我こそは十四番隊隊長(自称)   作:かなりゆっくりめ

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有沢たつき
一護救出のため尸魂界へ侵入した現世組の一人。古男から暗黒魔闘術を教わり、修行の成果を携えて懺罪宮へ辿り着く。

茶渡泰虎
たつきとともに一護救出へ向かう。一護を置いて退くつもりはない。

志波岩鷲
志波家から二人を懺罪宮まで案内する。本人の希望とは無関係に、隊長格との戦闘へ巻き込まれる。

東仙要
九番隊隊長。古男の術によって視力を取り戻し、今回が「見える目」で臨む初めての実戦となる。

狛村左陣
七番隊隊長。一護の警備にあたり、懺罪宮正面を守る。

京楽春水
八番隊隊長。古男とは古くからの付き合いを持つ、護廷十三隊でも屈指の古参隊長。

黒崎一護
懺罪宮に囚われている死刑囚。ようやく現世の仲間たちとの再会を果たす。


暗黒魔闘術と全能なる調停者

「よしッッ!! あそこが一護の閉じ込められてる牢屋だなッ!!」

 

「よし……石田たちの霊圧は、あっちの方角か。誰かと交戦しているようだな」

 

織姫もルキアも、まだ来ていない。たつきにはそれが嬉しかった。勝負を持ちかけた織姫に、先を越してやったと自慢できる。

 

「アタシが一番乗りだァァッッ!! つまりアタシが一護の正真正銘の正妻だァァッッ!!!!」

 

「ええっ!? 一護の正妻って、あの朽木家のお姫様じゃねえのかよ!?」

 

「うるせえッ!! 先に助け出した方が勝ち、こうなったらアタシが勝つんだよッッ!!」

 

頭を殴られて、岩鷲には納得がいかない。一護にはルキアという婚約者がいるはずだ。間違ったことを言った覚えはない。むしろ、殴られるようなことを言っているのはそっちだろう。

 

「……正妻って、勝ち負けなのか……」

 

「勝負は勝負だろ。織姫から言い出したんだぜ?」

 

「黒崎には、話してあるのか?」

 

「今から話せばいいじゃねえか」

 

助ける前から、ずいぶん強気である。一護に断られたらどうするのかと、茶渡は聞きかけてやめる。断るはずがないと言い張られても困るし、殴って承諾させると答えられたらもっと困る。

 

一護、無事でいてくれ。できれば、ここで話を引き取ってくれ。友人の無事を祈る理由としては少々情けないが、茶渡も恋の相談まで引き受けて来たわけではない。

 

「……ッ!? たつきかッッ!! チャドも……岩鷲までッッ!!」

 

「へへっ……一護。待たせたな、助けに来たぜッ!!」

 

顔を見た途端、たつきの笑みがこぼれる。よかった。ちゃんと生きている。文句の一つも言ってやるつもりなのに、先に安心してしまった。

 

あとで何か奢らせてやる。勝手に捕まって、こんなところまで迎えに来させたのだ。それくらいは聞いてもらおう。

 

一護も嬉しい。嬉しいのだが、そこから先へ来ていいとは言えない。隊長三人を相手にして、一人でも倒れたらどうする。自分は助けに飛び出すこともできないのだ。

 

「……本邸の厳重な防衛網を突破して、ここまで辿り着くとはな……」

 

「旅禍の若者たちよ。すまぬが、ここでお主らをみすみす通してやるわけにはいかん。中央四十六室からの処刑命令は未だ撤回されてはおらんのだ。故に……立ち去れ」

 

「そうそう。ボクらもね、できれば若い子たちと野暮な殺し合いなんてしたくないんだよ」

 

帰れと言われても、茶渡に帰る気はない。一護を置いて現世へ戻って、明日からいつも通りに暮らせるものか。

 

隊長たちにも事情はあるのだろう。殺し合いをしたくないという言葉も、嘘とは思わない。それなら一護を返してほしい。それを断るというのなら、押し通るほかにない。

 

「……相手は隊長が三人。一人ずつ受け持つしかないな」

 

「な、なにィィッ!? 俺も入ってんのかァァッッ!!??」

 

「アタシはあの肌の黒い兄ちゃんをやらせてもらうぜッ!」

 

「なら、俺はあのデカいのだな」

 

待て、相談させろ。岩鷲の意見を聞く気はないのか。強そうな二人には何とかなるのかもしれないが、こちらはそうはいかない。

 

たつきはもう相手を決めている。茶渡まで迷わず選んでしまう。なぜそんなに自信満々なのだ。隊長に勝てると思っているのか。だったら二人で三人を受け持つ案も検討してほしい。岩鷲なら、その間に一護を連れ出す役で構わない。

 

「お、俺があの京楽隊長ォォッッ!!?? ぜってえ無理だろッ!! 歴戦の古豪じゃねえかァァッッ!!」

 

「男なら少しは根性見せて討ち死にしてこいッッ!!」

 

「そんなあーーーーーーッッ!!!!」

 

蹴られた背中が痛い。それ以上に扱いがひどい。せめて勝ってこいと言え。

 

姉貴にも一護を助けてこいとは言われたが、死んでこいとまでは言われていない。どうして途中から命令がひどくなるのだ。案内が終わったところで、礼の一つでも言われると思っていたのに。

 

「ちょ、ちょっと待てって! 京楽隊長、俺はですね……!」

 

「うん。ボクも無理に戦いたくはないんだけどね」

 

「ですよね!? だったら話せば――」

 

「ここを通すわけにもいかないんだよ」

 

そこを何とか、と頼みたい。普段なら気さくに話してくれるのに、今日に限って融通が利かない。

 

かといって、たつきに泣きつくのは嫌だ。もう一発蹴られる気がする。姉貴に報告しても、戦う前から諦めるなと殴られそうだ。逃げ帰った先まで怖いのだから、つくづく損な役回りである。

 

「……お手柔らかに、お願いします」

 

「だったら、刀を抜かずにいてくれるかな?」

 

そうすると今度は味方から怒られる。岩鷲にとって、戦う相手より話を聞かない味方の方が問題になりつつあった。

 

「おい一護! お前からも何とか言ってくれよ!」

 

「言って聞くなら苦労しねえよ!」

 

「諦めるの早えな!? お前のダチだろ!?」

 

一護に期待したのが間違いだった。たつきの性格を知っている分、説得の難しさまで承知しているらしい。こちらにも先に教えておいてほしかった。案内を引き受ける前なら、もう少し条件をつけられたのに。

 

「……隊長を張ってるってだけあって、なかなかの霊圧を放ってやがるぜ」

 

東仙の霊圧を前に、たつきにも緊張はある。拳を合わせる前から気圧されるのは久しぶりだ。

 

逃げたいとは思わない。ただ、いつもの調子で殴ればいい相手でもない。拳を届かせる前に斬られるかもしれないし、届いても効かないかもしれない。

 

だから、初めから全力だ。様子を見ながら小出しにして負けるくらいなら、修行してきたことを全部使う。

 

「たつきッッ!! 隊長相手に無茶すんな!! そいつらは次元が違うんだ、今すぐ逃げろッッ!!」

 

「へっ……逃げるわけねえだろバカ一護ッ!! 何のために地獄の特訓を耐え抜いてきたと思ってんだ!!」

 

一護に心配されるのは嫌いではない。だが今は、信用してほしい。何もできないまま一緒に捕まりに来たのではないのだ。

 

泣いて助けを待つのは、昔から一護の役だったはずだ。いつの間にか追い越されたような顔をされるのも面白くない。今度はこちらを頼らせてやる。

 

「――見せてやるよ、先生直伝の奥義――気功闘衣ッッ!!!!」

 

死覇装が光となって散り、黒い霊気が全身を覆う。気功闘衣を纏うと、拳にも力が漲る。

 

よし、うまくいった。まだ余力もある。殴る瞬間にもっと力を込められる。たつきには、それを東仙へ試すのが楽しみだった。

 

拳の神雷も保てている。これで力加減を間違えて、自分の腕を吹き飛ばすわけにはいかない。織姫はいないのだから、失敗したらやり直しとはいかないのだ。

 

力むな。思い切り殴るのと、無闇に力を込めるのは違う。体で覚えるまで繰り返してきたことを、隊長相手だからと変える必要はない。

 

「極限まで高めた気は、至高の武器にも最強の防具にもなるッ!! 行くぞ隊長さんよォッ!!」

 

一護には、何から聞けばいいのか分からない。何だその服。どうして拳から火花が出る。そもそも先生は、空手をどこまで改造する気なのだ。

 

強くなったことは分かる。霊圧も、先ほどまでとは違う。だが、強くなれば心配しなくなるわけではない。

 

たつきに無茶をするなと言える立場かと聞かれれば、言い返せない。怪我をしてほしくないのだ。自分が助け出されたところで、代わりにたつきが倒れたら喜べるはずがない。

 

東仙は、闘衣へ凝る霊気まで見えているのが嬉しかった。触れずとも、その形が分かる。拳の火花も目で追える。これほど鮮明に見えるとは。

 

戸川の弟子と聞いて、なおさら興味が湧く。あの教えを、現世の娘がここまで身につけているのだ。自分にも学べるものがあるに違いない。

 

もっとも、目の前の弟子は殴る気満々である。修行の話を聞かせてほしいと言って、素直に応じてくれる様子ではない。

 

「――ふむ。戸川先生の手によって治療され……この、目が見えるようになって初めての実戦か。良かろう」

 

抜かれた清虫に、たつきの拳が固くなる。刀なら何度も相手にしてきた。だが、東仙の踏み込みがどれほど速いかは分からない。切っ先に気を取られて、足を止めるな。

 

東仙も、見える目を過信するつもりはない。瞬歩の目測を誤ったことは忘れていないのだ。あの失敗を実戦で繰り返すつもりはない。

 

霊圧で捉えた間合いと、目に映る距離。その両方を確かめてから清虫を構える。急いで慣れようとする必要はない。今までできていたことへ、一つずつ加えればよい。

 

娘の顔には恐れよりも闘志がある。その表情まで見えることに、東仙は感謝したくなる。もっと穏やかな場所で会えれば、修行の話もできただろうに。

 

「――暗黒魔闘術・有沢たつき!! 推して参るッッ!!!!」

 

「――よい名乗りだ。我が名は護廷十三隊九番隊隊長――いや、戸川の教えを受け継ぎし、全能なる調停者、東仙要がお相手仕るッッ!!」

 

「おおおおおッッ!! 行くぞォォォッッ!!!!」

 

石畳を蹴って、清虫の間合いへ飛び込む。ここを抜ける。一護のところまで、この拳で押し通る。




■ 気功闘衣

有沢たつきが使用する暗黒魔闘術の高位技法。

高密度の気を全身へ纏わせ、肉体そのものを攻防一体の状態へ引き上げる。

単純な防御膜ではなく、術者の身体能力・打撃・耐久力を総合的に強化する戦闘形態。

■ 神雷

初代護廷十三隊時代、四楓院千日が使用していた白打系統の秘技。

霊力を肉体内部へ極端に圧縮し、打撃の瞬間に解放することで爆発的な威力を発揮する。

たつきは古男による修行を経て、拳へ局所的に神雷を維持しながら戦闘できる段階まで到達している。

■ 東仙要の視力

古男の裏縛道・天の界「叛魂創神」によって回復。

現在は従来の霊圧感知能力を失うことなく、視覚情報も利用できる。

ただし長期間視覚に頼らず戦ってきたため、距離感や瞬歩の目測などについてはまだ完全には慣れていない。

■ 清虫

東仙要の斬魄刀。

視力を取り戻した後も、これまで積み重ねた戦闘技術そのものが失われたわけではない。

むしろ従来の感知能力へ視覚情報が追加されたことで、今後どのように戦闘体系が変化するかは本人にも未知数。

今後の展開について、尸魂界編のあとは

  • すぐ破面編がいい
  • バウント編とかも見たい
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