なにをしていたかと言えば開発終了が発表されたオバホをやってました
その後、NCまで追加しまして
なんの話ってみんな大好きelonaですよ
「ではまずは、こちらを受け取ってほしい」
と、ヒースクリフがなにやら分厚い本を取り出して配る。どうやら人数分あるようで、一人一冊手渡された。
「なにこれ?」
モンスターの皮素材で装丁された本の表紙を確認してみると『完全版アインクラッド観光ガイドブック~五層まで~』と書いてあった。
「……なにこれ?」
「見ての通りガイドブックだ」
「五層まででこの分厚さ」
百層まで見て回る間に、寿命が尽きちまうよ。
いったいどんだけこの世界にあれこれと詰め込んでいるんだか。
ぺらぺらと数ページめくってみるが、挿絵付きでものすごくキチンと作られていた。
「おお! すごいすごい!」
「ね。こんなものがあったんだ」
同じようにガイドブックを読んではしゃいでいるラン達。あまりリアルを詮索するべきではないが、中身は子供であるような印象を受ける。
「いや、こんなアイテムなかったって」
ミトがツッコミを入れる。
彼女の言う通り、ゲーム内には公式、プレイヤーメイド問わずにこんなものはなかった。
近しいものであれば、情報屋を名乗っているアルゴなるプレイヤーが新聞を作ったりしているが、それもこういう本ではない。
「手間かけてんなぁ」
「無論全て私が作ったわけではないがね」
「なるほど。それでも大変だったでしょうに、ありがとうございます」
となると大部分はカデ子製かな。こういう感じに内容をまとめてくれ、と依頼すれば、ゲーム内の仕様くらいはすぐ文章にできるだろう。
しかしそれをゲーム内アイテムとして加工するのはまた別の話だ。
それに内容の確認も必要だろうし。
「気にすることはないよ。私が好きでやっているからね。さて、それでは案内を始めるとしよう」
そう言うと、ヒースクリフはガイドとして先頭を歩き出す。
「待ち合わせ場所にも指定したこの場所は、皆も知っての通りのスポーンポイントだ。すべてのプレイヤーが、必ず初めにこの場所に現れる。すなわちこの場所は、他のあらゆるものと異なり、すべてのプレイヤーが必ず目にする光景だ」
なるほど。確かにその通りだ。
ソードアート・オンラインでは、どんな遊び方をするプレイヤーであれ、初めてこの世界を訪れるときはこの場所だ。
「なのでこの場所の外観は、シンプルに、かつここがどういう世界であるのかを一目でわかるように作ってある。これは他の層でも同じで、上層に続く階段を登ってすぐの光景は、その層の特色をわかりやすくまとめたものになっている」
余計なことまでしゃべり始めたら止めないといけないな。
■◆■
「てやぁ──っ!」
荒れ狂うアスナによって、大量の雑魚モンスターと、フィールドボスがあっという間に蹴散らされる。
「どしたどした。そんな暴れて」
「わかんないけど、こいつらは始末しなきゃいけないと本能が言ってたの」
墓地みたいなフィールドに来るや否や、ネペントの群れとフィールドボスを片っ端からなぎ倒したアスナが言う。
なにを言っているのやら。
「そ。満足した」
「うん」
「じゃあ……いいか」
今更一層の雑魚を山ほど倒したところで、なににもならないだろうが、本人は満足そうである。
そんな一幕を挟みながら、迷宮区を散策し、一層のボスまで倒し終えた。
戦闘にかかった時間はほとんどなく、だいたいは移動だったが、それでもかなりのボリュームだ。
いつまでも拘束し続けるわけにはいかないので解散することとなった。次の予定は、まあ近いうちに行われることだろう。
「これを正式にゲーム内アイテムとして実装するのはどうだろうか」
「いいと思いますけど、世界観的な理由付けはどうするんです?」
「そこは悩みどころだな」
楽しい楽しいガイドの後、俺とヒースクリフ──もとい茅場さんは、適当にNPC経営の飲食店に入って話していた。
「例えば、プレイヤー達の足跡を英雄譚として語り継いでいる、という形であればどうだろうか」
「いいですね。ちょっと見た目は変える必要ありそうですが」
初心者ブーストで、低層に長くとどまるプレイヤーは多くはない。
もちろん拠点機能なんかを鑑みれば、低層の価値はゼロではないけれども、上層に比べると、過疎っているのは確かだ。
つまりほとんどのプレイヤーにとっては、攻略済の層ということでもある。
ならまあNPCがあれこれと知っていても、おかしくはないか。
「それはさておき、今日はありがとうございました」
「気にする必要はないと言っただろう」
「まあまあ。言っておかないとこっちの気もすみませんからね」
「そういうものか」
ほんとに好きでやってるんだろうが、ほんとに忙しい人でもあるからな。
これくらいは言っておかないと。
「まあ、なに。君の気持ちもわからなくはない」
「そうですか?」
「彼女達にいいところを見せたかったんだろう」
珍しいこともあるもんだ。茅場さんがこういう弄り方をしてくるとは。
確かにアスナとミトが言うから乗った部分は大いにある。
まあ、驚きこそしたが、こういう振りに今更うろたえるようなこともない。日々、学校に通っているんだぞ俺は。
「ええ、もちろん。でなきゃやりませんよ」
「そうだろうな。……、アインクラッドはいい世界ではあるが、『セリーン・ガーデン』に比べれば風景の美しさは劣ってしまうだろう」
セリーン・ガーデン?
比較するということは他ゲーのマップ名かなにかであろうか。
「なにかまたやりたいことでもあるんですか?」
「いいや。気になっただけだよ」
ふうん。
まあ、AI用に設備の増強は続いているわけだし、そのうち満足するだろう。