ろくでなしのドナテロ・ヴェルサス・ブランドー 作:クォーターシェル
イギリスのとある住宅街……、のとある家。
「キャン!キャン!」
その家の主は急に外の飼い犬が騒ぎ出したのを不審に思った。
「ペロ?どうしたんだ……?」
飼い主は懐中電灯を持って飼い犬の所へ行く。
「ペロ~?」
そして懐中電灯の明かりに照らし出されたのは……、
「グウウウゥ……!」
「なっ!?」
大型のネコ科動物に首を噛まれている飼い犬の姿だった。
「わ、私のペロがあああああああッ!?」
数日後、イギリスのまた別の町。
「こっちだ!こっちに逃げたぞ!」
警官隊はあるものを追っていた。警官の一人が呟く。
「なんだってイギリスにピューマが居るんだ……!」
そう、警官隊が追っていたのは人間では無かった。ピューマ、別名をクーガーというが、その動物は本来なら北南米大陸に生息し、イギリスに野生の個体は存在しない筈だった。
その町の住民によって「庭をライオンのような生き物が歩いている」という通報が入り警察が駆け付けた所、
「ニャアアア……」
ピューマが町内を出歩いていた。
そして環境部局・保健所の職員も出動する事態になり、謎のピューマを追う為に少なくない人員が動いていたが……。
「よし!追い詰めたぞ!」
保健所の職員達が捕獲用のネットを広げてピューマを追い詰め、今まさに捕らえようとする所だった。しかし、
「ニャッ!」
「なに!?」
追い詰められていた筈のピューマはいつの間にか網を広げていた職員達の背後に居た。
「こちらA班!対象を逃した!」
「またか!どうなってる!?」
結局、この日は三十人以上もの人員が投入されたがそのピューマを捕獲することは出来なかった。
数日後、イギリスのとある農場。
「ニャアアアッ!」
「メェー!?」
件のピューマは農場に現れて羊を襲っていた。
騒ぎを聞きつけてやって来た農場主は猟銃を持ち出した。
「どこのどいつだろうと害獣ならこうする!」
パァン!
農場主はピューマに向けて発砲した。しかし、
「!?ぎゃあああああ!?」
「お、俺の足がああああ!?」
何故か銃弾を受けたのは農場主の方だった。
それを尻目に小柄な羊をくわえてピューマはその場から逃走するのだった。
その後ろ姿を照らす月明かりの中で、長い尻尾の先が二つに分かれているのが一瞬だけ見えた。
こうして、いきなりイギリスに出現し、神出鬼没に現れたり消えたりを繰り返すピューマの話題はSNSでも拡散され、イギリス中で話題になり、ついには海外でも小さなニュースとして新聞に載るレベルの話になっていった。
◇
ブランドー邸。
ヴェルサス達はテレビを観ていた。
「イギリス各地で、本来生息していない大型ネコ科動物の目撃情報が相次いでいます」
「いわゆる“Alien Big Cat”ではないかという声も――」
それを聞いていたヴェルサスは、
「エイリアン・ビッグ・キャット……?」
「つまり宇宙人の猫か?」
と言うが、
「違うだろ兄貴! 未知の大型ネコって意味だ!」
と隣のリキエルが訂正する。
そしてウンガロが、
「イギリスで昔から目撃されている未確認生物だね」
「イギリスの水の未確認生物がネッシーなら」
「イギリスで陸の未確認生物といえばエイリアン・ビッグ・キャットだよ」
と言う。
「……昔から?」
そう言うヴェルサスにウンガロは、
「目撃自体は19世紀からあったんだけど、目撃例が増加したのは1960年代からだね」
「簡単な概要はイギリスに野生でいる筈のない大型ネコ科動物だということ」
「今回は本来北米大陸や南米大陸に生息している筈のピューマだから当てはまっているね」
「へー」
そこでSNSを見ていたリキエルが、
「おい!今回のピューマに懸賞金がかけられたみたいだぞ」
と言う。
「何!?」
「どうやら2800ポンド、生きたまま捕獲した奴にくれるらしい」
「何処の誰がだよ?」
「環境・食糧・農村地域省が直々に、らしいぜ」
「ほう……」
ヴェルサスは顎に手を沿える。
(2800ポンド、デカい金額じゃないが悪くはない……)
(高々デカい猫一匹捕まえればいいんだろ?俺に掛かれば楽勝だな……)
「探しに行ってみるか……」
「そのABC(エイリアン・ビッグ・キャット)とやらをよ……!」
「兄貴、まさかまた妙な事に首突っ込む気か?」
「なんだよ」
「なんかSNSだと情報が錯綜してるからよく分からないけど」
「“銃弾を跳ね返した”なんて話もあるぞ」
「ぜってー噂に尾ひれがついてるだけだろそれ」
「俺は決めたからな。ネッシーに比べれば楽勝だろうよ」
ヴェルサスは立ち上がりふと部屋の隅の方に置かれている止まり木に止まったペット・ショップを見る。
「そうだ。ペット・ショップを連れていくか」
「はあ?」
「いいか鷹狩って狩猟法があってだな……」
「訓練された猛禽類を使って狩りを行うのよ!」
「それは知ってるが、相手はピューマだろ?」
「ペット・ショップはハヤブサだし……」
「ふっ、ペット・ショップがホルス神を持ってるという事を忘れてないか?」
「それにこいつかなり頭が良いし、一度獲物を定めたら何処までも追跡するぜ」
「まっ、そんな奴に追いかけられる事になるピューマが可哀想になるかな!」
「ペット・ショップはどうなんだ?兄ちゃんについていくのか?」
するとペット・ショップは翼を広げたかと思うとヴェルサスの肩に飛び乗った。
「いてっ、あんま爪立てるなよ……」
「ペット・ショップが珍しいな……」
「別に兄貴に懐いている筈じゃあないのに」
「よし、ペット・ショップ!今回のピューマ探しと捕獲のサポート頼んだぜ!」
「……ギッ」
こうしてヴェルサスとペット・ショップによるタッグがピューマの捜索に挑むことになった。
「さてと、ピューマが最後に目撃されたのは、コーンウォール地方だな」
「随分とイギリスの辺境に移動したようだ」
◇
コーンウォール地方、イギリス最南西の地。都市と言える街はコーンウォールの中心近くに存在するトゥルーロのみである。
先ずヴェルサスとペット・ショップはそのトゥルーロに訪れていた。
「わりぃなペット・ショップ。鳥かごに閉じ込めちまってよ」
「お前が賢いのは分かるがちゃんと鳥かごに入れておかないと警察に目を付けられるんだよ」
ペット・ショップが入った鳥かごを持ちながらヴェルサスはそう話す。
鳥かごの中のペット・ショップは黙っているが、明らかに機嫌がよくなさそうだ。
「……!」
「郊外に出たらかごから出すからそれまでは辛抱してくれよ」
ヴェルサスはピューマが目撃されたというビクトリア公園に足を運ぶ。
そしてそこで聞き込みをした。
「ほら、見えるざんしょ?あの辺りで昨日ピューマが昼寝していたざます!」
「なるほど……、その後どっちに行ったか見ました?」
「私は恐ろしくなって早々にその場から離れたざます!」
「だから知らないざんす!でもつい昨日だしまだ何処かに隠れるかも知れないざます……!」
「分かりました。情報提供ありがとう」
(それにしても変な口調だったな……、コーンウォールの訛りか?)
そしてヴェルサスは昨日ピューマが昼寝していたという辺りを調べる。
「アンダー・ワールド」
ヴェルサスはアンダー・ワールドでここに来たピューマの記録を掘り出した。
「……」
「んん~?このピューマ、尻尾の先が二股に分かれているように見えるが……、奇形ってやつか?」
そしてペット・ショップは、
「!!」
何かの反応を示す。
「おいっ!落ち着けペット・ショップ!」
「!」
「そんなに出たいのか……」
「このピューマがどっちに向かったかが分かったら鳥かごから出すよ!」
その後ヴェルサスはピューマが西へ向かったのを知る。
「よし、追うぞ!」
「ギィッ!」
そして、ヴェルサスは郊外に出ると、ペット・ショップを鳥かごから出した。
「ほら、約束通りだ」
「思いっきり飛んでいいぜ!」
ペット・ショップが飛び立つ。
コーンウォール地方の自然の中をハヤブサが飛び回るのは絵になっていた。
しばらく鳥かごから出た辺りを飛び回っていたペット・ショップだったが、
「!」
ある方向へと飛んでいく。
「あっ!おい、俺を置いていくな!」
ヴェルサスもペット・ショップを追う。そして、ヴェルサスとペット・ショップが向かった先にあったのは、
「……」
「早速いた!」
野ウサギをくわえているピューマの姿だった。その場にハヤブサと人間が現れたのを知ったピューマは野ウサギを口から放す。
「いいぞペット・ショップ!このままあのピューマを追い込むんだ!」
「!!」
ペット・ショップの背後に「鳥」の骨か化石のような、翼はないが、肋骨のような6本の腕と、それよりも太く大きい2本の両足がある姿のスタンドが出現する。
これがペット・ショップのスタンド、ホルス神である。
「うおっ!いきなりホルス神かよ!」
「相変わらず容赦しねえな!」
「!」
ペット・ショップのホルス神は冷気を発し、それと共に空気中の水分が氷となって地面を伝っていき、ピューマへと迫る。
「このままあのピューマの動きを氷で封じる気だな!」
ヴェルサスはいくらピューマとはいえ追跡戦闘マシーンのようなペット・ショップに掛かってはオーバーキルだろうと思った。
「いいかペット・ショップ!あくまで生け捕りだからな!殺すなよ!」
ヴェルサスがペット・ショップにそう呼びかけた時だ。
「……!」
「ウニャンッ!」
なんとピューマの頭部にヘルメットのようなものが装着されたと共に、ピューマの足元から9×9マスのマス目が広がっていく。
「なっ!?あれはスタンド!?」
それを見て驚くヴェルサス。そして、ホルス神の氷がピューマを捕らえようとした時、ピューマは別の地点に瞬間移動していた。
「!?」
「氷から逃れやがった!やはりあのピューマ、スタンド使いかよッ!?」
「フウウウウウウ……!」
(何なの……、あの鳥は!?)
ヴェルサスが驚くと共にピューマも驚いていた。そのピューマは高い知能を持ち、自らを秘密裏に飼っていた金持ちの元から脱走してイギリスを放浪していたが、自分以外にあんな妙な力を持った動物に出会うのは初めてだった。
「……!」
一方ペット・ショップも自分が追っていた獣がただの獣でなく、スタンド使いであった事に面白くなってきたと感じてニヤリと嘴を歪ませて笑う。
そして、
「!」
ペット・ショップは複数の氷のミサイルを生成し、ピューマに向かって発射した。
「あっ!?おい!殺すなと言ってるだろーが!」
しかし、
「ニャアアアッ!」
ピューマは自らのスタンドを発動する。すると、
「!?」
「はっ!?」
氷ミサイルはヴェルサス達の方へ向きを変えた位置に出現し、そのままヴェルサス達の所へ飛んでいく。
「うおおッ!アンダー・ワールド!」
ヴェルサスは岩塊を掘り出して氷ミサイルをガードし、
「……!」
ペット・ショップもその飛行能力で氷ミサイルを回避する。
「フシャアアア……ッ!」
(何?人間の方も妙な力を持ってるの?)
「ぐっ、まさか銃弾を跳ね返したって話はあのスタンド能力の事なのか?」
「後ペット・ショップ!いくら相手がスタンド使いだったからって殺しにかかるんじゃねえ!」
「いいか!あのピューマは生け捕りにするんだ!」
(と、言ったがまさかピューマがスタンド使いなんてな……!こりゃ相当難易度の高い捕獲になりそうだぜ……!)
「ニャッ!」
ピューマはその場から逃げ出そうとする。しかし、
「!」
ペット・ショップはその後を追いかける。ヴェルサスもその後を追う。
(しかしよ~、やっぱりだがあのピューマ)
(尻尾の先が二股に分かれている……)
(スタンド使いになった影響なのか?)
(なんかウンガロに聞かされた『猫又』っていう日本の化け猫を思い出すぜ……)
ピューマはペット・ショップから逃亡しようとしているが、ペット・ショップはそうはさせまいと、自らの能力でピューマの行く先々に氷の壁を作ったりしてその逃走を邪魔している。
「ウニャアアアアッ!」
(しつこい!)
しびれを切らしたピューマはペット・ショップに飛び掛かる。
「!!」
ペット・ショップも応戦しようと爪に氷の刃を纏わせてピューマを攻撃しようとする。
しかし、
「!?」
ペット・ショップの目の前でピューマが消える。そして、
「シャアアアッ!」
ペット・ショップの背後に瞬間移動したピューマは爪でペット・ショップをひっかく。
「!!」
傷を負ったペット・ショップは直ぐ様に後退する。更に、
ビキビキィ……!
冷気で切られた箇所を凍らせて止血するのだった。
ヴェルサスはその様子を見て、
「あのピューマ、スタンドを使う時に足元からマス目が発生しているが」
「もしかして、あのマス目の範囲でないと瞬間移動できないのか?」
ヴェルサスはピューマの捕獲用に持ってきたかつお節の欠片を、ピューマを中心に展開しているマス目の一番外側に位置するマスの所に投げ入れる。
「ニャッ!」
(美味しそうな匂い!)
すると、ピューマはかつお節の欠片を自身の側に瞬間移動させてかつお節の欠片を食べた。
「どうやらそうみたいだな……」
「相手のスタンド能力が分かってくれば、おのずとその攻略法も分かってくるはずだ……!」
「そう思うと余裕も出て来たぜ」
そしてヴェルサスは、
「おいそこのピューマ!」
「ニャ?」
ピューマに呼びかける。
「お前の事をこれから『キャスパリーグ』って呼ぶことにするぜ!」
「キャスパリーグってのはイギリスの伝承に登場する化け猫の名前だ。いつまでもピューマじゃ味気ないからな」
「?」
(何を言っているんだ?この人間は?)
ピューマ、いやキャスパリーグは首をかしげる。
「でだ、お前のスタンドの名前も決めてやる」
「エイリアン・ビッグ・キャット……、その頭文字を取ってお前のそのスタンドの名前は『ABC』だ!」
「……?」
(だから何を言っているんだお前は?)
キャスパリーグはピューマとしては高い知能を持っているが、ヴェルサスの話の展開についていけないでいた。
その時である。
「!!」
体勢を立て直したペット・ショップが、多数の小さな氷塊を生成し上空からキャスパリーグ目掛けて氷塊を雨の様に降らせる。
「!?」
キャスパリーグはABCを発動し、氷塊の軌道を逸らしていくがいくつか撃ち漏らし、氷塊が体に当たる。
「ギャッ!?」
「おいペット・ショップ!何度も言ってるが、殺すなよ!」
「キャスパリーグは生け捕りにする!」
「後少しだ……、後少しで奴のスタンドの攻略法を思い浮かびそうなんだ」
ヴェルサスは考える。瞬間移動能力を持つキャスパリーグを捕らえる方法を。
「……よし、思いついた!」
「ペット・ショップ!そのままキャスパリーグの注意を引いておいてくれ!」
そしてヴェルサスはアンダー・ワールドを出す。そして、
ヴェルサスはアンダー・ワールドに穴を掘らせ、その中に飛び込んだ。
「!!」
ペット・ショップはキャスパリーグのABCの範囲外の辺りを氷で攻撃して、キャスパリーグの進路を妨害する。
「ニャアアッ!」
(これじゃあ、私の力で別の場所に飛ばせないじゃない!)
ペット・ショップの攻撃が続く中、キャスパリーグはあるものを発見する。
それはアナグマか何かが掘ったのであろうか、岩の側に開いた穴である。
「ウニャッ!」
(しめた!あの中なら攻撃をしのげる!)
キャスパリーグはネコ科動物の本能もあってか、その穴の中に逃げ込んだ。
「ニャアア……」
(中は中々広いわね……)
キャスパリーグは穴の中を見まわす。すると、
ピョンピョン……!
「ニャッ!」
(あっ、ウサギ!)
キャスパリーグは野ウサギを見つけた。そして、
「シャウッ!」
(そういえばさっき食いそびれたからいただき!)
お腹が空いていたキャスパリーグは野ウサギに飛び掛かり噛みつく。その瞬間、
ブスッ!
「ニャッ!?」
(えっ?)
野ウサギの体から麻酔針が出てきてキャスパリーグの体に刺さった。
「やっぱデカい猫だったな……」
そう言いながら出て来たのはヴェルサスだ。そう、この穴はヴェルサスのアンダー・ワールドによって掘られた穴だった。
「逃げ込めそうな穴を用意すればその中に入ってくるんじゃないかと思った」
「ペット・ショップみたいなのに追われてりゃあ尚更な」
「でだ、アンダー・ワールドで野ウサギの記録を掘り起こして」
「内部には更にこの地で狩りに使われた麻酔針を仕込んでおいた」
「つまり特製のルアーって訳だな」
キャスパリーグは薄れゆく意識の中でこう考える。
(この人間……)
(あの鳥に気を取られていたけど)
(更に警戒すべきはこっちだった……)
ヴェルサスはキャスパリーグが眠ったのを確認する。
「さて、捕まえたはいいが」
「このまま環境省へ引き渡しても脱走されるかもな……」
「さて、どうするか……」
◇
その後、キャスパリーグの処遇をどうするか考えたヴェルサスはブランドー家で引き取るかとも思ったが、
「いや、家には既にペット・ショップが居るしな……」
「動物のスタンド使いの扱いって難しいからな……」
ブランドー家で引き取るのはあまり良い選択では無さそうだと思った。そして、
「はい。こちらスピードワゴン財団イギリス支部です!」
「ああ、スピードワゴン財団か!俺はドナテロ・ヴェルサス・ブランドーだがよ」
「えっ、ブランドー!?」
ヴェルサスはスピードワゴン財団へと連絡を取っていた。スピードワゴン財団はブランドー家と敵対しているジョースター家と縁が深い財団であり、様々な分野に手を伸ばしているが、裏ではスタンド等の超常現象を取り扱っている。
「ブランドー家の方が我々に何の用なんです……!?」
「まあそんな警戒すんなよ。別に喧嘩を仕掛けに来たわけじゃない」
「実はスタンド使いのピューマを捕獲してさ、それを引き取って欲しいんだ」
「えっ!?」
「……スタンド使いの、ピューマ?」
「はい」
「……もう一度お願いします」
「だからスタンド使いのピューマ」
「なぜブランドー家がそんなものを……」
「俺だって好きで捕まえたわけじゃねえよ。懸賞金が出てたから捕まえただけだ」
「ええ……」
「兎に角だ。こいつ、キャスパリーグと名付けたんだが高級な肉が好きみたいでよ」
「取り敢えず飼育するのにはそれを気を付けた方がいいぜ」
「まあ、満足させとけば脱走はしないんじゃねえのか?頭良いみたいだしよ」
「はあ……?」
こうしてキャスパリーグはスピードワゴン財団に引き取られ、その管理下に置かれることになった。
財団が動物のスタンド使いを確認したのはこれが初めてではなく、スタンド能力を持つ動物として保護・人間との意思疎通能力を調査・野生復帰が可能か検討・元の飼い主について調査・人間に飼われることを本人がどう感じているか観察等が行われる。
キャスパリーグがこれから飼育されていくのか、それとも同族の居る地へと移送されるかは分からない。
ともかくイギリスで起きたピューマ騒動は人知れず終息するのだった。
◇
後日、ヴェルサスはキャスパリーグが収容される財団の施設を訪れていた。
ブランドー家の者が来ているという事に対して財団側の空気はピリピリしていたが、ヴェルサスは気にしなかった。
そして、ヴェルサスはキャスパリーグに会う。
キャスパリーグはヴェルサスを見ると、
「ニャア」
と鳴いた。
「お前、俺に捕まったのまだ根に持ってるか?」
「ニャア」
(当たり前でしょう)
「……まあ、元気そうだな」
財団の職員が言う。
「脱走しないように彼女のお気に召すままに高級肉をやったり遊んだりしてますからね」
「彼女……?」
「雌だったのかこいつ……」
「知らなかったんですか?」
「ニャアア……」
To Be Continued...
……人物紹介……
・キャスパリーグ
とあるイギリスの金持ちに秘密裏に飼われていた雌のピューマ。スタンド使いでありその知能は高く脱走した。その後イギリス内を気ままに放浪していた。最終的にヴェルサスに麻酔針を撃ち込まれて捕獲され、ブランドー家には既にペット・ショップが居るということでスピードワゴン財団に押し付ける形で引き渡される。スピードワゴン財団の管理下ではいい暮らしをしているようだ。スタンド名はABC。
ABC
パワー:なし
スピード:なし
射程距離:C
持続力:B
精密動作性:B
成長性:E
姿:キャスパリーグの頭部に装着されるヘルメット。
能力: 自身の周囲に9×9マスのマス目を出現させ、自身やマス目内の固定されてない物体を他のマス目内の座標へ瞬間移動させる。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等をいただけたら幸いです。