空港で搭乗時間を待っているとリーゼルタニアの王室専用機の姿が見えた。
今回の招待は兄上の一存ではないことが分かる。先が思いやられるな。
綾斗とクローディアは《
紗夜と綺凛は《
私も綺優との戦いで《
「なんだ綺凛。飛行機が苦手なのか?」
「ユ、ユリス先輩……はい……ちょっと苦手です」
「なら少し横になるといい。ほら、膝を貸してやろう」
「で、でも」
「気にするな。ん」
「……その、ありがとうございます。お言葉に甘えます」
飛行機に慣れない綺凛を横にさせ落ち着かせた。
その際頭を撫でたが心地良さそうにしている綺凛の表情を見て、綺優の気持ちが分からなくもなかった。
なるほど。あれは確かに庇護欲が刺激される。とても普段凄まじい剣技を扱う天才少女の様には見えなかった
「……! みなさん綺優から電話が来ました。お話しを始めてもよろしいでしょうか?」
クローディアの問いに私たちは頷いた。
電話に出ると映像に映ったのは綺優1人。シルヴィアとご両親は出かけているとのこと。
世間話も程々にして本題の《
「すでに綺優と綺凛さんに紗夜さんの3名からは返事もらっております。
そして綾斗にも声をかけさせていただきましたが……ユリス。あなたが参加するならばチームに入ってくださるとのことです。
ユリス、私は元々あなたを誘うつもりでした。来年の《
「お前が私を誘うことは予想できていた。去年もそれとなくジャブを入れられていたからな」
「はい。その通りです」
「その上で、だ。質問を質問で返すようだが、答えて貰おう。なぜ《
「確かに皆さんからしたらそう見えても仕方ありません。では私が《
『──待ってクローディア。それはクローディアの弱みを1つ晒す事になる。
言い方は悪くなるけどユリスと綾斗が仲間に入る了承を得るまで、言うべきじゃない』
綺優が遮ってそう答えた。綺優の言い分ももっともだ。
だから私はひとまず納得した
「とは言えクローディア。私が勝つにはお前たちのチームに入るしかない」
「あら、そうでしょうか?」
「貴様、ふざけてるのか? もう既に綺優と綺凛に紗夜の3人でチームを組んでいるのだろう?
《
ここに綾斗が加わるとなれば理想のチームだ。
負けろと言う方が難しいだろう
「ふふ、そうですね。仰る通りです。では綺優の言う通り、私たちのチームに入って下さったら《
「だから言っておるだろう。お前のチームに入ると」
「いえ返事はまだ先でお願いします。もしかしたら心変わりするかも知れませんからね」
「はぁ……わかった」
全くだいぶまどろっこしい真似をするものだ。
そしてその後は紗夜の実家で休ませて貰っている。一泊だけさせて頂くことになった。
その際、部屋割りでクローディアに揶揄われたが……あいつはやはり一度痛い目にあうべきだ。
さて。もう寝るとしよう。明日も早いからな
昨晩、警報が鳴ったかどうやら侵入者は人ではなく動物だったようだ。
ハプニングはあったものの、予定通りフローラが迎えに着て我々はリーゼルタニアへと向かった。
その際、移動している車の中で皆にリーゼルタニアがどの様な国から説明を済ませた。
クローディアに関して言えば私より詳しい可能性もある。何せあいつは銀河の幹部の娘なのだから。
その後は目まぐるしい程に時間が過ぎて行った。
凱旋パレードだの、兄上に綾斗達の紹介、そして歓迎、帰ってきて休む時間がない。
更にはキマイラなどと言うふざけた生き物まで出てきてしまった
「綾斗これは何事だ!?」
「ごめんちょっと今は説明する余裕がない! ヨルベルトさんは!?」
「既に避難を済ませている!」
「なら後はこいつを倒すだけなんだけど……」
「あら皆さん、武器はお持ちで?」
「ふっふっふ、こんな事もあろうかと私は常に《
「さ、紗夜さんの《
「となるとユリスもダメですね。やはり綾斗か綺凛さんと私の3人でまずは外に誘導するべきかと」
「おい待てクローディア。私を
紗夜の武器はどれも火力が大きく調整が難しいが、私はその点ちゃんと範囲も火力もコントロールできる。同類に扱われるのは心外だった。
方針も決まり動き出そうとしたその時だ。キマイラがこちらに向かって腕を振りかぶる。
綾斗は徒手空拳でそれを裁きキマイラを無理矢理テラスの向こう側へと弾き出した
「よしあとは──」
「おお、流石天霧くんだ。ユリスを《
「兄上!? なぜ戻ってきた!! 早くここから逃げるんだ!!」
「もう大丈夫だよユリス。心強い助っ人が来た」
兄上が空に指を刺す。そして同時に上空から何者かが凄まじい速度で落ちてきた。
次の瞬間にはキマイラの首が刎ねられ、悲鳴を上げる間もなく、その身を高濃度で作り上げた万応素が周囲に霧散して行った。
キマイラを斬ったのはいつの間にかリーゼルタニアへと来ていた綺優だった
「綺優!! どうしてお前がここに!? 予定では明日合流だった筈だ」
「昨晩、紗夜の家に何者かが侵入したって綺凛から聞いた。だから居ても立っても居られなくて……」
「に、兄さんすみません! 私のせいで姉さんのツアー中に!!」
「いやいや待って待って! シルヴィアのツアーってことは、綺優、君たちはバンコクにいた筈だけど!? 12時間ぐらいかからない!? てか君今空から落ちてこなかった!?」
「あー、うん……えっと……よし、みんな無事で何よりだよ! 今《超速再生》使っちゃったから、ちょっと俺はもう戦えないかも。休むね?」
「話を逸らすな!!」 「話を逸らさないでよ!?」
露骨に話を逸らしたことで私と綾斗の声がハモってしまった。
クローディアに至っては何か問題を起こしてないか頭を抱えていたが……種明かしを聞くと、どうやらクインヴェールが持っているプライベートジェットを使って、急いでここまで来たようだった。
兄上曰く、既にこちらに向かっていることは知っており、今朝話した時の反応で私たちがそれを知らなかった様でサプライズとして黙っていた様だ
「待ってじゃあ肝心のペトラさんたちは?」
「……」
「う、そだよね綺優?」
「綺優、おまえまさか」
「……綺優、まさかとは思いますが。ここまで送って貰い、シルヴィアの元へ帰した……なんて言いませんよね?」
「……そのまさかです」
なんと言う男だ。そしてなんと不憫なんだろうクインヴェールの理事長であるペトラ・キヴィレフト女史は。
綺優が今からでも走っていくという無茶を止めるため、シルヴィアが月に使えるワガママの1回をこの事に使い、綺優をここまで緊急で送ったそうだ。
信じられん……こいつは妹のためにいったいどれだけの人を巻き込むんだ
「あははは! 刀藤くん流石だね! 妹のためであれば他をどんなに犠牲にしようとも駆けつける。
これは僕も見習うべきかな? ねぇ? ユリス」
「死んでもやめてくれ」
「あははは! 全くうちの妹は素直じゃないな」
兄上まで同じことを始めたら、この国は今度こそおしまいだな。
ひとまず無事……ではないものの、綺優も合流を果たした。
今更こいつの為すことに驚いていても仕方あるまい。常識が通じないやつだからな。
明日改めて今日のことで話し合うことになった。
ひとまずはもう寝てみんな英気を養うことにしよう
……書きたくなくとも書かなければな。
まず昨日の襲撃者の名はギュスターヴ・マルロー。《
全く、2日連続で騒動とは嫌になるな。
能力は名の通り魔獣を生成する力。あれほどの物をイメージするとなると無理だと思ったが、どうやら長い年月をかけることで可能としているようだった。
ひとまず話が落ち着くと、兄上に私と綾斗の3人で話したいことがあると言われ、他の者に退出してもらった。その内容は
「──天霧くん。妹と、ユリスと結婚してくれないかな?」
馬鹿げている……しかし兄上の言い分も分かる。
《
兄として妹の私の幸せを考えてくれたのだろう。
怒りをどこにぶつければいいのか分からず、私は退出した。
着いてきた綾斗に孤児院のみんなを紹介して気が紛れていたのだが……オーフェリアと再会する
「オーフェリア……言わなくとも分かるな」
「ええ、分かるわユリス。けれども私を従わせたいのなら……分かるわよね?」
「……ああ、勿論だ。今度こそその校章を打ち砕いて見せる!!」
挑んだものの……私では勝てなかった。綾斗にも加勢してもらったが敵わなかった。
《
「オーフェリア……久しぶり」
綺優の姿を見てあのオーフェリアが少し驚いていた
「綺優、あなた……随分と弱くなったみたい。別人の様だわ」
「……まぁね。今の俺じゃおまえには絶対勝てないな」
「なら大人しくやられるつもり?」
すると綺優は低く腰を落とし抜刀の構えを取った。そして綺優の周りに魔法陣が浮かび、鎖が綺優を縛る
「まさか。やるなら全力で戦う」
「それで勝てると思ってるの?」
「これが困ったことに全く。だからさ、悪いけど引いてくれないかな?」
「……ええ。そこの2人には勿論、今のあなたにも私は用がないわ。また次の機会にしましょう。それまでに早く戻ってね?」
「ご心配どーも。不甲斐ない限りですよ」
綺優は自嘲気味に笑っていた。
やはり《
その後、ギュスターヴの乱入があったものの綺優や駆けつけてくれた皆のおかげで無事切り抜けられた。
しかし気絶してしまった綾斗が心配だ。
早く目が覚めることを祈っているぞ綾斗。早く帰ってこい
最後まで読んでくださりありがとうございました。
6巻1日がなげぇ…日記と相性が悪すぎます…笑
とりあえず次回で終わらして、次々回では7巻に突入したいですね。できれば…
次回もよろしくお願いします!