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孤島に建つ一軒家。同じような規模の家に小洒落たバーカウンターは欲しい。良いステレオが付いたデカいテレビや、ベッドにもなるソファも置こう。流石にこんな絶海の孤島暮らしまで真似たいとは思わないが、海沿いに一軒家を建てるか買うか。それが良いだろう。
いつか腰を落ち着けられる星を見つけられた時のこと思い浮かべながら、リューベは酒を片手にカメハウスの周りをゆっくりと歩き回っていた。
二時間ほど前にやってきたリューベが渡した部品によって、通信回路の修理が完了したスカウターを着けた女と、グラサンをかけた老人、そして小柄な豚人間の横で浮かんでいるネコのような何かが、カメハウスの窓からリューベの事を見続けていた。
「結局、何しに来たんだよあいつ?」
「さあ…部品渡して『さっさとそれ直せ』って……これで見る限りヤムチャたちは全員無事なようだし…でも肝心なことはまだ答えてくれてないし…」
「何をするでもなく、ずっとうろうろしてますよ…?」
心地よい音を立てる白い砂浜に、寄せては返すさざなみ。夕日が沈みつつある空の色も、他の星ではなかなか拝めないもの。
彼女らには普通でも、どれもリューベにとっては美しく心地良い。故郷はいつもスモッグと曇り空であるし、黄色や緑、ピンク色の変な色をした空や水の色を幾度となく見てきた彼女にとって、地球の色彩は全て美しいものだった。
「むうぅ………っ」
「亀仙人様?」
夕日の景色を肴に、どこかで買って来たらしい地球の蒸留酒を瓶から直飲みするリューベを神妙な顔で見続けるは、亀仙人こと武天老師。
一見して、彼はプーアルの声が耳に入らないほど、リューベの鍛えに鍛え抜かれた肉体に関心が行っているようであった。
だが、その目線が本当に見ている所に気付いた女「ブルマ」は、真横からツルツルの頭を引っ叩いた。
「このスケベジジイ…!」
「なあっ…!? す、すまんつい…し、しかしじゃの…」
「まあ実際スゴいけどよー……ううっ、やっぱ怖ぇかも」
際どさを強く醸し出す、黒いハイレグレオタード型のインナースーツに褐色肌。相手がサイヤ人であることを抜きにして、つい豊かなヒップを眺めてしまった二人。
彼女がサイヤ人でなければ、もっと近くでまじまじと眺めていたいものだと、二人は目で語り合っていたが、みしり、と音を立てそうな二の腕に先に怖気付いたのはウーロンだった。
「……フゥーッ………」
一部始終聴こえているが、聴こえていないふりをしていたリューベは足を止め、平和な星での何もない平和なひととき、というものの良さに溜息を吐いた。
同時に、この平穏な一時の中に何処か物足りなさを抱いている自分に苛立ち、そこから己について考え始めていた。
サイヤ人のやり方を嫌悪してきて尚、戦いを生業にして生きている。サイヤ人らしくないと言われてきたが、いざ戦いとなると無意識のうちに楽しんでしまう。先の者達に対してはどうであったか。ラディッツ如きを基準にされては困る? 何故そう考えたのだったか。
馬鹿にはできない。そう思うこと自体が馬鹿にしてしまっているのかもしれない。ラディッツ如きとは言ったが、あれでもフリーザ軍の兵士としては充分な戦闘力であるし、強豪が居さえしなければ余裕で星を制圧できる強さを持っていただろう。
サイヤ人としての自分の思考だったのかもしれない。自分とまともに打ち合える同等の強さを持った存在に飢えていた「サイヤ人のリューベ」が、そう強く思わせたのだろう。
それはまあ良いとした。しかし賞金稼ぎとしての自分は、酷く臆病で卑怯な女。腰抜けと馬鹿にしてきた者と何ら変わらない。土俵に立っているか否か。どちらも戦いを投げ出して逃げている事には変わりない。そのくせ向かってくる者は気に入っているのは一体何様のつもりか。
足先にかかる白波を見やる。ただの自然現象ですら良く思えてしまう。ほとんど沈みかけた夕日すら美しく、宵に染まっていく空もまた良い。
サイヤ人が自然の美しさに吐息を漏らすだろうか。死ぬまで戦いに明け暮れて、何処か荒れ果てた土地でくたばる運命に染まったサイヤ人には無い感性。ただ言われて漠然としていたが、サイヤ人らしくない自分とは、これなのだろうと、リューベは地球の空を見て初めて認識した。
しかし、彼女は余計に混乱してしまった。自分は最終的に何をしたいのかが、分からなくなってきたのだ。
地球を守りたいかと言われれば、まだ何とも言えなかった。しかし、見捨てたいかと言われると、非常に勿体なく思えるのだ。
だが、金にならない戦いはしたくないし、圧倒的な格上に対して向かっていくつもりもない。それでもフリーザ軍の手に落ちるのだけは絶対に嫌だと感じていたが、死への恐怖がやはり勝っていた。これだけ魅力的な星でも、リューベという女は命を掛けたくないようだった。
「………意気地なし」
その呟きの後に日が沈み切ると同時に、彼女は酒を呷り飲み干した。空になった瓶を振りながら振り向いて、薄笑いを取り繕ってカメハウスへと歩んでいく。窓から覗いてきている四人の面々にその顔を向ければ、不思議そうな顔を返してくる。
「悪いな、場所と時間を借りちまってよ」
「ほ、ほんとよ……ただお酒飲んで歩き回るだけって…かと思えばずーっと棒立ちになって……何してたのよ」
「…サイヤ人だって人間だぜ。考え事ぐらいするだろ」
カメハウスにやってきたサイヤ人が何をするかと思えば、狭い島の中での飲み歩きだったことにブルマは呆れていた。
しかし、色々と口を出すべきは亀仙人であろうと、ブルマは少しずれて亀仙人を窓の真ん中に据えたが、亀仙人が飛ばしたのはありきたりな問いだった。
「い、今更じゃが……お主はいったい何者なんじゃ? 危険な雰囲気はあまり感じられんのだがの…」
まだ興味津々そうではある面々に、リューベは正直に答えることにした。名を名乗り、職を言う。侵略などは頼まれてもやらないと強く言ったところ、ブルマは一息吐きながら頷いた。
「戦闘民族ってぐらいだから、戦えれば何でもいいのかと思ってたわ」
地球でもサイヤ人はそういう認識なのか、とリューベも微妙な顔ではあったが、ブルマに頷き返すと、ドアを開けて玄関から亀仙人が顔を出してきた。
「た、立ち話もなんじゃ……座って話をせんか?」
「お言葉に甘えるよ。気分だけは歩き疲れてるんでな」
そうして、カメハウスの中に招かれたリューベは、改めて内装に心の中で口笛を吹いてからソファにゆっくりと座り込むと、戦闘服の肩が横幅を取って中々うざったいと感じた。
「…んー、肩が邪魔よなぁ?」
「おわっ」
そう言ってリューベは、鎧を脱いでウーロンに放り投げると、彼女の肉体の実態がほとんど露わになった。
約二名は目が一瞬別の場所に行っていたが、全員を確実に驚かせたのは、その全体的な「分厚さ」だった。
女とは思えないほど肩は丸く、四肢も背中も隆々としており、胴の筋肉群も厚手らしいインナー越しに分かってしまうほどの凹凸具合を持ち、男だったならステロイドまでもブチ込んだボディビルダーのような逆三角体型であろうと思わせるほどであった。
「お、女の身体じゃないわよ…」
「これがサイヤ人の女というものなのか…!?」
「止せよ、偶々こう育っただけだぜ」
体については程々にさせて、リューベは一発手を叩いて場を仕切り直した。それでも約二名のさりげな~い視線があちこちに刺さって気になるが、コンマ1秒の「しょうがねえか」の顔と共に気にしないことにし、咳払いをして話を始めた。
「よーし、何でも聞きな…っと、アタシ個人の事に関しては名前とスリーサイズ以外は深いとこまでは言えねえから、よろしく頼むぜ」
「わ、分かったわ……でも何から聞いたらいいのかしら……」
「では早速、スリーサイズを教えてくれんか!!」
亀仙人のブッコミに、彼以外の全員がズッコケた。テーブルにスカウターごと側頭部をぶつけたリューベは「確かに聞いちゃ駄目とは言ってねえけどさぁ…!」と零してスカウターを外し、じんじんと痛む頭を擦りつつ、芯が通り過ぎているスケベ根性を見上げながら座り直した。
「じ、爺さん、あんたねえ…!!」
「ま、まあまあ、聞いちゃ駄目とは言われとらんし…せっかくじゃから、な?」
何処から引っ張り出したのか分からないサブマシンガンを突き付けてくるブルマを、冷や汗ダラダラでなだめようとする亀仙人。
リューベは中々面白い関係をしている連中だと感じながら、困惑交じりの笑いを向けた。
「ははは…きっと長生きするぜ爺さん。じゃあ長命の薬として教えてやるか。106、67、97だ」
「むほーっ…!! な、なーんと…!」
「はあっ………」
心底呆れた様子のブルマを見て、リューベは亀仙人とやらは普段からこの調子なのだろうと察した。ちらりとテレビ台を見やり、奥の方へ目を凝らすと、手前に置いた普通の映画作品を隠れ蓑に、ピンクものがしっかりと入っていた。
「……うん、長生きするのは大変結構良いことなんだけどよ、とりあえずアタシも聞いとくか……この爺さん、今何歳だ…?」
「ええっと……330歳は行ってたわよね?」
「いいーっ…!? さっ…!? 妖怪ジジイじゃねえか!!」
「ほっほっほっほ……わしはこう見えても仙人様じゃぞ…今や弟子達に抜かれはしたが、かつては武術の神とも呼ばれておったんじゃ」
「へえーっ……隠居のレジェンドってワケねえ…………いや、全然長寿の理由にはなってねえんだがよ」
再びスカウターで亀仙人の戦闘力を測る。実測値はあまり高くないが、地球人の平均的な数値から隔絶している事実は変わらない。地球人の武術の神として、誰からの文句はないだろう。
そして、クリリンやヤムチャ達が見せた数値の乱高下も考えれば、目の前のスケベジジイも同様の技術を持つに違いないと見たリューベは、亀仙人を侮ることはしなかった。
加えて「亀」に「武術の神」と来た。背中に「亀」の字を背負っていたヤムチャとクリリンが亀仙人の言う弟子達で、亀仙人が今の彼らの基礎を築いたのであろうと、リューベは心のなかで拍手を贈った。
「……なあ、ヤムチャとクリリンって、アンタの弟子か?」
「そ、そうじゃが…彼等はどうじゃった? ブルマのスカウターで見る限りは無事なんじゃろう?」
「ああ、だいぶ強かったぜ…肘入れたりで軽く痛めつけたけどよ」
「そ、そうか…修行がうまく行っとるということかのう…!」
不安げなブルマたちの方を三度見したリューベは、少し安心した様子の亀仙人と違って、だいぶ訝っている三人の様子に微妙な顔をしたが、気にしない事にして問いを待った。
そして、次に問うてきたのはブルマだった。
「ねえ、いいかしら?」
「なんだ?」
「これホントは最初に訊きたかったんだけど、ほら、このスケベジジイが出鼻をくじいたじゃない?」
「ほ、ほっとけ……!!」
「ほらね……じゃなくて。あんたが地球に来た理由を聞かせてよ。ただお酒飲んで歩くために来たんじゃないんでしょ? あたしのスカウターだって急に部品持ってきて直させたし……通信回路だけは直せてなかったから助かったけど」
「ああ、それが一番最初の質問だったら確かに良かったかもな」
そこまで気にしていないが、確かに初っ端からアレでは雰囲気ぶち壊しもいいとこである。とはいえ良くも悪くもあれで空気が解れたと思い、リューベは「まあまあまあ」と手仕草で場を静かにさせてから語った。
自身の目的、サイヤ人についての認識、そして、クリリン達が言っていた、地球にやってくるサイヤ人の二人組について。
噂程度の情報量しか持ち合わせていなかったが、彼女は「自分より強い」と断言すると、ブルマたちの顔は話の途中よりも曇った。
「あんたが仲間じゃないのは分かったけど…あ、あんたより強いなんてどんなバケモノよ? 人の姿してるの…?」
「アタシだって人の姿してるだろ……見てくれは結構気にしてるんだ、変なところから飛び火するからやめてくれ」
「そうかな〜…結構お尻がデカくていでででで!!」
「こーの雑食め……いや、人間が雑食なのは普通か」
「意味が違うと思うんだけど」
ウーロンの腕をちょいとつねって、ズレた事をつぶやきながら離したリューベは薄く笑い、話を戻して続けた。
「もしかしたら、アンタらはアタシにもそのサイヤ人と戦ってほしい…と考えたかもしれねえが、悪いが断らせてもらうぜ」
「ええっ…? ま、まだ何も言ってないのに…?」
「アタシが中立と分かって考えることくらい分かるさ。戦力は一人でも欲しい状態っぽいからな…でも、アタシ如きでどうにかなる存在なら、とっくにどうにかしてる。賞金だって懸かってる話を聞いたことがねえ。懸けてもムダだと思われるくらい強いってことだ…」
「…だからみんな修行してるんじゃない…! 少しでも勝とうと思って…!」
「…半年であれなら厳しいぞ」
「!」
リューベは、ヤムチャやクリリン、そしてピッコロの実力がどれほどなのか、あの軽い戦いである程度分かったつもりだ。
そしてその実力を決して軽んじてはいない。スカウター無しに居場所を探ったり、戦闘力を集中させて高めたりなど、宇宙でも殆ど全く見聞きしない戦闘技術は驚くべきものだ。
それを駆使して工夫すれば、確かに対抗することはできるだろう。しかし「対抗」では駄目だ。最終的に勝てなければ何の意味もない。
「少なくとも、アタシより強いやつと戦うなら…アタシより強くなきゃ無理だ……無理矢理戦闘力を跳ね上げるでもしなけりゃ…相手が相当油断してくれるアンポンタンなら良いんだがな」
「……そ…そうよ…ね…」
リューベは、何故自分が「ラディッツ如きを基準にされては困る」とあの時考えたのかに納得が行った。
そして、その理由は自分でも一度も考えたことが無く、あまりにも歪曲した考えだったことに、酷く苛立った。
殺されない程度に云々もそうだったのかもしれない。リューベは自分が、彼等が強くなってサイヤ人を潰してくれることを無意識のうちに望んでしまっていた事に気付いた。
問題を押し付けて楽してゆったりしてしまおうなど、なんと他力本願な考えか。リューベは一時顔を伏せて、顰めた顔を見られないようにした。
「…どうしたのよ?」
「…いや、何でもない。修行か…確かにそりゃ良いかもな。だが残りの半年でアタシを超えてるってのは、余程のトレーニングじゃねえと無理だな…。直接相手して、そう思ったな」
頭を振って考えをリセットしたリューベはそう言ったが、半年で戦闘力を何千も上げられるだろうか。余程のトレーニングと聞かれてもピンと来ないのが正直なところであった。そこで口を開いたのは亀仙人だった。
「しかし、おぬしという明確な強さの指標が現れたことで、明確な目標が出来た彼等は……神様にもっと苛烈な修行を頼み込んだかもしれぬ。これは、もしかするかもしれんぞ…!」
「そ、そうよ…!! ピッコロ以外、みんなラディッツの強さは話ぐらいにしか聞いてないけど、あんたの強さならその身に感じたから分かる…! どの程度強くなれば良いのか分かったなら、きっと…!」
「……」
一々感情の起伏が激しい連中だと、頬杖をつく。しかしブルマ達の一喜一憂は、彼等の身を案じつつ、期待と信頼が表れているだと見たリューベは、また何も言わなかった。
話しているうち、ウーロンがしれっと鎧をブヨブヨと伸ばして遊んでいたが、硬質に見えながらよく伸びていたその鎧に一番興味を持ったのは、やはりというべきかブルマだった。
「…ねえ、それってラディッツも着てた鎧と同じよね…ゴムで出来てるの?」
「…ん? ああ。詳しくは知らねえが『超質ラバー』って名前で通ってるな。ゴムだから斬撃にはあんましだが、打撃やエネルギー弾の衝撃にはとんでもなく強いぜ。サンプル欲しいのか?」
「いいの?」
「時間使わせてマイナスな話ばっか持ってきて、それでサヨナラってのも手心がねえもんだ。時間分の礼はしてやりてえ」
もう少し地球人達に得があってもいいだろう、と考えたリューベは自分が着ている超質ラバー製の鎧の技術を提示し、イメージは悪いだろうが同じ材質でデザインを変え、アームカバーやレガースなどにしてはどうか、と提案した。
「悪くないわね…衝撃に強くて軽くて、何よりとても良く伸びてどんな形でも被える…」
「インナーもおんなじような素材だぜ。お友達にラテックスアレルギーかゴムアレルギー居るか? …あっ?」
素材を示す為にインナーまで伸ばしたのが悪かったのか、スケベ二人の普通を装った視線が横から刺さる。今度来る時はセパレートタイプの長袖長ズボンを着てきたほうが良いかと思った。
それはそれでフェチやらなにやら。この世で一番めんどくさい存在はもしかするとスケベ野郎なのではないかとも思わされたリューベは、プーアルとブルマを少し退かした。
「目がうるさいから黙ってくれ…寿命二十年追加」
「「ぶっ!!!」」
スケベ二人の目に黙っててもらうべく、その目に映させたモノで二人をノックアウトさせたリューベに、ブルマは軽く震えた。
「な、なにやってんのよ…!!」
「ん? 目潰しかつ迷惑料。三十万くらい貰いてえところだがな〜…うひひひひ」
見事に鼻血をぶっ放して倒れた二人を見て笑うリューベに、ブルマとプーアルはただ困惑するほか無かったが、ブルマはリューベから戦闘服を手渡されると、すぐにそちらに興味を移していた。
「……スカウターの件も含めて察するに、アンタ……ブルマは科学屋か? 新素材として売り出してみりゃいいじゃねえか」
「良いわね……パパも喜ぶし、会社も潤っちゃうかも」
「…会社ねえ。何なら、それそのまま渡してやってもいいけどよ…いや、新品の方が良いか…………ふふっ」
ぶっ倒れっぱなしの二人を再び見て吹き出しかけながら、リューベはポーチから取り出したリモコンで宇宙船を呼び出した。
そして数分後、豪快な飛行音とともに飛来した宇宙船は、カメハウスの前に静かに降りて停泊し、ハッチを開けてタラップを下ろした。
「わ、わあ!!」
「すごーい! 本物の宇宙船ですよ!」
ブルマとプーアルが驚く横で、復活したウーロンが鼻にティッシュを詰めながら船を見上げる。
「結構デカイの乗ってんなぁ。賞金稼ぎってぐらいだから、やっぱ結構稼いでたのかぁ?」
「稼いじゃいたが、こいつは中古船ディーラーで売ってた非武装船を買って改造してもらったんだ……銃座は安いパルスレーザー。一番金かかったのはエンジン、あとは探知機器や居住スペースだな」
「わ、分からねえよ…!!」
「レーザー砲って…良いわね」
「かもな。まあ出番ないけどなー」
そう言ってタラップを上り、愛着のある古バケツの外板を撫でつつ中に入ったリューベは、サンプルは多い方がいいと新品の戦闘服を二つずつ抱えて出てきた。
ラディッツとの経験からあまり印象が良くないだろう、というリューベなりの配慮で、彼女が持ち出してきたのは 肩がベルト状の「ストラップ型」だった。
「一式全部持ってきたの…?」
「男用と女用を出してきた。まあほぼ男女兼用なんだが、結構同業がぶっ壊すから作成機も積んでんだよ」
「良いの? 本当に…ヤムチャ達にこれっぽいの着せたら、何か裏にいると思われて感づかれたりしない?」
「あー、そこまで頭回るヤツらじゃねえと思っとくしかねえな。まあ取っとけよ。持って帰るのが面倒くさかったら上から着てけば良い」
「そう……あんた意外と行き当たりばったりなのね」
「んーーー、そうだな。あんまり頭よくねえからな」
この地球だから適当に考えられてんだ、とも付け加えて、リューベはまたタラップを上がり始めた。
「もう行くの?」
「ああ。結構長居させてもらっちまったしな。それに………休暇取る前に結構やる事残ってたみたいだしよ。休暇はしばらくお預けかもな」
リューベは、改めて古ぼけた船体を見たことで、休暇前に済ませておくべきことが多くあった事を思い出していた。
船体だけでも全体的なメンテナンスがある。交換用部品も仕入れなければならないし、機関部のオーバーホールだってある。銃座のレーザー収束加速器は正常か、星間ガス吸入口は傷んでいないか、ラジエーターフラップの駆動部だって、細かく見てやらなければならない。
そして自分自身のことも。地球にきて、どういう訳か珍しく色々と考えさせられたリューベは、既に二十代後半に入った自分を見つめ直すべきだと感じていた。
物憂げな薄笑いとともにタラップをほとんど上りきったところで、リューベは振り向いてブルマ達に向けて声を投げ掛けた。
「ああそうだ、可能だったら、情報を持ってくるぐらいはしてやるよ。地球での半年もあるんだろう? それなら一回か二回ぐらいまた来れるかもしれねえ」
「ほ、本当に? でも、戦いたくないのにどうしてそこまでするのよ?」
「お友達への迷惑料がまだだからな」
ツケは作っても残さない主義。少しでも情報で協力させてやるくらいはしなければ彼らはボコられ損であると共に、格上と戦いたくない自分への抵抗でもあった。
「そ、それをあとから嘘だ、なんて無いわよね…!?」
「はっ、ばっかオマエ、嘘ばかし言ってたら仕事取れねえよ……」
こちとら一応信用と信頼が命の仕事をやってるんだ、と付け加えたリューベは、小さく手を振った。
「それじゃあな。アンタらも精々頑張りな…」
返答を待たずハッチが閉められ、徐行で離れていった宇宙船は海の上からあっという間に宇宙空間へ飛んでいってしまった。
「い、行っちゃったよー」
数分にも満たない出来事を見送った一同は、もう一人戦士を心に秘めていた。そして、ブルマと亀仙人は「孫悟空」のことをリューベに語っておくべきだったか否かを考えていた。
孫悟空は、ピッコロと共にラディッツを倒した地球最強の武闘家である。そしてサイヤ人でもあり、兄であるラディッツは彼の事を「カカロット」と呼んだ。
その悟空は、半年前に兄を倒すべく命を捨て、ピッコロの技によって兄弟共々葬られることになった。
しかし、あの世で修行を経て帰ってくるといった彼の為に、伝説のドラゴンボールは既に集められて隠されている。
亀仙人やブルマ達は、リューベが危険な者である事を考えて悟空やドラゴンボールの事を伏せていたが、彼女は一切話題に出さなかった。
だが亀仙人は、彼女は既にクリリン達から少しは聞いていた可能性がある、とも考えていた。
「ドラゴンボールのこと、知ってたってこと…?」
「はっきりはせんがの……まずクリリンやピッコロ達は、あのリューベがラディッツの仲間だと思って戦ったのなら、知らぬと言った彼女に白を切られたと思って話してしまった……とは考えられるじゃろう?」
「そうだけど……そんな簡単にポロッと言っちゃうかしら」
「戦っていた彼等の思考は完全には分からぬ…しかし、半年も早くサイヤ人が現れた、という強い焦りから口を滑らせやすくなっていたかもしれんぞ」
ブルマは、「半年も早くサイヤ人が現れた」ということ自体は何も間違っていないのが中々悩ましいと感じた。ラディッツの通信からドラゴンボールのことは漏れているのだろうし、確認も含めて話題に出すことは何ら不自然でもない。
「でも、ドラゴンボールのことなんて何も…知っていたなら少しは興味を見せるもんじゃない? ほら、結構お金のこと気にしてるなら、お金持ちになりたいーっとか…」
「まあ普通はそう考えるかもしれんが、知っていた上で話題に出さなんだなら……あのサイヤ人はドラゴンボールのことを気にしていないか、願わずとも今持っている金銭で済む程度の欲しか持っておらんのじゃろうなあ」
「根っからの金好きか…酒好き…? 何でも願いが叶うなら、相当な高級品とか貰いたいと思いそうなものだけど…」
「願う事の無い現実に生きてきたとも言える……実際、わしらは集めて使ってしまっておるが、実際には殆どおとぎ話じゃったからのう」
「…そうね。あたしが孫くんと一緒に旅をして揃え始めてなければ、何百年も揃わないままの伝説だった筈よね…」
懐かしい記憶に思いを馳せながらブルマ達は、悟空を生き返らせる約束となっている、半年後のその日を待っている。
ドラゴンボールもその日を待ち望むかの様に、温かな光を脈動させていた。
そして、一方のリューベはというと、僅かな時間を過ごした古巣の事をよく知る者に出会う為に、既に太陽系も遠くヘ離れ、今はどこでもない空白宙域を進んでいた。
コックピットでシートの上から手を伸ばし、通信用コンソールのテンキーを叩く。音声ケーブルをスカウターに繋ぎ、冷水を片手に応答を待つ。
「番号変えてねえよな……おっ、出た」
画面に映し出された赤い顔と、長い頭。彼の同族は何族という名前だっただろうか。フリーザ軍でもやたら多く見た顔ではあったが、苦労が滲む老け顔とその目は見間違えようがない。
「久し振りだな、リューベ。お前が連絡を寄越してくるときは大抵ろくでもない話なものだが……今度はどんな話を持ってきたんだ?」
「そう言わないでよガルツさん。どんな話でもみんな五体満足で済んでるじゃないか?」
「ハハハ…言ってろ。そのうちしっぺを食らうぞ…」
スピーカー越しでも骨に響く野太い声で朗らかに話すのは、人生の大先輩であり、かつての上司で今の戦友。
リューベは、早速彼と会う約束を取り付けようと、まくし立てるのだった。
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倍以上に膨れ上がって大変………誤字脱字、内容忘れとの戦い…
地の文とセリフの間隔などは、読みやすいでしょうか? 修正する場合、どのようにすべきでしょうか?
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読みにくい
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読みやすい
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地の文・セリフを纏める
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地の文を纏め、セリフは纏めない
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セリフを纏め、地の文はそのまま