ゴミ掃除と言ったが、ゴミを片付けるのは割と労力がいる。
まずはゴミの分別からだ。
ゴミには種類がある上にまだ使えるものが混ざっていることも多い。
何故なら『禍の団』が今回、部下、否、奴隷として連れてきているのは人間だ。
本当に奴につくつもりの奴はともかく、強制的に結ばされたり契約に縛られているものが居ない訳ではない。
知らぬ存ぜぬで押し倒すこともできるが、人間のために戦うと建前で言っている以上は救出し、恩を売って私の勢力に引き込むのが一番だ。
だが、まだ使えるかもしれないというだけで残すのは愚かな発想に過ぎん。
私の下で睨みつけてくる『禍の団』幹部である悪魔は大した脅威にもならん。
初代レヴィアタンの系譜であるカテレア・レヴィアタンは確かに血筋だけで言えば間違いなく優良物件である。
だが、それも磨かなければなまくらのままだ。
「舐めないでちょうだい!お前ごとき私の相手が務まるとでも?」
「貴様こそ人間である私の相手が務まるのか?」*1
「人間?笑わせないで、下等種族の人間が!貴様らは家畜にすぎないのよ!」
カテレアの叫びは、このわたしにとってあまりにも滑稽にしか見えなかった。
確かに美貌に関しては人間を超えるものが存在することは認めよう。それが傲慢に醜くゆがむのは多大なる損失と言わざるを得ないだろう。
そして先述した通り彼女は己の技術を磨かなかったために魔力を纏っていても統一性がなく、無駄に魔力を消耗している。
それにいくら魔力量があろうと扱いが雑では鈍器にも劣る。
現に、私に向かって馬鹿の一つ覚えのように魔力の槍を投げつけるばかり。
あの程度のものは私の鉄鎧に触れたところで傷一つ付くこともない。
情けないことこの上ないが、それが奴の限界という事だ。
「曲芸ばかりでつまらん。貴様はこれで十分だ」*2
私が懐から取り出したのは光線銃である。
見た目こそ玩具みたいなものだがその威力は…………私が悪魔博士と不本意ながら呼ばれるなら分かるだろう。
物自体が小さい故に攻撃できる範囲は小さいが、今回は無駄に奴の手駒を減らしたくないから敢えて弱い武器で戦おうというのだ。
「こ、この!私を相手にしてオモチャで戦うつもり?」
「その通りだ。玩具なら貴様も防げるだろう?」*3
馬鹿にされている事は理解しているようで顔を真っ赤にしているのが見受けられる。
だから私は躊躇いなく光線銃を放った。
「こんなっ!?あああああっ!!!???」
思った通り魔力の壁で防ごうとしたようだが、この光線銃は魔力を素通りにするエネルギーにより放たれている。
カテテレアの防壁を素通りし壁を展開するために伸ばした手に直撃、その腕は一瞬で炭化した。
ふむ、人間なら蒸発してしまうのだが片腕が炭になる程度で済んだか。
…………違う、別のエネルギーが干渉して腕だけしか攻撃が届かなかったのか。
「私の腕がっ!?ぐ、この…………!」
炭になった腕を押さえる前に彼女は懐から小瓶を取り出し一気に呷る。
何かを飲み込んだ瞬間に彼女の身体からさらなる無駄な魔力が迸り、炭化した腕が再生し始める。
そうだ、弱小グループが強気に出てきたのはオーフィスが関わっているからだ。
オーフィス、『無限の龍神』と称される強大なドラゴンでありテロリストに身を費やした、かに見せかけてその立場は相当曖昧なものだった。
テロリストに属しているのも、欲しいものがあるが手に入らず詐欺師に騙されているだけである。
人外を排斥する私からすれば確かにほぼ無限に与え続けられる力は惜しいが、必ずしも必要という訳ではない。
味方に引き入れるにしても奴の関心の薄さが尾を引くだろう。
「あは、あはははは!見たか、この力!我々に味方しているのは、あ?」
だが、その力は私がもらっておこう。
「不明な力が回りきる前に仕留めるのは当然だ」*4
「い、いつの間に、私の、後ろに…………!」
高笑いをし始めた時に転移魔法を発動、彼女の背後に転移して背中から胸を手刀で貫いた。
心臓と胃を貫くように突き出された私の手に握られているものは彼女の肉片ではない。
「オーフィスの蛇、貴様には勿体ない」*5
「ぁ、か…………かぇし…………」
ぶしゃり、と手を引き抜き血液をまき散らしながらカテレアは倒れる。
最期に私の方へ振り返り、奪われた力を求めるかのように手を伸ばしたが、その手は空を切るだけで何も手に入ることは無かった。
「この力、私が有効活用してやる」*6
この手に握られているのはオーフィスの蛇、無限の龍神の一部だ。
いったいどのような契約をしたらかの龍神にこれを下賜されるのかは分からないが、本格的に出てきたら厄介極まりない。
対策が無い訳ではないが、私の世界征服と人外排斥は大幅に遅れる事だろう。
「あとは残党の始末するだけだ」
先ほども言った通り、この程度の蝙蝠を相手にするよりも奴隷として確保されている人間をかっぱらうのが私の2つ目の目的だ。
この光線銃は魔力でできた防壁を簡単に透過できる防御無視の武器だ。自分に使われたら厄介に思うくらいの傑作として飾れるほどに。
そしてDr.ドゥームが一つの銃に一つの機能など単純な物だけを作るはずがない。
つまり、この件について奴隷として矯正契約されている人間は除外できるということだ。
光線銃を横なぎに放つだけで『禍の団』に賛同するローブで顔も隠れた没個性の魔術師達は灰となっていく。
もはた殺人に抵抗などない。既に私はカテレア・レヴィアタンを貫いた腕のように血濡れた行為ばかりやってきた。
「生き残った者は地に伏せて首を垂れろ。その場から動きさえなければ命は助かるだろう」*7
数分もかけてしまったがテロリストの殲滅はこれで終わりだ。
無駄な時間をとった。ここからが本番だ。
何せ、準備は済ませたとはいえほぼ全ての人外を敵に回すのだ。
私はDr.ドゥーム、破滅と運命を背負った名を持つ者が負けるはずがない。
活躍の場もなく瞬殺されたカテレアさんに合掌。どうせ死ぬし大した試金石にもならないので…………
あと今回出てきた光線銃はご存じ本編(宇宙忍者ゴームズの方)に出たものです。あれはガンロックじゃないとヤバそうな代物だと思い採用しました、多分これからも出ます。
感想と評価を頂けたら続くかもしれません。