綺優の前でやるにはあまりにも危険と言わざる得ない。
参加することが出来ない紗夜のためにも、負けられない綺優はその隙を逃さず綾斗へと迫る
「させるか! 咲き誇──」
「──《
「ちっ!! 綾斗!!」
「大丈夫!! はぁぁぁ!!」
『でましたぁぁあ! 刀藤選手の《
『刀藤選手の前で《
リースフェルト選手がこの試合で能力を使う場合、刀藤選手の放つ《
綾斗が《
準決勝の時の様とは違い、最初から本気だった
「随分と……っ! やる気なんじゃない!? 綺優!」
「任された紗夜のためにも負けられないからね」
綺優の背後に回ったユリスが能力を行使するが、左手を《煉獄》から離し振りかぶる。
その直後にユリスの作った魔法陣は霧散した
「なっ!?」
「どうした? 手刀で斬撃は飛ばせないとでも思った?」
「逆に飛ばせると思わないだろう人外が!! 腹正しい! 貴様はなんでもありか!
ええい! 綾斗その
「無茶を言わないでよ! だって常識が通用しない相手だよ!?」
「……いやあなた達、対戦相手とは言え同じ学園の仲間ですよね?」
『とても《
『あはは! 最高ッス! 普段から仲がいいのが伝わるッスね!!』
会場を笑い声が包む。本来ならば殺伐とした、そうでなくても張り詰めた空気が場を支配していた筈だ。
けれども前例に無いほど、今宵の
綾斗はユリスが自身の背後に回ったのを確認して、一度綺優から距離を取りユリスの下へと向かう。
流れを変えるためにも作戦会議を行う思惑だった
「ユリス、あの作戦で行けそう。綺優はまだ」
「俺がなに?」
「っ!!」
けれど綺優はそれを許さない。すぐに距離を詰め追随する。
数で不利を強いられる以上、2人には戦術を組み立てる隙を与えるわけにはいかない判断だ
「ぐっ……! 少しぐらい余裕持ってもいんじゃない?」
「お前ら相手に余裕なんてないよ。こっちは1人だから」
「綾斗! 私はいつでも行ける! お前のタイミングでいいぞ!」
「わかった!!」
当然綾斗とユリスは綺優が話し合う時間を与えない場合のことも考慮しており、その時のために既に試合開始の前に幾つか作戦を立てていた。その内1つ、綾斗が考案した作戦が実行される。
綺優は背後に迫る剣を《識》で感知し、振り返ることなく《
予想外のことで咄嗟に振り返ったが、そこには何もなかった。
そしてそんな隙を見逃す綾斗とユリスでは無い
「今だユリス! 天霧辰明流中伝! 九牙太刀!」
「咲き誇れ!! 《
反応が少し遅れた綺優は瞬時に現状を整理する。
ある程度の被弾を覚悟し反撃に出れば綾斗にも深手を負わせられる確率は高い。その選択をした場合、まずユリスの攻撃を避けることは不可能。
ユリスの攻撃は着弾した時の爆風により、当たりどころが悪ければ校章をやられる可能性が高い。
仮に校章を守って反撃に出たとしても、綾斗を狩切れる自信はない。
1秒にも満たない瞬時の思考。綺優が選択したのはその場から離れて、一度体勢を立て直すことだった
「させない!」
綾斗は《
「っ! 綾斗正気か!?」
「生憎と防御力には自信があってね!」
「爆ぜろ!!」
綺優と綾斗の2人にユリスの《
『おっとぉ!! リースフェルト選手の攻撃が2人に直撃!! 天霧選手を巻き込まれてしまいました!』
『必要の犠牲だと判断したんだと思うッス。刀藤選手が先ほど背後を突然振り返る動きを見せたッスけど、恐らくですが天霧選手が仕込んだ罠かと』
『ほうほう! その罠とはいったいなんでしょうか!?』
『うちにもわからないッス! あくまでも恐らくッスよ恐らく』
煙が晴れる前に綾斗は離脱してユリスの元へと下がった
「綾斗! 怪我は!?」
「大丈夫! 自分への余波は《
「綺優にぶん殴られて正解だったな」
「本当にね」
「それはそうと綺優は? 勿論これで倒せられる相手だとは思っていない」
「恐らくだけど《超速再生》を使わせるには至ってないと思う」
「……ならまだカウント3だな」
2人はこの決勝戦を制覇するため、綺優に勝つためにはどうするべきか考えに考えぬいた。
その結果2人が出した答えは、綺優に《超速再生》を3回使わせること。
綺優は現状、綾斗同様に姉の天霧遥によって能力の使用制限がかけらている状態だ。
その際に聞かされたのが、《超速再生》の1日の使用制限が2回で3回目からは縛りが強くなり、反動が出ること。
綾斗とユリスは経験上、その反動は無視できないもの、その後のパフォーマンスを大幅に落とすものだと判断し決行に至る
「げほっげほっ。酸欠で死ぬかと思ったぞユリス」
「……アレを直撃しておいて感想がそれかこの鬼が」
「当たる直前に手を振りかぶっていたけど、やっぱり間に合ってたんだね綺優」
「ギリギリな。でもちょっと火傷して腹立ってるから1発──ぶん殴る」
「ッ!!」
「させない!!」
《縮地》で距離を詰める綺優。
ユリスは突然目の前に綺優の右拳が現れ硬直。反応できずにいるユリスに代わって、綾斗が2人の間に入り《
触れるだけでダメージを負うため綺優は身体を右側に捻り、無理矢理《煉獄》を握る左腕を振り上げそれを防ぐ。
2人の攻防は既にユリスが反応できる速度を超えており、反応が遅れるだけで致命傷になりえる。
それをカバーする綾斗の役目は非常に重要だ
「綾斗! プランDだ!」
「わかった!」
「Dって……幾つまであるんだよ」
「貴様を倒すんだ。当然Zまであるぞ!」
「はぁ!? プラン26!? 嘘でしょ……」
勿論嘘である。この2人が準備してきた作戦は1つしかない。綺優相手に生半可な連携は通用せず、ましてや取れる手段も限られてくる。
あくまでもこれは綺優に少しでも隙を作らせるためのブラフに過ぎなかった
「兄さん……」
「綺凛ちゃん大丈夫。綺優は負けないよ」
「綺優は強い。パートナーだった私が保証する……と言うより、私よりも綺凛の方がよーく知っているはず。綺優が誰よりも強いことは」
「姉さん、紗夜さん……はい!」
「あら、綾斗とユリスを応援してるのは私だけのようですね」
無理もない。綺凛とシルヴィアは言わずもがな、紗夜に関しては綾斗のことが好きでも今回ばかりは綺優とタッグを組んでいるため、綺優を応援するのは当然だった。
そうなれば綾斗とユリスを応援するのは、自然とクローディアだけとなる
「うっ、私が怪我させ負っていなければ」
「そうですね……紗夜さんが試合に出ていた場合、下手をすれば決着がついていてもおかしくなかったでしょう」
「たらればを話してもしょうがないよ。それを全部ひっくるめての
「あなたがそう言うなんて意外ですシルヴィア」
「だってそうでしょ。誰にだってたらればがある。そんなの言い出したらキリがないよ。
今できること、今の自分を全て出し切って悔いを残さない。
綺優はきっとそう思って剣を振ってる」
シルヴィアの言う通りだ。
綺優は紗夜が居れば、フローラ救出の際に違う選択肢を選べば、そんな事は今考えていない。
今綺優が見据えているものはただ1つ。己の持てる全てを絞り出し、目の前にいる2人に勝つこと。
それだけだ
「すぅ……ふッ……三段突き!!」
「ぐっ!?」
「綾斗!?」
『なんとぉ!! 刀藤選手! ここでアルディ選手の防護障壁を貫いた《無明三段突き》を繰り出しました!』
『ちょっと違うッスね。あれはただの素速い三段突きッス。威力も速さも準決勝の時とは比べ物にならないッスよ』
《無明三段突き》は人に使うことを許されていない。言うまでもなく間違いなく命を奪う危険性があるからだ。
よって綺優は速度を大幅に落とし、ほぼ同時に放つ三段突きを繰り出す。殺傷力は大幅に落ちるものの、脅威であることには変わりない。
壱・弐の突きは防いだものの、参の突きを左腹部に許してしまう。
ユリスの援護は当然ながら綺優の《
しかしその一瞬を見逃さず綾斗は後退──
「するよな? させないよ」
「を読んでたよ綺優」
敢えて作った隙に綾斗がかかるのを待ちその瞬間を狙った綺優だったが、綾斗はそれすらも囮に使い攻撃に転じる。
綺優の腕を再び強く握りユリスの名を叫んだ
「行くぞ綺優!! 咲き誇れ!! 《
それは戦いの最中、ユリスが仕掛けておいた設置型の魔法。
ユリスの使う技の中でも範囲・火力ともにトップクラスを誇る。
会場に響く轟音。爆発の余波で会場が揺れる。
そして煙の中から身体をバウンドさせながら飛び出してくる綾斗。
今回の爆発は《
「綾斗!! 無事か!?」
「はぁはぁ……はぁ、なんとか。いたた、ちょっと威力強過ぎないかな」
「だがそのおかげで」
「うん。あと2回」
煙の中から綺優の姿が現れる。
しかし綺優には傷一つ見られず、さらには先ほど《
「お前たちの狙いは分かった。俺に《超速再生》を使わせることか」
「卑怯とは言わせないぞ綺優。それぐらいしか貴様を攻略する方法が思い浮かばなかった」
「まさか。卑怯とは思わないよ。嫌なら俺が被弾しない、使わないだけでいいんだから。
それよりもユリスの《
「さぁ? それを悟らせるほど甘くはないのでな」
「いいやそう言う問題じゃない。《千里眼》と《識》を併用してる状態で気づかないことなんてありえない。さっき感じた剣の気配もそう。
考えられるとしたら……綾斗、お前何かしてるだろ?」
「仮に何かしてたとしても答えるわけはないわけで」
「なら確かめないと……な!」
「ユリス!! 危ないっ!」
ユリスに斬りかかる綺優を綾斗が阻止する。
そしてその綾斗を受け流し、そのままユリスを追いかける綺優。
ここに来て綺優の撃破優先順位がユリスへと変わった。
同時にそれは綾斗たちが最も恐れていた展開だ
『リースフェルト選手を執拗に追いかける刀藤選手! そしてそれを阻止する天霧選手! 標的が変わりました!』
『まず先に天霧選手を倒してからリースフェルト選手を倒すつもりが、思い通りに行かないため、先にリースフェルト選手を倒す方向にしたッスね』
綺優は完全にユリスを標的にしており、綾斗の攻撃を受け流しては追いかけを繰り返している。
このままではユリスがやられると判断し、綾斗は再び綺優へ罠を仕掛けた。
綺優は突如背後に綾斗の気配を察知し振り返るが、綺優が想定したよりも数歩離れた距離にいた。
振り返ったことで減速したため追いついた綾斗はそのまま斬りかかる
「はぁぁぁぁ!」
「ッ……! そういうことか《識》の応用だな綾斗」
「ご名答!」
《識》。それは天霧辰明流に伝わる技術。そしてこの《識》には応用技が存在する。
同じ天霧辰明流の達人同士が対峙、そのどちらもが《識》の使い手だった時、自身の《識》を相手の《識》と同調させその知覚した領域に、自身の《剣気》で存在しない剣を作り出したり、干渉して誤認させ惑わせる技術。
──名を《幻識》
突如現れた剣の気配に卓越した剣客かつ熟練した《識》の使い手ほど惑わされる。
綺優はこの試合中、綾斗が作り出した幻の気配に翻弄されていた。
剣戟が走る。2人は止まることなく剣を交差させた
「《千里眼》と感覚を繋げてるせいでユリスの仕掛けた罠に気づけなかった訳か」
「普段から《千里眼》と《識》を併用で使ってる君はその2つがどちらも感覚的に結びつれているんだろうね! どちらかと言えば《千里眼》で得た情報を元に《識》の知覚を広げている形だろ?
今ここでその感覚を切り替えるのは難しいんじゃない?」
「正直無理だわ」
「それが聞けて安心だよ!」
「尚更ユリスを先に倒す必要がありそうだ」
「悪いけどユリスはやらせない。俺が守る」
2人の剣は更に激しさを増していく。一方でユリスは悔しさを感じていた。
分かっていたことだが、己の実力じゃ綺優には遠く及ばない。綾斗が居なければ10秒と保たず試合は終わっていただろう。
綾斗にそれを言えば「そのためのパートナーでしょ?」と返ってくるのは想像に難しくない。
だからこそ思うのだ……今この場で自分は綾斗のパートナーに相応しくないと
──ユリスはやらせない。俺が守る
その言葉がユリスの心の中で響く
(綾斗の中で私は……護るべき存在になってしまっている。対等ではない)
その事実が何よりも悔しい。綾斗の心の何処かではまだユリスのことを護るべき存在として見ている。
彼の隣に並べたつもりだったが、そんなことは無かった。
思えば今までずっと誰かに護られてばかりだった。家族に、孤児院の皆に、そして綾斗に。
今度こそ自分が護る。そう覚悟を決めアスタリスクへとやって来たのに、また護られている。
その事実がユリスに苦しさと大きな悔しさを感じさせていた
「綾斗ォォォォ!」
「綺優ゥゥゥゥ!」
オーフェリアの言葉がユリスの脳裏によぎる
『あなたには無理よユリス』
──……そうだな
『あなたじゃ何も護れない』
──本当にその通りだ。今の私には無理だろう……だがな、私はもう1人で何か護るつもりはない。そしてただ護られるつもりも毛頭ない!
確かに今のユリスは護られる存在だ。だがそれは今の話。ここに至るまでユリスが綾斗を護ることだってあった。
常に自分が護る必要も、護られる必要もない。
託し託され、信じ信じられ、苦難も喜びも痛みさえも一緒に分けあって支えていけばいい。それがパートナーということ。
なら今ユリスがすべき事は綾斗を信じ託す事だ
──思い出せ私の覚悟の原点を
「「……!!」」
綾斗と綺優が同時にユリスの方へと振り返る。
ユリスの周りに《
「綾斗!! ……お前に全てを託す」
「ユリス……わかった」
進むべき道を、魔女が照らす
ユリスの背後に浮かぶ魔法陣から炎を纏った鳳凰が顕現する
そして綾斗の元へと飛翔し包み込む。やがて1つとなり綾斗は炎を纏っていた
「これは……」
綾斗の体に出来た傷を炎が治癒していく。
そしてその炎は綾斗の持つ《
本来ならば《
《
「《
「……! ああ! 行くよ綺優!!」
「ふぅ……来い綾斗!! ユリス!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「っ……!」
綾斗の剣の押し込みが強くなる。背中から炎が吹き出しており、ブーストされている事が確認できた。
徐々に徐々に綺優は後ろへと後退をさせられ、遂には一度距離を取ることにする。
しかし綾斗の追撃が綺優を襲う
「咲き誇れ! 《
「なっ!? 反則だろ!!」
『天霧選手がリースフェルト選手の魔法を使った!?』
『これは驚きッス! 再生の炎に加速の炎だけではなく、リースフェルト選手の技すらも託されているッス!』
咄嗟に剣を振るうがその隙を綾斗は見逃さなかった
「天霧辰明流奥伝!! 修羅月!!」
「間に合えッ!!」
「はぁぁぁぁぁあ!」
炎の爆破を利用して加速し、更に全ての力を乗せた一振りは綺優を捉えステージの壁へと吹き飛ばした。
まさかの展開は会場は湧き上がる。
その瞬間を見ていたユリスは安堵の笑みを浮かべた。
だが、これで勝てるほど甘くはない。相手はあの刀藤綺優なのだから。
瓦礫を退け綺優は今の一撃によってつけられた負傷を《超速再生》する
「《超速再生》2回目……もう上限だよ。あと一回使えば君はもう動けないはず」
「……そうだな。多分動けなくなるよ。漠然と俺もそう感じてる」
「忍びないけど全力で斬らせて貰うよ綺優」
「……なあ、綾斗こんな感じだったか?」
突如、綺優の周囲に魔法陣が浮かび上がりそこから鎖が現れる。
それは綾斗を縛り付けていたときの様に綺優に巻きつき拘束していた
『どういうことでしょ!? 天霧選手の身体に巻き付いていた鎖と同じ物が刀藤選手の身体にも巻き付いております!!』
「いったい何を……まさか!!」
「──内なる剣を似て星牢を破獄し、我が虎威を解放す」
次の瞬間、会場全体が揺れる。観客席を守るための障壁にヒビが入り、綺優の足元には蜘蛛の巣の様にヒビ割れが広がった。
迸る《
「起きろ《煉獄》出番だ」
そして綺優も《煉獄》から溢れでた炎にその身を包む。
赤く黒い炎から現れた綺優の銀色の髪は伸び毛先にかけて桜色が薄くかかっており、正真正銘持ちうる全てで綺優は2人を倒そうとしている
「《縮地》──
音もなく綺優の姿が消えた。
綾斗は《識》へ最大限に意識を割き姿を捉える。すでに自身の目の前、寸前のところで綺優の剣を受け止めた。
2人の剣がぶつかった余波で再び会場が揺れる
「ッ……!! ギリっギリ」
「よく見えたな流石だよ綾斗!」
「君、反則だってよく言われない? こんなの心が折れてもおかしくないと思うんだけど」
「なに折れたの?」
「いいやまさか! その状態は俺が一番よくわかってる! もって5分! そこを耐えれば俺たちの勝ちだ」
「5分もあれば充分」
「なっ!? 手で!?」
綺優が綾斗の《
そのまま左手で握った《煉獄》を一閃し綾斗を吹き飛ばした。
そしてそれを《縮地》で追撃する
「綾斗!! 綺優が追撃してくるぞ!!」
「っ……! 咲き誇れ! 《
9つの火炎球が別々の軌道を描き綺優へ襲いかかる。
しかし綺優はそれを防ぐことも避けることもせず受けた。そして直後に《超速再生》で回復。
封印を無理矢理に解いた今の綺優に《超速再生》の制限は無くなっていた
「終わりだ綾斗!」
「咲き誇れ、《
背中に炎の翼を顕現させ吹き飛ばされて自由が効かなくなっていた体勢を立て直す。
距離をとれば戦えなくなっているユリスを先に狙う恐れがある。
よって危険を承知で剣を受け止めるしか無かった
「強いな綾斗」
「君は化け物みたいだよ! 綺優!」
「流石に傷つくんだけど」
「お得意の《超速再生》で治せばいいじゃないか! 反則だよ本当に!」
「冗談を言える余裕があるのか。すごいな」
「これはヤケクソって言うんだよバカ!!」
綺優のあまりの理不尽さに流石の綾斗も口が悪くなる。
勝ち筋が消え、今残されたのは5分間耐え切ること。
一時的とは言え《超速再生》の制限がなくなり《
「咲き誇れ!! 《
綺優の頭上に火炎の花が降り注ぐ。
限度がなくなったとは言え少しでも綺優に《超速再生》を使わせ、《
しかし思い通りにはいかない
「──煉獄」
綺優が左腕を上へ掲げると赤黒い炎が吹き出し、綾斗の攻撃をかき消した
「なっ!?」
「これが《煉獄》の能力だよ。煉獄の炎は《
遂に判明した《煉獄》の能力。その実態には会場にいた全《
──反則だろ
と
「流石に《
「1つだけ確認してもいいかな?」
「答えられることなら」
「君、オーフェリアはもっと強かったって言ってたけど本当に?」
「少なくともあの時はそう感じた」
「信じたくない、ね!!」
綾斗は力を振り絞り押し返す。
自身に残された《
最後の賭けに出ることにした
「うおぉぉぉぉぉ!」
《
後方へ炎を噴出させ全力を更に超えた限界の力を絞り出し綺優の剣を押し返そうとする──が、突然抵抗が消え、いや目の前から綺優の姿そのものが消え、離れた場所に抜刀の構えをとっていた。
尋常では無い《
「──未だ頂きには至らず。されど、この一振り最強へ届きうると証明する──抜刀《白夜》」
綾斗の視界で綺優の姿がブレると次の瞬間には目の前にまで迫っていた。
直前に綾斗は《
2人を中心にステージがひび割れ全体へと広がる。少しでも気を抜けば吹き飛ばされ、意識を持っていかれると綾斗は歯を食いしばった。
「斬り……伏せるッ!」
更に綺優の剣に力が加わる。身体の捻りを入れたことでより一層重くのしかかる。
ここまで来たら綺優が綾斗を斬り抜くか、綾斗が耐えきるかのどちらか。すでに引き返せないところまできた……そしてこの瞬間を綾斗は待っていた
「ユリスゥゥゥゥゥゥウ!」
「ああ! 合わせるぞ綾斗! 正真正銘、これが最後の攻撃だ!」
綾斗と綺優の足元に巨大な魔法陣が広がる。
ここに来て綺優はしまったと心で呟く。すでにもう抜け出せない状況にまだ来ている。
《煉獄》は今《
綾斗とユリスの声が重なる
「「咲き誇れ!! 《
──────────
まるで目の前にミサイルが落ちたかの様な爆音が会場全体を震わせ、会場の障壁が今度こそ割れ、緊急時の障壁が瞬時に展開される。
ステージは完全に崩落し全体を煙が覆った
『な、ななな! これ生きてますか!?』
『い、一応生きてはいる筈ッス……いやでも、これ無事なんスか!? 映像は完全に壊れたから煙が晴れるまで待つしか無いッス!』
「兄さん……っ!」
「綺優……お願い」
「綺優……綾斗、ユリス」
「はい私です……万が一に備えていつでも救護に行ける様に。病院にも念のため連絡を」
やがてどよめきが会場を支配し、どうなったかと誰もが慌てふためく中、機械音が冷酷にも脱落者を告げた
『天霧綾斗・校章破損』
至る所から様々な声が上がる。悲鳴、歓喜、驚愕、十人十色な声が。
やがて煙が晴れるとそこには倒れている綾斗の姿、壁に背中を預け座り込むユリスの姿、そして肩で息をしながらボロボロの体で立っている綺優の姿があった
『なんとぉぉぉぉ! 天霧選手が敗れ!! 残すはリースフェルト選手と刀藤選手の一騎打ちだ!』
『そして今刀藤選手が《超速再生》で治癒を完了したッス……これはリースフェルト選手にとってかなり厳しい展開ッス』
「はぁはぁ……はぁ……ユリスこれで終わりだ」
「ふ、ふはは。はは。全くここまで来ると笑ってしまうな。貴様は本当に理不尽な存在だ。ちくしょう」
そして遂に綺優がユリスに向かって踏み出す。この戦いの
「──く……そ……あや、とのやつ……やりやが、った」
突如、綺優の周りに魔法陣が浮かび上がり鎖が綺優を拘束し始める
「はぁはぁ……はは……天霧辰明流が1つ《識》応用、《幻識》。あゆ、感覚を、狂わせ……貰っ……」
「ああ、もう……ごめん、紗夜……シルヴィ」
『刀藤綺優・意識消失・試合終了・勝者・天霧綾斗&ユリス・アレクシア・フォン・リースフェルト』
会場を静寂が包む。そして少し遅れ熱狂が会場を襲った
『け、決着! 遂に決着! 《
「やった、のか……ほん、とうに? ……ああ、あああ……あああああ!! 綾斗!! やったぞ! あや──」
嬉しさのあまり感情が昂ってしまったユリスだがすでに限界を超えていた。
気を失いその場で倒れる。綾斗もすでに意識を手放し、勝者と敗者共に全員が気絶し倒れる光景となってしまった
《
勝者──天霧綾斗&ユリス・アレクシア・フォン・リースフェルト
これにて閉幕
最後まで読んでくださりありがとうございました!
うん!もう戦闘描写無理!!恨むなら自分の文才の無さを恨むんだな!!はははははははははは……はぁ。あと40話ぐらいで終わるかなぁ
うるさくてすみません!!
皆さん次回もよろしくお願いします!