〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音 作:楓舞星
「っ……く」
テラスはその場で倒れ込む。その様子を、重面春太はみていた。
とんでもない神技と身体能力、呪いを掛け続ける事によって得たそれで怪物を退治したが、その反面、力を奮いすぎて気絶したようだ。
……重面は好機を得たと、笑いながらテラスに近づく。
が、
「やあ、こんにちは、人間さん」
背後からの強烈な呪いの気配。重面はつい振り返る。そこには、喪服ヒラヒラアンテナがおり……
「今から死ぬけど、遺言をどうぞっ!」
「は、はは。俺って奴はつくづくツイテないなぁ……」
瞬間、重面の中心が粉々に砕かれる。心臓を貫かれるよりも確実性のある殺し方だった。そのまま。閃は重面の腑をぐりぐりと混ぜ合わせて、
「人をそう簡単に殺せないって言っても、大した理由もなく呪詛師に堕ちてるやつは頑張って殺す。救わないし、救おうとも思わない」
「ぐっふ……」
重面は倒れた。
「さて……仕事完了……そっちは?」
「……あー、ギリ生きてる」
「テラスがそんな有様になるなんて本当に強敵だったんだねぇ。いや、テラスだったらあと1億倍ぐらい強くしても耐えられたかな?」
「まあ本家図虚空に比べればマシ……アイツは適応の術を持っている式神だった。神闘にも適応してきて、神の召喚獣って言っても過言じゃない奴だった……まあ私の敵じゃなかったかな?」
「そんなこと言って、そんなボロッボロになってんじゃん」
「ば、バカ言え!これボロボロなのではない!ダメージジーンズと言うものじゃ!」
「どこも破けてなくて、ドス黒い血がついてるダメージジーンズはきっとユニクロにも売ってないよ」
一呼吸おいた2人は、今後の展望を話し合おうとする。が、
「頭脳労働は君にきめた!」
「無理っすね」
「無理じゃねえんだよもっと熱くなれよぉぉ!!根性論で大抵のことはどうにかなるだよぉぉ!!!」
「いや、経験則からしてなにか愚かしいことが起こるんだろうなぁということはわかるんだけど、ずるっこなしで未来予知しろって言われたら無理」
「……ふっ、所詮は私のコピーかなんか。頭に期待する方がバカだったか」
「そうだよ。君はバカだ」
「ブーメランと通常攻撃で連続二回攻撃だとっ!?無敵か……こいつ!?」
「ブーメランに関しては君のだけどね」
「まあとりま、みんなが集まってる所にいってくるわ。とりあえずお前も、なんか事情があるっぽいし頑張れ。では、解散!」
_______
這いずり、逃げようとする元捕食者だった被捕食者がいた。それに、嘯くようにいった。
「助けてあげようか?真人」
そいつをみた虎杖は、
「五条先生を返せぇえ!!」
そう、夏油に突撃するが、
瞬間、何かの術式によるものか、地に大穴が空く。そうして、落っこち、まるで天から地に落ちたみたいに、サクッと虎杖は地に伏せられた。
だが、虎杖は立ち上がる。
「我ながらさすがと言うべきか。宿儺の器……タフだね」
「じゃあね。真人。おつかれさん」
「ああ……ああっ!!」
真人は夏油の手のひらで転がされた。玉となって。
虎杖はそれを見つめながらも、隙がなく、夏油が術式の抽出をする所を見ることしかできなかった。
そのときだった。
「おっすー!なんか虎杖すごいダメージ喰らってない?」
「ああ、ちょっと俺の宿敵をぶっ倒してきてな……って、テラスもとんでもねえことになってるじゃねえか!!」
「……んで、そこの人はだれ?」
「ああ、君と私は初対面か。……あと少し経ったら自己紹介させてもらうよ」
そう言った時だった。水色髪のスーツを着込んだ刀持ちの女性が夏油に対して、抜刀をする。それに対して、夏油は、刀を防いでから、
「極ノ番、うずまき」
それは皆を巻き込んで消滅させようとするがーー
ーー「オメガバスティオン」
テラスがその一手を封じ込める。
「おっと、相変わらず面白いことをしてくれるじゃないか、君達は」
「君『達』?知らんけど、まあそこらの芸人よりは面白いみょうちくりんな技は使えるかな」
そうして掛け合いをしたあと、続々と現れてくるのは京都校の呪術師や日下部篤也、脹相、東京校のパンダ達だった。
だが、明確な『敵』も現れて……
「ひっこめ、三下共」
氷を操る術式をもつ中性的な女性、裏梅もでてくる。
「メッセンジャーは虎杖悠仁1人で事足りるでしょう!!」
裏梅は氷を操り虎杖や、その他を殺そうとして……
「どんな女が、タイプだい?」
現れたのは、九十九由紀だった。そうして、皆が集まったことを確認した夏油は、説明する。
これからの日本が混沌と化すこと。自身が羂索という名であること。そして、
「やあ、君もきたかい」
「まあね」
九十九が言う。
「特級裨益呪霊……今は閃だっけ?……」
「「「「特級裨益呪霊!?」」」」
羂索の隣に特級裨益呪霊、閃がぬるりと現れる。
「やっほーみなさん。九十九もいるじゃん」
「……君と会っていたのは別の人格、今で言う、善道の時のはず……覚えているのかい?」
「あれだけ会っていたんだ。私も、夢でみるさ」
よくわからない会話を経て、
「じゃあね、宿儺の器」
「早速現れて、ばいばーいみなさん!」
「虎杖悠仁……首を洗ってまっていろ」
三者三様の返答をして、羂索達は呪霊の転移の術式で去っていった。
__________
「一閃」
その後、テラスは東京に放たれた呪霊1000万体をずったんバッタンと倒しながら過ごし、
「一閃」
虎杖達とは離れて孤高の生活をして、
「一閃」
今は薨星宮にいた天元から死滅回遊というゲームを聞き、広島コロニーをとりあえず平定していた。
そうして、速報の連絡が入る。
「は?禪院家で大量殺人が行なわれた?」
テラスは努めて冷静に通話を聞く。そうして、驚愕することとなる。
「主犯はーー
ーー善道徳心?」
_______
禪院家にて、
「酷い面やな。それもう治らんやろ。どうすんの?……呪術も使えん。呪霊も見えん。取り柄の顔もグズグズ。もう誰も君のこと眼中にないで」
「……」
「一度くらい、産んでよかったと思わせてよ」
「……」
真希は忌庫の鍵を開け、中に入るとそこには、
「っ!親父っ!」
「なんで来たのよ……馬鹿っ……」
「真衣……っ」
真希の父親、禪院扇の後ろには切られた妹の禪院真衣がいた。
そうして、父と娘の勝負が始まったが、扇の術式や鍛え上げられた身体を前に、不意を突かれた真希は撃沈する。
「何故私が当主になれなかったかーー
ーーそれは子供のお前達が出来損ないだからだ!!」
そう言って、真衣と真希はとある場所に引き摺りこられた。そこは、懲罰部屋。2級以下の呪霊が無数に飼育・隔離されている部屋。
瀕死の真衣と真希はそこに連れられた。そうして、
「知らないの?この国では足の引っ張り合いが美徳なのよ…………最悪っ……」
舞衣はそう言いながらも、真希の脈があることを確かめる。
「私の術式、もう大体分かってるでしょ。でも大きいものとか複雑なものは作れないのよ……」
気絶している真希に向かって、ゆったりと微笑んでから、
「呪力も何もかも、私が持っていってあげるから、1つだけ約束して」
「全部、壊して」
鬼人が目を覚ます。
「真依……始めるよ」
釈魂刀を持ち、歩き始めたその時だった。目の前に1人の女が見えた。黒紋付に身を包み、どこまでも『黒』色の髪を背中まで下ろしている。
「誰だ……てめぇ……」
「僕は善道徳心。正義の味方さ」
さて、恐らくラスボスの登場です。ここから投稿頻度落ちます。評価・感想で是非応援してくれたら泣いて喜びます。