数週間ほど経って、俺はミストガンに救出されて、復旧されたギルドに戻った。
その間、フィジギフの出力の調整が可能となった。某ヒーローのデクみたいに。
そして色々と考えも纏まり、やるべきことも決めた。
前線ではなく、最後尾。ギルドの守護者として生きると決めた。
ここに生きている以上、現実ではある。それでも物語の主人公は俺ではなく、フェアリーテイルのみんなだからだ。
なら、出しゃばるのは世界にとっての間違いとなる。俺はイレギュラーな存在なのだから。
そう決めた事をマカロフに話して、了承を得た。
元々、ギルド専属大工なのだから、これでいい。
これからの生き方を決めた後、これまでの出来事をまとめてみた。
ルーシィが父親に直接伝えて家を出た。ロキが精霊で、ルーシィと契約をした。
楽園の塔とやらにナツ達が行っているとのこと。
簡潔にまとめすぎたけど、大体こんなもんらしい。
そして、新しくなったギルドには改めて俺の部屋と倉庫と作業部屋が用意されていた。工具などの道具も揃っており、部屋には元々使っていた魔道具も置かれていた。とてつもなく嬉しい。心機一転、ギルドの為に頑張ろう。
奇跡が起こっている。なんとまだ壊されている物とかはないのだ。
であれば、使える資材を使い、ミラの休憩用の椅子とマスター用の椅子でも作っておこう。
ミラはいつもお酒等の配膳をこなしていたりと、忙しなく働いているので少しでもゆったりと休めるような椅子を。
マカロフにはお年寄りなこともあり、ロッキングチェアを作ろう。
裁縫もそれなりに自信があるので、クッションなんかも自作しよう。
常にギルドにいる人間はこの2人くらいだろう。
1人、クエストボードの前にいるものもいるが、魔導士である以上、仕事に行く人間だから不要だろう。
数時間ほど経って、ミラに渡すような椅子が完成に近づいた。
足元と背もたれにリクライニング機能をつけた、無重力チェアだ。
あとは、クッション性のあるシートだ。マカロフのにも必要なので、次はマカロフのロッキングチェアを作ろう。
その前にお腹が空いたので、食事にしよう。丁度お昼の時間だ。
今ある物で作る物を考えていると、ミラとマカロフが顔を出してきた。
「帰ってきて、早々作業しておるのか。」
「作業と言えば、作業ですかね?今は奇跡的に壊された物がないので、常にギルド内で働いているミラとマスターの為の椅子を作ってるところです。」
「ほぉ、ワシらの為の椅子か、どのような椅子になるのだ?」
「私も気になるな!見てもいい?」
「まだ、完成していないので、完成図で勘弁してください。ついでにご飯でも食べていきますか?これから作ろうとしていたんですけど。」
「ワシはまだ何も食っとらんから、ご相伴に預かるかの!」
「私もまだ食べてないからお願いしちゃおうかしら。」
「了解しました。あ、これが完成図です。」
そう言って完成図を渡して、質問されて答えるを繰り返しながら調理を進めた。
今回は、鶏の照り焼き。千切りキャベツとトマト、きゅうりに胡麻ドレッシングをかけたサラダ。麦を混ぜた白米。インゲン豆とじゃがいもの味噌汁だ。
こんなファンタジーな世界で和食を作れるのはありがたい。
元日本人なので、食事の時に幸福度の桁が違ってくる。
そんなこんなで食事の配膳をして、冷たい麦茶を用意して食事を始めた。
マカロフもミラも頬を緩めて美味しいと言いながら食べてくれるのは非常に嬉しいものだ。
食事も終えて、おやつを用意した。今回のおやつは茹でとうきびだ。
食べてもらっている間に、俺は洗い物をする。
全て終えて、食後のコーヒーを出して少し話をしていたのだが、ジェットが急いでこちらに来た。
どうやら、ジュビアとやらが来たみたいだ。
元ファントムロード、エレメント4の魔導士のようだ。
来た理由はフェアリーテイルに加入したいからだそうだ。
話を聞きにマカロフとミラは広場に向かっていった。
俺は別行動で椅子作りを再開した。
それから程なくして、マカロフがガジルを連れてきた。
マスター権限で加入させたみたいだ。
マカロフのことだ、見過ごせなかったのかもしれない。
他にも理由がありそうだ。
ガジルとマカロフでこそこそやり取りしているところを何度か見かけた。
そうして、また数日が経ち、ナツ達が帰ってきた。
ジュビアと再開して、ガジルが加入していることに驚き、ミラがステージで弾き語りを始めたが、喧嘩が始まり、それに応じてミラがロックを歌い始めたり、マカロフが明日は取材が来るのにって泣いていたりと。
また騒がしくなって、俺の忙しい日が始まりそうだ。
明日の取材の為にやれる限りのことを今から始めよう。
そして俺は騒がしているギルド内の物音や声をBGMにして1人で作業を始めたのだった。
そうして、翌日の早朝、取材に間に合うように建物の破損した部分の修繕を終わらせ、破壊されたテーブルと椅子を作成し、穴の空いたジャッキを直し、お皿も木の皿にして、全て終わらせた。
急ぎだったこともあり、休憩をせずに作業してやっと終わった。
日課にしていたランニングだが、樹海での修行を経て、負荷もなくやると永遠とできてしまうほど、体力も筋力もついてしまった。
だが、街中でそんな負荷をかけてやると迷惑になってしまうので、悩んでしまう。運動不足になるのは避けたい。
どうしたものかと、朝の散歩をしながら考え始めた。
思いつく考えは無く、自分の知能の低さにがっかりしながら自室に帰り、シャワーを浴びて、軽めの食事をして、ベットに横になった。
起きてからの俺がどうにかしてくれるだろうと、考えを放棄して瞼を閉じた。
主人公に対して迷走しまくりです。