交流会開始から暫くの時が経った。
「やるな、東堂…」
「アレは逸材だよね〜」
虎杖と戦う東堂を見てノクスは感嘆した声を出す。
その言葉に同意する様に、五条も言葉を続ける。
「東堂はさ、しっかりイカれてる側の呪術師だからね、しかも戦闘時の立ち回り方や呪力の運用も巧い。正直呪霊や呪詛師に負けるビジョンが浮かばないよね」
「アンタがそこまで言うのは珍しいわね」
珍しくべた褒めの五条に意外なものを見たという表情をした歌姫。
「僕だって強い奴には強いって言うよ、そこまで性格悪くないしぃ〜」
「「それはない」」
五条の性格が腐ってるのは、ノクスと歌姫共通の認識であった。
ボボボボボッ!!!
「え?」
そんな話の最中、試合の展開を表す御札が全て燃え尽きる。
「
「妙だな、烏達が誰も何も見ていない」
流石におかしいと、疑問を呈する冥冥。
「GTGの生徒達が祓ったって言いたい所だけど…」
「流石にあり得ないな」
「ノクスもそう思う?」
五条とノクスの言葉に夜蛾は続ける。
「未登録の呪力でも札は赤く燃える…」
「外部の人間…侵入者ってことですか?」
「外部であろうと、内部であろうと、不測の事態には変わるまい」
「俺は天元様の所に、悟は楽巌寺学長と学生の保護を、冥はここで
「委細承知、賞与期待してますよ」
「ほらお爺ちゃん、散歩の時間ですよ!!昼ごはんはさっき食べたでしょ!!」
「急ぎましょう」
五条の楽巌寺に対する煽りを誰も気にしないあたり、五条に対する扱いが伺えた。
ーーーーー三人称Side
「五条!!帳が下りきる前に!!アンタだけ先行け!!」
歌姫は五条に先に行くように急かすが、
「いや無理」
「はぁ!?」
((実質あの帳はもう完成してる…視覚効果より術式効果を優先してあるのか…))
「下りた所で破りゃいい話でしょ」
そう言って帳に手を伸ばす五条…しかし
バチィィィィンッ!!
「………?」
五条の掌は弾かれる。
「ちょっと…なんでアンタがハジかれて、私が入れんのよ」
しかし歌姫は帳の中に問題なく入ることが出来た。
「成程……歌姫、お爺ちゃん、先に行って。この帳…」
「『五条悟』の侵入を拒む代わりにその他全ての者が出入り可能な結界だ」
「「!!」」
((確かにそれなら足し引きの辻褄は合う…でも特定の個人に作用する結界なんて余程…))
歌姫の思考に被せるように五条は言う。
「余程腕が立つ呪詛師がいる。しかもこちらの情報をある程度把握してるね」
「悟、俺の力で帳を破る、暫く時間をくれ」
ノクスはドライバーを装着、変身プロセスに移行する。
「分かった、頼むよ、ノクス」
その言葉が終わると楽巌寺と歌姫は帳の中に入っていく。
ミッドナイト!
シャドウ…!
「変身」
ワッハッハッハッハッハッハッ!
ライダー!ノクス!ノクス!ノクス!
ミッドナイトシャドウ!
「最短で破る…消え失せろ…!」
ーーーーー三人称Side
一方、帳内では虎杖と東堂が特級呪霊と戦闘を繰り広げていた。
特級呪霊に向けて歩き出す虎杖に東堂は宣言する。
「俺は手を出さんぞ、虎杖…お前が、『黒閃』を!キメるまでな!!…黒閃をキメられず、オマエがどんな目に逢おうと、俺はオマエを見殺しにする!!」
「押忍!!!」
虎杖の気合が空気を震わせる。
『ケヒッ!精々頑張れ、小僧』
「ああ!見ていてくれ!宿儺!!」
((宿儺の器と…あの男は…?雰囲気があるが、呪力の総量だけで言えば…絶対に、私より弱い……だが謎の
「オマエ、話せるのか。一つ聞きたいことがある」
考え事をしている呪霊『花御』に虎杖は問いかける。
「オマエの仲間に、ツギハギ面の人型呪霊はいるか?」
『いる…と言ったら…?』
ボバッ!!ババンッ!!!
その言葉を聞くと同時に虎杖は岩を2つ、途轍もない速さと勢いで投げつける。
『軽率に距離を詰めない。そこは評価します』
『…!?』
パパパパパンッ!!!
避けた花御に連続で蹴りを叩き込む虎杖
((速い!!先程の
((胴体ガラ空き!!手加減した打撃で油断しまくってる今ならキマる!!))
『黒閃!!』
その瞬間、虎杖の脳内にフラッシュバックする記憶、未だ術式の反動で寝たきりの順平とボロボロになった伏黒。
((…!!!))
ボガンッ!!!
花御に打撃が直撃したが、大して響いておらず、黒閃も不発。
「クソッ!!!」
ビュンッビュンッ!!!ドガガガッ!!
黒閃を不発に終わらせた虎杖に花御は植物の蔓を操り刺し貫こうとする。その蔓をバックステップで避ける虎杖。
そんな最中、虎杖の背後から声が聞こえる。
「
「…!!」
パァンッ!!
振り向いた虎杖の事をビンタする東堂。
「怒りは術師にとって重要な
東堂は言葉を続ける。
「
「だがその怒り、オマエには余る。『今は』収めろ」
パァンッ!!!
言葉が終わると同時にもう一発、ビンタを叩き込む。
((仲間割れ…なのか…?))
その様子を見て困惑する花御。
「消えたか?雑念は」
問いかける東堂。
「ああ、雲一つねぇ」
不敵な笑みを浮かべ、同意する虎杖。…二人の意思が一つとなる。今の虎杖の思考はただ一つ。
((Thank you somuch…))
((
『黒閃』…打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる、空間の歪み。
威力は平均で通常の2.5乗。『黒閃』を狙って出せる術師は存在しない…
だがしかし
『黒閃』を経験した者と、そうでない者とでは呪力の核心との距離に天と地程の差がある。
ツゥー……
虎杖の口から涎が垂れる。
((凄まじい集中……!!))
虎杖が動き出す…
打撃との誤差、0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間、空間は歪み…
『呪力は黒く光る』
「黒閃ッ!!!!!」
ドゴォォォォ!!!
((なっ…!!!?))
「成ったな…」
その様子を見た東堂は満足気に呟く。
ーーーーー三人称Side
「ケヒッ!!良いぞ小僧…!!また一つ上がったな…!!このまま行けば…
笑みを浮かべた宿儺は続ける。
「精々成長するんだな…小僧」
ーーーーー三人称Side
「今のが黒閃…!!」
((なんだ…?これ俺の呪力だよな?))
自身のあまりの変わりように疑問を持つ虎杖に東堂が答える。
「呪力の『味』を理解したんだ」
「オマエは今まで口に入れたことのない食材をなんとなく鍋に入れて煮込んでいるような状態だった…だが黒閃を経て呪力という食材の味を理解した今!
「
ーーーーー三人称Side
バリィィィィッンッ!!
各地でそれぞれが戦いに臨む中、突如帳が割れる…
「コレは…!?」
歌姫は唐突な出来事に驚く。
「嘘でしょ!?まだ30分経ってないって!!?」
相手の呪詛師も想定外の表情を浮かべる。
その遥か上空に佇む五条。
「さて…どこからいこうか…」
「五条先生!?」
五条を視認した虎杖は驚きの声を上げる。
((悠仁のレベルが格段に上がっている…!!そうか!葵か!!確かにアイツなら悠仁と相性いいだろ。特級と殺り合ってるみたいだけど、コレなら心配いらないね))
「となると優先すべきは…」
一瞬で移動し、呪詛師の背後に立つ五条。
「オマエだな」
五条を認識した呪詛師は狂ったように声を上げ、武器を振り回す。
「ラック!!ラック!!!」
呪詛師をゴミを見るような目で見ながら笑みを浮かべる五条を見て、楽巌寺は声を荒げる。
「殺すな!!!」
グシャシャシャグシャグシャァッ!!
呪詛師の四肢が捻じれる。
ーーーーー三人称Side
「この感じ…悟か…」
「オマエ何なんだよぉ!!?俺にこんなことしてぇ!!」
ノクスは歌姫が相手していた呪詛師と対峙していた。
「歌姫先輩を傷つけた呪詛師風情に説明する気はない。オマエを殺す…!!」
「ヒィッ!!?」
ノクスはドライバーを一回転させる。
ミッドナイト!
ノヴァブレイズ!
「消え失せろ…!!!」
ドゴォォォッ!!!
蹴りが直撃した呪詛師の目元のマークが全て消え、息絶える。
「無事でしたか…!?歌姫先輩…!」
歌姫に駆け寄り肩を掴むノクス。
「えっ…ええ、ありがとう…」
((あんな怒ったノクス…初めて見た…))
「!!」
ドゴォォォォッ!!!
ノクスが居る場所から遠くで紫色の光弾が森を引き裂いていた。
「悟か…茈を使うとはな…」
こうして波乱の交流会初日が終了した。
五条先生の格を落とすことは絶対にしません!!