彼に仕える者達もまた……彼らの目には彼らの真実しか映らないのか。
個人的に少し疲れ気味なので、余り頻繁にはいけないと思います。
そして、誰でどれくらいやるかも決まってない完全な手探りです。
皇暦2017年………神聖ブリタニア帝国に占領された日本がエリア11と呼ばれるようになり、日本人にイレヴンの名が付いて七年が過ぎた。日本人の抵抗が続く中、仮面の男ゼロが正義の味方『黒の騎士団』を旗揚げし、いくつかの汚職貴族やテロリストを潰して名を上げていった。
飯田有紗は戦争で両親を喪い、当時の日本軍の保護された後に現在のハラジュクゲットーで暮らしていた。トウキョウのゲットーでは比較的人が住める環境になっており、有紗は細々と復興を行う人々を手伝っていた。
「はい、豚汁があります。」
「おお、すまんな。」
復興作業を行っていた男達に大鍋に入った豚汁を少しずつ配っていき、配り終えたところで有紗も一息ついた。
「お疲れ。」
一緒にハラジュクへ避難した久保カイトが声をかけてきて、コーヒーの入ったグラスを出した。
「福原さんが入れてくれたコーヒーだ。」
福原は、このハラジュクゲットー代表者…………とは違う、住民達のまとめ役に近い人だった。戦前、喫茶店を経営しており、現在はゲットーの区画でかつての経験を活かし、何とか植民地政策を行う日本企業からの支援で炊き出しの形で生きていた。
「ありがとう…………」
有紗は深く考えていた。もう16………学力は、福原を初めとした大人達のおかげで日本の中学、高校に近いレベルの学力は維持している。
「どうした?」
「…………うん、名誉ブリタニア人の試験受けようかなって思うの。」
それを聞いて、カイトが顔色を変えた。
「お前、日本を裏切るのか?」
「違うわ………名誉ブリタニア人になれば、少しはマシな仕事に就ける。そうすれば、福原さんの手伝いがしやすくなる。それに、あの子達に教科書とか色々と買ってあげられる。」
有紗の視線の先には、あの頃の有紗と同じかそれより小さい子供達が遊ぶか……大人達に交じって小さい瓦礫の片付けなどを行っていた。
「そんなことしなくたって、『日本解放戦線』に藤堂中佐がいるんだ。それに、日本中にレジスタンスがまだ頑張ってるし、もしかしたらゼロも。」
「でも、それが適うにしてもいつなの?確約が得られる前にあの子達が大きくなったら、誰が勉強を教えるの?」
「そんなの、日本人の魂や誇りさえあれば、どうとでもなる!!」
まただ。いつからか、カイトは日本人の魂や誇りを誇張している。何か質問しても、返ってくる答えはそればかり。
「俺がお前を守る。お前は気にしなくて良いんだよ。」
熱い視線だが、有紗は最近この視線が嫌だった。そう、時折租界に買い出しに出てブリタニア人の男に見られるのと同じくらい。
自分の身体が豊かだという自覚はある。だが、最近復興作業で働くこともしない男達に絡まれる事が増えてきた。それが、不快だ。カイトの熱い視線さえ、有紗には同じに感じてしまう。
一週間後…………
有紗は、ブリタニア人の男の子………六、七歳の子が日本人の大人数人に絡まれているのを見た。何故、一人でこんなところに…とも思いながら、有紗は飛び出した。
「やめて、こんな小さい子相手に何をしてるんですか!」
「ああ、てめえブリキの味方するのか?」
「そうじゃありません!いくらブリタニア人だからって、こんな小さい子を虐めて何の意味があるんですか!?」
そこへ、カイトがやってきた。
「何言ってるんだ、有紗。ブリタニア人を倒して、日本人は負けてないって証明を…」
その言い草に遂に有紗は我慢が出来なくなった。
「大の大人がこれだけいて相手が小さい子供一人なら、勝って当たり前でしょう!!」
いくらブリタニアが憎いからって、これは酷すぎる………無知蒙昧なイレヴンの良い見本ではないだろうか?
その言葉に興がそがれたのか、大人達は舌打ちをして去った。それを見届け、有紗は男の子にかがんだ。
「ごめんね、怖がらせて………でも、ゲットーにはああいう怖いイレヴンの大人が虐めようとするから、早く租界のパパとママのところに帰りましょう?」
「…うん。」
半泣きの男の子が有紗の手を取り、有紗は租界への出入り口に入った。そして、警官を見つけた。
「ゲットーへ勝手に入り込んだ?」
「はい……ちょっと、話を聞いたら迷子だったみたいで。」
警官は有紗を疑いの目で見るが、男の子は有紗にしがみついた。
「大丈夫よ…この人はブリタニア人だから。」
「………分かった、こちらで預かる。」
「お願いします。」
男の子が手を振り、有紗はゲットーへ戻った。だが、その時の有紗は気付いていなかった。マフィアの使い走りが有紗を尾行していたことを…………
二週間経ち、ネットの噂で皇族の一人がエリア11を訪問するという話が出ていた。新しい総督のコーネリアはゲットーの住民に容赦がなく、対照的に副総督として着任した妹のユーフェミアは温和な人物だという。
今度は、どんな皇族が来るんだろう?
有紗はその程度の考えだった。ただ、もしレジスタンスの鎮圧ならばゲットーの子供だけでも保護してくれるような人であって欲しいと願った。
買い出しを済ませて戻りながらそんなことを考えていると、有紗は後ろから羽交い締めにされた。抵抗する間もなく意識を失い、次に目を覚ましたときには他にも大勢の日本人………大半が有紗と同じか少し年上の若い女だった。
「ほう、いいのを仕入れたな……特にこの女は私が欲しいくらいだ。」
サングラスをかけた、いかにも悪徳貴族かマフィアのボスと言わんばかりの男が有紗を上から下までなめ回すように見ていた。
「っ、いくらイレヴンが相手でもこんなことを繰り返したら政庁だって…」
「ご心配ありがとう………だがな、それはあり得ないんだよ。何故なら、お前を買い取る客には貴族も多い。」
貴族も………つまり、所謂闇オークション?
「まさか…………政庁の官僚や警察も?ゼロが潰したリフレインの組織みたいな!?」
「ご明察………更に言えば、コーネリア皇女殿下の軍は今動きが鈍くてな……………ユーフェミア皇女殿下は論外。」
それは、軍にも協力者がいるということになる。いくら相手がイレヴンだからって、こんなことを日常的に政庁は行っていたと?
「まあ、お前は見たところ15,6。その身体と顔なら、大貴族もさぞ楽しみたいだろうよ。いや………今でこれなら、更に味わい深い身体になるな。」
「ボス、この女俺達が貰っちゃダメですか?」
「バカ、商品に手を着ける奴があるか。他ので我慢しろ。」
有紗はもう、何も言えなかった。
このまま、終わるの?貴族に買い取られて………夜に身体を弄ばれて、或いは大勢の男達の相手をさせられて…………捨てられて。
有紗の頭には女として、最悪の結末のシナリオが浮かんでいた。このまま、ハラジュクに帰ることも適わずに…………相手の分からない子供を身籠もって、野垂れ死にしてしまう。
だが、この二日後に…………彼女は運命の出会いを果たす。
完全に自分の頭で手探り、原稿も何もなしで下手くそです。
でも、有紗の過去を何とか描きました。
そして、カイト。この頃から既にあの道まっしぐらでした。多分、有紗は復興作業を手伝う大人達の手伝い………カイトはそっち以上に大人達の日本至上主義や日本人神格化……それを真に受けたようなものでしょうね。
行村は当然ですが、カイトも生きていれば『ブリタニア・バッシング』確定。それこそ、有紗を助けるとか喚いて他でもない元仲間に引導を渡されてます。