──異世界トータスへ来てから十日。
カイドウが王都から姿を消した事が騒ぎになったようだが、翌日には勇者が誰かも分かった事で、指名手配犯の捜索のような大々的な捜索が行われる事もなく時は過ぎた。もしもハジメに愛子先生への伝言を頼んでいなければ、先生の性格からして大騒ぎを起こしていただろう。ハジメに感謝したカイドウであった。
厳密に言うと、龍が出たと別方面で大騒ぎとなった為、カイドウの件での騒ぎが大きくならなかったという面もある。
そんな事がありつつも、十日間訓練を積んだハジメ達は更なる研鑽のために今日も訓練に励み、カイドウも王都から離れたブルックの町での情報収集と金稼ぎ、諸々必要な物の調達を終えていた。
その内の一つ、ステータスプレートで表示されたカイドウのステータス表記がこれだ。
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青龍院カイドウ 17歳 男 レベル:???
天職:能力者
筋力:99999 獣型????? 人獣型?????
体力:99999 獣型????? 人獣型?????
耐性:99999 獣型????? 人獣型?????
敏捷:99999 獣型????? 人獣型?????
魔力:99999 獣型????? 人獣型?????
魔耐:99999 獣型????? 人獣型?????
技能:ウオウオの実 幻獣種モデル青龍[+獣型][+人獣型]・ミラミラの実・武装色の覇気[+硬化][+流桜]・見聞色の覇気[+気配探知][+未来視]・覇王色の覇気[+威圧]・全属性耐性・物理耐性・全属性適性・金棒術・縮地[+剛縮地]・体術・金剛身体・タフネス・魔力操作・魔力探知・言語理解
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受け取ってすぐは、当然この世界の平均的数値など知らないカイドウだったが、これは誰がどう見ても規格外だと答えるだろう。それはすぐに分かった為、隠蔽の方法を探り出し、隠蔽したまま使っている。こんなステータスだとバレたら、折角抜け出してきた勇者パーティに戻れと追い掛け回されること間違いなし。
(蹴散らすのは簡単だが……毎度そんな事してたら面倒だ……。なんせ、今おれが興味あるのは大迷宮だからなァ)
冒険者ギルドで入手したトータスの世界地図によると、【ブルックの町】から南下すると【ライセン大峡谷】という東西に続く長い峡谷が存在し、そこには七大迷宮のうちの一つがあるかもしれない、という噂が立っていた。
その他にも【グリューエン大火山】【オルクス大迷宮】【ハルツィナ樹海】の三つが大迷宮である事が確定しており、【シュネー雪原】もそうではないかと言われている。
(シュネー雪原やグリューエンはここからだと距離がある……。オルクスは入り口が王都から近ェ。つまり、見つかる可能性がある。……樹海とどっちにするかだが、町からはライセンの方が近ェからな………)
カイドウ距離や立地などから、色々と考えた上でライセン大峡谷の探索から始めることにし、町から離れた所で龍化した後、【ライセン大峡谷】へ向けて進んでいくのだった。
「─────よし!ここらが丁度良いな」
青龍の姿で空を飛び、【ライセン大峡谷】の最西端に辿り着いたカイドウは、龍化を解いて着地する。
──ドォンッ!!
「……思ったより乾燥してるな。まぁ、砂漠と繋がってんだから当たり前か…」
峡谷に降り立ったカイドウは一言零した後、金棒を大きめの手鏡の中から取り出して肩に担ぎ、周囲を見渡した。
ここから先は、魔物も多数出現するこの世界では危険地帯とされている場所だ。故に、いつでも戦闘ができるように金棒を手にしたまま、両サイドの岸壁を探索していく。
「入り口があるとすりゃァ、間違いなくサイドの岸壁か。……或いは、洞穴のような所の中にあるのか。どちらにしろ虱潰しに行くしかねぇな……」
そうして岸壁を調べながら歩いて進む事、数十分──。
カイドウが峡谷入りしてから、遂に初めての魔物と出くわしていた。
「ヴゥウゥゥゥゥ────!!!」
「………凶暴って事で有名か…。ハァ──、まァいい。結果は見えてるが、試し打ちだ!いくぞ……!!」
カイドウの腕を伝って、金棒に武装色の覇気を纏っていき、紫の雷の如き覇気を発する金棒を後ろに引いて構える。
そして、勢いよく前方へと振り抜いた。
「“
「!!?」
その金棒が直撃した魔物は顔から潰れていき、断末魔を上げる間もなくグチャッ!と醜い肉塊となって弾け飛ぶ。
そして振り抜かれた一撃の衝撃波がカイドウより前方向に走り、周囲の魔物たちも纏めて吹き飛ばしてしまう。
「ヴゥッ!!!」
「グルゥアッ!!!」
「……つまらねぇな。今のおれに一番必要なのは、戦闘経験値……。とはいえ、こんな連中じゃ一撃も保たねぇ。…………早く強者に出会いてぇな」
飛ばされた魔物達が岸壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなったのを見て、退屈そうな顔をするカイドウ。異世界に来て要約思う存分戦えると思っていたところに、出てきたのは弱すぎる魔物ばかり。よって、カイドウの興味と関心は“大迷宮”と存在するであろう“神”のみであった。
それから更に時が過ぎ、カイドウが峡谷に入って四日、トータスの来てからは二週間が経過した。
ハジメ達が訓練を終えて【オルクス大迷宮】の探索に乗り出そうとしている頃、カイドウもまた大迷宮への入り口を見つけていた。
“──おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪”
壁を直接削って作られたであろう見事な装飾の看板があり、それに反した妙に丸っこい文字がその雰囲気を台無しにしている。
そして更に、それを見ているカイドウの背後には、魔物の死体が散乱している事も、雰囲気を台無しにしている原因となっている。というのも、この大峡谷の魔物はどれだけ潰しても向かってくる為、キリがない。
よって、始めの頃の戦闘から後は覇王色で威圧して気絶させていたが、ここで看板らしき物を見つけた為、二度と立ち上がってこないように殺したのだ。
「ようこそ…ってことはやっぱここか。だが、ここには何もねぇ……。とすると───」
ガコンッ!
「やっぱりこういう感じか…!ウォロロロ、面白ェ!!」
入り口である事はほぼ間違いないが、扉のような物もなかった事から壁に何かがあるだろうと、カイドウが右手で壁に触れた瞬間、壁が一回転して中へと引き込まれる。
不意の出来事でも自然体で入った瞬間、未来視で飛んでくる矢が刺さる未来を見た為、暗闇の中余裕をもって第一矢を躱す。その後に、ヒュヒュヒュ!と続いてくる無数の矢を、あえて受けた。
「……フン、威力が全然足りねぇな」
飛んできた矢は全部で二十本。その内躱した一本を除いた十九本をその身で受けたカイドウだが、一本も突き刺さったりする事はなく、血も出ない程の掠り傷程度だった。
流石に原作カイドウ程の肉体には未だ至っていないが、それでも鉄くらいの硬度はある。それでも並び立てない原作カイドウが異常なだけで、今のカイドウも人の領域を超えている事に変わりはなく、矢を弾いたその肉体には一本も突き刺さったていない。
つまりダメージが殆ど無いということであり、これにはカイドウも鼻を鳴らしている。勿論、普通の人間が受けたら全身串刺しで死んでいるが。
そんな矢が全て砕けて床に落下、落下音が響いた後すぐに静寂を取り戻す。と、同時に壁が光り出して周囲を照らし出す。
カイドウの今いる場所は四方十メートル程の部屋であり、奥には通路が続いていたが、問題はそこではない。部屋の中央にある石板が問題だった。
“ビビった?ねぇ、ビビっちゃった?ちびってたりして。ニヤニヤ”
“それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ”
「………これはウザいな、挑発か。──ウォロロロ」
明らかに相手を煽っているような文章。面白がっている部分もあるかもしれないが、挑発の意味も多分に含まれているだろう。その事を一瞬で理解したカイドウは、イラッとしながらも挑発自体を愉しむかのように笑みを浮かべ、キレることなく冷静さを保つ。そして、迷宮攻略中は確認出来るかも分からない為、ハジメの無事を確認する。
「──っと、一応確認しておくか。……消えてってもねぇし、大丈夫だな!!」
ビブルカードが消えていっていないことを確認し、鏡の中に戻してから、気を取り直して迷宮の奥を見据える。
「ここは楽しめると良いな……。それに、仲間も集めていかねぇとな。最強の軍団を築き上げる為によ!!ウォロロロォ──!!!」
大迷宮攻略の第一歩。外の魔物相手には落胆していたが故に、期待していた大迷宮。一つ目の罠は良いとは言えなかったが、挑発は面白いと感じたカイドウはその期待を胸に攻略を開始する。
──ガコンッ!
入り口から続く廊下に足を踏み入れ、カイドウが前方に向けて歩みを進めていると、足元のブロックを踏み抜く。明らかなトラップであり、この世界の人間には罠感知等の魔法を使える者もいるのだが、カイドウにはそんな力はない。
よって、こういった罠には全て引っ掛かかってしまう可能性は充分にある。これは、未来視を使えば簡単に解決出来てしまうが、これから先の大迷宮がどれだけ続いているのかが分からない。その為、覇気を消耗しすぎる訳にもいかず、通常の気配探知の状態でしか使用していない。その上、肝心のカイドウ自身が然程気にしていないのもある。
そんな訳で、今回も罠に掛かったカイドウの両サイドからチェーンソーが現れ、カイドウを切断しようと迫ってくる。
「……うっ…!」
迫る刃を両腕の前腕部分で受け止めるカイドウ。武装硬化もしていない状態で受け止めた為、刃が肉に食い込んでいき血が流れ出す。
しかしその刃は、皮を破った先の筋肉で完全に止まり、チェーンソーの刃の方が欠けていく。
「───オラァッ!!!」
「───!!!」
それ以上は何もないと判断したカイドウは、受け止めていた両腕を両サイドの斜め下に振り払う。
すると、刃がボロボロになっていたチェーンソーは呆気なく砕け散り、周囲にキラキラとした破片が舞い、落下していく。
「ウォロロロロ」
(さっきから罠ばっかってことァ、そういう迷宮ってことか。……血を流すのも久しぶりだ!)
そんな中、自分の腕に傷を付けたこの迷宮の罠に大して面白そうな笑みを浮かべるカイドウ。今のカイドウは、期待に応えてくれそうだと分かった迷宮の罠の数々にワクワクし始めているのだった。
──ライセン大迷宮攻略開始から数日。
度々罠に引っ掛かりながらも攻略していたカイドウは、この大迷宮のルールを解き明かしていた。
まず一つ目、魔法が一切発動出来ない。
これが分かったのは、食事をする際に水や火を魔法で出そうとしたのだが、一切使えなかった。だが、これに関しては、カイドウなら問題ない。
“
二つ目、外への途中離脱が出来ない。
迷宮内部は入り組んでおり、入り口に戻される事もあったのだが、入り口が完全に閉じており出られないようになっていた。
その上、“鏡世界”を使って出ようとしても、鏡世界内の鏡が極端に少なく外に繋がる鏡が一つもない。恐らく大迷宮そのものが外部の空間と断絶されており、繋げられないのだろう。
そして、壁を壊してもすぐさま再生していく。これは再生が追いつかない程の大規模な破壊をすれば、出られそうだが。
「ウォロロロ──まだまだ楽しませてくれそうじゃねぇか」
寝食をする際は“鏡世界”に入って取っている。迷宮内には鏡に出来る物がない為、水貝を使用して水溜まりを作り、それを出口として使っている。それ以外の時は、歩いて攻略を進めていく。この間、ハジメのビブルカードが少しずつ消えていっている。しかし、失くさないよう“鏡世界”の中に更に箱に入れて保管しており、入る時に見て大丈夫だったから大丈夫だろうと思っているカイドウは確認していないので気付いていない。
そんな感じで攻略をしていたカイドウは、長方形型の奥行きがある大きな部屋にいた。その部屋は、壁の両サイドには無数の窪みがあり、騎士甲冑を纏って大剣と盾を装備したカイドウ程の身長のある像が並び立っている。
部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と、奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のような物が設置されている。
「……奥の扉は怪しいな。とはいえ、タダで通しゃしねェだろう。また何かあるな…………」
部屋へと入ったカイドウが周りを見ながら部屋の中央まで行くと、ガコンッ!と、この迷宮お馴染みの音がなり、周りの騎士甲冑の眼がギラリと光り輝く。
そして、ガシャガシャと音を立てながら窪みから抜け出してくる。その総数は五十体は存在し、盾を構えて大剣の先をカイドウに向けて襲い掛かってくる。
「──面白ェ。人形風情がこのおれと戦ろうってのか!!身の程を知れェ───!!!」
カイドウを包囲する様に陣を作るゴーレム騎士達。それを見たカイドウは、自分の前方に構えていた騎士に一直線に近づき、頭上に構えた右腕の金棒を振り降ろす。
「!!!」
金棒が直撃し、地面に叩きつけられたゴーレム騎士は一撃でバラバラになり、頭と胴体部分に至っては原型をとどめてすらいない。
「ふざけやがって!こんな退屈な人形相手に、遊びてェ訳じゃねェんだよ!!!」
「!!!」
人形如きをけしかけた相手に怒るカイドウは、金棒を振り降ろした態勢から、更に左横に金棒を振り払いながら騎士達の方へ踏み込んで行く。
その二段攻撃によって、凡そ半分近い数のゴーレム騎士が砕け、その破片である甲冑の手足の部分が地面に転がった。
「全部纏めてかかってこい!!粉々にぶっ潰してやるからよォ──!!!」
カイドウの咆哮と共に、バリバリバリィ!!と迸る覇王色の覇気。生物ではないゴーレム騎士達が気絶する事はないが、少々腕に覚えのある程度の者ならば一瞬で気絶する程の威圧。
そして、ゴーレム騎士達に飛び掛かろうとしたカイドウは、視界に入った光景を見て、動きを止める。
「──!………再生か…。だったからどうしたって話だがなァ───!!」
砕いても再生するなら、全部倒していっても奥の扉を開けるために解く必要がある鍵に集中が出来ない。片っ端から再生されて、妨害され続けるからだ。それを防ぐには、一撃で再生に時間がかかるほど消し飛ばさなければならない。
「クソが!!お前ら如きに、手古摺らされるとは──。これも……能力は使いようって事か。これはこの迷宮の作成者が上手かったって事にしてやるから…安心して消えろォ───!!!」
「オラオラオラァ──ッ!!!!」
「!!!!」
右手に握った金棒を右と左に二振り。その衝撃による風を受けて吹き飛ぶゴーレム騎士達に、気合の声と共についげきをかけ、一体ずつ確実に粉砕していく。
高速で移動しながら次々にゴーレムを砕いていったカイドウは、最後の一体を頭上から振り降ろした一撃で沈める。
「やっぱり開かねェな。鍵……となりゃァ、あれか」
扉の前に立ち、扉へと手を置いたカイドウの予想通りに、扉は開かない。となれば、祭壇に置かれている水晶を手に取り、扉にある三つの窪みに合う物を作り始める。
“とっけるかなぁ〜、とっけるかなぁ〜”
“早くしないと死んじゃうよぉ〜”
“まぁ、解けなくても仕方ないよぉ!私と違って君は凡人なんだから!”
“大丈夫!頭が悪くても生きて……いけないねぇ!ざんねぇ〜ん!プギャー!”
「くそっ!おれはこういう面倒なのは、嫌いだってのに!」
毎度の如くある挑発文に少しイラッとしつつ、細かい作業に愚痴を零す。しかし、嫌いではあっても苦手ではないカイドウは、五分程で解いてみせた。
「!ウォロロロ!開いた!!」
開いていく扉を抜けて次の部屋に入ったカイドウは、邪魔な騎士が入って来ないように扉を閉める。そして前を向いたカイドウの視界には、何もない光景が広がっていた。
「あぁ?まさか何もねェのか!?」
ガコン!
その光景には流石のカイドウも驚いていると、馴染みになった仕掛けの作動音が鳴り、部屋全体がガタンッ!と揺れる。未来視を発動させたカイドウは、部屋が動き出すのを事前に察し、跳躍して一発目を回避する。それからカイドウは、そのまま焔雲を生み出して体を宙に浮かせ、部屋の移動が収まるまでじっと待つ。
やがて部屋の揺れが収まり、地面に降り立ったカイドウが扉を開けて外に出ると、数日前に見た光景が広がっていた。
“ねぇ、今、どんな気持ち?”
“苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点だと知ったときって、どんな気持ち?”
“ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ”
「………」
最早見飽きた石板も存在し、その内容によってこの場が何処かを完全に理解したカイドウは、無言で額に青筋を立てる。
“あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します”
“いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです”
“嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!”
“ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です”
“ひょっとして作っちゃった?苦労しちゃった?残念!プギャァー”
「……ふざけんなァ!このくそ迷宮がァ───!!」
数日掛けて攻略した結果が、最初の部屋。この事実とミレディの挑発文には、数日冷静さを保っていたカイドウも遂に激昂し、周りの迷宮の壁を激しく揺らすのだった。
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オリ主カイドウが築く百獣界賊団について。界賊団の構成員は、どちらがいいですか?
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カイドウ以外全員が女性のハーレム界賊団。
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ハーレムだが、男性も加えた界賊団。