インタビュアー『なんで戦ってるん?』ヒーロー『金だろ』 インタビュアー『は?』   作:すねかじり

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第10話 「S級会議」

 

日本ヒーロー協会・本部。

 

その最上階にある、関係者以外立入禁止の会議室。

 

円形の巨大なテーブルを囲むように、八つの席が並べられていた。

 

そのうち――五つの席には、人が座っている。

 

そして。

 

三つの席は、空席だった。

 

会議室には、妙な緊張感が漂っていた。

 

普段なら、ここに集められるのは日本でも指折りの実力を持つヒーローたちだけだ。

 

だが今日は違う。

 

先日の事件によって、二人のS級ヒーローが死亡した。

 

そして、もう一つの空席には――最初から誰も座る気配がない。

 

「……それでは、S級会議を始めます」

 

協会職員が資料を開く。

 

「現在、日本ヒーロー協会に登録されているS級ヒーローについて、確認します」

 

一人目の名前が呼ばれた。

 

「ルミナ」

 

【S級ヒーロー ルミナ】

能力:光操作

 

光を自在に操る自然発生型ヒーロー。

 

攻撃、防御、高速移動など、幅広い戦闘能力を持つ。

 

「……はい」

 

ルミナが軽く手を上げる。

 

続いて、二人目。

 

「テンペスト」

 

【S級ヒーロー テンペスト】

能力:天候操作

 

雨、風、雷など、天候そのものを操る自然発生型ヒーロー。

 

広範囲に影響を及ぼす能力を持ち、単独で大規模災害に対応できるほどの戦闘力を誇る。

 

「はい」

 

短く返事をする。

 

三人目。

 

「ヴォイド」

 

【S級ヒーロー ヴォイド】

能力:空間操作

 

空間そのものに干渉する能力を持つ自然発生型ヒーロー。

 

能力の詳細については、協会でも把握しきれていない部分が多い。

 

「……」

 

ヴォイドは何も答えなかった。

 

ただ、椅子に座ったまま資料を眺めている。

 

四人目。

 

「アトラス」

 

【S級ヒーロー アトラス】

能力:超重量・怪力

 

自身の重量と身体能力を変化させる自然発生型ヒーロー。

 

圧倒的な身体能力と破壊力を誇り、近接戦闘においてはS級でも屈指の実力を持つ。

 

「了解」

 

低い声が返ってくる。

 

最後。

 

「ミラージュ」

 

【S級ヒーロー ミラージュ】

能力:幻影

 

幻影を生み出し、相手の視覚や認識を惑わせる能力を持つ。

 

直接的な破壊力こそ低いものの、戦場全体を攪乱する能力に長けている。

 

「はいはい」

 

ミラージュが軽く手を上げる。

 

五人。

 

現在、この場にいるS級ヒーローは五人だった。

 

そして――三つの空席。

 

ルミナは何気なく、そのうちの一つを見た。

 

「……あれ?」

 

「どうした?」

 

テンペストが尋ねる。

 

「この席」

 

ルミナが空席を指差す。

 

「誰の席?」

 

一瞬。

 

会議室の空気が止まった。

 

テンペストが少しだけ視線を逸らす。

 

「……ああ」

 

「?」

 

「あいつの席だよ」

 

「誰?」

 

「気にしなくていい」

 

「いや、気になるんだけど……」

 

ミラージュが苦笑する。

 

「まあ、あいつはいつもそんな感じだから」

 

「そんな感じ?」

 

「こういう会議にも、ほとんど来ない」

 

「えぇ……」

 

ルミナが空席を見る。

 

「S級なのに?」

 

「S級だからって、全員が真面目とは限らないだろ」

 

アトラスが言った。

 

「まあ、癖が強い奴だからな」

 

「癖が強い……」

 

ルミナは首を傾げる。

 

結局、誰もそのヒーローの名前を口にしなかった。

 

そして。

 

もう二つの空席。

 

そこには、花が置かれていた。

 

ルミナの表情が変わる。

 

「……この二つは?」

 

今度は、誰もすぐに答えなかった。

 

協会職員が静かに口を開く。

 

「先日の事件で、亡くなられたお二人の席です」

 

「……」

 

ルミナは何も言わなかった。

 

テレビで見たニュース。

 

S級ヒーローの死亡。

 

原因不明の襲撃。

 

そして、現場に残されていた――黒い羽根。

 

「……犯人について、何か分かったんですか?」

 

ルミナが尋ねる。

 

協会職員は首を横に振った。

 

「現時点では、何も」

 

「何も……?」

 

「目撃者もほとんどいません。監視カメラにも、犯人の姿は明確には映っていませんでした」

 

「じゃあ、あの黒い羽根は?」

 

「現在、解析中です」

 

会議室が静まり返る。

 

その後も協議は続いた。

 

警戒態勢の強化。

 

S級ヒーローの単独行動の見直し。

 

事件に関する情報の共有。

 

そして――数時間後。

 

「……疲れた」

 

会議を終えたルミナは、一人で協会本部の廊下を歩いていた。

 

「長すぎるよ……」

 

時計を見る。

 

もう夜だった。

 

エレベーターへ向かって歩いていると――

 

ふと。

 

廊下の先にある非常階段の扉が、少しだけ開いていることに気づいた。

 

「……?」

 

誰かいるのかな。

 

そう思って、ルミナが足を止める。

 

その瞬間。

 

扉の向こうから――

 

黒い影が、壁を横切った。

 

「……!」

 

ルミナが目を細める。

 

だが、次の瞬間には何も見えなくなっていた。

 

「……警備員かな」

 

少しだけ首を傾げる。

 

しかし、特に気にすることもなく歩き出した。

 

「早く帰ろ」

 

ルミナはそのままエレベーターへ向かっていった。

 

誰もいなくなった廊下。

 

非常階段の扉が、ゆっくりと閉じる。

 

――カチャ。

 

その向こうには、誰もいない。

 

ただ。

 

床には――

 

黒い羽根が一枚だけ落ちていた。

 

そして夜の闇へと消えていった。

 

***

 

【おまけ:S級ヒーロー能力資料】

 

ここでは、第10話のS級会議に登場したヒーローたちの能力を紹介する。

 

---

 

【S級ヒーロー ルミナ】

 

能力:光操作

 

光を自在に操る能力。

 

光を収束させて攻撃に利用したり、光を身体にまとわせて高速移動したりすることができる。

 

さらに、強烈な光を放って相手の視界を奪うことも可能。

 

攻撃・防御・速度のすべてに対応できる、非常に汎用性の高い能力。

 

代表技――

 

「ルミナ・ブレイク」

 

光を拳に集中させ、一気に加速して敵へ突撃。

 

その勢いを乗せた拳を叩き込む。

 

---

 

【S級ヒーロー テンペスト】

 

能力:天候操作

 

周囲の天候を自在に変化させる能力。

 

風、雨、雷、気圧などを操ることができる。

 

単純な攻撃だけではなく、視界の遮断や飛行、敵の動きの妨害など、状況に応じて様々な使い方が可能。

 

広範囲に影響を及ぼすため、大規模災害への対応能力も非常に高い。

 

---

 

【S級ヒーロー ヴォイド】

 

能力:空間操作

 

空間そのものに干渉する能力。

 

空間を歪めたり、距離を無視した移動を行ったりすることができるとされている。

 

ただし、その能力の全容は現在も不明。

 

協会の能力記録にも、詳細がほとんど残されていない。

 

---

 

【S級ヒーロー アトラス】

 

能力:超重量・怪力

 

自身の身体の重量を自在に変化させる能力。

 

重量を増加させることで、圧倒的な破壊力を生み出す。

 

逆に身体を軽くすることで、巨体からは想像できないほどの跳躍や移動も可能。

 

近接戦闘においては非常に強力な能力者。

 

---

 

【S級ヒーロー ミラージュ】

 

能力:幻影

 

自分や周囲に存在しないものを、相手に見せる能力。

 

分身を作り出したり、別の場所にいるように見せたりすることができる。

 

複数の幻影を同時に展開することで、敵の判断力を奪うことも可能。

 

ただし、幻影そのものに実体はない。

 

直接的な破壊力よりも、戦術面で真価を発揮する能力。

 

---

 

【故・S級ヒーロー】

 

【S級ヒーロー グランド】

 

能力:地殻操作

 

地面や岩石など、大地に存在する物質を自在に操る能力。

 

地面を隆起させて壁を作ったり、巨大な岩塊を生み出して攻撃したりすることができる。

 

都市部では周囲への被害が大きくなりやすいため、能力の使用には高度な判断力が求められていた。

 

生前は、災害救助の分野でも高い評価を受けていた。

 

---

 

【S級ヒーロー アーク】

 

能力:電磁操作

 

電気と磁力を自在に操る能力。

 

強力な電撃による攻撃だけでなく、金属を磁力で操ったり、電子機器に干渉したりすることも可能。

 

近距離・遠距離の両方に対応できる万能型。

 

高い戦闘能力に加えて、電子機器を利用した犯罪への対応でも活躍していた。

 

---

 

現在、日本ヒーロー協会に登録されているS級ヒーローは――

 

8名。

 

そのうち、2名はすでにこの世を去っている。




読んでいただきありがとうございます。
いやー、S級勢揃いですね。
不真面目なヤツもいるようです。まぁ十人十色よな。
それはそうと今回もおまけがあります。
区切り良くしようとするとどうしても文字数が中途半端になるんですよね。仕方ないね。
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