スキル『日本』。初期は『勤勉になるだけ』のゴミだったが、開花するにつれ、ゼロ戦、忍者、和食、台風……いくらなんでも強すぎて、みな頭を抱えてる‐センエース‐ 作:閃幽零
12話 宣戦布告! さらにスキルが進化!!
実は、『平成の牛丼屋』の裏効果には、もう一つ、仕様がある。
センに『敵』と認定された者が、
『センの大切にしているもの』へ『悪意』を抱いていた場合。
体内に送り込まれた魔改造食中毒菌は、
――その悪意の深さに比例して、増殖の速さと毒の強さが跳ね上がる!!
「う……ぐぅ」
カバノンの顔から、みるみる血の気が引いていく。
丸眼鏡の奥の目が、大きく見開かれた。
「……き、貴様ら……なぜ、私に毒を……どうしてぇ!」
「い、いえ! 毒など、そんなことは――」
ミシャが否定する前に、
カバノンの腹の中で、何かが、決壊した。
「――っ!!」
謁見の間に、筆舌に尽くしがたい音が響き、
筆舌に尽くしがたい匂いが、ゆっくりと広がっていった。
端的に言えば――豪快に漏らしてしまった。
重臣たちが、一斉に、顔をそむける。
宰相が、静かに、目を閉じる。
真っ青な顔のミシャの横で、
センは、心底しんどそうに、天井を見上げた。
(あーあ……これは、もう確定だな……セファイラの人間以外が食うと、腹を殺す兵器になる……だから止めたのに……ぁあ、やばいぞ、これ……)
★
セファイラ中の治癒士が、かき集められた。
解毒魔法。
浄化魔法。
治癒魔法。
ありとあらゆる術を重ねがけし、一刻ほどかけて、ようやく、カバノンの容体は落ち着いた。
城の客間で着替えを済ませたカバノンは、
青白い顔のまま、ミシャの前に立っていた。
その顔に、もう、あの柔らかな笑みはない。
「……一国の主席に、腐ったものを食わせ……これほどの醜態を晒《さら》させるとは……おそれいりました。いや、お見事! 感服いたします!」
声が、かすかに震えている。
怒りなのか、羞恥《しゅうち》なのか。
おそらく、本人にも、もう区別がついていない。
「……非常に……よく、わかりました。それが、セファイラの答えというわけですね。実に残念です。そして、何より不愉快だ」
「お、お待ちください、カバノン主席! 我々に、そのような意図は決して――」
「もう結構。どんな言い訳を並べようと、事実をなかったことにはできない」
カバノンは、ミシャの言葉を、ぴしゃりと断ち切った。
「同盟の件も、縁談の件も、なかったことにしていただきたい。……では、失礼」
丸眼鏡の奥の目が、冷たく光った。
「次にお目にかかるのは、戦場になるでしょう。一国のトップを、これほどまで愚弄《ぐろう》した大罪……血で贖《あがな》っていただく」
カバノンは、それだけ言い残すと、振り返りもせずに、客間を出ていった。
扉が、乱暴に閉まる。
ミシャは、その場に立ち尽くしたまま、動けなかった。
センは、頬をかきながら、
(……恥にもいろいろあるが……求婚した相手の前で漏らすってのは……まあ、男として、許容できることじゃないわなぁ……自分が同じ目にあったらと考えると、失神しそうなレベルだぜ……)
恥をかかされた程度で、戦争になるのか?
なる。
歴史をひもとけば、もっとくだらない理由で始まった戦争など、いくらでもある。
(イギリスとアメリカなんか、豚一匹撃たれただけで、軍隊同士がにらみ合ったからな……それに比べりゃ、今回の件は、かなり立派な開戦理由といえる……)
ふと、窓の外に目をやる。
中庭の木陰に、ジョカが立っていた。
こちらに気づくと、ひらひらと、楽しそうに手を振ってくる。
センは、その笑顔を見つめたまま、心の中で、ぽつりとつぶやいた。
(なにわろてんねん、イカれ女が……セファイラがやばい状況になるのが、そんなにおかしいか……あいつ、マジで終わってんな……はぁ……)
天を仰いで、深いため息をつく。
(……また戦争か……今度は、ドーンと……勘弁してくれよ、まったく……)
――その時。
世界の声が聞こえた。
――スキル3『忍者学園』が拡張進化。
――進化スキル3『中忍学園《ちゅうにんがくえん》‐疾風迅雷《しっぷうじんらい》‐』を獲得!!
頭の中に、スキルの情報が流れ込んでくる。
中位忍術『口寄せ』の会得が可能になった。
口寄せ:忍術を会得した犬、狐、ガマ、蛇などを召喚する。
(ここで忍者学園にアプデが入るのはありがたいねぇ。分身+召喚ができるなら、戦力は普通に底上げされる。……すべての日本スキルをうまく駆使すれば……ドーンが仮に50万ぐらいの兵を向けてきたとしても、なんとかなる……かも……)