「皆さん!今年度も残りわずかですよ!!頑張っていきましょー!!」
冬休みが終わり、一色いろは主導による始業式も滞り無く行われた。一色は勢いに任せた挨拶ではあるが、これはこれで悪くない。生徒会室では一色が満足そうな顔でふんぞりかえり、由比ヶ浜がそんな一色を褒めて、三浦が甘やかすなと諌めている。俺も甘やかすつもりはないが、一色はよくやっていると思う。俺もたまにはちゃんと褒めてやらねば。飴ちゃんでもあげれば満足するだろう。
「比企谷くんは運命って信じてる?」
一色へのご褒美をハッカ飴にしたどんなリアクションするのかと考えていたら、雪ノ下に話しかけられた。運命?雪ノ下にしては珍しい内容だな。そういうの信じてなさそうだけど。
「信じてないな。運命なんてロマンチックな物があるとしても、俺には似合わないし、縁は無いと思う。」
「比企谷くんらしいわね。なら、私たちの出会いは運命じゃなかったと思う?」
あの病室での出会い。
少女マンガとかなら確かに『運命の出会い』とも言えるような出会い方だ。
だけど、これは現実だ。
俺達は運命的に出会ったのではなく、偶然出会っただけだ。交通事故が起きて、その被害者が俺で、加害者が雪ノ下だった。
俺達の出会いはただの偶然だ。
「…………偶然だろ。俺の行動も。雪ノ下の行動も。何かが一つ違えば出会えなかったと思うぞ。」
「その偶然を運命と呼ぶんじゃない?」
起こった偶然が全てが運命なのだとしたら、全ての事象が運命になる。それでは努力で勝ち取った物も運命ということになってしまう。努力が信条の雪ノ下らしくない。
「そんな事を言い出したら全部が運命になるだろ。急にどうしたんだ?雪ノ下らしくないぞ。」
「比企谷くんと出会えなかったら私達ってどうなっていたのかと思ったのよ。比企谷くんはどう思う?」
随分と回りくどいと思ったら、本題はこれか。
俺と雪ノ下が出会ってなかったらどうなるかなんて目に見えてる。
「ぼっちが2人出来上がるだけだろ。」
「ふふっ。そうね。それじゃぁ、その先。恋人は出来てたと思う?」
雪ノ下の質問の意図が読めない。
雑談にしては踏み込み過ぎてる。
この先はお互いにとってあまり良い話にならないだろう。
適当に誤魔化す事も出来るけど、雪ノ下はそんな事を望んでない。これは雪ノ下から振ってきた話題なのだから。
「俺は無理だろうな。折本の件があるから、雪ノ下無しで乗り越える事は出来ないと思う。」
「なら、私は?」
「遅かれ早かれ、出来てただろうな。雪ノ下なら選び放題だし、俺と同じことができる奴だっている筈だ。」
あの病室での出会い。
逃げ場のなかった雪ノ下が逃げ込んだ場所が、たまたま俺だっただけだ。
雪ノ下が前に進む為には逃げる場所は必要だった。
だけど、それが俺である必要はなかっただろう。
俺と雪ノ下が付き合えたのは運命ではなく、あの時、それこそ偶然出会えたからだ。
「私の考えと逆ね。比企谷くんはきっと私無しで、私以外の人とトラウマを乗り越えてたと思うわ。それで、私は誰にも理解されないで愛される事を分からないままだったと思うの。」
「………陽乃さんや葉山がいるだろ。」
2人とも不器用だったが、雪ノ下のことを考えて行動していた。
葉山はともかく、陽乃さんなら手遅れになる前に何とかしていたと思う。
雪ノ下は俺とは違う。
雪ノ下は、俺がいなくてもちゃんと愛されていた人間だ。
「それに気付けたのは比企谷くんがいたからよ。比企谷くんだから、私は気付くことができたのよ。」
「流石に過大評価だ。俺じゃなくてもできた、俺の上位互換なんていくらでも居るんだよ。」
雪ノ下にそう言って貰えるのは嬉しいが、俺はそこまでできた人間じゃない。
偶然雪ノ下と出会えた。
俺はそんな偶然に必死に縋り付いてるだけだ。
本来なら俺は雪ノ下と釣り合う人間じゃない。
俺なんかよりも雪ノ下と釣り合う人は沢山いる。
もちろん、俺の雪ノ下への気持ちは本物だ。
雪ノ下を幸せにしたい。
雪ノ下には幸せになってほしい。
この気持ちは変わらない。
だけど、俺は、雪ノ下が幸せになるんだったらそれでいい。
雪ノ下が幸せになるんだったら、
それは、俺じゃなきゃダメなわけではないんだ。
俺は目を伏せ、雪ノ下の顔を見ることが出来なかった。
さっきの言葉で俺の気持ちは雪ノ下には伝わっているだろう。
雪ノ下と結婚を決めてなお、俺はまだ劣等感に苛まれている。雪ノ下雪乃を幸せにすると決めて結婚を決めたはずなのに、俺以外の方が雪ノ下を幸せにできるかもしれないと考えてしまう。
こんな俺を雪ノ下がどう見るか、俺は見たくなかった。
「比企谷くんじゃなきゃダメなのよ。比企谷くんより上でも下でもダメなのよ。」
雪ノ下の声が顔を伏せた俺の頭上から聞こえた。
顔を上げると雪ノ下の顔が目の前にあった。
「……こんな捻くれた性格のどこがいいんだ?」
我ながら酷い質問だ。
こんな事を雪ノ下に言いたいわけじゃない。
「そんな比企谷くんだから好きなのよ。」
「これからもっと捻くれるかもしれないぞ。雪ノ下の好きだった俺が、変わるかもしれない。」
今でさえそうだ。
雪ノ下が歩み寄ってくれた状況なのに、まだ自分自身を卑下してしまう。
また、雪ノ下の顔を見れず、目を伏せてしまう。
こんな俺が、これからも雪ノ下と一緒に居られるのかとつい考えてしまう。
「変わる度に好きなるわ。私が好きなったのは比企谷くんの性格じゃなくて比企谷くんなのよ。」
雪ノ下に両手で顔を掴まれて、強制的に目を合わせられる。
反射的に目を閉じてしまった。
こんな雪ノ下は初めてだ。
俺は普段から雪ノ下に色々やらされたりしているが、俺が本当に嫌な事に関しては強制的にさせられた事はなかった。
雪ノ下の顔を見れない俺を、雪ノ下に見られたくない俺を、雪ノ下はどんな目で見ているんだろうか。
「比企谷くん。私の目を見て。」
雪ノ下の声に俺は目を開けてしまった。
目の前にあるのは俺が何度も見てきた目だ。
俺が惚れて止まない雪ノ下雪乃の目だ。
「比企谷くんは私を幸せにしなさい。」
言われるまでもない。俺は雪ノ下を幸せにしたい。
俺はその為なら、、、
「その代わり、私が必ず比企谷くんを幸せにするわ。」
「比企谷くんが不幸になれないくらい私が幸せにしてあげるから、ずっと私のそばで私を幸せにしなさい。」
俺は何も言えなかった。
雪ノ下の口で、口が塞がってたからだ。
口が離れて、雪ノ下が俺を見ている。
「俺が雪ノ下を絶対幸せにする。俺は誰にも負けないくらい雪ノ下を幸せにする。だから、雪ノ下は俺を幸せにしてくれ。」
今度は俺が雪ノ下に何も言わせなかった。
こんな風にお互いがお互いに依存した関係は正しくないかもしれない。
けれど、俺も雪ノ下も、相手に依存しないと素直になれないのだ。
自分の気持ちだけで、相手を好きでいられるほど俺達は強くない。
だから、お互い依存して支え合って幸せになっていくんだ。
俺を抱きしめてる雪ノ下の手が俺の服の中に入ってきた。
俺も雪ノ下の服の中に手を入れた。
触れ合う肌と肌が、幸せを実感させてくれる。
もっと、触れ合いたい。雪ノ下を感じたい。
「なぁ、雪ノ下。」
「なにかしら?」
「………したい。」
「あら?比企谷くんから言うなんて珍しいわね。」
「今さ、幸せを感じたいんだ。雪ノ下と一緒に。」
「仕方ないわね。私が比企谷くんを幸せにしてあげるわ。」
「ああ。俺を幸せにさせてくれ。俺も、雪ノ下を幸せにするからさ。」
雪ノ下の手が俺の背中から腰、そして前に移動してくる。
俺の手も雪ノ下の胸から下腹部は滑り落ちていく。
雪ノ下の下着は水気を帯びていた。
俺のズボンも雪ノ下によってチャックが下ろされている。
俺と雪ノ下の距離はもっと近づいていく。
あれ?なんか雪ノ下が遠ざかってる気がする。
いや、気のせいじゃないな。さっきまで触れてた手が届かない。
それに何だか周りが騒がしい。
「彩ちゃん!ヒッキーを早く引き剥がして!!」「うわわ、八幡の八幡が八幡になってる!八幡、早く戻ってきて!」「ちょ、雪ノ下さん普段貧弱なのに何でこんな力強いの!」「やばいですやばいです!間一髪でした!私の生徒会室がラブホになるとこでした!先輩!正気に戻ってください!」
服装の乱れた俺と雪ノ下は生徒会メンバーと戸塚によって、なんとか一線を越えずに済んだ。
俺と雪ノ下の話をフムフムと盗み聞きしていた不届者どもは口を挟むタイミングを逃し、結果的にホントにギリギリまで気づかなかったらしい。
戸塚に俺の八幡が八幡になってるとこを見られちゃったのは恥ずかしい限りだ。今度は戸塚の彩加が彩加してるとこを見せてもらおう。きっと彩加彩加してるに違いない。ん?何言ってるか自分でも分かんないな。
今更ですけど、八幡と雪乃のイチャイチャはどのレーティングに含まれるか確認しておきたいので投票お願いします。
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全年齢
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R-15
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R-18