※原作ストーリー前の時代の設定を改編しています
※魔法の設定は原作を遵守しますが、独自解釈・設定が入る部分もあります
アジア大陸を2つに分断した内戦はある日を境に終焉を迎えた
2063年2月
━━この無能どもが……何十年わたしが大漢に貢献してきたと思っているんだ
この男の名はジード・ヘイグ、またの名を「
顧傑は徐々に
死体傀儡という極めて趣味の悪い魔法は数ある悪辣な古式魔法の中でも受け入れられるモノではなく、優秀な魔法師であるものの大漢は彼にとっての居場所ではなくなっていった。
大亜細亜連合に今さら鞍替えする訳にはいかなく、弟子と研究成果をUSNAに移動するための最終段階に入っている。
そして崑崙方院へ
研究所の協力者の手を借り、まるで屍のようにピクリとも動かない少女がいる独房に入りこみ、彼女の生殖細胞の奪取に成功した。
無論、証拠を残さぬよう映像記録や協力者の処分も怠ることはしない。
その後、顧傑が幸運だったのはこの簒奪が誰かに発覚する前にすぐUSNAの拠点に保管するいう冷静な判断が彼の中にあったことだ。
顧傑がUSNAに戻った1週間後、突如として大漢の魔法研究所で大規模な火災が発生し、研究職員や警備に当たっていた軍人含めて全員焼死したという事故を顧傑独自の情報網で知ることになった。
それから数日後、大漢の基地や軍政府関係機関が内部で発生した殺し合いや建物に戦闘機が突っ込んでいく原因不明の事故により、一夜にして壊滅したという報告を受ける。
もうそのときには何者かが大漢を襲撃していることを顧傑は確信していた。
大漢と敵対する一大勢力の大亜連合の仕業としか考えられない……
しかし、お互いの力が拮抗しているから、不毛な内部抗争が現在も続いていたはずだ
この短期間でこうも大漢が追い詰められる原因が分からない──
もう1週間経った頃にはそんなことすら考えられないほど、彼はおびえていた。
現在も元同胞が正体不明のナニかによって一方的に虐殺されているという事実は、彼の頭からつま先に至るまで恐怖と表現するには生ぬるい感情を与えるのには十分だった。
USNAで心機一転、大漢を超える研究成果を生み出し祖国を見返すといった淡い夢は、見えない死神の刃がその首に迫らないことを願う祈りへと変わる。それから毎夜の如く悪夢を見つづけ、ろくに外出すらできない生活に追い込まれていた。
彼がそんな日々から解放されたのは国家として存続不可能なほどに追い詰めれたあげく、内部崩壊した大漢が大亜連合に吸収された1年半後のことだった。
大漢の魔法研究所の要であった崑崙方院本部が壊滅し、4000人を超える大漢の人間が消えてしまったことは1年も前から知っていたが、その情報は彼をさらなる絶望へと追い込んだ。
そして、この地獄のような惨劇を生み出した暗殺者が軍や国際テロ組織などではなく、「四葉」の魔法師であったことが判明する。
大漢崩壊の原因が誘拐された一人の小娘の敵討だったことに驚愕し、顧傑自身の工作によって奇跡的に魔の手が及ばなかったことに安堵していた。
その安堵がどす黒い憤怒へと変わるまでそう時間はかからなかった。
矮小な一族ごときに消えない恐怖でその身を炙り続けられたという屈辱が彼の精神を蝕んでいく。
目にもの見せてやる…「四葉」──
敵討ちとも呼べない復讐心を滅亡した祖国から日本へと向けるには、彼にとって十分な動機だった。
ーーーーそれから15年近い月日が流れるーーーー
顧傑はまず人員を補充するところから始めた。
そして、反魔法主義団体「ブランシュ」を設立する。
顧傑お得意の不老長寿の魔法や非合法活動、薬物が生み出す資金源を元に、彼の組織はUSNAの政治家、企業などの懐へ入り込み、裏社会で拡大していった。
ブランシュはUSNA国内にとどまらず、中華系のネットワークを通じて、その根は少しずつ大亜連合まで伸びていく。
復讐への準備は着々と進められていた。
順調に事が進んでいるように思われたが、ある出来事によって、またも苦境に立たされる。
重要な案件を任せてた弟子の一人が突然死してしまった。
その原因は顧傑の不老長寿の魔法の副作用によるもの。不完全なその術は見せかけの不老にすぎなかった。大漢で実験を何度も繰り返したが、魔法適正のない者は若さを保ったまま、半年も経たずに亡くなってしまった。
顧傑と同じように施術した9人の弟子もその時を止めたままだったが、次々と寿命が尽きたように斃れていく。
こうして残った弟子はたった2人になってしまった。
しかし、顧傑の焦りはそれほどなかった。
組織の拡大を進めながらも、自身の魔法の研鑽も怠ってはいない。
生きた魔法師の意思を消し去り兵器として活用する「ジェネレーター」
人間を魔法的な部品として作り変える「ソーサリーブースター」
死体を意のままに操る「
強力な古式魔法を発動させるための媒体を作成する技術
USNAへの移住は顧傑の魔法技能を飛躍的に向上させる意味で成功だった。
しかし、不老長寿の魔法を完成させることは困難を極めた。
顧傑としても失敗の原因を理解していた。
間違いなく、この世界に働く「修正力」が生命への干渉を邪魔している──と。
通常、魔法は情報体(エイドス)を書き換えることによって、その情報体の対象である物体や空間に影響を及ぼす。
簡単に言えば、「燃える」と書かれた紙を燃やしたい物体に貼り付けることで、魔法は発動する。
しかし、発火の要因のないところから「燃える」という事象変化が物理的におかしい作用であるという世界のルールによって「修正力」が働くことで、改変されたエイドスは元に戻り、「燃える」という事象は永続できなくなる。
「燃える」という事象は消えるが、物が燃えたという影響は消えない。
顧傑の魔法で外面の肉体的な変化を停止させるが、全ての生物に定められている「終わり」にむかう肉体内部の変化までは簡単に止められなかった。
生命活動を続けながら、肉体の老化を止めるという絶対の矛盾を突破しようとする顧傑の魔法を修正力が阻む結果となる。
肉体の老化も魔法を使用し続けなければ、止まることはない。
様々なアプローチで究極の魔法に挑んだが、彼もこの頃には諦めの感情が大半を占めていた。
――――――――――――――――――
生き残りの弟子のうちの1人、「
しかし、外見だけは若くとも、彼の身体は支障をきたしていた。車椅子や何かの補助がなければ、動くことのできない身体になってしまっている。
彼は大漢にいた頃、ドイツのローゼン・マギクラフトによって製造された世界初の調整体魔法師「ブルク・フォルゲ」のような肉体強度が極めて高い個体を生み出す研究を行っていた。
USNAに移った後も、戦闘用魔法師や「ジェネレーター」の素体となる調整体を造り続けているが、顧傑の指示によって特殊な調整体も製造している。
それは顧傑の血をひく調整体──。
戦闘用ではなく魔法実験のためだけに造られる。
不老長寿などの危険な実験の全てを、自身の身体で行うわけにはいかない。そこで顧傑と同じ魔法特性をもつ調整体を代わりとして使うことに決めた。
組織の資金力で母胎となる優秀な魔法師を集め、顧傑の死体傀儡に適正のある調整体を生み出すことにも成功した。設備上の問題でそれほど多くは造れなかったが、実験を実行するために不可欠な存在であった。
当たり前だが、顧傑にとって彼らは人ではなく、モルモットでしかない。
とある日のこと、ついに顧傑は忌々しい四葉の血を使った調整体を製造する決断を下す。
今までの調整体製造はこの調整体のためのならしでもあった。
「計画は順調か?」
「えぇ、滞りなく。間違いなく強力な魔法師が誕生することでしょう」
顧傑は密かに期待していた。「触れられざる者」と呼ばれる彼らの血と世界最高峰の古式魔法を扱う自分の血が組み合わさることで誕生する
悪意と醜い復讐心の道具として望まれた「彼」がこの世に生誕したのは、
顧傑の流れが原作と違います。顧傑って、2年生編のラスボスですが、四葉との因縁が弱すぎませんか?原作でも見当違い恨みのように言われていたので。よって、少し改編して因縁をもう少しトッピングしました。