柴大将の息子   作:mukugawa

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難産。
よかったら見ていってください。


ゲヘナ風紀委員会

 

 敵はカイザーローン。

 それがわかったことは大きな収穫であったものの、俺たちにとれる手段はないのが現状だ。

 相手がこちらの返済元であることは変わりないし。

 できることは、カイザーが何を狙って俺たちをアビドスから追い出そうとしているか、考えることくらいだろう。

 アビドスに生徒がいなくなることで、カイザーにどんなメリットがあるのだろうか。

 借金の返済義務は厳密に言えば、俺たち生徒ではなく学校にある。

 返済する人間がいなくなることで得をすることが、カイザーにあるのは違いないのだろうが……

 そんなことを考えながら、俺は今日も柴関ラーメンで働いていた。

 

「いらっしゃいませー」

 

「……ええっ!? あ、あなたはアビドスの!?」

 

 現れたお客様は便利屋68の面子であった。

 

「4名様ですね。席にご案内します」

 

「そ、それでいいの!? 私たちはあなたの学校に───」

 

「いいんだよ。早く席につけ。冷やかしに来たわけじゃないんだろ?」

 

 アビドス生としては間違いなく敵であるが、柴関ラーメンの店員としてはいちお客様である。

 挨拶に鉛弾をプレゼントするわけにはいかない。

 ええからとっとと座らんかい。

 

「わお。これがプロフェッショナルってやつ? カッコいいね、ヨモギくん」

 

「よせ、浅黄。褒められてもお冷しか出てこないぞ」

 

「お冷は出してくれるんだ」

 

「店員だからな」

 

 個人的に水も出さない店員はまずいのではないかと思う。

 

「……社長、席に着こう」

 

 未だに躊躇う陸八魔に鬼方が声をかけた。

 

「でもカヨコ……」

 

「プライベートに仕事は持ち込まないのがプロフェッショナル、でしょ?」

 

「そ、そうね」

 

 陸八魔と鬼方は席に着いた。

 浅黄はとっくの前に座っている。

 残りは……

 

「ガルル……」

 

 プライベートに仕事の因縁をごりごりに持ち込みそうなヤツが1名。

 伊草は俺が陸八魔に一撃を喰らわせたことを相当根に持っているらしい。

 飼い主に手を出された猟犬のように唸り、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気である。

 

「ハルカも落ち着いて」

 

「カヨコ課長……わかりました」

 

 サンキュー鬼方。

 その調子で狂犬の首輪を握っていてくれ。

 ここを戦場にするのだけは絶対に嫌だ。

 

「では、席についてお待ちくださいってな」

 

 今は昼飯時を過ぎたあと。

 お客さんも空いている時間であった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 湯気を立てる丼を4人の前に並べる。

 

「お待ちどおさま。柴関ラーメン4人前。美味しく頂け」

 

「なんか雑じゃな~い?」

 

「あはは」

 

「うわ~お、愛想笑い」

 

 浅黄とのやり取りは結構楽しい。

 話し上手というヤツだろうか。

 あんな再会がなければ、きっとアビドスのみんなとも仲良くなれたろうに。

 

「「「「いただきます」」」」

 

 ラーメンを啜る4人を眺める。

 

「……やっぱり、ここのラーメンは美味しいわね」

 

 しみじみと呟く陸八魔。

 

「ま、ゆっくりしてけよ。今日は他のアビドス生がくる予定もないからさ」

 

 気まずい空気をラーメン屋で醸し出されても困る。

 せめて今日の分の憂いは断っておこうと出した言葉に陸八魔は固まった。

 ……言わない方がよかったかな、と親父の方に視線を向けると、親父はやれやれと苦笑いしていた。

 どうも俺はいつも一言余計らしい。

 

「ヨモギくんはラーメン屋長いの?」

 

「まあな。家の仕事だし、ガキの頃から手伝ってる」

 

 浅黄の言葉にそう答える。

 まあ、今もガキと言えばガキだが。

 高校生もギリギリ子供のラインに入るだろうし。

 

「……もしかしてさっきの親父って、本当にお父さんって意味なの?」

 

「ああ」

 

 陸八魔の問いに俺は淡白に答えた。

 

「そ、そうなの……立派なのね。子供のころからお手伝いなんて」

 

「そう言ってもらえると嬉しいね」

 

 やっぱりこいつ悪いヤツに向いてないと思う。

 本気で俺のことを褒めているのは顔を見ればすぐにわかった。

 

「ねえ、大将さん。ヨモギくんはどんな子供だったの~?」

 

「おい、浅黄。世の中には聞いて良いことと悪いことがあるって知ってるか?」

 

「ヨモギか? ヨモギはな、捻くれたことを言う割には素直な────」

 

「親父も喋らんでいい」

 

 ただでさえ常連の人たちにはそのネタでいじられるんだ。

 便利屋に俺のプライベートをぶちまけるのは止めてくれ。

 

「えー、私もっと聞きたいなー」

 

「残念ですがお客様。私の思い出話はメニューに載っていませんので」

 

 とびっきりの営業スマイルで俺はそう答えた。

 

「ケチ~」

 

 不満だとばかりに頬を膨らませる浅黄に苦笑する。

 やっぱり俺は、便利屋をそこまで悪い連中とは思えない。

 少なくとも、金のためにカイザーに喜んで手を貸していたであろうカタカタヘルメット団よりはマシなように感じる。

 セリカは怒るかもしれないが、俺はなぜかこいつらが嫌いにはなれなかった。

 

「俺からも質問良い?」

 

「ほう、ヨモギくんは私たちに興味があるのかな~?」

 

「あるよ」

 

「おお、言い切るんだ。オッケー、質問を受け付けま~す」

 

 あっけらかんとした態度で浅黄は答えた。

 

「ちょ、ちょっとムツキ。私たちの個人情報よ?」

 

「いいじゃんアルちゃん。あっちも個人情報暴露したんだし、これでお相子ってことで」

 

「聞かれて困るようなことは聞かないから安心しろ」

 

「……力づくで聞きたいことはないの?」

 

「ラーメン屋の店員がお客さんに襲い掛かったらヤバいだろ」

 

 そんなに気にするくらいなら、最初から学校襲撃なんて依頼を受けなければいいのに。

 その言葉を飲み込む。

 こいつらにもそれなりの事情があることはもうなんとなくわかっていたが、それを聞くことはしない。

 今の俺はあくまで柴関ラーメンの一店員。

 お客さんのプライベートは笑える範囲までと相場が決まっている。

 

「じゃあ───」

 

 無難にゲヘナのことでも聞こうかと思った時だった。

 ───キャタピラの駆動音が聞こえた。

 

「戦車、持ってる?」

 

「いや、持ってないけれど……」

 

 陸八魔が戸惑いながら答える。

 嘘ではないようだ。

 ───ザッザッと揃った足音が聞こえた。

 

「軍隊みたいな行進する知り合いは?」

 

 その問いに答えたのは浅黄。

 

「ゲヘナの風紀委員会とかかな? 私たち、結構な問題児だからね」

 

「そうか……」

 

 親父の方を振り向く。

 

「親父。今日は店を閉めたほうがいい」

 

「ん? どうした、いきなり───」

 

「団(・)体(・)様(・)のお出ましだ」

 

「……しかたねえか」

 

 俺の言葉の意味を理解した親父はすぐに店じまいの準備を始める。

 

「店を閉めるって、こんな時間に?」

 

「浅黄。多分、その風紀委員会がこっちにくる」

 

「「「「!?」」」」

 

「ゲフっ!? うぐ……」

 

「ア、アル様!?」

 

「ごめん。水だ」

 

 喉に麺を詰まらせた陸八魔に水を手渡すと、グイッと一息に飲み干した。

 どうやら驚かせてしまったようだ。

 

「ケホッ……ふ、風紀委員会が!? なんでそんなことがわかるのよ!?」

 

「いや、戦車のキャタピラ音と集団が行進する音が聞こえたから。そうかなと」

 

 アビドスにはたむろする不良が数多くいるが、戦車を持っている連中はいない。

 カタカタヘルメット団は何台か持っていたが、組織化されていない不良……ましてやチンピラにそんなものを手に入れる資産はないからだ。

 そしてこんな整った行進をする連中でもない。

 断定してもいい。

 今近づいて来ている連中は、間違いなくアビドスの外からやってきた。

 

「ん? 音が止ま──」

 

「便利屋に告ぐ! 武装を解除して、今すぐ投降しろ!」

 

 拡声器を通したであろうデカい声が店内にまで響いてきた。

 

「……イオリだね」

 

「冗談でしょ!? まさか、アビドスにまで来たっていうの!?」

 

 鬼方と陸八魔の反応を見る限り、知り合いであることはほぼ確定。

 イオリなる風紀委員は拡声器で繰り返し武装解除と投降を呼びかけている。

 

「とりあえず、お前らは裏口から行け。この店にいることはバレて───」

 

「そこのラーメン屋にいることはわかっているぞ! 大人しく出てこい!」

 

「──るわ。ごめん」

 

「いやいや、ヨモギくんが謝ることじゃないでしょ」

 

「まさか、つ、通報したんじゃ……!」

 

 おい待て。

 なんだその物騒なものは?

 爆弾のスイッチみたいに見えるが気のせい……じゃねえな!

 

「伊草、早まるな。俺のことが気に食わないのは別にいいが、この店を吹っ飛ばすのは止めろ」

 

「こ、こうなったらやるしか……!」

 

 駄目だこいつ話が通じねえ!!

 

「ハルカ」

 

「ア、アル様。私が全部吹っ飛ばして───」

 

「待ちなさい」

 

 今にもスイッチを押しそうな伊草の手に陸八魔の手が置かれる。

 陸八魔は伊草の目を鋭い目で見つめながら、

 

「彼はプロの店員として、私たちに接しているわ。自分の学校を襲った私たちでもね。そんな彼が、ゲヘナの風紀委員会に通報するとは……」

 

「その、アル様。襲撃犯を所属高に通報するのは当然では……?」 

 

「…………し、してないわよね?」

 

「してない」

 

 その方法があったなと思ったことは墓まで持って行こう。

 そもそもアビドスは不良の数が多すぎるから、全員の学校に抗議の電話なんてしてないし。

 

「私もヨモギくんはそういうことするタイプじゃないと思うな」

 

「浅黄」

 

「自分の手でブッ飛ばさなきゃ気が済まないって感じだと思うよ!」

 

「わかってるじゃないか」

 

 思わずグッと親指を立てる。

 

「ムツキ室長……わかりました」

 

 伊草は説得に応じ、スイッチを自らのバッグへとしまった。

 

「でもどうするの、アルちゃん? 一戦やっちゃう?」

 

「ここでは戦えないわ」

 

 陸八魔は席を立つ。

 

「大将。狒々上くん。ラーメンありがとう。美味しかったわ」

 

「……行くのか?」

 

「ええ……次に会う時は、きっと敵同士でしょうけど」

 

「次はボコボコにするんでよろしく」

 

「ふふ……そうはいか────」

 

 パンッと一発の銃声が響く。

 ───爆発。

 

「ないわぁああああ!?」

 

 熱と衝撃が体を打つ。

 その前に。

 

「親父!」

 

 カウンターの向こう側に飛び掛かる。

 親父に覆いかぶさった俺の背中を衝撃が何度も打ち付けた。

 やがて、衝撃がピタリと止む。

 

「……おい便利屋」

 

 柴関ラーメンだった店舗は見るも無残な姿に変わっていた。

 お客さんが座っていた椅子も、親父が仕事をしていたカウンターの奥のキッチンも、なにもない。

 建物の支柱がいくつか残っているだけの廃屋。

 

「どういうことだ……これは」

 

「うう……ハルカ、貴女!?」

 

「ち、違います! 私はスイッチを押してません!!」

 

「だったら誰が───」

 

 いや、待てよ。

 確かに伊草はバッグにスイッチをしまった。

 

「さっき銃声が聞こえたのは、俺の聞き間違いか?」

 

「聞き間違いじゃない。確かに誰かが撃った……」

 

 瓦礫から這い出てきた鬼方が呟く。

 

「風紀委員会でしょ。牽制に撃ってきたんだよ……」

 

「も、もしかしたら私が仕掛けた爆弾に当たって……す、すいません! すいません!」

 

「親父……」

 

 親父は怪我こそ負っていないが、気絶している。

 

「……いい。故意にやったわけじゃないなら。親父はきっと許す」

 

 思いっきり故意にやっても事情があれば許すかもしれない。

 それがウチの親父だ。

 伊草には勝手に爆弾を仕掛けたことについてみっちり絞るが、それはあとだ。

 

「あっちにも落とし前はつけてもらう……!」

 

 人の店に弾丸をぶち込むとはいい度胸だ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「おい! だれが攻撃をした!?」

 

 風紀委員会側もまさか爆発するとは思ってなかったのか。

 動揺しているようだが、そんなことはどうでもいい。

 腹の底から声を上げた。

 

「おい!」

 

「!? お前はどこから現れた!?」

 

 銀髪のツインテールが反応する。

 声に聞き覚えがあるな。

 

「あんたが風紀委員会のイオリか?」

 

「私のことを知ってるのか? お前は何者だ!」

 

「お前たちが吹っ飛ばしてくれた店の店員だ」

 

「なら便利屋も中にいただろう! 連中はどこだ!」

 

 イオリは厳しい口調で問い詰めてくる。

 が、質問に答えるつもりはない。

 そもそも狙ったわけじゃないとはいえ、人の店を吹っ飛ばしておいて言うことが違うだろう。

 

「知るか。それよりも店を撃ったことを謝れ! 爆発は他にも原因があるけど、直接スイッチを押したのはあんたら風紀委員会なんだからな」

 

「規則違反者を取り締まるのが先だ! 邪魔をするなら容赦はしないぞ!」

 

 イオリがスナイパーライフルを構えると、他の風紀委員も一斉に銃を構える。

 

「……よその自治区で暴れる気か?」

 

「風紀を守るためだ!」

 

 だからどうした。

 便利屋に弁償を求める前にやることが増えちまったじゃないか。

 

「ファッキュー」

 

 右手に握りしめたリボルバーが火を噴いた。

 弾丸は真っすぐにイオリなる銀髪へと向かう────

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「くっ!? バカめ! この数が見えてないのか!」

 

 銃弾は躱された。

 当然だ。

 リボルバーは狙撃向きの武器じゃない。

 敵まで20mは離れたこの距離から撃ったところで、当たってくれるのは木っ端の不良くらいだ。

 相手はゲヘナの風紀委員会。

 その噂はアビドスにも届いている。

 無敵の風紀委員長が率いるゲヘナ最強の集団。

 

「知るか」

 

 待ち構える敵の脅威を明確に理解しながらも、この足は壊れ果てた店の跡から駆け出していた。

 

「撃てーー!!」

 

 風紀委員会の掃射が始まる。

 だが、その前に投げていた。

 

「グレネード!?」

 

 発煙手榴弾が起爆し、敵の視界を一時的に塞ぐ。

 

「視界が……」

 

「構うな! 撃てっ!!」

 

 イオリ何某の指示で立て直される前に二つ目の手榴弾を投下する。

 次に投げたのは閃光手榴弾。

 ───閃光が戦場を覆う。

 

「目が!?」

 

「何も見えない……」

 

 下っ端は軒並み潰れたようだ。

 これで一時的に数の差は覆る。

 だが───

 

「やってくれたなっ!!」

 

 ──右肩を衝撃が襲う。

 

「あぐっ!?」

 

 運のいいやつめ。

 イオリ何某は怯まずに済んだらしい。

 ライフル弾の衝撃に思わず落としそうになったリボルバーを固く握りしめ直し、スナイパーライフルを構えて突っ込んでくる敵を迎え撃つ。

 

「「ッ!」」

 

 2つの銃口から放たれた弾丸が交差する。

 放った弾丸はまた回避された。

 

「ぐっ!」

 

 ライフル弾を身を捩って回避しながら舌を巻く。

 突撃スナイパーなんてゲーム以外で初めて見た。

 しかも腕前は上々。

 リボルバー優位の近距離に持ち込んだというのに押しきれない。

 銃弾が幾重も交差する中、俺は決着をつけられないことに焦りを覚えていた。

 風紀委員会はざっと30人はいる。

 それも不良とは比べ物にならない練度の集団。

 この数が戦線に復帰すれば遠くないうちに───

 

「それまでにっ!」

 

「舐めるなっ!」

 

 イオリ何某に踏み込む。

 俺はリボルバーを構え───

 

「それっ」

 

 ───手放した。

 

「───は!?」

 

 拮抗する勝負。

 その中で武器を捨てた俺に茫然とするイオリ何某の懐に飛び込み、

 

「おおおおお!!」

 

 その右拳を鳩尾に叩き込んだ。

 

「がッはあッ!?」

 

 吹っ飛んだイオリ何某は廃墟の一つに音を立てて突っ込んでいく。

 手ごたえはあった。

 

「お、お前!」

 

「よくもイオリ先輩を……!」

 

 回復し、怒れる風紀委員会が銃口を向ける。

 この数相手にどこまでやれるか……

 

「まだだっ!」

 

「!?」

 

 廃墟の中から飛び出てくるイオリ何某。

 見たところ相応のダメージは負ってくれたようだが、気絶させるまではいかなかったか。

 さて、困ったぞ。

 周囲は敵だらけで、敵の切り札は健在。

 

「やるっきゃないよな」

 

 リボルバーの弾丸をリロードし、俺はその照準を───

 

「───待ちなさいっ!!」

 

 声が響いた。

 

「陸八魔……?」

 

 柴崎ラーメン屋跡地にコートをはためかせて仁王立ちする陸八魔は、

 

「彼はただの店員よ! それを取り囲んで倒そうなんて……風紀委員会にはプライドってものがないのかしら!」

 

 風紀委員会に喧嘩を売った。

 いや、なんで逃げてないんだよアイツ!

 

「そんな嘘を信じるか! こいつもお前たちの仲間───」

 

「仲間じゃないわ! なんなら敵同士よ。いずれ決着をつけないといけない相手……でも!」

 

 陸八魔は狙撃銃を握りしめ、

 

「一飯の恩義は返す! 助太刀するわ! 狒々上くん!」

 

 俺に共闘を持ちかけてきた。

 

「だが断る」

 

「……な、なんですって!?」

 

 なんでもかんでもあるかい。

 

「伊草が爆弾を仕掛けたせいでもあるからな。こいつらを片付けたあとはお前らだ」

 

 とっとと逃げればよかったろうに……まあ、逃げるようなタイプじゃないか。

 

「いったい何の話をしている!」

 

 イオリ何某が声を上げた。

 

「いちいち大声を出すんじゃねえ! 頭がキンキンすんだよっ!! 便利屋は敵だが、今はお前らだ風紀委員会! ここはアビドスの自治区だぞ。外からきて勝手にドンパチやるようなら、てめえらは不良と何ら変わらねえ……」

 

「……不良、不良といったのか! 風紀を守る私たちをよくも!」

 

「癇に障ったかぁ? アビドスの風紀を絶賛乱してる風紀委員会(笑)の皆様よぉ!」

 

「言わせておけばっ!!」

 

「撃て!」

 

 風紀委員会の無数の銃口が向けられる。

 こっからは根性だ。

 弾丸に耐えて耐えて耐えまくって、近くにいる敵をブッ倒す。

 リボルバーの照準を風紀委員会の一人に向ける。

 ───ドンッ!

 

「あ?」

 

 向けた先の風紀委員会が倒れた。

 誰がやったかは考えるまでもない。

 

「陸八魔……」

 

「私は好きにするわ。あなたも好きにすればいい」

 

 視線が交差する。

 熱い自分が言っている。

 ───あいつもぶちのめせ。

 冷たい自分が言っている。

 ───今は使える。

 

「ふう……ああ、好きにさせてもらうぜっ!!」

 

 便利屋の援護を受けながら、俺は風紀委員会へと攻撃を開始した。

 

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