グリンゴッツへの侵入実験から一週間。
グリモールド・プレイスの食堂は、作戦会議室になっていた。
大きな机。
羊皮紙。
ブラック家の系図。
レストレンジ家の財産記録。
グリンゴッツとの契約書。
ベラトリックス・ブラックが、ロドルファス・レストレンジと結婚した際の持参品一覧。
その量は、学校の課題より多い。
「何で純血家の結婚に、こんなに書類があるんだ?」
ロンが言った。
「財産が多いからよ」
ハーマイオニーが答える。
「土地、家、金、宝飾品、魔法道具、所有権、相続権」
「結婚するだけだろ」
「家同士の契約でもあるの」
「面倒だな」
「ウィーズリー家は?」
「金がないから簡単だと思う」
自分で言い、少し傷ついた顔をする。
「代わりに家族は多い」
ハリーが言う。
「金よりいい」
「急にどうした?」
「何でもない」
シリウスは、ブラック家の古い契約書を読みながら、何度も頭を掻いている。
「文字が細かい」
「以前も言っていましたね」
ハリーが言う。
「何で百年前の契約まで読む必要がある」
「過去の条項が、現在も有効かもしれないからです」
「オクタヴィウスに任せれば」
「本人が、当主も理解しろと言っています」
「雇い主は俺だぞ」
「仕事をする雇い主になってください」
「お前、俺に厳しくないか?」
「今年は働く年です」
「もう三年目は終わった」
「夏休みまでは今年度です」
「そういう数え方か?」
クリーチャーが、古い木箱を机へ置く。
「ベラトリックス・ブラック様の婚姻時に、レストレンジ家へ移された品の一覧でございます」
「ブラックではなくレストレンジだ」
シリウスが言う。
「記録上、婚姻前の名で整理されております」
「何がある?」
ハーマイオニーが羊皮紙を開く。
銀の食器。
宝石。
肖像画。
古い杖。
魔法薬の材料。
ブラック家の家紋が刻まれた箱。
呪われた首飾り。
黒魔術書。
「普通の贈り物はないの?」
ロンが尋ねる。
「銀食器が」
「人を噛まない?」
「記録にはございません」
「ブラック家基準だな」
ハリーは一覧を見る。
「これらが、レストレンジ家の金庫に?」
「一部は邸宅。一部はグリンゴッツでございます」
「区別は?」
「印がございます」
金庫。
十一点。
ブラック家由来の品。
「シリウスに、確認権は?」
「通常はない」
食堂へ入ってきたオクタヴィウス・ブレッチリーが答えた。
ブラック家の法務代理人。
相変わらず、感情の薄い顔。
「通常ではない場合は?」
ハリーが尋ねる。
「ベラトリックス・レストレンジ氏および夫ロドルファス氏は、終身刑に近い長期収監中です」
「はい」
「夫妻に子はいない。レストレンジ家の財産管理者は、ロドルファス氏の叔父に当たるカシウス・レストレンジ氏」
「協力しますか?」
「しないでしょう」
「なぜ?」
「ブラック家と財産争いを起こす理由がないからです」
「争うのではなく、確認」
「確認を認めれば、金庫内の資産状況を知られる」
「嫌がる?」
「当然です」
純血家。
財産。
秘密。
信用しない。
「ただし」
オクタヴィウスは書類を出す。
「ブラック家由来の品に、重大な呪いが確認された可能性があると主張すれば、共同調査を求めることはできます」
「嘘になる」
ハーマイオニーが言う。
「重大な呪いがある品は、本当に含まれています」
「どれ?」
「呪われた首飾り」
シリウスが一覧を指す。
「触ると?」
「七代先まで悪夢を見ると」
ロンが顔をしかめる。
「七代?」
「本当に七代続くか確認した者はいない」
「当たり前だろ」
「それが、管理不良で封印を破っている可能性を主張する」
オクタヴィウスが続ける。
「金庫内部を開け、確認する必要があると」
「カップではなく、首飾りを理由に?」
「はい」
「小鬼は?」
「金庫契約者、財産管理者、元所有家の三者が合意すれば、立会調査は可能です」
「カシウス・レストレンジを説得する必要がある」
「その通りです」
「金?」
シリウスが尋ねる。
「買収は勧めません」
「なぜ?」
「記録に残る」
「では、何を?」
「彼が恐れるもの」
オクタヴィウスは別の書類を出す。
「レストレンジ家は、戦後に複数の資産を魔法省へ申告していません」
「脱税?」
ロンが言う。
「正確には、戦時中に所有者不明となった財産の隠匿」
「犯罪?」
「立件可能です」
「脅すの?」
ハーマイオニーが険しい顔。
「交渉材料です」
「最近、そればかりね」
リータ。
未登録アニメーガス。
レストレンジ家。
資産隠匿。
「合法的な交渉です」
オクタヴィウスは平然としている。
「共同調査へ同意すれば、ブラック家は過去の資産移動について争わない」
「同意しなければ?」
「魔法省へ確認を求める」
「脅迫では?」
「権利の行使です」
「言い方だけ変えてる」
ロンが言う。
「法律とは、言い方が重要です」
オクタヴィウスは真顔で返した。
シリウスが嬉しそうにハリーを見る。
「お前と似てるな」
「僕は、ここまでではありません」
「最近、かなり近い」
「失礼です」
「どちらに?」
ハーマイオニーが尋ねる。
「両方」
合法的な経路。
共同調査。
小鬼立会い。
金庫を開ける。
問題。
カップを持ち出せない。
「調査中に、カップが分霊箱だと証明できれば?」
ハーマイオニーが言う。
「危険物として回収できない?」
「小鬼が、顧客の財産を渡すとは限らない」
ハリーが答える。
「魂の欠片が入った闇の魔法道具よ」
「小鬼から見れば、魔法使いが作った物。持ち主も魔法使い」
「でも、銀行自体が危険になる」
「金庫内に封じてあるなら、銀行は管理できていると主張する」
「その場で破壊する?」
ロンが言う。
「小鬼の許可が出れば」
「出なければ?」
「別の方法」
「妖精魔法」
シリウスが言う。
全員が黙る。
「合法的に金庫を開ける」
シリウスは続ける。
「ハリーは、その時に中の位置を正確に把握する」
「立会調査へハリーを入れられますか?」
オクタヴィウスを見る。
「難しい」
「なぜ?」
「ブラック家の財産確認に、ポッター氏が立ち会う理由がない」
「シリウスの名付け子」
「法的な関係はありますが、レストレンジ家との関係はない」
「透明マント」
ロンが言う。
ハーマイオニーが睨む。
「合法的な話をしているのに」
「途中から不法侵入を混ぜるんだろ?」
「その通りです」
ハリーが答える。
「認めないで」
「シリウスが、合法的に金庫へ入る」
「俺に確認権が出ればな」
「クリーチャーも、ブラック家の品を識別するため同行」
「小鬼が認めるか?」
「純血家の財産調査では、屋敷しもべ妖精が同行する例がある」
オクタヴィウスが言う。
「なら、クリーチャーは入れる」
「僕は、クリーチャーの魔法へ追従」
ハリーは続ける。
「透明マントの下で」
「グリンゴッツの入口から?」
「金庫が開いた瞬間」
「中へ直接?」
「ああ」
自分の金庫。
妖精魔法。
成功。
今回は。
クリーチャー。
ブラック家由来の品。
シリウスの確認権。
正規に開かれた金庫。
抵抗は、さらに弱まる可能性がある。
「入った後」
ハーマイオニーが言う。
「カップをどうする?」
「破壊する」
「その場で?」
「バジリスクの牙を持ち込む?」
ロンが尋ねる。
「危険物検査で見つかる」
「妖精魔法で牙も移動」
「小鬼に見られる」
「透明マントの下」
「カップを刺したら音が出るわ」
「分霊箱も抵抗する」
日記。
ロケット。
指輪。
髪飾り。
すべて。
破壊時に、魂の欠片が反応した。
悲鳴。
煙。
魔力。
隠し通すのは難しい。
「持ち出す方がいい」
ハリーが言う。
「どうやって?」
「妖精魔法でカップだけ移動させる」
「所有権の抵抗は?」
「物単体なら、空間の防護より弱い可能性がある」
「試せない」
「ブラック家由来の品を、一つ」
シリウスが一覧を見る。
「正当に回収する」
「それを妖精魔法で移動?」
「許可された品なら、抵抗の強さを確認できる」
ハーマイオニーは、頭を押さえた。
「合法的な調査の中で、不法侵入と窃盗の練習をするの?」
「言い方が悪い」
「事実でしょう!」
「ヴォルデモートの魂です」
「だからといって、方法が何でもいいわけではない」
「分かってる」
「本当に?」
「カップ以外は取らない」
「そういう問題では」
「なら、小鬼へ話す?」
ハリーは尋ねる。
「分霊箱。ヴォルデモート。魂。カップ。全部」
ハーマイオニーは考える。
「アメリアさんを通して、正式に危険物として差し押さえる」
「令状を出すには証拠が必要」
「ハリーの証言」
「未来の記憶は、法的な証拠にならない」
「魂の反応を、ダンブルドア先生やスネイプ先生が確認」
「金庫を開けないと確認できない」
「共同調査で開ける」
「開いた後、確認。危険物と分かれば、その場で魔法省へ」
「小鬼が拒否したら?」
「銀行内の重大な危険として交渉」
完全な合法。
時間。
交渉。
多くの関係者。
その間。
ヴォルデモートが知る可能性。
「現実的ではある」
ハリーは言った。
「でしょう?」
「でも、小鬼が金庫を閉じる可能性がある」
「閉じる前に、魔法省の封鎖命令を」
「グリンゴッツ内部で、魔法省の命令が通る?」
「……分からない」
「小鬼は魔法省の下部組織ではない」
「なら、最初から小鬼へ協力を求める」
「応じると思う?」
「説明次第よ」
「魔法使いが戦争を起こし、顧客の物を危険だから渡せと言う」
「銀行もヴォルデモートに支配されれば困るでしょう」
「小鬼は、魔法使いの支配者が誰でも同じだと思うかもしれない」
「本当に?」
「前世では、完全には協力しなかった」
グリップフック。
グリフィンドールの剣。
小鬼の所有権。
魔法使いとの価値観の違い。
「でも」
ハーマイオニーは諦めない。
「最初から騙すのではなく、交渉を試すべきよ」
正しい。
「分かった」
ハリーは答えた。
「本当に?」
「共同調査を成立させる。小鬼へ、危険な闇の魔法道具がある可能性を説明する」
「分霊箱とは?」
「最初からは言わない」
「なぜ?」
「情報が漏れる」
「小鬼を信用しない?」
「銀行として、顧客へ報告する義務があるかもしれない」
ベラトリックス。
収監中。
それでも。
代理人。
レストレンジ家。
情報が伝わる可能性。
「カップを確認した時点で、ダンブルドア先生とスネイプ先生が危険性を証明」
「それから小鬼へ破壊を求める」
「ああ」
「拒否された場合だけ?」
「妖精魔法で回収する」
ハーマイオニーは長く考えた。
「それなら」
「認める?」
「完全には」
「では」
「でも、最初から盗むよりはいい」
ロンが手を上げる。
「僕は?」
「何が?」
「同意者に入ってる」
「意見は?」
「小鬼に話して、駄目なら盗む」
「単純ですね」
「同じ結論だろ」
スネイプ。
通信鏡。
計画を説明。
『問題が多い』
「具体的には?」
『共同調査へ、ダンブルドアと私が同行する理由』
「呪いの専門家」
『小鬼側の専門家で十分だと拒否される』
「ブラック家が、独立した専門家を求める」
『ダンブルドアが独立していると思うか?』
「では先生だけ」
『私も、ヴォルデモートとの関係を疑われる』
「表向きは魔法薬と闇の魔術の専門家」
『経歴を調べれば元死喰い人だ』
「ルーピン先生」
『狼人間であることを公表する気か?』
「フリットウィック先生」
『呪文学の専門家としては適任だ』
「未来の記憶は話していません」
『分霊箱の存在を共有する必要がある』
「ダンブルドア先生から」
『また知る者が増える』
「信用できます」
『私もそう思う』
フィリウス・フリットウィック。
呪文学。
小鬼の血を引くとも言われる。
正確な家系は知らない。
ただ。
小鬼との交渉でも。
ダンブルドアより、警戒されにくい可能性がある。
『フリットウィックへ話す』
「先生が?」
『校長と私からだ』
「僕も」
『必要ない』
「カップの位置を」
『未来の情報だけ伝えろ』
「本人へ説明した方が」
『十三歳の生徒が、銀行の金庫へ不法侵入する計画まで話すのか?』
「最終手段です」
『印象は最悪だ』
「分かりました」
スネイプの判断。
正しい。
「同意は?」
『条件付きだ』
「条件は?」
『小鬼との交渉が決裂するまで、妖精魔法で金庫内へ入らない』
「交渉中に金庫が閉じられたら?」
『閉鎖を防ぐ契約を、先に結ばせる』
「小鬼が応じますか?」
『オクタヴィウスの仕事だ』
法務代理人が頷く。
「可能な条項を考えます」
『次。カップを破壊する際は、銀行外へ移送する』
「はい」
『移送先はグリモールド・プレイスではない』
「なぜ?」
『ブラック家には、すでに多くの闇の魔術品がある』
「学校?」
『論外だ』
「では?」
『魔法省の危険物処理室』
「魔法省へ話す?」
『アメリア・ボーンズ一人へ』
「協力しますか?」
『クラウチの件以降、お前の情報を無視はしない』
アメリア。
信頼できる。
組織全体ではなく。
本人だけ。
『最後』
「まだ?」
『最も重要だ』
「何です?」
『お前は、金庫内へ入らない』
ハリーは黙る。
「位置を知るのは」
『クリーチャーが探す』
「分霊箱を見分けられない」
『フリットウィックと私が外から探知する』
「金庫内の呪いが」
『クリーチャーは、人間より影響を受けにくい』
「でも」
『お前が入れば、カップが反応する』
ヴォルデモートの魂。
ハリーの中の欠片。
互いに。
感知。
『警報を鳴らす可能性が上がる』
「妖精魔法で隠せます」
『必要性がない』
「僕が」
『任せろ』
短い言葉。
スネイプ。
「先生が?」
『クリーチャー。フリットウィック。ブラック。私。必要ならダンブルドア』
「ダンブルドア先生は、小鬼と話し始めます」
『交渉役ではなく、破壊確認だ』
「僕は?」
『外で待て』
「また?」
『まただ』
「自分の分霊箱です」
『カップはお前ではない』
正しい。
『今年、お前は何度も人へ任せた。その結果、指輪もナギニも破壊できた』
「はい」
『今さら戻るな』
ハリーは。
一覧を見る。
カップ。
自分。
本体。
「分かりました」
『本当に?』
「金庫内へ入りません」
『約束?』
「約束します」
シリウスが嬉しそうに笑う。
「何です?」
「スニベラスが、お前を扱えるようになってる」
『その呼び方をやめろ!』
「聞こえてたか」
『通信鏡だぞ!』
「シリウス」
「悪い」
『謝罪が軽い』
「セブルス」
リーマスまで。
いつの間にか食堂へ入っていた。
「君も、ハリーの作戦へ参加するのか?」
『私は監視役だ』
「誰の?」
『全員だ』
「大変だね」
『原因の一人が言うな』
計画。
合法的な共同調査。
小鬼との交渉。
ブラック家由来の呪物。
レストレンジ家の資産隠匿。
カップ。
分霊箱。
拒否された場合。
妖精魔法。
ただし。
ハリーは入らない。
四年目を待つ必要はない。
夏休み中。
準備が整い次第。
レストレンジ家の金庫を開く。
「だいぶ前倒しですね」
ハーマイオニーが言う。
「前世では七年目だった」
「四年も?」
「ああ」
「その時は、追い詰められていた?」
「かなり」
「今回は?」
「準備がある」
「なら、同じ失敗はしないで」
「分かってる」
「ドラゴンを逃がさない」
「はい」
「小鬼へ服従の呪文を使わない」
「はい」
「銀行を壊さない」
「努力します」
「約束して」
「銀行の構造次第では」
「ハリー」
「壊しません」
「本当に?」
「意図的には」
「条件をつけない!」
「分かりました。壊しません」
ロンが笑う。
「グリンゴッツへ行く前から、銀行を壊さない約束をする奴も珍しいな」
「未来で壊したからよ」
「ドラゴンで」
「正確には、ドラゴンが」
「乗ってたんでしょう?」
「はい」
「同じです」
シリウスが杯を上げる。
「残り三つに」
「乾杯する話ですか?」
ハリーが尋ねる。
「五つ壊した。祝ってもいいだろ」
「まだ終わっていません」
「だから」
シリウスは言う。
「ここまでを祝う」
前世のハリーは。
終わるまで。
休まなかった。
勝つまで。
喜ばなかった。
失った者を思い続けた。
「一つずつだ」
シリウスが続ける。
「日記。ロケット。指輪。髪飾り。蛇」
「ナギニです」
「五つ」
杯。
ハーマイオニーも上げる。
ロン。
リーマス。
クリーチャー。
オクタヴィウスは仕事中なので断った。
通信鏡のスネイプは、無言。
「先生も」
ハリーが言う。
『何を?』
「杯」
『私は学校だ』
「何か飲み物を」
『仕事中だ』
「もう夜です」
『切るぞ』
「照れていますね」
『グリフィンドールから五点』
「夏休みです」
『来年度分だ』
「できるんですか?」
『今、可能にする』
通信が切れた。
「怒った?」
ロンが尋ねる。
「いつも通りです」
ハリーも杯を持つ。
中身は、クリーチャーが用意した果汁。
「五つの分霊箱へ」
「破壊した方だぞ」
シリウスが言う。
「分かっています」
「残り三つにも」
ハーマイオニーが続ける。
「そのうち一つはハリーだ」
ロンが言い、顔を曇らせる。
「分かってる」
ハリーは答えた。
「方法を見つける」
「必ず」
ハーマイオニーが言う。
「皆で」
リーマスが続ける。
「一人で死の呪文を受けに行くなよ」
シリウスが言った。
冗談ではない。
前世。
禁じられた森。
ヴォルデモート。
死の呪文。
ハリーは一人で歩いた。
今回は。
同じ方法を使わない。
「約束します」
ハリーは言った。
全員が、少し驚く。
「何です?」
「素直だな」
シリウスが言う。
「何度も言われたので」
「成長した」
「中身は」
「そこは今いい」
杯が触れる。
小さな音。
三年目。
本来なら。
シリウスの無実を知り。
ピーターを逃がし。
吸魂鬼と戦う年。
今回は。
シリウスは自由。
ピーターは収監。
ルーピンは教師を続けている。
指輪。
髪飾り。
ナギニ。
三つの分霊箱を破壊。
クラウチ・ジュニアも捕まえた。
そして。
グリンゴッツへ入る方法まで見つけた。
前倒し。
大幅な改変。
未来の知識は。
もう、道順としては役に立たない。
それでも。
目的地は変わらない。
カップ。
ハリー。
ヴォルデモート。
「次はグリンゴッツですね」
ハリーが言う。
「お前は外で待つ」
シリウスが即座に返す。
「分かっています」
「本当に?」
「約束しました」
「ならいい」
グリンゴッツ。
世界一安全な銀行。
レストレンジ家の金庫。
ヘルガ・ハッフルパフのカップ。
妖精魔法。
小鬼との交渉。
次の戦いは。
呪文より。
契約と所有権と、互いの信用を巡るものになる。
ハリーは。
少しだけ。
ヴォルデモートと戦うより面倒そうだと思った。