僕が死んだらたぶん世界滅亡なヒーローアカデミア 作:くっからっと
原作:僕のヒーローアカデミア
タグ:オリ主 神様転生 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 主人公最強 でも慢心で死にかける そしたら秘められし力が爆発する 人型地球破壊爆弾みたいな主人公 氷使い 天使 男主人公 僕のヒーローアカデミア
ヒロアカ世界に転生したぜ!
チートが強すぎて、僕の持ってる力が全部漏れ出たら世界を凍らせちまいそうだぜ!
僕が死んだら世界滅亡だな!
って感じのストーリーです。
開始0秒で瀕死レベルの重傷を負う最強主人公とはいったい⋯?
「ゴフッ…。マジ、ですか。」
僕…
やられた。
さすがに、油断しすぎてたかな。
いくら他者をいくらでも蹂躙できるチート能力があるからといっても、ここは命を奪い合う戦場なんだ。
油断や慢心を持てば、いとも簡単に死へと転がり落ちるっていうのに…。
そんな基本的なことすらも忘れてた。
「オール・フォー・ワンッッ、貴様ァァァァッッッ!!」
意識が混濁してくる中で、ナンバーワンヒーロー…オールマイトのそんな怒声が鮮明に聞こえてきた。
だがオール・フォー・ワンはそちらを気にする素振りをいっさい見せず、僕に向けてにたりと口を邪悪に歪めるだけ。
「さて。ずっと欲しいと思っていたキミのその素晴らしい個性をもらおうじゃないか。」
ヤバい、ほんとにヤバい。
「今すぐ、僕を治、せ。貴方にならできる、だろ…オール・フォー・ワン。」
「うん?これは実におかしなことを言うじゃないか、熾天くん。大人のように賢いキミらしくもない。僕が敵の怪我を治すはずがないだろう?」
やっぱり、そうだよね。
一縷の希望にすがってみたけど、無理だったかぁ。
「なら…ゲーム、オーバーだよ。」
「それはどういう意味かな?」
「そのままの、意味。」
あぁ…もう、無理。
これ以上は抑えていられない。
意識が、とぶ…。
のみ、こまれる。
──★─★──
「ようやく意識を失ってくれたみたいだね。それにしてもさっきの言葉はどういうい、み………は?」
オール・フォー・ワンは信じられなかった。
自身の右腕が凍りついていることがではない。
自身が気を失っている目の前の幼い少年に恐怖を抱いていることがである。
先ほど戦っていた時とは比にならないほどの濃密な冷気が熾天の身体から漂い出した。
それはオール・フォー・ワンの肺へと吸い込まれ、身体を内側から凍らせていく。
だが、そんなことなど今はどうでもいい些事にすぎない。
「なんだ、ソレは…。なんなんだ、その眼はぁぁあ!!!」
あまりにも空っぽな蒼碧の双眸。
そこには先ほどまでの熾天の瞳と違い、なんの感情も映し出されていない。
そう、なにも。
そんなことはあり得ない。
生きている人である限りは絶対にあり得ないのだ。
百年以上もの長い時間を渡り歩いてきたオール・フォー・ワンはよく知っている。
瞳にはなんらかの感情が映し出されるということを。
どんな生物にも必ず、瞳になにかの思いが乗るのだ。
憤怒。喜楽。悲哀。退屈。或いはまた別のナニカ。
だというのに…だからこそ、目の前のこの少年はなんだというのだろう?
その二眼が映しているのは、眼という鏡に映る景色だけ。
それだけをただ無機質に映し出していた。
「見るな⋯その眼で、僕を見るなァァァッッッッ!!」
オール・フォー・ワンは左腕に数多の個性を込めて、自身の放てる最強最大の一撃を放つ……よりも先に、倒壊したビルへと叩きつけれた。
「白夢少年…。いったいなんなんだ、それは…。」
すでにマッスルフォームとしての活動限界時間を大きく超えているオールマイトは、その場に立ち尽くしながら呆然とそうつぶやくことしかできない。
オールマイトの目に映っている光景は実に神々しく、実に幻想的であった。
熾天の背中から生え出ている六対十二枚の銀翼。
汚れ一つ付いていない羽が風に吹かれて、地面へと舞い落ちる。
その中心に佇んでいる熾天の姿は、物語に出てくるような天使と瓜二つ。
突如、熾天の身体が大きく脈打った。
それを始まりの合図として動き出したのは、十二枚の剣を思わせるような翼。
無差別に、ただただ周囲へと攻撃を繰り返す。
コンクリートでできた建物がいとも容易く斬り裂かれ、地面には深く鋭くえぐられる。
熾天の攻撃範囲に誰も人がいなかったことが、幸いといったところだろう。
「ふふっ。僕がここまで焦りを感じたのは初めてだよ。オールマイトと戦った時でさえ、ここまでの焦燥感は感じなかった。やはりキミは……イイッッ!!」
土煙の立ちのぼる瓦礫の中から、ものすごい勢いでオール・フォー・ワンは飛び出した。
その両腕は大きく、太く肥大化している。
ソレによつて振るわれる一撃は、おそらく全盛期のオールマイトでも受け止めるのに苦労するほどだろう。
が、熾天には遠く及ばない。
「ガハァッ!?」
六枚の翼が蠢き、なんのためらいもなくオール・フォー・ワンの身体を串刺しにする。
「ゴホッゴホッ、これはっ……!?」
熾天の一方的な蹂躙劇を眺めている最中、オールマイトは咳とともに血を吐き出した。
そして気づく。
自身の肺が膨大な冷気を吸い込んだために凍りつこうとしていることに。
素の肉体を鍛えて、さらに少なからず個性で強化されているオールマイトでさえこれなのだ。
もしこれが市街地にまでたどり着いてしまったら…。
そんなことを未来を連想したオールマイトの背筋に悪寒が奔った。
「オールマイトォォ!!これはどういう状況だァァ!!」
「俊典!!いったい何があった!?あの翼の少年はいったい!?」
市街地の脳無たちを制圧したのであろうヒーローたちが次々と集結してくる。
その中にはナンバーツーヒーロー…エンデヴァーやオールマイトの師匠…グラントリノの姿も。
オールマイトは仲間たちの登場に感激しつつも、やるべきことをするために痛む肺を働かせ、声を張り上げる。
「あの子の個性が暴走しているんだ!!このまま暴走が収まるのを待っていれば、確実にまずいことになる!!だから彼のためにも、市民のためにも、止めなければならない!!」
ヒーローたちの士気は最高。
今ならばオール・フォー・ワンだって少しも怖くないと、オールマイトは内心でつぶやいた。
ヒーローたちがいっせいに、熾天のもとへと駆け出す。
それがどうしようもないほどの悪手だと知ることもなく。
熾天がつむっていた眼をゆっくりと開いていく。
うちになにも宿さない空っぽの瞳に、真紅の線で六芒星が描かれていた。
その直後、宙に幾百、幾千もの蒼銀の氷柱のようなものが顕現する。
まずいと、誰しもがそう思った。
「がぁぁあぁァァっッッ!!」
言うなれば、獣の唸り声。
苦痛に塗れたような、そんな咆哮が熾天から放たれた。
そして、氷柱が一本残らず消失する。
ヒーローたちを斬り刻もうとしていた翼も同時に動きを止めるた。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…。」
突然のことにヒーローは呆気に取られながら、額から大粒の汗を流している熾天へと目を向ける。
「どうしたんだい?もしかして覚醒タイムはもう終わりなのかな?」
傷を再生させていたオール・フォー・ワンがいつの間にか熾天の背後に立っていた。
そして、今度こそその拳を熾天へと振り抜こうとしている。
「真の力の覚醒じゃなくて無理やり抑え込んでいた力の暴走だよ、オール・フォー・ワン。」
いつまで経っても、オール・フォー・ワンが拳を振るうことはない。
否、拳を振るえない。
「僕が手を下す必要もないみたいだね。まぁあれだけ激しく個性を使っていれば、当然ながらその分の反動がやって来るというものさ。」
今のオール・フォー・ワンの肉体には、指一本さえ動かすのが億劫になるほどの激痛が奔っている。
今までの比にならないような数多の個性を、肉体の限界を無視して行使したからだ。
「じゃあね。貴方のことだからいずれまた会うことになると思うけど、ちょうど区切りの良さそうな別れになりそうだから、一応さようならと言っておくよ。」
背後のオール・フォー・ワンへ少しも目線をやることなく、熾天は淡々と告げていく。
十二枚の翼のうちの半分を消して、熾天は空へと羽ばたいていった。
こうして正義と悪の決戦は、一応の終わりを迎える。
誰も予想しなかった、できなかった終わりを。
──★─★──
「ただいま、メノウ。」
僕はそうつぶやいて、幼馴染と暮らしている隠れ家へと入っていく。
部屋の奥の方にはまだ灯りが点いており、複数人の騒ぐ声が聞こえてくる。
「誰だ?メノウに手を出してたら殺す。」
そんなことを心に誓って、僕は足音を立てないように部屋の中へと入っていった。
そして────
「えぇ…?」
あまりにも理解不能なその光景に、思わずそんな声を出してしまった。
でもしょうがないことだと僕は思う。
だってメノウが見知らぬ大人と一緒に、楽しそうにゲームをしていたのだから。
いやこれ、割と真面目にどんな状況?
え?
もしかして不審者って気づいてない感じ?
それとも気づいてはいるけど、楽しいから気にしてない感じ?
んー…たぶん後者なんだろうね。
ちょっとばかし、メノウの純粋さが怖くなってきたよ。
まぁそれはともかく⋯あの大人たち、二人ともヒーローだろう。
そっか、この隠れ家もバレちゃったのか。
そろそろ新しい生活拠点を見つけて、いつでも住めるようにおかないとダメそうだ。
「あっ、熾天帰ってきたよ。」
ちょっと待って、メノウさぁん???
なんでヒーローにバラしちゃってるんですか???